序
本書は,2008年7月から2013年9月まで月刊『歯科技工』誌上にて連載記事として掲載した拙稿に,連載終了からさらに約1年半をかけて,加筆・再編集を施したものである.
連載当初は,オールセラミックス材料としてそれまで主流であったアルミナにジルコニアが加わり,さまざまな歯科用CAD/CAMシステムで製作されたフレームの評価が,取り沙汰され始めた頃であった.筆者も,それまでのセラミックス用フレームとは全く異なる製作方式と材料であることなどから,その発売当初から歯科技工界に新風が吹き込むのを感じていた.そして間もなく自身でも臨床導入に踏み切り,症例を重ねるごとに,使用感などを含めた「CAD/CAM製ジルコニア」に興味を持ったため,その優位性を確固たるものにすべく,多様な角度からの実験や検証を繰り返し行った.無論,一臨床家として実施できることに限界はあったが,そのなかで徐々に歯科用CAD/CAMシステムやジルコニアに対して理解を深めていった.
連載執筆の打診を受けた当時は,その時点でわかっていたことなどを数回に分けて発表するという予定で承ったが,調査過程で次々と新たな興味や疑問が湧き,調査回数が増えるとともに,掲載期間も延長していった.日常の臨床技工に取り組むのと同時進行の執筆作業であったため,実験スケジュールや掲載予定に遅延が生じたこともしばしばあり,読者諸氏や編集部には大変ご迷惑をおかけした.そして,連載終了時点で執筆開始から足掛け5年余りが経過しており,時の流れの速さに驚いたことを記憶している.
その後,連載の書籍化を改めて行うこととなったが,前述したとおり,物性データや個々のシステムなどに関する資料のなかには,紹介した時点から相当の時間が経過しているものもある.ゆえに当時のデータをそのまま掲載することはできず,新たな情報収集の必要性は明白であったことから,執筆内容をすべて見直し,古くなったデータはアップデートしたうえで,新規あるいは追加となる実験や検証を新たに行うことを決意した.その結果,連載よりも事実が明確になったり,自信を持って見解を示すことが可能となったりした反面,出版に至るまでに,さらに1年半以上の時間を要することになった.
すべての原稿を脱稿した現在,本書の内容から筆者が考えることは,歯科用CAD/CAMシステムと,その中心的な材料として使用されているジルコニアは,「決して完成されたものではなく,発展途上にある」いうことである.確かに,精密なミリング加工を必要とされるインプラントのアバットメントや,高透過性ジルコニアによるフルカントゥアクラウンの製作など,高い精度と審美性の両面で術者の満足を得られるレベルに肉薄していることは事実である.そして,スキャナーやミリングマシン(設計ソフトを含む)をはじめ,適合性の向上や適用材料の増加など,適応症例の拡大を目指して今後も発展を続けていくことには,わずかな疑いも持ってはいない.
しかし,本書にも記述しているが,高い強度を誇り対合歯にも優しいとされるジルコニアも,その特徴は鏡面研磨での仕上げがなされていることが前提となっている.それを考えた時,滑沢に磨かれて口腔内に装着されたフルカントゥアクラウンのうち,口腔内で機能する期間において全く咬合調整が行われないものは,はたして全体のうちでどれほどの数を占めているであろうか?高い物性を期待できる材料ほど,製作時はもちろん,口腔内に装着され補綴治療が終了した後の予後にも目を向け,これまで以上に慎重な経過観察が必須となるのだと強く感じている.
これらのことから,本書ではわれわれ歯科技工士が歯科用CAD/CAMシステムを使用し,ジルコニアクラウン(ジルコニアセラミックス)を製作するために必要な知識や技術をできる限り網羅したつもりである.少々大げさな言い方をすれば,筆者が歯科技工の世界に身を投じてからの「35年余りの時間をどれだけ集約できるか」という意味では,本書制作は挑戦だったとも思っている.ただ,一冊の書籍とはいえ,いざまとめるとなると本当に大変な作業であり,ある面では,毎月の締め切りに追われていた連載執筆時とは比較にならないほどの労力を要した.そして,本書編纂に要したこの1年半を改めて振り返ると,私的に多くの事象に直面したこと,歯科技工に対する深い思いや姿勢も含めて,それらを形としてある程度は紙面に著すことができたと信じている.本書が,読者諸氏の情報修得や自己啓発の一助となり,臨床技工や補綴治療に僅少なりとも寄与できることを懇望する.
2015年5月吉日
愛知県春日井市にて
浅野正司
本書は,2008年7月から2013年9月まで月刊『歯科技工』誌上にて連載記事として掲載した拙稿に,連載終了からさらに約1年半をかけて,加筆・再編集を施したものである.
連載当初は,オールセラミックス材料としてそれまで主流であったアルミナにジルコニアが加わり,さまざまな歯科用CAD/CAMシステムで製作されたフレームの評価が,取り沙汰され始めた頃であった.筆者も,それまでのセラミックス用フレームとは全く異なる製作方式と材料であることなどから,その発売当初から歯科技工界に新風が吹き込むのを感じていた.そして間もなく自身でも臨床導入に踏み切り,症例を重ねるごとに,使用感などを含めた「CAD/CAM製ジルコニア」に興味を持ったため,その優位性を確固たるものにすべく,多様な角度からの実験や検証を繰り返し行った.無論,一臨床家として実施できることに限界はあったが,そのなかで徐々に歯科用CAD/CAMシステムやジルコニアに対して理解を深めていった.
連載執筆の打診を受けた当時は,その時点でわかっていたことなどを数回に分けて発表するという予定で承ったが,調査過程で次々と新たな興味や疑問が湧き,調査回数が増えるとともに,掲載期間も延長していった.日常の臨床技工に取り組むのと同時進行の執筆作業であったため,実験スケジュールや掲載予定に遅延が生じたこともしばしばあり,読者諸氏や編集部には大変ご迷惑をおかけした.そして,連載終了時点で執筆開始から足掛け5年余りが経過しており,時の流れの速さに驚いたことを記憶している.
その後,連載の書籍化を改めて行うこととなったが,前述したとおり,物性データや個々のシステムなどに関する資料のなかには,紹介した時点から相当の時間が経過しているものもある.ゆえに当時のデータをそのまま掲載することはできず,新たな情報収集の必要性は明白であったことから,執筆内容をすべて見直し,古くなったデータはアップデートしたうえで,新規あるいは追加となる実験や検証を新たに行うことを決意した.その結果,連載よりも事実が明確になったり,自信を持って見解を示すことが可能となったりした反面,出版に至るまでに,さらに1年半以上の時間を要することになった.
すべての原稿を脱稿した現在,本書の内容から筆者が考えることは,歯科用CAD/CAMシステムと,その中心的な材料として使用されているジルコニアは,「決して完成されたものではなく,発展途上にある」いうことである.確かに,精密なミリング加工を必要とされるインプラントのアバットメントや,高透過性ジルコニアによるフルカントゥアクラウンの製作など,高い精度と審美性の両面で術者の満足を得られるレベルに肉薄していることは事実である.そして,スキャナーやミリングマシン(設計ソフトを含む)をはじめ,適合性の向上や適用材料の増加など,適応症例の拡大を目指して今後も発展を続けていくことには,わずかな疑いも持ってはいない.
しかし,本書にも記述しているが,高い強度を誇り対合歯にも優しいとされるジルコニアも,その特徴は鏡面研磨での仕上げがなされていることが前提となっている.それを考えた時,滑沢に磨かれて口腔内に装着されたフルカントゥアクラウンのうち,口腔内で機能する期間において全く咬合調整が行われないものは,はたして全体のうちでどれほどの数を占めているであろうか?高い物性を期待できる材料ほど,製作時はもちろん,口腔内に装着され補綴治療が終了した後の予後にも目を向け,これまで以上に慎重な経過観察が必須となるのだと強く感じている.
これらのことから,本書ではわれわれ歯科技工士が歯科用CAD/CAMシステムを使用し,ジルコニアクラウン(ジルコニアセラミックス)を製作するために必要な知識や技術をできる限り網羅したつもりである.少々大げさな言い方をすれば,筆者が歯科技工の世界に身を投じてからの「35年余りの時間をどれだけ集約できるか」という意味では,本書制作は挑戦だったとも思っている.ただ,一冊の書籍とはいえ,いざまとめるとなると本当に大変な作業であり,ある面では,毎月の締め切りに追われていた連載執筆時とは比較にならないほどの労力を要した.そして,本書編纂に要したこの1年半を改めて振り返ると,私的に多くの事象に直面したこと,歯科技工に対する深い思いや姿勢も含めて,それらを形としてある程度は紙面に著すことができたと信じている.本書が,読者諸氏の情報修得や自己啓発の一助となり,臨床技工や補綴治療に僅少なりとも寄与できることを懇望する.
2015年5月吉日
愛知県春日井市にて
浅野正司
序
推薦序
Opening Graph ジルコニアセラミックス製作のワーキングプロセス
Part 1 CAD/CAMジルコニアセラミックスの物性や強度に関する事項
Chapter 1 セラミックスフレーム材の分類とジルコニアの基本物性
・歯科用セラミックス開発の足跡
・ジルコニアの特性
1.ジルコニアの基本物性 2.フレーム材の強度の比較
Chapter 2 専用陶材とフレーム材料の焼付強度
・専用陶材とフレーム材料の焼付メカニズム
・メタル,アルミナとジルコニアの焼付様式の違い
・ぬれの重要性とアルミナサンドブラスト処理の是非
・適切なアルミナサンドブラストの設定
1.アルミナサンドブラスト後のフレーム表面のSEM観察 2.陶材焼付け後の界面のSEM観察
3.アルミナサンドブラストによる表面粗さと焼付強度との関係
Chapter 3 歯科用CAD/CAMシステムの概要と考察
・CAD/CAMとは
・ジルコニアフレーム材料の製造工程
・フレーム受注を行っているCAD/CAMとシステムの概要
・初期のCAD/CAMユーザーの使用感
・CAD/CAMの将来性と未来像
Chapter 4 CAD/CAMジルコニアフレームの適合精度
・ジルコニアブロックの収縮率調査
・各社単冠フレームの適合精度
・各社フレームの適合精度計測結果一覧
・各社フレームの適合状態の特徴
・各社フレームの適合精度調査結果の考察
Chapter 5 陶材の物性から見た築盛時の注意事項
・理工学的データに基づく陶材の基本操作
・専用陶材の概要
・各専用陶材の組成
・専用陶材と各フレーム材に対する熱膨張係数の関係
・専用陶材と各フレーム材の冷却速度を考慮した熱膨張率の比較
Chapter 6 ジルコニアの特性に適応する焼成スケジュールの重要性
・ジルコニアの熱伝導率を再認識した症例
・ジルコニアの特性を考慮した適正な焼成スケジュールの探査
・ジルコニアフレームによる各種昇温試験結果の考察
Chapter 7 ブリッジフレームの連結部断面積における強度比較
・臨床上必要なジルコニア強度の再確認
・実験用フレームの設計と実験概要
・実験方法と分析方法
・実験結果の検証と分析
1.フレーム形態 2.破壊試験の検証 3.各断面積のたわみ量の比較
・破壊試験のまとめと考察
Part 2 CAD/CAMジルコニアセラミックスの色調再現に関する事項
Chapter 1 色調再現操作の前準備
・シェードマッチングの基本概念と環境整備
1.シェードマッチングを阻害する問題点 2.1回の製作で「合格点」を得るには
・シェードテイキング操作前の必要事項
1.未熟なポーセレンワークがもたらす諸問題 2.ポーセレンワーク確立の重要性
・シェードマッチングを目指す築盛の基礎
1.築盛厚みの重要性とカスタムシェードガイド製作 2.臨床応用に適した基本築盛法
・ジルコニアセラミックスの築盛厚みと見え方の違い
Chapter 2 シェードテイキング時に必要となる色の基礎知識
・色の三属性と人の目の識別能力
1.色彩学の歩みと歯科技工士による色調分析法 2.シェード分析に重要な色の三属性の理解
・Luminシェードガイドとその表色法
1.シェードガイドに求められるメカニズム 2.既存のシェードガイドに存在する問題点 3.Luminシェードガイドの特徴を知る
Chapter 3 シェードマッチングへの出発点?NCCシステムの解明?
・色調再現方法の現状
1.色調再現操作の2つの概念 2.感覚に基づく色調再現の限界 3.理論に基づく色調再現の有効性
・NCCシステムの特徴
1.歯科用色空間とNCCシステム開発の経緯 2.NCCシステムの概要 3.NCCシステム特有のパラメータ
4.NCCシェードガイドの判断しやすい表色法 5.NCCシェードガイドの配列と色構成
Chapter 4 各社シェードガイドの色調構成の比較
・NCCシステムと他のシェードシステムの色空間の比較
1.各社シェードガイドの概要と構成分析 2.各社シェードガイドのエリアの検証
3.各社シェードガイドのポジションの検証 4.各社シェードガイドのスケールとベクトルの検証
Chapter 5 ジルコニアフレームの透過性と陶材焼付時の色調解析〜ジルコニアの透過性が与える影響調査〜
・ジルコニアとアルミナの透過率と反射率の比較
・各社シェードガイドと焼付後のジルコニアセラミックスの色調比較
・シェードテイキング用デジタル機器の利用法
1.シェードテイキング用カメラの必要性 2.歯科用測色器の有効性 3.モニターとキャリブレーションツール
Chapter 6 Shade Verification Techniqueに必要なエフェクト色の検討
・Shade Verification Techniqueの概要
1.根幹となるNCCパラメータ 2.Shade Verification Techniqueとは 3.SVテクニックの原則
・SVテクニックに使用するエフェクト色の選択と見え方の比較
1.Vintageシリーズのエフェクト色のラインアップ 2.エフェクト色の選定基準とペレットによる見え方の調査
・SVテクニックの可能性
Chapter 7 Shade Verification Technique活用のステップ〜特殊色の使用法とシェードコンパスのコンセプト〜
・天然歯に頻繁に発現する特殊色の検討
1.ブルートランス系 2.ホワイト系 3.オレンジブラウン系
・目標基本色の決定,エフェクト色の選択,シェードコンパスによる導出
1.SVテクニックによる色調分析 2.目標とする色調の調査
3.使用するエフェクト色の選択 4.シェードコンパスによる実際の基本色の導出方法
・エフェクト色の選択など,詳細な判断を誤る懸念
Chapter 8 Shade Verification Techniqueの実際〜シェードマッチングへの道程〜
・天然歯色調分析の実際
1.目立つキャラクターが現れていない例 2.通常のキャラクターを有する例
3.豊かなキャラクターが発現している例
・SVテクニックの概念と総括
Part 3 CAD/CAMジルコニアレストレーションの実際
Chapter 1 ジルコニアセラミックスの適応症の検討
・症例検討と禁忌症
1.術前の状態 2.プロビジョナルレストレーションによる経過観察
3.ジルコニアフレーム試適時の嵌合状態 4.最終補綴物装着直後
5.装着後3カ月経過時:築盛陶材の破折 6.プロビジョナルレストレーションからの再検討
・最終補綴物の破折に至った経緯の考察
Chapter 2 CAD/CAMによるスキャニングを考慮した支台歯形成の検証
・CAD/CAM製作用の支台歯形成とは
・CAD/CAMメーカーから寄せられた不適当な支台歯形態の情報
・適合性を期待できない支台歯形態の実例
1.平行性,アンダーカット,ショルダーに問題が認められる例 2.形成,印象の不備による支台歯全体の荒れが観察される例
3.支台築造が十分ではなく,マージン形成も丁寧に行われていない例
・マージン形態の違いがスキャニング精度に及ぼす影響
・支台歯の切縁や隅角部の鋭利な形態が引き起こす問題点
・フレーム設計に必要なクリアランス
・ラボミリングによる支台歯形態とCAD/CAM製作の相性
Chapter 3 計測に適した模型製作・トリミング法とスキャナーの現状
・スキャニングに適した作業用模型と計測機構
・支台歯のトリミング時の注意点
・模型のスキャニングシステムの概要
1.非接触式スキャナーの計測機構 2.スキャニングの精度向上の実績
3.スキャニング方式の簡素化と今後の見通し
Chapter 4 ジルコニアセラミックスのフレームデザイン(1)〜症例に応じた強度の確保〜
・強度を損なうことのないフレームデザインの概念
・築盛陶材を保護するフレームの基本形態
1.ベニアタイプ 2.フルベイクタイプ 3.フェイシングタイプ
4.特殊ベニアタイプ 5.臼歯部のフレームデザイン
・臨床におけるフレームデザインの実際
1.ベニアタイプの応用例
a)フレームデザインのプロセス
b)プロビジョナルレストレーション製作時の検討
c)最終補綴物製作時,詳細なフレームデザインの決定
2.フェイシングタイプの設計手順 3.特殊ベニアタイプの設計手順
Chapter 5 ジルコニアセラミックスのフレームデザイン(2)〜ロングスパンやインプラント,難症例への対応〜
・より堅牢なフレームデザインの構築
1.CAMミリング製法の認識不足からの破折事例 2.下顎運動の想定ミスからの破折事例
・強度を維持するフレーム調整法
1.使用するバーの選定 2.マージンとフィニッシュラインの基本調整法
・厳しい条件下の強度確保を目的とした調整法
Chapter 6 色調再現に適したジルコニアフレームの透過性コントロールの実際
・ジルコニアセラミックスの適切な透過性の再考
・ジルコニアセラミックスに影響を及ぼす変色支台歯
1.歯の表面の沈着,着色 2.齲蝕 3.補綴物由来の変色,着色 4.加齢変化
5.歯髄の病変 6.歯の形成不全 7.テトラサイクリン(TC)変色歯
・変色支台歯への対処の実際
1.希釈マスキング陶材による下地処理 2.希釈マスキング陶材を使用し対処した症例 3.厚みと色調分析を誤り暗くなった症例
・強い透過性が求められる症例への対応
1.画像の観察不足から透明陶材の選択を誤った症例 2.透過性を含む色調分析を慎重に行い対応した症例
・困難な透過性のコントロールへの提言
Chapter 7 ジルコニアの研磨に関する解析
・ジルコニアの研磨が物性に及ぼす影響調査
1.研磨状態の差と汚れの付着との関係 2.ジルコニアの研磨具合が対合歯に与える影響
3.研磨によるジルコニアの結晶構造の変化 4.フルカントゥアクラウンの研磨例
Part 4 CAD/CAMジルコニアセラミックスの臨床例
Chapter 1 制約が少・中程度の症例に対するアプローチ
CASE1:狭窄歯列弓において前突軽減を目指した症例
CASE2:翼状捻転補正と厳しい咬合状態に対処した症例
CASE3:歯頸部の薄い築盛厚みに対し,透過性を抑制した症例
CASE4:咬合様式が異なる両側同名歯の歯列補正を図った症例
Chapter 2 制約が比較的多い症例に対するアプローチ
CASE1:叢生上顎4前歯の審美回復
CASE2:築盛厚み不足に加え,透過性の抑制と見た目の透明感を同時に求められた症例
CASE3:補綴処置にて反対咬合を含む叢生歯列の回復を図った症例
Chapter 3 全顎的な咬合再構成と審美再現に対するアプローチ
CASE1:メタルセラミックスとジルコニアセラミックスが混在する全顎症例
CASE2:インプラントを含むジルコニアセラミックスの上下全顎症例
CASE3:審美補綴のあり方を問われた記憶に残る症例
参考文献
おわりに
System Information
(1)Aadva CAD/CAMシステム
(2)Ceramill
(3)Cercon
(4)C-Pro System
(5)KaVo ARCTICA CAD/CAMシステム
(6)ラヴァTM(LavaTM)
(7)NobelProcera(R)システム
(8)Straumann(R) CARES CAD/CAM
(9)S-WAVE CAD/CAMシステム
(10)Zeno-Tec(ゼノテック(R))システム
推薦序
Opening Graph ジルコニアセラミックス製作のワーキングプロセス
Part 1 CAD/CAMジルコニアセラミックスの物性や強度に関する事項
Chapter 1 セラミックスフレーム材の分類とジルコニアの基本物性
・歯科用セラミックス開発の足跡
・ジルコニアの特性
1.ジルコニアの基本物性 2.フレーム材の強度の比較
Chapter 2 専用陶材とフレーム材料の焼付強度
・専用陶材とフレーム材料の焼付メカニズム
・メタル,アルミナとジルコニアの焼付様式の違い
・ぬれの重要性とアルミナサンドブラスト処理の是非
・適切なアルミナサンドブラストの設定
1.アルミナサンドブラスト後のフレーム表面のSEM観察 2.陶材焼付け後の界面のSEM観察
3.アルミナサンドブラストによる表面粗さと焼付強度との関係
Chapter 3 歯科用CAD/CAMシステムの概要と考察
・CAD/CAMとは
・ジルコニアフレーム材料の製造工程
・フレーム受注を行っているCAD/CAMとシステムの概要
・初期のCAD/CAMユーザーの使用感
・CAD/CAMの将来性と未来像
Chapter 4 CAD/CAMジルコニアフレームの適合精度
・ジルコニアブロックの収縮率調査
・各社単冠フレームの適合精度
・各社フレームの適合精度計測結果一覧
・各社フレームの適合状態の特徴
・各社フレームの適合精度調査結果の考察
Chapter 5 陶材の物性から見た築盛時の注意事項
・理工学的データに基づく陶材の基本操作
・専用陶材の概要
・各専用陶材の組成
・専用陶材と各フレーム材に対する熱膨張係数の関係
・専用陶材と各フレーム材の冷却速度を考慮した熱膨張率の比較
Chapter 6 ジルコニアの特性に適応する焼成スケジュールの重要性
・ジルコニアの熱伝導率を再認識した症例
・ジルコニアの特性を考慮した適正な焼成スケジュールの探査
・ジルコニアフレームによる各種昇温試験結果の考察
Chapter 7 ブリッジフレームの連結部断面積における強度比較
・臨床上必要なジルコニア強度の再確認
・実験用フレームの設計と実験概要
・実験方法と分析方法
・実験結果の検証と分析
1.フレーム形態 2.破壊試験の検証 3.各断面積のたわみ量の比較
・破壊試験のまとめと考察
Part 2 CAD/CAMジルコニアセラミックスの色調再現に関する事項
Chapter 1 色調再現操作の前準備
・シェードマッチングの基本概念と環境整備
1.シェードマッチングを阻害する問題点 2.1回の製作で「合格点」を得るには
・シェードテイキング操作前の必要事項
1.未熟なポーセレンワークがもたらす諸問題 2.ポーセレンワーク確立の重要性
・シェードマッチングを目指す築盛の基礎
1.築盛厚みの重要性とカスタムシェードガイド製作 2.臨床応用に適した基本築盛法
・ジルコニアセラミックスの築盛厚みと見え方の違い
Chapter 2 シェードテイキング時に必要となる色の基礎知識
・色の三属性と人の目の識別能力
1.色彩学の歩みと歯科技工士による色調分析法 2.シェード分析に重要な色の三属性の理解
・Luminシェードガイドとその表色法
1.シェードガイドに求められるメカニズム 2.既存のシェードガイドに存在する問題点 3.Luminシェードガイドの特徴を知る
Chapter 3 シェードマッチングへの出発点?NCCシステムの解明?
・色調再現方法の現状
1.色調再現操作の2つの概念 2.感覚に基づく色調再現の限界 3.理論に基づく色調再現の有効性
・NCCシステムの特徴
1.歯科用色空間とNCCシステム開発の経緯 2.NCCシステムの概要 3.NCCシステム特有のパラメータ
4.NCCシェードガイドの判断しやすい表色法 5.NCCシェードガイドの配列と色構成
Chapter 4 各社シェードガイドの色調構成の比較
・NCCシステムと他のシェードシステムの色空間の比較
1.各社シェードガイドの概要と構成分析 2.各社シェードガイドのエリアの検証
3.各社シェードガイドのポジションの検証 4.各社シェードガイドのスケールとベクトルの検証
Chapter 5 ジルコニアフレームの透過性と陶材焼付時の色調解析〜ジルコニアの透過性が与える影響調査〜
・ジルコニアとアルミナの透過率と反射率の比較
・各社シェードガイドと焼付後のジルコニアセラミックスの色調比較
・シェードテイキング用デジタル機器の利用法
1.シェードテイキング用カメラの必要性 2.歯科用測色器の有効性 3.モニターとキャリブレーションツール
Chapter 6 Shade Verification Techniqueに必要なエフェクト色の検討
・Shade Verification Techniqueの概要
1.根幹となるNCCパラメータ 2.Shade Verification Techniqueとは 3.SVテクニックの原則
・SVテクニックに使用するエフェクト色の選択と見え方の比較
1.Vintageシリーズのエフェクト色のラインアップ 2.エフェクト色の選定基準とペレットによる見え方の調査
・SVテクニックの可能性
Chapter 7 Shade Verification Technique活用のステップ〜特殊色の使用法とシェードコンパスのコンセプト〜
・天然歯に頻繁に発現する特殊色の検討
1.ブルートランス系 2.ホワイト系 3.オレンジブラウン系
・目標基本色の決定,エフェクト色の選択,シェードコンパスによる導出
1.SVテクニックによる色調分析 2.目標とする色調の調査
3.使用するエフェクト色の選択 4.シェードコンパスによる実際の基本色の導出方法
・エフェクト色の選択など,詳細な判断を誤る懸念
Chapter 8 Shade Verification Techniqueの実際〜シェードマッチングへの道程〜
・天然歯色調分析の実際
1.目立つキャラクターが現れていない例 2.通常のキャラクターを有する例
3.豊かなキャラクターが発現している例
・SVテクニックの概念と総括
Part 3 CAD/CAMジルコニアレストレーションの実際
Chapter 1 ジルコニアセラミックスの適応症の検討
・症例検討と禁忌症
1.術前の状態 2.プロビジョナルレストレーションによる経過観察
3.ジルコニアフレーム試適時の嵌合状態 4.最終補綴物装着直後
5.装着後3カ月経過時:築盛陶材の破折 6.プロビジョナルレストレーションからの再検討
・最終補綴物の破折に至った経緯の考察
Chapter 2 CAD/CAMによるスキャニングを考慮した支台歯形成の検証
・CAD/CAM製作用の支台歯形成とは
・CAD/CAMメーカーから寄せられた不適当な支台歯形態の情報
・適合性を期待できない支台歯形態の実例
1.平行性,アンダーカット,ショルダーに問題が認められる例 2.形成,印象の不備による支台歯全体の荒れが観察される例
3.支台築造が十分ではなく,マージン形成も丁寧に行われていない例
・マージン形態の違いがスキャニング精度に及ぼす影響
・支台歯の切縁や隅角部の鋭利な形態が引き起こす問題点
・フレーム設計に必要なクリアランス
・ラボミリングによる支台歯形態とCAD/CAM製作の相性
Chapter 3 計測に適した模型製作・トリミング法とスキャナーの現状
・スキャニングに適した作業用模型と計測機構
・支台歯のトリミング時の注意点
・模型のスキャニングシステムの概要
1.非接触式スキャナーの計測機構 2.スキャニングの精度向上の実績
3.スキャニング方式の簡素化と今後の見通し
Chapter 4 ジルコニアセラミックスのフレームデザイン(1)〜症例に応じた強度の確保〜
・強度を損なうことのないフレームデザインの概念
・築盛陶材を保護するフレームの基本形態
1.ベニアタイプ 2.フルベイクタイプ 3.フェイシングタイプ
4.特殊ベニアタイプ 5.臼歯部のフレームデザイン
・臨床におけるフレームデザインの実際
1.ベニアタイプの応用例
a)フレームデザインのプロセス
b)プロビジョナルレストレーション製作時の検討
c)最終補綴物製作時,詳細なフレームデザインの決定
2.フェイシングタイプの設計手順 3.特殊ベニアタイプの設計手順
Chapter 5 ジルコニアセラミックスのフレームデザイン(2)〜ロングスパンやインプラント,難症例への対応〜
・より堅牢なフレームデザインの構築
1.CAMミリング製法の認識不足からの破折事例 2.下顎運動の想定ミスからの破折事例
・強度を維持するフレーム調整法
1.使用するバーの選定 2.マージンとフィニッシュラインの基本調整法
・厳しい条件下の強度確保を目的とした調整法
Chapter 6 色調再現に適したジルコニアフレームの透過性コントロールの実際
・ジルコニアセラミックスの適切な透過性の再考
・ジルコニアセラミックスに影響を及ぼす変色支台歯
1.歯の表面の沈着,着色 2.齲蝕 3.補綴物由来の変色,着色 4.加齢変化
5.歯髄の病変 6.歯の形成不全 7.テトラサイクリン(TC)変色歯
・変色支台歯への対処の実際
1.希釈マスキング陶材による下地処理 2.希釈マスキング陶材を使用し対処した症例 3.厚みと色調分析を誤り暗くなった症例
・強い透過性が求められる症例への対応
1.画像の観察不足から透明陶材の選択を誤った症例 2.透過性を含む色調分析を慎重に行い対応した症例
・困難な透過性のコントロールへの提言
Chapter 7 ジルコニアの研磨に関する解析
・ジルコニアの研磨が物性に及ぼす影響調査
1.研磨状態の差と汚れの付着との関係 2.ジルコニアの研磨具合が対合歯に与える影響
3.研磨によるジルコニアの結晶構造の変化 4.フルカントゥアクラウンの研磨例
Part 4 CAD/CAMジルコニアセラミックスの臨床例
Chapter 1 制約が少・中程度の症例に対するアプローチ
CASE1:狭窄歯列弓において前突軽減を目指した症例
CASE2:翼状捻転補正と厳しい咬合状態に対処した症例
CASE3:歯頸部の薄い築盛厚みに対し,透過性を抑制した症例
CASE4:咬合様式が異なる両側同名歯の歯列補正を図った症例
Chapter 2 制約が比較的多い症例に対するアプローチ
CASE1:叢生上顎4前歯の審美回復
CASE2:築盛厚み不足に加え,透過性の抑制と見た目の透明感を同時に求められた症例
CASE3:補綴処置にて反対咬合を含む叢生歯列の回復を図った症例
Chapter 3 全顎的な咬合再構成と審美再現に対するアプローチ
CASE1:メタルセラミックスとジルコニアセラミックスが混在する全顎症例
CASE2:インプラントを含むジルコニアセラミックスの上下全顎症例
CASE3:審美補綴のあり方を問われた記憶に残る症例
参考文献
おわりに
System Information
(1)Aadva CAD/CAMシステム
(2)Ceramill
(3)Cercon
(4)C-Pro System
(5)KaVo ARCTICA CAD/CAMシステム
(6)ラヴァTM(LavaTM)
(7)NobelProcera(R)システム
(8)Straumann(R) CARES CAD/CAM
(9)S-WAVE CAD/CAMシステム
(10)Zeno-Tec(ゼノテック(R))システム