やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 『歯と口腔のビジュアルガイド』が完成しました.本書の旧版が発行されたのは2007年.デンタルハイジーンの別冊という形でまとめられた旧版は,幸いにも多くの読者の支持を得て,その間ご意見やご質問を寄せていただきました.そこで今回,「図を増やしてほしい」,「臨床とのつながりをより多く解説してほしい」といった要望を取り入れ,一部内容を刷新し書籍という形での新たな出版となりました.
 本書のコンセプトは旧版と変わらず,「歯科衛生士・歯科医師・歯科技工士が真のチーム医療を行うにあたり,同レベルの知識を共有するための学習に活用する書」というもので,できるだけわかりやすい図や写真を用い,平易な解説に留意し作成いたしました.
 CHAPTER1では,咀嚼や嚥下機能を担う口腔から咽頭,そして顎関節の形態を3次元的に解説し,そこでは歯肉や粘膜の裏側,顎骨の生涯の変化までもイメージできるように,臨床目線での多くの解剖写真を用いた構成としました.さらにはわかりやすい組織像や病理像を用い,日ごろの臨床のさまざまな問題点とリンクさせた解説が挿入されています.CHAPTER2では,成長期・壮年期・老年期に生じる口腔内のさまざまな変化,痛み・齲蝕・歯周病などを発症した際の変化について,口腔内写真・組織像・病理像を用いて解説しています.CHAPTER3では,エックス線写真から得られる情報と,生体の正常構造・病的変化をリンクさせることができるように全体の構成を組んでいます.CHAPTER4ではスケーリングという視点から,歯や歯周組織の構造を解説しています.部位によるスケーラー選択,スケーラー先端部分と歯面との角度などには,基礎的理由があることを理解していただけると思います.
 本書は歯学部や歯科衛生士校の教育の場,臨床の現場で活躍されている歯科衛生士はもちろん,各診療所スタッフ皆で知識を共有するため,さらには患者さんへの説明用としても活用していただきたいと願っています.
 監修・編集者一同
CHAPTER1 基礎を固める! 口腔と口腔周囲のしくみ
 1 顎骨のしくみと変化を理解しよう(阿部伸一・井出吉信・小林明子)
 2 顎関節はなぜスムーズに動くのか(阿部伸一・井出吉信・小林明子)
 3 咀嚼・嚥下のメカニズム(阿部伸一・井出吉信・小林明子)
 4 口腔の粘膜をじっくり見てみよう(橋本貞充)
 5 正常な歯周組織とは?(橋本貞充)
 6 歯の構造を知る(橋本貞充)
 7 唾液の働きをみる(橋本貞充)
 8 歯の痛みはどこからくるのか(阿部伸一・井出吉信・小林明子)
 研究Pick UP 歯の痛みはなぜ起こるのか?(佐藤正樹)
 9 粘膜と義歯(松永 智・阿部伸一・井出吉信・小林明子)
 10 天然歯とインプラントの周囲組織を比較する(矢島安朝・小林明子)
CHAPTER2 見逃さないで! 口腔内の小さな変化が意味すること
 1 まず理解しておきたい 歯の発生・交換のプロセス(山本将仁・阿部伸一・井出吉信・小林明子)
 2 口腔粘膜の変化(橋本貞充)
 3 歯周組織の変化(橋本貞充)
 4 歯の硬組織と歯髄の変化(橋本貞充)
 5 齲蝕による歯の変化(橋本貞充)
 6 唾液腺の変化(橋本貞充)
 7 粘膜の色の変化から口腔がんに気づく(片倉 朗・小林明子)
 症例Pick UP メインテナンスの「曲がり角」に歯科衛生士はどう対応するか(品田和美・橋本貞充)
CHAPTER3 診る目を養う! エックス線画像が教えてくれる情報を整理する
 1 パノラマエックス線画像ビジュアルガイド(後藤多津子)
 2 小児のパノラマエックス線画像(後藤多津子)
 3 口内法エックス線画像ビジュアルガイド(後藤多津子・小研人・阿部伸一)
 4 口内法エックス線画像からわかる疾患・異常像(後藤多津子)
 5 歯科用コーンビームCTから何がわかるの?(後藤多津子)
 研究Pick UP 脳には地図がある(後藤多津子)
 6 VF検査で何がわかるの?(後藤多津子)
 症例Pick UP 患者さんと長く付き合うために必要なエックス線の知識 小林明子
CHAPTER4 手技を磨く! インスツルメンテーションに注意が必要な歯牙徹底分析
 1 上顎歯列(村上恵子・鍵和田優佳里・阿部伸一)
 2 下顎歯列(村上恵子・鍵和田優佳里・阿部伸一)
 3 上顎切歯(村上恵子・阿部伸一)
 4 上顎第一小臼歯(鍵和田優佳里・阿部伸一)
 5 上顎第一大臼歯(村上恵子・鍵和田優佳里・阿部伸一)
 6 上顎第二大臼歯(村上恵子・鍵和田優佳里・阿部伸一)
 7 下顎側切歯(鍵和田優佳里・阿部伸一)
 8 下顎第一大臼歯(村上恵子・阿部伸一)
 9 下顎第二大臼歯(村上恵子・鍵和田優佳里・阿部伸一)