やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社


 今,日本の医療・介護は,そして歯科医療は大きな転換点を迎えています.
 近年,口腔の全身健康への影響についてのリサーチが世界中で行われるようになり,口腔健康の重要性が,徐々にそして幅広く認識されるようになってきました.この流れを受けて,教育制度や労働環境などの違いにより長らく分断されてきた医科・歯科・他職種の連携価値が注目されるようになってきました.しかしながら,各フロンティアに立つ医療従事者により断片的に語られ,医科歯科連携・多職種連携の全容は捉え難いものとなっています.
 本書は,医科歯科連携・多職種連携が求められる社会的背景の説明,診診連携・在宅医療・病院歯科・病診連携などの各フロンティアの紹介,医科・アカデミア・政府等のKey Opinion Leaderへのインタビューで構成されています.現時点での医科歯科連携・多職種連携について可能な限り網羅的に記したオムニバス版であり,医療・介護現場のみならず大学などにおいても教科書として使用されることを目指して綴られました.
 日本国において医科歯科連携・多職種連携が確かな価値を提供し始めたとき,既存の歯科医療も含め,歯科医療そのものが医療・介護に広く浸透する医療へと昇華され,国際的に尊敬される21世紀の歯科医療「ジャパン・モデル」になっていく可能性があります.
 本書が,日本の医療にとっての希望,そして日本社会の発展に繋がることを願っています.
 執筆者一同
 序
第1章 社会的背景
 1 21世紀の歯科医療の姿(赤司征大)
 2 医科歯科連携・多職種連携が求められる社会的背景(赤司征大)
 3 医科歯科連携・多職種連携のモデル(赤司征大)
 4 21世紀の歯科医療「ジャパン・モデル」へ(赤司征大)
 5 医科のエコシステム(赤司征大)
第2章 歯科医院からできる医科歯科連携
 1 人生100年時代の歯科医院〜地域の健康ステーション〜(押村憲昭)
 2 地域医療機関との関わり(押村憲昭)
 3 照会状を通じて歯科の価値を医科に伝える(押村憲昭)
 4 いま実践できる医科歯科連携のために(押村憲昭)
 5 医科歯科連携の始め方(押村憲昭)
第3章 歯科訪問診療
 1 歯科訪問診療の概要(田實 仁)
 2 歯科訪問診療推進の鍵となるもの(田實 仁)
 3 歯科訪問診療における嚥下診療(田實 仁)
 4 歯科訪問診療における嚥下診療の具体的進め方(田實 仁)
第4章 病院歯科
 1 急性期病院歯科口腔外科における多職種連携と地域連携(松村香織)
 2 ケアミックス病院歯科の役割と,歯科-歯科連携のもつ重要性について(鈴木宏樹)
 3 リハビリテーション歯科における医科歯科連携,チーム医療の実践(寺中 智)
 4 周術期等口腔機能管理を通じた医療連携の立ち上げ(久保浩太郎)
 5 周術期等口腔機能管理を通じた医療連携・病診連携における課題とその解決(久保浩太郎)
第5章 医科からの視点
 1 「医師だからこそ歯科受診を勧める」時代へ(細田正則)
 2 医科診療に歯科的視点からの“口のみかた”を加える(細田正則)
 3 医科が口腔の健康の入り口となり,歯科が全身の健康への入り口となる時代へ(細田正則)
第6章 ビジョン
 1 社会保障制度組み込みへの道筋(柳川忠廣・赤司征大)
 2 医科と歯科の結節点(星 和人・赤司征大)
 3 学府の視点から(小坂 健・赤司征大)
 4 行政の視点から(田口円裕・赤司征大)
 5 学術の視点から(江藤一洋・赤司征大)
 6 医療の中の歯科医療へ(小松本 悟・赤司征大)
 7 日本の総合病院に歯科導入を促進するには〜広域型病院,地域型病院での歯科の役割は?〜(相澤孝夫・寺中 智)
第7章 歯科医療の次なるステージへ
 1 口腔を制する者は,予防医療を制する時代〜地域における医科歯科連携,多職種連携が要〜(米山武義)

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