やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 生体の構造と機能を探究する解剖学と生理学は,基礎医学の最も根本となる学問であることには誰しも異論はないと思います.しかし,基礎中の基礎であることから内容は実に多岐にわたり,さまざまな分野に関連するため,理解することが大変であると考える学生さんも多いようです.歯科医師国家試験でも生理学・口腔生理学は出題範囲がほぼ全身に及ぶため,どこが出題されるのか予想も難しく,勉強の焦点が絞りきれないという声もよく聞きます.
 また近年は,歯科でも全身機能の中で口腔の果たす役割という点に注目が集まってきており,生理学に関する国試での出題も,単純な口腔の機能よりも,全身の機能と関連する問題が増えてきているようです.
 生理学を学ぶ際に重要なことは,ヒトが生命を維持するために,いかに全身機能が協調し合っているかを理解することです.これは単に国試や学問上の話ではなく,実際の歯科臨床においても全身状態をしっかり理解したうえで,口腔の診療行為を行う必要性が増していることにも関連しています.
 このような現状の中で,生理学・口腔生理学の理解度の確認,知識の整理の助けとなるように本書をまとめました.理解の確認を第一の目的としていますので,詳細な説明は割愛し,教科書で理解した内容を頭の中で整理する際に役立つようにとの観点から執筆しました.ですから,もし,本書でよくわからないところがあれば,『基礎歯科生理学第6 版』などの教科書に戻ってみてください.生理学は丸暗記ではなく,理解することが何よりも重要な科目です.しっかりと理解したうえで,知識の確認や整理に本書を活用してもらえたらと考えています.
 本書が皆さんの学習理解の一助になることを願っています.
 2018年12月
 村本和世
Chapter 1 興奮性組織
Chapter 2 体液と血液
Chapter 3 循環器系
Chapter 4 呼吸器系
Chapter 5 腎機能と体液の調節
Chapter 6 ホルモンと内分泌
Chapter 7 感覚機能
Chapter 8 運動機能
Chapter 9 神経系と脳の高次機能
Chapter 10 自律機能・体温調節
Chapter 11 顎・口腔・顔面皮膚の体性感覚
Chapter 12 味覚・嗅覚(化学感覚)
Chapter 13 顎運動
Chapter 14 咀嚼と吸啜
Chapter 15 摂食嚥下と嘔吐
Chapter 16 唾液腺と唾液分泌
Chapter 17 消化と吸収
Chapter 18 発声と構音
 参考文献
 索引