やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

発刊にあたって

 21世紀の歩みを始めて2年余が過ぎましたが,いまも脳裏に鮮やかに思い出されるアメリカの世界貿易センタービルと国防総省へのテロを始め,新しい戦争の時代の到来ともいわれる不安に満ちた国際情勢のなか,わが国においても,経済減速,不況や雇用不安からの脱却の見直しは不透明なままです.
 少子高齢時代に突入した現在,歯科界もこうした社会情勢を反映して,多くの問題が山積していますが,今後の四半世紀,いっそう急速に進行する人口の高齢化に対して,具体的な対策を講ずるなど,社会のニーズに応える医療人として新たな使命を果たしていかなければなりません.
 特に,後期高齢者は,有病者である確率が高く,自ら通院することの困難な者,従来の通院中心の歯科医療で対応できない事例も数多く,そのため日本歯科医師会・都道府県歯科医師会は行政との緊密な連係のもと,数々の施策を提言し,実行してまいりました.
 医療保険,介護保険についてはもとより,“介護予防”の提言に先立 って,8020運動を広く展開し,平成12年には日本歯科医師会主導により8020推進財団を立ち上げ,国民の健康維持を目ざして活発に各種事業を行 っていることは周知のとおりです.
 この“介護予防”では,総括的な介護予防企画推進とともに,転倒・骨折予防,閉じこもり予防,気道感染予防という具体的課題がかかげられており,気道感染予防においては,口腔ケアがその中核となっています.
 口腔の機能向上,歯科疾患予防にとどまらず,全身の健康に口腔ケアの果たす役割の大きさが認識された結果と思われますが,根拠に基づく保健医療―Evidence Based Health Care(EBHC)が求められているところであり,その“根拠”に基づいて,広く口腔ケアが行われ,国民のQOLの向上に役立つよう,静岡県歯科医師会のまとめた本書が,広く日本歯科医師会会員各位に活用されることを願 っております.
 平成14年3月
 社団法人日本歯科医師会
 会長 臼田貞夫

監修の序

 平成12年より発足した介護保険制度は,地方自治・地方分権の試金石と言われており,各地域において,既存の事業と新たに加わった介護保険制度を組み合わせ,今後も各自治体はそれぞれの実状にあった高齢者保健医療体制を再構築していくものと考えられております.
 すなわち,これまでの地域保健体制のなかに介護関係事業者という新たな要素が加わり,口腔保健を担う歯科医師および歯科衛生士においても,これまで以上に他業種との連携が必要となっており,このことは実践のなかですでに経験しているとおりです.
 本格的な高齢社会がスタートした21世紀の日本は,今後の四半世紀において,きめ細やかな医療・福祉政策が求められますが,医療費の負担率のアップ,総医療費の抑制が必至となるなか,“介護予防”という施策が新たに打ち出されています.
 これは一次・二次予防についての実施経験を積んできた歯科医療人にとって,まさに活躍の時代がきたと考えるべきであり,そのために国民ならびに多彩な医療福祉職に,歯科的介入,つまり“治療“と“口腔ケア”の重要性を認識していただき,さらに効果の根拠を提示したうえで,広い知識と確かな技術,そして医療人としての温かな思いやりをもって行うことが必要と思われます.
 日本歯科医師会は,地域歯科保健体制が地域ごとにその実状に応じた体制を組むべきであると考え,どこの地域においても,高齢者や障害者の医療介護における歯科医療人の役割は何か,地域保健体制のなかで歯科保健の位置づけはどのようになるのか,歯科医師会の果たすべき役割は何か,というような真摯な問いかけをなし,要介護者のディマンドを満たし,自立支援につながる医療支援に積極的に取り組むよう,各都道府県歯科医師会との連携のもと,その実現に向かって努力してまいりました.
 こうした状況のなかで,本書がその一助になり,いつでも,どこでも,安心して口腔ケア・歯科訪問診療が受けられるといった「在宅歯科保健医療の充実」と「利用者の満足」につなげられればうれしいかぎりです.
 平成14年3月
 社団法人日本歯科医師会
 地域保健・産業保健担当常務理事 新井誠四郎

編集の序

 わが国は,20世紀の後半に,欧米の数倍という世界に例を見ない早さで高齢社会に突入しました.
 これは,日本が高齢社会の正の側面ともいえる成熟した知恵に満ちた社会への以降を準備するひまもなく,その負の側面である高齢者の健康不安を抱えた社会へと強行着陸してしまったといえるのではないでしょうか.
 さらに,わが国は平均寿命が80歳に及ぶという長寿国となり,その結果健康寿命が平均寿命に追いついていけないという,これもまた負の重い荷物を抱えた社会に入 っております.
 その解決のために介護保険や在宅医療制度が創設されましたが,歯科医療の現場からみたとき,十分な活用がなされていないといわざるをえません.
 その理由は,歯科医療が小外科的治療を主体とするため通院医療として発達せざるをえず,したがってわれわれが診療所から出るという意識を醸成できなかったためであるといわれております.たしかに,これは一つの説明ではありますが,しかしここには大事な視点が欠けています.それは“口腔ケア”という視点です.
 もちろん,歯の1本1本の治療は大切なことですが,しかし,それらを含むさらに大きな目的,すなわち口腔機能を全体としてどのように維持させるかという視点に立 ったとき,十分な治療機械がなくとも,在宅や施設における通院不能な患者さんに,われわれが提供できる知識や技術は存在しているはずであり,さらにそこから“歯科”の新たな領域が展望されるに違いない,それが口腔ケアによせる静岡県歯科医師会の大きな期待でありました.
 そしてそれは,時代の要請が従来の救急的医療から,人がよりよく生きるための医療へと転換していくことを意味しています.
 その期待にこたえ,さらにその必要性を訴えるために,現状で何が欠けているのかを考えたとき,われわれの得た結論は,口腔ケアの必要性を多くの人々,特に歯科以外の人々に知 っていただくための根拠を提出することでした.
 しかし,このような根拠を求めたとき,それを集約した論文集が存在しないことに気づき,自ら作成するしかないという結論に達したのは,平成10年も終わりに近づいたころでした.
 これが,本書の前に静岡県歯科医師会より発行された前回の口腔ケア文献集の作成であり,またその状況でありました.
 作業は,科学的根拠にこたえられる必要文献をさまざまな学会誌から検索することにはじまり,次にその原著者の文献集への掲載許可のお願い,さらにはその論文の要約作業,そしてその要約文の原著者の承認,このような1年にも及ぶ一つひとつの作業の積み重ねを経て,『口腔ケア文献集-科学的根拠を求めて』が平成11年10月に刊行されました.
 幸いなことに,この文献集はわれわれの予想を遥かに越え多くの人々の求めるものとなり,逆にその必要性がいかに高いものであるかを教えてくれました.
 そしてあの準備期間から3年以上を経過したいま,口腔ケアに関する文献は増加し,また現場での要求もされに大きくなっております.
 そのような折,新たな文献集の作成を考えていたわれわれに,医歯薬出版株式会社より出版の申し出があり,前回と同様な労苦の多い作業のもとに,ここに改めて前回とは異なる立派な装丁による本書が誕生することとなりました.
 さらに,本書の必要性をご理解いただき,監修を日本歯科医師会にしていただきました.ここに厚く御礼申し上げます.
 本書が,福祉や医療の現場で自律支援のために日々ご苦労されておられる関係者の皆様方のお役にすこしでも立つことができ,それが人々のQOLの向上を実現できたなら望外の幸せであり,またそれを願 ってやみません.
 末尾となりましたが,ご挨拶をいただいた日本歯科医師会会長・臼田貞夫先生,地域保健・産業保健担当常務理事・新井誠四郎先生に厚く御礼申し上げます.また,編集と作成にご苦労された医歯薬出版株式会社の担当の皆様,そして日々の診療のなかこの作業に携わったわが静岡県歯科医師会の担当委員各位に深甚なる謝意を申し上げます.
 平成14年3月
 社団法人静岡県歯科医師会
 会長 大久保満男

推薦文

 口腔ケアの重要性についてはいまさら言うまでもないことです.ところが,一般病院や施設でのケアの実態はまだまだ十分だとは思われません.長年リハビリテーション医療の現場で仕事をしていて,そのことは本当に実感してきました.
 私は昭和48年に伊豆逓信病院(現在,NTT東日本伊豆病院)のリハビリテーション科に勤務し,しばらくたって障害者の歯科的問題が多いことに気づきました.リハビリテーション科が他科に診察をお願いする頻度の第一は歯科だったのです.あまりに依存数が多く,病院内の歯科ではなかなか対応が難しく本当に悩みました.こんなにニーズがあるのなら自分が歯科医師になったほうが早いと思い,東京医科歯科大学の歯科の同級生に,学部編入で4年で歯科医師になれないかと本気で相談したものです.
 当時はリハビリテーション医療自体が不足していましたから,障害者の歯科的問題などはあまり話題になることがありませんでした.障害者歯科の領域も未発達でしたし,ましてや老人の口腔ケアや嚥下障害,歯周病などは誰も真剣に論じてなかったように思います.
 この伊豆の病院で,一時歯科の先生が不在となり,そのとき,本書の編集に携わっている米山先生ご兄弟に病院の歯科を担 っていただいたことがあります.親しくお付き合いするようになって,先生からたくさん文献を頂戴しましたが,口腔ケアの重要性を若くて情熱あふれる歯科医師からじかに伺えたことは刺激的であったし,とても勉強になりました.
 東京医科歯科大学の同級生,ことに厚生省におりました親友の宮武光吉先生(現鶴見大学歯学部教授)にも,公衆衛生的視点から歯科における課題を教わりました.ある年の同窓会で,先生が「8020に自信がある者」というアンケートをとられたのですが,結果は「自信がある」がきわめて少なく無残なものでした.その理由が80歳まで生きられないというので大笑いになりましたが,男性の場合そうかもしれないと妙に納得したものです.
 現在の私の職場のある茨城県では,8020の中間目標として6424運動を展開していますが,歯周病について医師の多くが無知であることを知りました.そのようなことで,私自身は障害者や高齢者の口腔ケアには比較的理解のある「医師」だと自負しています.
 以上のような経緯から,専門家(歯科衛生士)によるきちんとした口腔ケアを月に一度でも行うと効果があることを伺 っておりましたので,リハビリテーション病棟に入院する患者さんには,全員そのようなケアをしてあげたいと考えています.しかし,診療報酬の関係でなかなか歯科衛生士を雇用できないのは残念です.これらを克服するには,どうしても(1)関係者の教育・啓発と,(2)証拠(エビデンス)をみせることが必要だと考えていました.そのような折にこの本が上梓されました.この本は大変ユニークで,とても有益です.
 最近,嚥下リハビリテーションの考え方が急速に進んできています.摂食と排泄は人間存在の根幹にかかわることですからリハビリテーションケアの立場からすると当然といえば当然です.この領域にはきわめて多くの職種の方がかかわりますから,急速な広まりをみせています.
 歯科の先生方の参加も少なくありませんが,まだまだ十分とはいえません.ことに急性期の医療の現場では関心は低いと思います.
 では,介護の領域ではどうでしょうか? この領域もまだまだでしょう.
 1章の本文のなかで米山先生が,「歯と口腔の働き」として触れられていますが,私は「働きのもつ意味」として理解しました.そこでは,顔貌,愛情,怒りなどの感情表現,脳への刺激,呼吸への関与,力の発生,ストレスの発生などに言及されています.これらはどれ一つをとっても,リハビリテーション領域での根本的な課題であると考えられます.ことに,口腔ケアにも広義にとらえると「口腔のもっているあらゆる働きのケア」が含まれ,審美性・顔貌の回復についても述べられていて,よかったと思いました.口腔ケアを狭い定義のなかに押し込めたくないとおっしゃる主張に同感です.
 実は,最近私は,「終末期リハビリテーション」という概念を構築する努力をしていますが,そのなかで,人間の最後の姿を整えることの重要性を主張しています.それは,リハビリテーションが自立への志向だけでなく,人間存在そのものへの畏敬の気持を重んずる姿勢が必要だ考えているからです.終の場にかかわる機会の多い福祉の領域の人々には,是非この考えに基づいて具体的な活動をしてほしいと念願していますが,口腔ケアはその切り口の一つであることをこの本を通じて確信しました.
 巻頭のカラーグラフ「口腔は健康の要」で,5つの総論的課題が図解されています.これにつづいて1章では,口腔ケアの考え方について書かれています.ここはいわば口腔ケアの哲学ですからきちんと読んでほしいと思います.噛んで砕くように平易に口腔ケアの重要性と今後の展望が述べられています.2章では6つの具体的な課題について解説し,さらに理解を深めるためQ&A形式で,こんな疑問にどんな裏づけ(EBM)があるかを述べています.
 第3章では,この本のねらいである科学的裏づけのための文献考察が40の論文についてなされていて,口腔ケアを科学的にみてほしいという編者らの意気込みが感じられます.その内容は,口腔機能にかかわる精神活動から口臭の問題,感染症や老人の肺炎,学習能力,全身の持久性,情動行動など広範に及び,必ずや読者は勉学の意欲をそそられるでしょう.この本が起爆剤となり,多領域の質の高い研究が収録され,版を重ねながら量が増えることを願 ってやみません.
 論証的な実用書として,また勉学の手引書として,保健,医療,福祉にかかわる仕事についているあらゆる人々に自信をもって推薦いたします.
 2002年1月元旦
 茨城県立医療大学付属病院
 病院長 大田仁史

本書の使い方

 ◆本書の趣旨
 本書は,歯科医療関係者はもとより,看護・介護職等の方々に論文を通して口腔ケアの意義を知 っていただきたいという願いから作成されたものです.
 日々,看護・介護の現場で仕事に従事されている方々にとって,医学,歯学の原著論文に接することは,時間的制約もあって一般的に難しいと思われます.
 一方,看護・介護の現場でなかなか口腔ケアが普及しない理由に,口腔ケアの効果についての客観的なデータが不足していることに加え,研究の成果が他職種に伝わっていかないということがありました.
 本書作成に際しては,客観性を高めるために多くの関係学会誌の原著論文に目を通すと同時に,学識経験者にアドバイスをいただきました.その過程で気づいたことは,現場に必要な口腔ケア関連研究数は,現在のところかなり限られているということでした.そしてテーマがテーマだけに,長期間にわたる本格的な介入研究の数がさらに限られることを実感しました.
 本書では現場で役立つと思われる論文を精選し,そのエッセンスを短時間で把握できるように配慮して,構成いたしました.口腔ケアの啓発書として,職員研修,講演会や講習会で使 っていただき,口腔ケアの導入や継続のために活かされると同時に,現場で必要としている口腔ケアに関する科学的な研究が活発に行われることを願 っております.
 ◆本書の構成と使い方
 カラーグラフ 口腔は健康の要
  視覚的に口腔ケアの意義や効果をカラーページとして示しました.
 1章 口腔ケアはなぜ必要か
  口腔ケアの意義を総説的にまとめました.
 2章 口腔ケアの理解のために
  歯科治療と口腔ケアの内容を掘り下げ,全身の健康とどのように結びつくかを項目ごとまとめました.
  なお,1,2章において1)などで示す文献は巻末に示す参考文献,1は3章の必読文献を示しています.
 3章 口腔ケア必読文献
  歯科治療や口腔ケアの効果を探求した精選文献を40編掲載しました.
  文献番号1〜16は口腔ケア(口腔清掃)の効果に関する文献,17〜29は咀嚼に関する文献(摂食・嚥下機能に関する事項を含む),30〜40は高齢者のADL・QOLに関する文献に分類しています.なお,各文献は発表者,各出典元の転載許可を得ています.
  各文献における項目は以下のとおりです.
  1 テーマ&Key word 論文のテーマおよびキーワード
  2 Essential  論文のエッセンス
  3 出典,論文タイトル,発表者………出典および研究者名
  4 要約 論文の要約
  5 図表の説明 代表的図表とその解説
  6 参考文献 原著参考文献より選択引用
  7 介護・医療現場へのメッセージ 現場に伝えたいメッセージ
  *印のついている項目は,静岡県歯科医師会介護保険歯科サービス支援特別検討委員会が原著論文を参考に作成したものです.

あとがき

 平成11年に静岡県歯科医師会として「口腔ケア文献集」を発行し,要介護高齢者の健康とQOLの向上のために口腔ケアがぜひ必要だとする科学的データおよび論文を提示したところ,各方面からたくさんの反響,ご意見を頂戴いたしました.今回,この手ごたえをもとに内容をさらに充実させ,新たな知見や症例を加えた本書を医歯薬出版株式会社から発行できましたことは,このうえない喜びであります.
 そして,製作過程で大学の枠を越えて実に多くの研究者の方々から惜しみない協力を得られましたことは,実に得がたい経験となり,新しい時代のはじまりを予感させられました.それは本書の発行を起点として,介護・看護・医療の領域に役立つような仕事(研究)に携わりたいという方々が,今後さらに多数輩出するだろうということを意味します.
 さて,介護保険制度が施行されて2年あまりが経過しましたが,要介護高齢者に対する口腔ケアの実施状況は決して十分とはいえないのが現状です.しかしながら,介護・看護・医療の現場では,口腔ケアの認識が高まりつつあり,食支援,またリハビリテーションの視点からの重要性も認識され,さらに深い取り組みの気運が感じられることも事実です.
 口腔ケアは毎日の介護・看護の大切な日課の一つです.本当に必要なのだ,という深いところからの“気づき“と“理解”こそが口腔ケアの価値を高めてくれるものと思います.そのために,客観的かつ科学的な論文を噛み砕き,口腔ケアの可能性と効果を記した本書は,現場の方々の手引き書となるものと確信しております.
 歯科関係者の方々には科学的根拠に基づいて自信をもって口腔ケアに携わっていただくために,また,他職種や介護者の方々への説明や疑問・質問に答えるための基本図書として活用していただくことを願っています.また,医療職・福祉職の方々への啓発書として,本書を広くご紹介いただくことも,口腔ケアの広がりのために有効な方法ではないかと考えます.
 編集委員一同,これを機に多職種の方々にも呼びかけ,口腔ケアの普及のために邁進する所存でございます.
 平成14年3月
 静岡県歯科医師会介護保険歯科サービス支援特別検討委員会
 委員長 赤阪有子
 委員(編集主幹) 米山武義
 発刊にあたって 社団法人日本歯科医師会会長 臼田貞夫
 監修の序 社団法人日本歯科医師会地域保健・産業保健担当常務理事 新井誠四郎
 編集の序 社団法人静岡県歯科医師会会長 大久保満男
 推薦文 茨城県立医療大学附属病院病院長大田仁史
 本書の使い方
 本書への編集協力者への謝辞
 カラーグラフ 口腔は健康の要……鈴木郁夫

1章 口腔ケアはなぜ必要か
    本書のねらい/口腔という生命活動の場/口腔の働き/口腔ケアとは/口腔ケアと全身の健康/易感染性宿主に対する口腔ケアの重要性/心のケアが口腔ケアの原点/介護予防,ヘルスプロポーションと口腔ケア/
    口腔ケアの将来展望……米山武義
2章 口腔ケアの理解のために
   1 歯科治療と咀嚼がADLとどう関係するか……尾崎元紀
   2 高齢者の死亡原因と口腔ケア……赤阪有子
   3 PTC(専門的歯面清掃)とバイオフィルムの除去……近藤正明
   4 PTC(専門的歯面清掃)とホームケアの実際……井川利幸・糟谷政治
   5 脳血管障害をもつ患者さんのリハビリと口腔ケア……大村尚嗣
   6 歯科介入の評価法……有海司郎・米山武義
   7 こんな質問・疑問に答える文献は?……近藤正明・米山武義
3章 口腔ケア必読文献
 口腔ケア(口腔清掃)の効果に関する文献
   1 専門的口腔清掃と要介護高齢者の発熱者数……足立三枝子ほか
   2 脳血管障害後遺症と嚥下障害・口腔衛生状態と老人性肺炎……木田正芳ほか
   3 不顕性誤嚥と老人性肺炎……RYO KIKUCHIほか
   4 口腔ケアによる咽頭細菌数の変動……石川 昭ほか
   5 口腔ケアと咽頭細菌数……弘田克彦ほか
   6 義歯と咽頭微生物叢……角 保徳ほか
   7 口腔衛生(口腔ケア)と誤嚥性肺炎予防……米山武義ほか
   8 口腔ケアと高齢者の歯肉炎の改善……米山武義ほか
   9 食形態・唾液分泌量・ADLと舌背上のカンジダ菌の数……菊谷 武ほか
   10 口腔環境の評価法としての唾液粘度・舌苔の口臭産生能……渋谷耕司ほか
   11 高齢者の口腔乾燥症の疫学的考察……阪本真弥ほか
   12 デンチャープラークと細菌数……柏原稔也ほか
   13 カンジダ菌数と義歯清掃の必要性……池邊一典ほか
   14 義歯洗浄剤とデンチャープラークの除去効果……清浦有祐ほか
   15 重度痴呆患者における口腔ケアの試み……内村美由紀ほか
   16 在宅ケアでの歯科保健に関する教育・指導の意義……下山和弘ほか
 咀嚼に関する文献(摂食・嚥下機能に関する事項を含む)
   17 高齢者における歯および義歯の状態と全身健康状態……嶋崎義浩
   18 咀嚼能力の低下に関連する要因と生命予後……中西範幸ほか
   19 高齢者の咀嚼機能と精神活動・身体活動との関連……平井敏博ほか
   20 義歯の装着によって身体の平衡が向上する……渡辺一騎
   21 咀嚼機能と痴呆ならびに自立度……池田和博ほか
   22 咀嚼能力と身体活動性……寺岡加代ほか
   23 咀嚼能力と食習慣・食意識……寺岡加代ほか
   24 栄養摂取方法と口腔内環境との関連……田村文誉ほか
   25 摂食・嚥下障害のスクリーニング……鄭 漢忠ほか
   26 義歯の装着で嚥下時間が短くなる……古屋純一
   27 安定した顎位の保持は摂食・嚥下機能のためにも重要である……田村文誉ほか
   28 顎位の安定性・RSST・フードテストと日常の食形態との関連性……田村文誉ほか
   29 準寝たきり発生と咀嚼能力の確保……新開省二ほか
 高齢者のADL・QOLに関する文献
   30 歯の喪失と生活の満足感……吉田光由ほか
   31 高齢者の咀嚼機能・咀嚼環境の臨床的評価基準……冲本公繪ほか
   32 要介護高齢者と有床義歯の適応……小柴慶一ほか
   33 口腔健康状態と視覚・聴覚について……安藤雄一
   34 口腔保健状態とADL……多田章 夫ほか
   35 歯科治療とADL……鈴木美保ほか
   36 在宅寝たきり者に対する訪問歯科診療の評価……佐々木 健ほか
   37 歯の喪失と学習能力……梅田健吾ほか
   38 咀嚼と全身持久性……青木 聡ほか
   39 歯の喪失と高次脳機能……千葉 晃
   40 歯の喪失による情動行動の変化……加藤武司ほか
■付編

 参考文献
 索引
 あとがき
 編著者一覧