やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 近年の歯科臨床における治療計画のなかでは,コンポジットレジン修復の存在意義が徐々に拡大している.患者の求める治療方針として「MIコンセプト」が浸透し,健全歯質の温存と機能・審美回復との両立を可能とする直接法のコンポジットレジン修復を臨床のさまざまな場面で活用する機運が高まっている.このような歯科臨床の潮流のなかで,コンポジットレジン修復に関連した新しい器材や材料が次々に登場し,われわれ歯科医師はその有効性を判断して適切に活用する必要があると考える.
 本書では,コンポジットレジン修復の各臨床ステップにおいて使用する器材・材料の選択基準を示し,その有効活用法について臨床症例とともに紹介する.
 東京医科歯科大学名誉教授 田上順次先生による,コンポジットレジン修復に関する新たな臨床解釈「JTコンセプト」では,健全歯質の温存が可能な可逆性の高い修復治療を中心に治療計画を立案し,患者が求める審美性と低侵襲性とのバランスに最大限配慮した治療方針が提案される.過酷な口腔内環境において長期間変化なく機能する永久修復が存在しないことを,われわれ歯科医師も,そして患者も徐々に理解している.治療開始時点で患者が保有する口腔内環境を可能な限り維持し,健全歯質という健康資源への切削介入を最小化することが,長期的には患者の口腔の健康寿命を延伸する可能性が高いと考える.このような治療介入のスタンスを具現化する治療オプションとしてコンポジットレジン修復が有意義に活用されることを願い,「JTコンセプト」に基づくさまざまな臨床アプローチを提案する.
 DRC.Hamamatsu 田代歯科医院
 田代浩史
Introduction コンポジットレジン修復適応症の現在地
Step 1 コンポジットレジン修復の修復前準備
Step 2 コンポジットレジン修復の窩洞形成
Step 3 コンポジットレジン修復の修復補助
Step 4 コンポジットレジン修復の接着操作
Step 5 コンポジットレジン修復の積層充填
Step 6 コンポジットレジン修復の光照射
Step 7 コンポジットレジン修復の形態修正・研磨
Step 8 コンポジットレジン修復の維持管理・補修