やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 本書は,歯科放射線,口腔外科,顎関節,顎顔面インプラントなどさまざまな領域の専門医が,貴重な症例,臨床経験および知識を基に執筆し,「歯界展望」誌に20回にわたり連載された「臨床家のための画像診断チェックポイント」の内容を,「臨床編」と「基礎編」にまとめたものです.
 前半の「臨床編」では,日常歯科臨床でも遭遇するさまざまな疾患や異常の画像診断について,画像検査の進め方,各疾患の画像所見の特徴,および診断や治療方針における考え方を,一般歯科臨床に携わる臨床医が理解しやすいように解説しています.症例の画像所見の解説では,臨床医が画像検査に用いることが多いパノラマX線画像を出発点として,近年普及が進んでいる歯科用コーンビームCT(CBCT)の画像をできるだけ取り入れています.
 後半の「基礎編」では,口内法,パノラマおよび歯科用CBCTの撮影やデジタル画像処理の勘どころを,歯科臨床で実際に経験されることが多い事例に沿って解説しています.また,近年話題となっている歯科X線画像から骨粗鬆症をスクリーニングする方法や,訪問診療における術者のX線被曝,あるいはCBCT検査における患者の被曝を減らす方策について述べています.
 人々は「画像診断」という言葉から,放射線の専門医や診療放射線技師が,高価な検査装置を使って生命に関わる重要な疾患を発見・診断する高度医療を連想します.しかし,診療放射線技師や診断専門医の力を借りることが難しい歯科開業医は,歯科医師が自身で画像検査と診断を進めていかなければなりません.その意味で,歯科医師には一般的な医師よりも高い画像検査と診断の能力が求められているのです.
 本書の画像診断チェックポイントを参考として,自信をもって日常の歯科画像診断に取り組んでいただければ幸甚です.
 2019年11月
 著者を代表して 勝又明敏
〔臨床編〕
 Check Point 1
  パノラマX線画像で癌を見つける
 Check Point 2
  骨折の画像診断
 Check Point 3
  歯の外傷の画像診断
 Check Point 4
  顎関節症のMRI診断
 Check Point 5
  顎関節関連疾患の画像診断
 Check Point 6
  埋伏智歯の画像診断
 Check Point 7
  過剰歯の画像診断
 Check Point 8
  歯性上顎洞炎の画像診断
 Check Point 9
  各種上顎洞疾患の画像診断
 Check Point 10
  上顎インプラントの画像診断
 Check Point 11
  下顎インプラントの画像診断
 Check Point 12
  唾液腺やリンパ節の疾患の画像診断
 Check Point 13
  軟組織疾患の超音波画像診断
 Check Point 14
  パノラマとセファロによる症候群の画像診断
 Check Point 15
  顎骨の炎症の画像診断
〔基礎編〕
 Check Point 1
  歯科画像診断の今は昔
 Check Point 2
  歯の疾患のデジタル画像診断
 Check Point 3
  歯科用CBCT画像診断
 Check Point 4
  歯科における骨の計測と形態解析
 Check Point 5
  歯科診療の放射線防護の落とし穴

 文献
 編著者・執筆者一覧