第5版の序
歯内治療の変革の波はとどまるところを知らぬかの感があります.すなわち,歯科用実体顕微鏡,Ni-Tiロータリーファイル,歯科用コーンビームCT(CBCT),MTA(mineral trioxide aggregate)などのさまざまな新機器や材料が次々と開発され,改良が繰り返されながら臨床の現場に定着しつつあることは周知のとおりです.さらに超高齢社会の現在では,かけがえのない天然歯を保存し機能させる努力が従前にも増して求められており,歯の保存の砦として歯内治療がますます重要視されているといっても過言でありません.ところが患者の高齢化は,患歯自体の状態のみならず,患者への心身両面からの対応という意味でも歯内治療の複雑化につながっており,知識・技術に裏付けられた確実な歯内治療がこれまで以上に必要な時代が到来しているようにも思われます.
本書「歯内治療学」は,長田 保教授,砂田今男教授を編者として1982年に第1版が発行され,以来多くの先生方に編集,執筆をご担当頂きながら第4版まで改訂が行われました.この間今日まで,歯科学生の教科書として,また一般臨床家の参考書として好評のもとに活用されてきております.このように永きにわたり各方面で愛読されてきましたのは,本書の読みやすさに加えて,最近の話題を包含した新鮮さ,さらには臨床に即した内容によるものと考えます.
しかしながら,2012年の第4版刊行以来6年が経過し,歯内治療におけるさまざまな変革を取り入れつつ,時代に即した新たな「歯内治療学」を編纂すべき時期が参りました.また,第4版の編集委員を務められた中村 洋教授,須田英明教授をはじめ,この間にご退職された多くの先生方がおられる一方で,新しい教授も誕生しています.そこで,新進気鋭の先生方にも新たに執筆をお願いし,ここに改訂版を刊行する運びとなりました.
今回の改訂の基本方針として,新知見の充実を図ることはもちろんですが,学生が読みやすく理解しやすい,さらには教員にとっても教育の場で活用しやすい「標準的な」教科書を引き続き目指すこととしました.また,歯学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)や平成30年版歯科医師国家試験出題基準に準拠した内容とし,学習者の便宜を図ることとしました.従いまして,大幅な目次の変更は行われておりませんが,各章ごとに新知見を取り入れつつ,また旧来の知見の割愛も行いつつ,さらに平易な記述と分かりやすい図表を用いながら,時代の流れに沿った内容の充実・網羅を図ることができたと考えております.
結びに,今回の改訂にあたり多大なご尽力を賜りました執筆者各位,ならびに終始絶大なご支援を賜りました医歯薬出版編集スタッフの方々に,深甚なる謝意を表します.
2018年8月
編者一同
第4版の序
『歯内治療学』は,福地芳則教授,長田 保教授,砂田今男教授の編集により,1982年に第1版が発行され,それ以降,第3版まで改訂が行われました.この間,28年にわたり,歯学生の歯内治療学の教科書として,また一般臨床家の参考書として活用され,好評を得ています.本書がこのように永きにわたり,各方面で活用されてきましたのは,読みやすさに加え,最近の話題を包含した新鮮さ,臨床に即した成書であるためと考えます.
愛知県歯科医師会の平成20年度の8020表彰者追跡調査報告によれば,8020達成者は,未達成者よりも,明らかに自立・健康者が多いと報告されています.これは,歯の健康維持・延命化すなわち歯の保存が,全身の健康維持に重要であることを示しており,学術的にもそれが明らかにされつつあります.
そうした歯の保存を試みるときの最後の砦が歯内治療である,ということは誰しもが思うことでしょう.そして,それを考えるときの拠り所となるのがこの『歯内治療学』です.それだけに本書の持つ意義は大変に重く,重要と考えます.
第3版が発行されてから4年以上が経過し,ご執筆された先生方の多くの方が大学を退職され,新しい教授も誕生しています.そこで,新進気鋭の先生方に新たにご執筆をお願いし,時代に即した新しい『歯内治療学』に改訂したいとの提案が,医歯薬出版株式会社からありました.
このような要請を受けて,編集委員会が設置され,第4版発刊のための改訂作業にはいりました.前回の改訂では,かなり多くの新知見が導入されましたので,今回はその新知見のいっそうの充実を図るとともに,学生にも理解しやすく,読みやすく,さらに本書を教科書として使う先生方がより授業で使いやすいような教科書とすることが,編集委員会で確認されました.従いまして,今回はなるべく平易な表現に改めていただくなど,読者がより理解しやすい教科書をめざしました.
本書が,歯科学生および一般臨床家にとって,最新の歯内治療の基本的な理論と技術の修得に役立ち,ひいては口腔の健康維持・増進に寄与することを願っております.
なお,2011年3月11日に東日本大震災が発生しました.本書編集中の出来事でした.被災されました皆様には心からお見舞い申し上げます.
最後に,お忙しいなかご執筆いただいた全国歯科大学,歯学部の歯内治療ご担当の先生方に深甚なる謝意を表します.また,本書を発刊するに当たり,絶大なるご協力,ご支援を頂きました医歯薬出版株式会社の編集部の皆様に心中から御礼申し上げます.
2012年1月
編者一同
第3版の序
本書『歯内治療学』の第2版が出版されてから,すでに9年が経過した.また,初版が世に出てから四半世紀,25年の歳月を経ている.この間に,多くの学生諸君や一般臨床家の方々にも座右の書としてお役立ていただいたものと信じている.
しかし,学問の進歩やそれに伴っての技術革新には目覚しいものがあり,20世紀末から21世紀初頭にかけては,歯内治療学の分野においても,非常に多くの新知見や新技術が展開されてきた.したがって,これらの知識と技術とを兼ね備えた歯科医師の養成は急務であり,基礎から臨床の実際へと系統的に著した適切な教科書・指南書の出現が待望されてきた.時機を得た本書の編集方針としては,「科学的,かつEBMに基づいた歯内治療臨床」を目指し,卒前の歯科学生や卒後の歯科医師はもとより,広く一般臨床家にも役立つことを大きな目標とした.
時あたかも,歯学教育においては,「歯学教育モデル・コア・カリキュラム─教育内容ガイドライン─」が提示され,臨床実習前にCBT(Computer Based Testing)による知識の確認とOSCE(Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験)による技能水準の確認が行われている.これらの施行により,学生諸君は一定水準以上の知識と技能とを確実に習得していなければ臨床実習に参加することができなくなっている.また,「歯科医師資質向上検討会」(厚生労働省)の報告(平成15年2月)に基づき,歯科医師国家試験のあり方も大きく変わろうとしている.さらに,卒後の生涯研修においても,各専門学会が既存の認定医・指導医制度を基盤にして,専門医制度の導入を模索している.
以上のような現状に鑑み,本書においては最新の知見と技術とをできるだけ簡明にしかも多くを網羅することを心がけたが,実際に本書をお使い頂いた方々からのご意見を頂き,ぜひ次に生かしていきたい.
最後に,本書の刊行にあたり,誠心誠意,辛抱強くご協力いただいた医歯薬出版株式会社の編集部に心より感謝を申し上げる.
平成19年4月
編者一同
第2版の序
本書が初めて出版されてから,すでに16年経過した.この間,学生諸君はもとより,少なからず一般臨床家の方々のお役にも立てたと信じている.昨年までに18刷を重ね,多くの読者の方々に好評をもって迎えられたことは,著者として望外の喜びである.
しかし,内容がいささか古くなってきたことは否めず,改訂第2版の編集に着手したものの,時の流れるのは早く,諸般の事情で約5年の歳月が過ぎてしまった.そして,ようやくここに第2版を出版する運びとなった.
初版発行以来このたびの改訂までの期間,歯内治療学の分野においても多くの面にわたり,発展・改良等がなされてきた.これらについても過不足なく本書に取り入れられている.
また,この間に著者の引退も多く,そのため改めて各歯科大学・歯学部で現在教育に携わっておられる先生方を中心にして分担執筆をお願いし,本書に歯内治療学のこれまでの進歩・発展等も,十分に盛り込んでいただいた.
編集にあたって,用語についてはそれぞれに歴史的な背景もあって,必ずしも同一の用語がすべての歯科大学・歯学部で用いられてはいないが,本書では現時点で一般に広く用いられている用語に統一することを心がけるとともに,各分担執筆の内容の整合をできるかぎり図ったつもりである.今後読者各位の御叱正を賜わり,さらに改善したいと考えている.
終わりに,分担執筆に御協力くださった執筆者各位,ならびに本書の編集にあたり終始絶大なる努力をはらわれた医歯薬出版株式会社に,感謝の意を表する.
平成10年8月
安田英一
戸田忠夫
序
わが国においては,患者の多くの歯が保存され機能を営んでいる事実が,WHOの調査によって明らかにされている.これは欧米諸国に比べ,わが国の臨床家が,歯内治療に関し不断の努力を重ねてきた結果であり,臨床家の方々に敬意を表するものである.
しかしながら,歯は健康な状態に保存されていることが大切であり,歯髄,歯周組織全体が健康な状態であるか否かは,その後の補綴処置に対してはもちろん,生体の健康に及ぼす影響がきわめて大きい.最近,歯内治療が特に見直されるようになってきた所以であり,歯の保存の見地から好ましいことである.
近年,欧米においても,新たに出版された“Endodontics”が散見されるが,このたび,わが国独自の“歯内治療学”の出版が計画されたことは,まことに時宜を得たものであろう.
故福地芳則先生を中心に私共2人が加わり,企画・編集に当たり,多くの歯科大学あるいは歯学部において歯内治療学を担当しておられる教授の方々に,それぞれ得意とする分野について執筆をお願いし,ここにその集大成である“歯内治療学”を出版する運びとなった.
ご執筆いただいた先生方には,お忙しい中をかなり御無理な注文を申し上げた.心から感謝申し上げる次第である.早期にお送りいただいた原稿については,福地芳則先生が中心となって精力的に校閲が進められていたのであるが,昭和55年7月2日,突如,福地芳則先生の急逝という不幸に遭遇し,編集者一同茫然となって日を送り,編集に手間どり,出版が大幅に遅れてしまったことを深くお詫び申し上げる.
本書は,学生諸君はもとより,一般臨床家の方々に役立てばと願いつつ出版されたものであるが,特に新たに歯内治療学を学ばれる学生諸君にとって入門書としても好適であろう.多くの方々に利用され,歯内治療の臨床に役立てば,執筆者一同の喜びこれに過ぎるものはない.
本書の出版に当たり,医歯薬出版株式会社の絶大な御尽力に厚く,感謝の意を表するものである.
なお,本書を故福地芳則先生の霊前に捧げる.
昭和57年3月末日
長田 保
砂田今男
歯内治療の変革の波はとどまるところを知らぬかの感があります.すなわち,歯科用実体顕微鏡,Ni-Tiロータリーファイル,歯科用コーンビームCT(CBCT),MTA(mineral trioxide aggregate)などのさまざまな新機器や材料が次々と開発され,改良が繰り返されながら臨床の現場に定着しつつあることは周知のとおりです.さらに超高齢社会の現在では,かけがえのない天然歯を保存し機能させる努力が従前にも増して求められており,歯の保存の砦として歯内治療がますます重要視されているといっても過言でありません.ところが患者の高齢化は,患歯自体の状態のみならず,患者への心身両面からの対応という意味でも歯内治療の複雑化につながっており,知識・技術に裏付けられた確実な歯内治療がこれまで以上に必要な時代が到来しているようにも思われます.
本書「歯内治療学」は,長田 保教授,砂田今男教授を編者として1982年に第1版が発行され,以来多くの先生方に編集,執筆をご担当頂きながら第4版まで改訂が行われました.この間今日まで,歯科学生の教科書として,また一般臨床家の参考書として好評のもとに活用されてきております.このように永きにわたり各方面で愛読されてきましたのは,本書の読みやすさに加えて,最近の話題を包含した新鮮さ,さらには臨床に即した内容によるものと考えます.
しかしながら,2012年の第4版刊行以来6年が経過し,歯内治療におけるさまざまな変革を取り入れつつ,時代に即した新たな「歯内治療学」を編纂すべき時期が参りました.また,第4版の編集委員を務められた中村 洋教授,須田英明教授をはじめ,この間にご退職された多くの先生方がおられる一方で,新しい教授も誕生しています.そこで,新進気鋭の先生方にも新たに執筆をお願いし,ここに改訂版を刊行する運びとなりました.
今回の改訂の基本方針として,新知見の充実を図ることはもちろんですが,学生が読みやすく理解しやすい,さらには教員にとっても教育の場で活用しやすい「標準的な」教科書を引き続き目指すこととしました.また,歯学教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度改訂版)や平成30年版歯科医師国家試験出題基準に準拠した内容とし,学習者の便宜を図ることとしました.従いまして,大幅な目次の変更は行われておりませんが,各章ごとに新知見を取り入れつつ,また旧来の知見の割愛も行いつつ,さらに平易な記述と分かりやすい図表を用いながら,時代の流れに沿った内容の充実・網羅を図ることができたと考えております.
結びに,今回の改訂にあたり多大なご尽力を賜りました執筆者各位,ならびに終始絶大なご支援を賜りました医歯薬出版編集スタッフの方々に,深甚なる謝意を表します.
2018年8月
編者一同
第4版の序
『歯内治療学』は,福地芳則教授,長田 保教授,砂田今男教授の編集により,1982年に第1版が発行され,それ以降,第3版まで改訂が行われました.この間,28年にわたり,歯学生の歯内治療学の教科書として,また一般臨床家の参考書として活用され,好評を得ています.本書がこのように永きにわたり,各方面で活用されてきましたのは,読みやすさに加え,最近の話題を包含した新鮮さ,臨床に即した成書であるためと考えます.
愛知県歯科医師会の平成20年度の8020表彰者追跡調査報告によれば,8020達成者は,未達成者よりも,明らかに自立・健康者が多いと報告されています.これは,歯の健康維持・延命化すなわち歯の保存が,全身の健康維持に重要であることを示しており,学術的にもそれが明らかにされつつあります.
そうした歯の保存を試みるときの最後の砦が歯内治療である,ということは誰しもが思うことでしょう.そして,それを考えるときの拠り所となるのがこの『歯内治療学』です.それだけに本書の持つ意義は大変に重く,重要と考えます.
第3版が発行されてから4年以上が経過し,ご執筆された先生方の多くの方が大学を退職され,新しい教授も誕生しています.そこで,新進気鋭の先生方に新たにご執筆をお願いし,時代に即した新しい『歯内治療学』に改訂したいとの提案が,医歯薬出版株式会社からありました.
このような要請を受けて,編集委員会が設置され,第4版発刊のための改訂作業にはいりました.前回の改訂では,かなり多くの新知見が導入されましたので,今回はその新知見のいっそうの充実を図るとともに,学生にも理解しやすく,読みやすく,さらに本書を教科書として使う先生方がより授業で使いやすいような教科書とすることが,編集委員会で確認されました.従いまして,今回はなるべく平易な表現に改めていただくなど,読者がより理解しやすい教科書をめざしました.
本書が,歯科学生および一般臨床家にとって,最新の歯内治療の基本的な理論と技術の修得に役立ち,ひいては口腔の健康維持・増進に寄与することを願っております.
なお,2011年3月11日に東日本大震災が発生しました.本書編集中の出来事でした.被災されました皆様には心からお見舞い申し上げます.
最後に,お忙しいなかご執筆いただいた全国歯科大学,歯学部の歯内治療ご担当の先生方に深甚なる謝意を表します.また,本書を発刊するに当たり,絶大なるご協力,ご支援を頂きました医歯薬出版株式会社の編集部の皆様に心中から御礼申し上げます.
2012年1月
編者一同
第3版の序
本書『歯内治療学』の第2版が出版されてから,すでに9年が経過した.また,初版が世に出てから四半世紀,25年の歳月を経ている.この間に,多くの学生諸君や一般臨床家の方々にも座右の書としてお役立ていただいたものと信じている.
しかし,学問の進歩やそれに伴っての技術革新には目覚しいものがあり,20世紀末から21世紀初頭にかけては,歯内治療学の分野においても,非常に多くの新知見や新技術が展開されてきた.したがって,これらの知識と技術とを兼ね備えた歯科医師の養成は急務であり,基礎から臨床の実際へと系統的に著した適切な教科書・指南書の出現が待望されてきた.時機を得た本書の編集方針としては,「科学的,かつEBMに基づいた歯内治療臨床」を目指し,卒前の歯科学生や卒後の歯科医師はもとより,広く一般臨床家にも役立つことを大きな目標とした.
時あたかも,歯学教育においては,「歯学教育モデル・コア・カリキュラム─教育内容ガイドライン─」が提示され,臨床実習前にCBT(Computer Based Testing)による知識の確認とOSCE(Objective Structured Clinical Examination:客観的臨床能力試験)による技能水準の確認が行われている.これらの施行により,学生諸君は一定水準以上の知識と技能とを確実に習得していなければ臨床実習に参加することができなくなっている.また,「歯科医師資質向上検討会」(厚生労働省)の報告(平成15年2月)に基づき,歯科医師国家試験のあり方も大きく変わろうとしている.さらに,卒後の生涯研修においても,各専門学会が既存の認定医・指導医制度を基盤にして,専門医制度の導入を模索している.
以上のような現状に鑑み,本書においては最新の知見と技術とをできるだけ簡明にしかも多くを網羅することを心がけたが,実際に本書をお使い頂いた方々からのご意見を頂き,ぜひ次に生かしていきたい.
最後に,本書の刊行にあたり,誠心誠意,辛抱強くご協力いただいた医歯薬出版株式会社の編集部に心より感謝を申し上げる.
平成19年4月
編者一同
第2版の序
本書が初めて出版されてから,すでに16年経過した.この間,学生諸君はもとより,少なからず一般臨床家の方々のお役にも立てたと信じている.昨年までに18刷を重ね,多くの読者の方々に好評をもって迎えられたことは,著者として望外の喜びである.
しかし,内容がいささか古くなってきたことは否めず,改訂第2版の編集に着手したものの,時の流れるのは早く,諸般の事情で約5年の歳月が過ぎてしまった.そして,ようやくここに第2版を出版する運びとなった.
初版発行以来このたびの改訂までの期間,歯内治療学の分野においても多くの面にわたり,発展・改良等がなされてきた.これらについても過不足なく本書に取り入れられている.
また,この間に著者の引退も多く,そのため改めて各歯科大学・歯学部で現在教育に携わっておられる先生方を中心にして分担執筆をお願いし,本書に歯内治療学のこれまでの進歩・発展等も,十分に盛り込んでいただいた.
編集にあたって,用語についてはそれぞれに歴史的な背景もあって,必ずしも同一の用語がすべての歯科大学・歯学部で用いられてはいないが,本書では現時点で一般に広く用いられている用語に統一することを心がけるとともに,各分担執筆の内容の整合をできるかぎり図ったつもりである.今後読者各位の御叱正を賜わり,さらに改善したいと考えている.
終わりに,分担執筆に御協力くださった執筆者各位,ならびに本書の編集にあたり終始絶大なる努力をはらわれた医歯薬出版株式会社に,感謝の意を表する.
平成10年8月
安田英一
戸田忠夫
序
わが国においては,患者の多くの歯が保存され機能を営んでいる事実が,WHOの調査によって明らかにされている.これは欧米諸国に比べ,わが国の臨床家が,歯内治療に関し不断の努力を重ねてきた結果であり,臨床家の方々に敬意を表するものである.
しかしながら,歯は健康な状態に保存されていることが大切であり,歯髄,歯周組織全体が健康な状態であるか否かは,その後の補綴処置に対してはもちろん,生体の健康に及ぼす影響がきわめて大きい.最近,歯内治療が特に見直されるようになってきた所以であり,歯の保存の見地から好ましいことである.
近年,欧米においても,新たに出版された“Endodontics”が散見されるが,このたび,わが国独自の“歯内治療学”の出版が計画されたことは,まことに時宜を得たものであろう.
故福地芳則先生を中心に私共2人が加わり,企画・編集に当たり,多くの歯科大学あるいは歯学部において歯内治療学を担当しておられる教授の方々に,それぞれ得意とする分野について執筆をお願いし,ここにその集大成である“歯内治療学”を出版する運びとなった.
ご執筆いただいた先生方には,お忙しい中をかなり御無理な注文を申し上げた.心から感謝申し上げる次第である.早期にお送りいただいた原稿については,福地芳則先生が中心となって精力的に校閲が進められていたのであるが,昭和55年7月2日,突如,福地芳則先生の急逝という不幸に遭遇し,編集者一同茫然となって日を送り,編集に手間どり,出版が大幅に遅れてしまったことを深くお詫び申し上げる.
本書は,学生諸君はもとより,一般臨床家の方々に役立てばと願いつつ出版されたものであるが,特に新たに歯内治療学を学ばれる学生諸君にとって入門書としても好適であろう.多くの方々に利用され,歯内治療の臨床に役立てば,執筆者一同の喜びこれに過ぎるものはない.
本書の出版に当たり,医歯薬出版株式会社の絶大な御尽力に厚く,感謝の意を表するものである.
なお,本書を故福地芳則先生の霊前に捧げる.
昭和57年3月末日
長田 保
砂田今男
第1章 歯内治療学の目的と意義,歴史
(勝海一郎)
I 歯内治療学の定義,目的と意義
II 歯内治療の歴史的概要と経緯
1 歯髄の除去と根管の清掃拡大
2 根管充填
3 その他
第2章 歯・歯周組織の構造と機能
(阿南 壽・泉 利雄・松ア英津子)
I 歯の硬組織の構造と発生
1 歯の硬組織の構造
2 歯冠の形成
3 歯根の形成
II 歯髄の構造と機能
1 歯髄
2 象牙質・歯髄複合体
III 歯周組織の構造と機能
1 歯肉
2 歯根膜
3 セメント質
4 歯槽骨
IV 歯根と歯髄腔の形態と変化
1 歯根と根管の形態
2 歯髄腔の形態
3 根管の加齢的(生理的)変化
第3章 歯の硬組織疾患
(横瀬敏志・増田宜子)
I 歯と歯髄腔の形態異常
1 歯の大きさ
2 異常結節
3 歯内歯
4 異常根
5 髄室の異常
6 根管の異常
II 歯の形成不全
1 遺伝的原因
2 全身的原因
3 局所的原因
III 歯の損耗(トゥースウェア)
1 咬耗症
2 摩耗症
3 アブフラクション
4 歯の酸蝕症(侵蝕症)
IV 齲蝕症
V 外傷
VI 象牙質知覚過敏症
第4章 歯内治療における基本術式の概要
I 診査・検査(木村裕一)
1 医療面接
2 視診
3 触診
4 打診
5 歯の動揺度と歯周ポケット検査
6 温度診
7 歯髄電気診
8 透照診
9 エックス線検査
10 麻酔診
11 切削診
12 楔応力検査(咬合診査)
13 嗅診
14 歯髄疾患に特有な検査
15 根尖性歯周疾患に特有な検査
II 無菌的処置法(松島 潔)
1 ラバーダム防湿法
2 隔壁形成法
3 バリヤーテクニック44
4 歯科器材の滅菌と消毒
III 麻酔法(除痛法)(辻 則正・前田博史)
第5章 歯髄疾患
I 歯髄疾患の概要(中田和彦)
II 歯髄疾患の原因
1 細菌学的原因
2 物理的原因
3 化学的原因
4 その他
III 歯髄疾患の分類と臨床症状
1 歯髄保存の可否に基づく臨床的分類
2 病理学的所見に基づく“臨床的”分類
3 歯髄保存の可否に基づく診断名と病理学的所見に基づく診断名の対比
IV 歯髄疾患の特徴と経過
V 歯髄疾患の診断
1 歯髄の生死(生活反応の有無)
2 急性症状の有無
3 露髄の有無(歯髄への細菌感染の有無)
4 待機的診断法
5 歯痛錯誤と関連痛
VI 歯髄疾患の治療方針
1 診断名ごとの基本的な治療方針
VII 歯髄疾患の治療法(野杁由一郎)
1 歯髄保存療法
2 断髄法
3 抜髄法
第6章 根尖性歯周疾患
I 根尖性歯周疾患の概要(五十嵐 勝)
1 根尖歯周組織の炎症性反応
2 感染根管
II 根尖性歯周疾患の原因
1 物理的刺激
2 感染根管の内容物の化学的刺激
3 細菌学的刺激
4 細菌感染の経路
III 根尖性歯周疾患の分類と臨床症状
1 分類
2 根尖性歯周疾患の臨床症状
IV 根尖性歯周疾患の特徴と経過
V 根尖性歯周疾患の診査・診断
1 根尖性歯周疾患の診査・検査
2 根尖性歯周疾患の診断手順
3 根尖性歯周疾患の感染経路の診断
4 待機的診断
5 根尖性歯周疾患の類似病変
6 根尖性歯周疾患と鑑別すべき解剖学的構造
VI 根尖性歯周疾患の治療方針(古市保志・森 真理)
1 感染根管治療
2 その他の各種治療法
3 急性根尖性歯周炎の基本的処置方針
4 慢性根尖性歯周炎の基本的処置方針
5 症例選択
第7章 根管処置
I 髄室開拡(興地隆史)
1 髄室開拡の要件
2 髄室開拡の術式
3 根管上部のフレアー形成(根管口明示,根管上部拡大)
II 根管長測定法と作業長の決定
1 根管処置の終末点
2 根管長測定法の意義
3 根管の穿通と作業長の決定
4 根管長測定の術式
III 根管形成
1 根管形成の意義
2 手用根管切削器具を用いた根管形成
3 Ni-Tiロータリーファイルを用いた根管形成
IV 根管の化学的清掃
1 意義
2 根管清掃薬の種類と使用法
3 根管洗浄の術式
V 根管の消毒(根管貼薬)(石井信之)
1 意義
2 根管消毒薬の所要性質
3 使用薬剤
4 貼薬術式
5 仮封
VI 根管内容物の検査
1 根管内細菌培養検査
VII 根管治療の補助療法
1 イオン導入法
2 根管通過法
VIII 再根管治療
1 根管治療経過不良の原因
2 再根管治療の選択基準
3 治療方針の選択と治療術式
4 再根管治療時の注意事項
第8章 根管充填
(勝海一郎)
I 根管充填の目的と意義
II 根管充填の時期
III 根管充填材の所要性質
IV 根管充填材の種類
1 半固形・固形充填材
2 根管シーラー
3 糊剤
V 根管充填の術式
1 使用器具・装置
2 ガッタパーチャポイントによる根管充填
3 その他のガッタパーチャ材による根管充填
4 固形体による根管充填
5 糊剤による根管充填
VI 即時根管充填法
1 麻酔抜髄即時根管充填法
2 感染根管の1 回治療法
VII 根管充填後の治癒経過(前田宗宏)
1 根尖部創傷の治癒機転
2 治癒に影響を及ぼす因子
3 予後の判定基準と時期
第9章 緊急処置
(河野 哲)
I 疼痛に対する緊急処置
II 急性歯髄炎の緊急処置
1 歯髄の保存が可能な場合
2 歯髄の保存が不可能な場合
III 急性根尖性歯周炎の緊急処置
1 急性単純性根尖性歯周炎
2 急性化膿性根尖性歯周炎
3 フレアアップ(flare up:急性発作)
4 抗菌薬の適正使用と薬剤耐性
第10章 根未完成歯の治療
(小木曽文内)
I アペキソゲネーシス
1 アペキソゲネーシスの定義と目的
2 アペキソゲネーシスの術式
II アペキシフィケーション
1 アペキシフィケーションの定義と目的
2 アペキシフィケーションの術式
3 アペキシフィケーションの治癒機転(根尖孔の閉鎖)
III アペキソゲネーシスおよびアペキシフィケーションの適応症例
1 幼若永久歯(根未完成歯)の外傷性歯冠破折
2 中心結節の破折症例
コラム 歯内治療の将来
(小木曽文内)
1 MTAを用いた根尖閉鎖療法
2 歯髄再生療法
第11章 歯根の病的吸収
(前田英史)
I 内部吸収
1 原因
2 症状と診断
3 処置
II 外部吸収
1 分類
2 原因
3 症状と診断
4 処置
第12章 外傷歯の診断と処置
(古澤成博)
I 外傷歯の分類
1 Andreasenの分類
2 分類と臨床症状
II 外傷歯の診査・検査
1 問診
2 視診
3 歯髄生死の判定
4 透照診
5 エックス線検査
III 外傷歯の治療
1 エナメル質に限局する亀裂と破折
2 歯の破折
3 歯の転位
4 脱臼歯の再植の処置
第13章 外科的歯内治療
(林 美加子)
I 外科的歯内治療の適応症と種類
1 適応症
2 種類
II 外科的歯内治療の術式および治癒機転と予後
1 外科的排膿路の確保
2 根尖掻爬法
3 歯根尖切除法と逆根管充填法
4 歯根切除法
5 ヘミセクション・トライセクション
6 歯根分離法
7 歯の再植法
8 歯の移植法
第14章 歯科用実体顕微鏡を応用した歯内治療
(北村知昭・鷲尾絢子)
I 歯科用実体顕微鏡による検査
1 特徴
2 歯科用実体顕微鏡の構造,機能,設置
II 歯科用実体顕微鏡による処置の特徴
1 処置倍率
2 照明
3 記録
4 アシスタントワーク
III 診療ポジション
1 機器の焦点調整
2 患者の位置づけ
3 術者の位置づけ
4 アシスタントの位置づけ
IV 適応症
1 歯髄の処置
2 根管の処置(根管系の探索・偶発症への対応)
3 マイクロサージェリーによる歯根尖切除法
第15章 変色歯の漂白
(野田 守)
1 変色歯の分類
2 変色歯の漂白
3 適応と禁忌
4 偶発症
5 ウォーキングブリーチ法の手順
第16章 歯内―歯周疾患
(石原裕一)
I 歯内疾患と歯周疾患の関連性
II 歯内―歯周疾患の分類と臨床症状
1 クラスI病変
2 クラスII病変
3 クラスIII病変
III 歯内―歯周疾患の診断と治療
1 歯内-歯周疾患の診断
2 歯内-歯周疾患の治療
3 とくに注意して歯内-歯周疾患との鑑別診断を行わなければならない病変
第17章 高齢者・有病者の歯内治療
(松尾敬志・中西 正)
I 高齢者の心身における特徴
II 全身疾患と歯内治療
1 有病者の歯内治療の留意点
2 根尖性歯周疾患が全身に及ぼす影響
III 高齢者・有病者と成人健常者との歯内治療の違い
IV 高齢者の歯・歯髄・歯周組織と歯内治療
1 高齢者における歯の形態的特徴
2 象牙質・歯髄複合体の老化による変化
3 老化による歯周組織の変化
4 治癒能力
5 高齢者の歯肉退縮に継発する病態
6 高齢者の歯内治療の留意点
第18章 根管処置後の歯冠修復
(西谷佳浩・南 弘之)
I コロナルリーケージ
II 支台築造
1 根管充填歯に支台築造を行う際の注意点
2 鋳造金属による支台築造
3 成形材料による支台築造
第19章 歯内治療における安全対策
(細矢哲康)
1 髄室壁・根管壁の穿孔
2 治療用小器具の根管内破折
3 治療用器具の誤飲と気管内吸引
4 皮下気腫
5 根管処置後の根尖性歯周炎
6 歯性上顎洞炎
7 抜髄・根管処置時の全身管理
8 根管充填材の溢出
9 根管治療薬剤による化学的損傷
10 使用器材による組織損傷
参考文献
索引
(勝海一郎)
I 歯内治療学の定義,目的と意義
II 歯内治療の歴史的概要と経緯
1 歯髄の除去と根管の清掃拡大
2 根管充填
3 その他
第2章 歯・歯周組織の構造と機能
(阿南 壽・泉 利雄・松ア英津子)
I 歯の硬組織の構造と発生
1 歯の硬組織の構造
2 歯冠の形成
3 歯根の形成
II 歯髄の構造と機能
1 歯髄
2 象牙質・歯髄複合体
III 歯周組織の構造と機能
1 歯肉
2 歯根膜
3 セメント質
4 歯槽骨
IV 歯根と歯髄腔の形態と変化
1 歯根と根管の形態
2 歯髄腔の形態
3 根管の加齢的(生理的)変化
第3章 歯の硬組織疾患
(横瀬敏志・増田宜子)
I 歯と歯髄腔の形態異常
1 歯の大きさ
2 異常結節
3 歯内歯
4 異常根
5 髄室の異常
6 根管の異常
II 歯の形成不全
1 遺伝的原因
2 全身的原因
3 局所的原因
III 歯の損耗(トゥースウェア)
1 咬耗症
2 摩耗症
3 アブフラクション
4 歯の酸蝕症(侵蝕症)
IV 齲蝕症
V 外傷
VI 象牙質知覚過敏症
第4章 歯内治療における基本術式の概要
I 診査・検査(木村裕一)
1 医療面接
2 視診
3 触診
4 打診
5 歯の動揺度と歯周ポケット検査
6 温度診
7 歯髄電気診
8 透照診
9 エックス線検査
10 麻酔診
11 切削診
12 楔応力検査(咬合診査)
13 嗅診
14 歯髄疾患に特有な検査
15 根尖性歯周疾患に特有な検査
II 無菌的処置法(松島 潔)
1 ラバーダム防湿法
2 隔壁形成法
3 バリヤーテクニック44
4 歯科器材の滅菌と消毒
III 麻酔法(除痛法)(辻 則正・前田博史)
第5章 歯髄疾患
I 歯髄疾患の概要(中田和彦)
II 歯髄疾患の原因
1 細菌学的原因
2 物理的原因
3 化学的原因
4 その他
III 歯髄疾患の分類と臨床症状
1 歯髄保存の可否に基づく臨床的分類
2 病理学的所見に基づく“臨床的”分類
3 歯髄保存の可否に基づく診断名と病理学的所見に基づく診断名の対比
IV 歯髄疾患の特徴と経過
V 歯髄疾患の診断
1 歯髄の生死(生活反応の有無)
2 急性症状の有無
3 露髄の有無(歯髄への細菌感染の有無)
4 待機的診断法
5 歯痛錯誤と関連痛
VI 歯髄疾患の治療方針
1 診断名ごとの基本的な治療方針
VII 歯髄疾患の治療法(野杁由一郎)
1 歯髄保存療法
2 断髄法
3 抜髄法
第6章 根尖性歯周疾患
I 根尖性歯周疾患の概要(五十嵐 勝)
1 根尖歯周組織の炎症性反応
2 感染根管
II 根尖性歯周疾患の原因
1 物理的刺激
2 感染根管の内容物の化学的刺激
3 細菌学的刺激
4 細菌感染の経路
III 根尖性歯周疾患の分類と臨床症状
1 分類
2 根尖性歯周疾患の臨床症状
IV 根尖性歯周疾患の特徴と経過
V 根尖性歯周疾患の診査・診断
1 根尖性歯周疾患の診査・検査
2 根尖性歯周疾患の診断手順
3 根尖性歯周疾患の感染経路の診断
4 待機的診断
5 根尖性歯周疾患の類似病変
6 根尖性歯周疾患と鑑別すべき解剖学的構造
VI 根尖性歯周疾患の治療方針(古市保志・森 真理)
1 感染根管治療
2 その他の各種治療法
3 急性根尖性歯周炎の基本的処置方針
4 慢性根尖性歯周炎の基本的処置方針
5 症例選択
第7章 根管処置
I 髄室開拡(興地隆史)
1 髄室開拡の要件
2 髄室開拡の術式
3 根管上部のフレアー形成(根管口明示,根管上部拡大)
II 根管長測定法と作業長の決定
1 根管処置の終末点
2 根管長測定法の意義
3 根管の穿通と作業長の決定
4 根管長測定の術式
III 根管形成
1 根管形成の意義
2 手用根管切削器具を用いた根管形成
3 Ni-Tiロータリーファイルを用いた根管形成
IV 根管の化学的清掃
1 意義
2 根管清掃薬の種類と使用法
3 根管洗浄の術式
V 根管の消毒(根管貼薬)(石井信之)
1 意義
2 根管消毒薬の所要性質
3 使用薬剤
4 貼薬術式
5 仮封
VI 根管内容物の検査
1 根管内細菌培養検査
VII 根管治療の補助療法
1 イオン導入法
2 根管通過法
VIII 再根管治療
1 根管治療経過不良の原因
2 再根管治療の選択基準
3 治療方針の選択と治療術式
4 再根管治療時の注意事項
第8章 根管充填
(勝海一郎)
I 根管充填の目的と意義
II 根管充填の時期
III 根管充填材の所要性質
IV 根管充填材の種類
1 半固形・固形充填材
2 根管シーラー
3 糊剤
V 根管充填の術式
1 使用器具・装置
2 ガッタパーチャポイントによる根管充填
3 その他のガッタパーチャ材による根管充填
4 固形体による根管充填
5 糊剤による根管充填
VI 即時根管充填法
1 麻酔抜髄即時根管充填法
2 感染根管の1 回治療法
VII 根管充填後の治癒経過(前田宗宏)
1 根尖部創傷の治癒機転
2 治癒に影響を及ぼす因子
3 予後の判定基準と時期
第9章 緊急処置
(河野 哲)
I 疼痛に対する緊急処置
II 急性歯髄炎の緊急処置
1 歯髄の保存が可能な場合
2 歯髄の保存が不可能な場合
III 急性根尖性歯周炎の緊急処置
1 急性単純性根尖性歯周炎
2 急性化膿性根尖性歯周炎
3 フレアアップ(flare up:急性発作)
4 抗菌薬の適正使用と薬剤耐性
第10章 根未完成歯の治療
(小木曽文内)
I アペキソゲネーシス
1 アペキソゲネーシスの定義と目的
2 アペキソゲネーシスの術式
II アペキシフィケーション
1 アペキシフィケーションの定義と目的
2 アペキシフィケーションの術式
3 アペキシフィケーションの治癒機転(根尖孔の閉鎖)
III アペキソゲネーシスおよびアペキシフィケーションの適応症例
1 幼若永久歯(根未完成歯)の外傷性歯冠破折
2 中心結節の破折症例
コラム 歯内治療の将来
(小木曽文内)
1 MTAを用いた根尖閉鎖療法
2 歯髄再生療法
第11章 歯根の病的吸収
(前田英史)
I 内部吸収
1 原因
2 症状と診断
3 処置
II 外部吸収
1 分類
2 原因
3 症状と診断
4 処置
第12章 外傷歯の診断と処置
(古澤成博)
I 外傷歯の分類
1 Andreasenの分類
2 分類と臨床症状
II 外傷歯の診査・検査
1 問診
2 視診
3 歯髄生死の判定
4 透照診
5 エックス線検査
III 外傷歯の治療
1 エナメル質に限局する亀裂と破折
2 歯の破折
3 歯の転位
4 脱臼歯の再植の処置
第13章 外科的歯内治療
(林 美加子)
I 外科的歯内治療の適応症と種類
1 適応症
2 種類
II 外科的歯内治療の術式および治癒機転と予後
1 外科的排膿路の確保
2 根尖掻爬法
3 歯根尖切除法と逆根管充填法
4 歯根切除法
5 ヘミセクション・トライセクション
6 歯根分離法
7 歯の再植法
8 歯の移植法
第14章 歯科用実体顕微鏡を応用した歯内治療
(北村知昭・鷲尾絢子)
I 歯科用実体顕微鏡による検査
1 特徴
2 歯科用実体顕微鏡の構造,機能,設置
II 歯科用実体顕微鏡による処置の特徴
1 処置倍率
2 照明
3 記録
4 アシスタントワーク
III 診療ポジション
1 機器の焦点調整
2 患者の位置づけ
3 術者の位置づけ
4 アシスタントの位置づけ
IV 適応症
1 歯髄の処置
2 根管の処置(根管系の探索・偶発症への対応)
3 マイクロサージェリーによる歯根尖切除法
第15章 変色歯の漂白
(野田 守)
1 変色歯の分類
2 変色歯の漂白
3 適応と禁忌
4 偶発症
5 ウォーキングブリーチ法の手順
第16章 歯内―歯周疾患
(石原裕一)
I 歯内疾患と歯周疾患の関連性
II 歯内―歯周疾患の分類と臨床症状
1 クラスI病変
2 クラスII病変
3 クラスIII病変
III 歯内―歯周疾患の診断と治療
1 歯内-歯周疾患の診断
2 歯内-歯周疾患の治療
3 とくに注意して歯内-歯周疾患との鑑別診断を行わなければならない病変
第17章 高齢者・有病者の歯内治療
(松尾敬志・中西 正)
I 高齢者の心身における特徴
II 全身疾患と歯内治療
1 有病者の歯内治療の留意点
2 根尖性歯周疾患が全身に及ぼす影響
III 高齢者・有病者と成人健常者との歯内治療の違い
IV 高齢者の歯・歯髄・歯周組織と歯内治療
1 高齢者における歯の形態的特徴
2 象牙質・歯髄複合体の老化による変化
3 老化による歯周組織の変化
4 治癒能力
5 高齢者の歯肉退縮に継発する病態
6 高齢者の歯内治療の留意点
第18章 根管処置後の歯冠修復
(西谷佳浩・南 弘之)
I コロナルリーケージ
II 支台築造
1 根管充填歯に支台築造を行う際の注意点
2 鋳造金属による支台築造
3 成形材料による支台築造
第19章 歯内治療における安全対策
(細矢哲康)
1 髄室壁・根管壁の穿孔
2 治療用小器具の根管内破折
3 治療用器具の誤飲と気管内吸引
4 皮下気腫
5 根管処置後の根尖性歯周炎
6 歯性上顎洞炎
7 抜髄・根管処置時の全身管理
8 根管充填材の溢出
9 根管治療薬剤による化学的損傷
10 使用器材による組織損傷
参考文献
索引

















