やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社


 本屋へ行くと,日めくりカレンダーが並んでいるのが目に入りました.これを総義歯の内容で作ったら,毎日大切な項目を格言風に思い出すことができて面白いのではないかと,ふと思いつきました.昔から,365日の日めくりや12カ月のカレンダーはありますが,それでは使い捨てになってしまうので,一カ月の日めくりカレンダーにしました.これならば永久保存版でずーっと使えるので,総義歯を上手く作るための“大切な31項目”をいつまでも繰り返し思い出すことができます.
 はじめは,入れ歯の勉強仲間にプレゼントするつもりで手書きの手作りの日めくりを作ったのですが,できあがったものを見た出版社の方が気に入ったようで,きれいに仕上げることになりました.元々は僕の話を何回も聞いてくれている勉強仲間向けですから表おもての項目だけだったのですが,出版するなら各項目の説明もあったほうが良いだろうということで,裏面に解説を入れました.
 総義歯作りには様々な方法がありますが,目指す頂上は同じです.作り上げるテクニックに習熟することが大切ですが,なぜそのテクニックを使うのかを理解することがもっと大切です.本書には,そのことが簡略に書いてあります.ぜひチェアサイドに置いて,毎日,村岡秀明のことを思い出しながら一項目ずつ見てください.一カ月したら,総義歯作りが格段に上手くなりますよ.
 2018年4月
 むらおか歯科矯正歯科クリニック
 村岡秀明
1 総義歯には総義歯の形がある
2 左右対称になる
3 「おやま」の法則
4 顎骨の形を採る 骨面を採る
5 まず何を見るか
6 咬合平面
7 咬合高径は顔貌で見る
8 上顎顎堤頬側の骨吸収度合いを観察する
9 下顎顎堤に付着歯肉があるか
10 不具合が起こっているか
11 体型と性格
12 動かないようにしたら動かさないようにする
13 上顎中切歯の位置と咬合平面が決まればすべてが決まる
14 上下顎別々に作る
15 咬合採得を行ってから印象採得を行う
16 臼歯部の排列はパウンドラインを参考に
17 リンガライズドにしてフルバランスにする
18 なるべく旧義歯には手をつけない
19 コピーデンチャーを利用する
20 周囲組織の力を借りて義歯の維持安定を図る
21 顎堤には吸収しない所がある
22 総義歯の模型上には外形線を引かない
23 デンスポットとフィットテスターの使い方は異なる
24 リマウントする
25 義歯を押さえようとする筋肉と外そうとする筋肉がある
26 得意技を持つ
27 アルジネートで練習する
28 必ずうまくなり続ける
29 性格を見る
30 勉強会で恥をかく
31 難症例への対応