やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

歯科理工学教育用語集 第3版の出版に寄せて
 このたび,第2版の発刊から約7年の歳月を経て,「歯科理工学教育用語集 第3版」が出版される運びとなりました.今回の第3版の発刊計画は,米山隆之元理事長の指揮のもとにスタートし,河合達志前理事長に引き継がれて,今般,完成をみるものです.その間,遠藤一彦用語検討委員会委員長には,改訂作業の開始から出版に至るまで一貫して中心的役割を果たしていただきました.この場をお借りして,第3版の出版に尽力されたこれらの方々に深甚なる敬意を表したいと思います.
 本書の第1版は,共通認識の得られた用語を使用することにより,教育現場での混乱を避け,学術情報伝達の健全化をはかることを目標にして,本学会の「歯科理工学キーワード集」を母体に,2005年9月に出版されました.当時,全国の大学歯学部および歯科大学の歯科理工学担当の諸先生方に執筆をお願いし,それを用語検討委員会にて取り纏められたと伝え聞いております.続いて,2011年9月に,用語の意味や同義語の整理などを中心にアップデートされた第2版が発刊されました.そして,この度,さらに大きく改訂を施した第3版が世に送り出された次第です.
 今回の改訂では,各用語の重要性や説明に再考が加えられ,全編を通して用語の整理と見直しが念入りに行われました.また,共用試験や歯科医師国家試験などで使用されることも考慮に入れ,さらに,「保存修復学専門用語集 第2版」や「歯科補綴学専門用語集 第4版」などに掲載されている用語との整合性にも注意が払われました.歯科理工学を学ぶ学生や教育する者にとっては必携の書でありますが,歯科理工学関連の研究に携わる諸氏においてもきわめて有益なる専門書であるといえます.ただ,臨床で慣用的に使用される用語と,材料学に基づいた科学用語が必ずしも一致しないことなどもあり,関連分野の学術用語集との整合性についてはまだ不十分な部分があるのも事実です.歯科医学全般の発展を考え,これらの点について今後さらなる改善を施していく必要性を感じております.
 文末となりましたが,膨大な時間と労力を費やして,第3版のための改訂作業に取り組まれた用語検討委員会委員の先生方に心より感謝申し上げます.本書が多くの方々に広く役立つとともに,より良い用語集として今後さらに版を重ねられることを祈念しております.
 2018年5月
 一般社団法人 日本歯科理工学会
 理事長 今里 聡



序文
 「歯科理工学教育用語集」の第2版が発行されてから,約7年が経過しました.この間,歯科材料・器械の発達も目ざましく,とくにCAD/CAMなどに使用されるセラミック材料が多く開発・実用化されています.そこで,今回の改訂では収載する用語を見直し,国内ではほとんど使用されなくなった歯科用アマルガム関連材料や紫外線重合などの用語を削除する一方で,新しいセラミック材料やそれらの加工法にかかわる用語を追加しております.
 第3版への改訂に際して最も力を入れた点は,全収載語(1,013語)の記述内容の再検討です.1995年に日本歯科理工学会が「歯科理工学キーワード集」を発刊してから,多くの先達によって本用語集の編纂と改訂が重ねられてきました.今回は全用語を「金属材料」,「有機・高分子材料」,「セラミック材料」,「歯科技術・機器」の四つのグループに分類し,それらの専門領域の研究に従事している2〜3名の委員が用語の記述内容を詳細に検討し,必要に応じて正確で分かりやすい記述となるように書き直しました.また,本書が主に初学者を対象とした教育用語集であることを考慮し,記述が専門的になり過ぎないように配慮しました.
 実際に改訂に着手しますと,用語の選定や内容の記述は困難をきわめる作業であることが分かりました.用語検討委員会では,多くの時間と労力を費やして慎重に改訂作業を行ってきましたが,まだまだ不備な点が残されているものと思います.本用語集をお使いになり,お気づきの点やご意見などがございましたら,本書の発行元である医歯薬出版株式会社か日本歯科理工学会事務局にご連絡いただければ幸いです.用語検討委員会では継続的に用語の検討を行い,誤りなどの修正は次期改訂を待たず,出来る限り増刷時に対応していきたいと考えています.さらに充実した用語集に発展するように,会員ならびに読者諸氏のご教授をお願いいたします.
 2018年4月
 一般社団法人 日本歯科理工学会
 用語検討委員会
 委員長 遠藤 一彦
  委員 石川 邦夫
     今里  聡
     宇尾 基弘
     高田 雄京
     根津 尚史
     野村 直之
     橋本 正則
     M田 賢一
     伴  清治
     平田伊佐雄
     宮川 行男
     宮坂  平
     (五十音順)



歯科理工学教育用語集 第2版の出版に寄せて
 日本歯科理工学会では,本分野の歯科用語について歯科医学教育,和文誌・英文誌ならびに国内外の規格および標準化などに活用できることを目的として,全国大学歯学部ならびに歯科大学の歯科理工学担当の諸先生方に執筆をお願いし,本学会の用語検討委員会にて取り纏めいただき「歯科理工学教育用語集」として2005年8月に第1版を発刊しました.また,2008年10月には同版の増刷を行ってまいりました.このことは本書が歯科医学発展に役立っている証と考えます.
 本用語集の履歴につきましては,初版に詳しく記載されておりますのでご参照いただければ幸いです.ここでは,ごく簡単にその来歴を記載いたします.本書は,本学会の「歯科理工学キーワード集」(1995年)を母体に歯科理工学分野に関する用語を纏めたものです.学会としましては,可能な限り共通認識のもとで用語を使用することにより,学術情報伝達の健全化ならびに教育現場での混乱を避けることなどを目標に作成しております.そのため,用語検討委員会を中心に,用語の意味,同義語の整理などにつきましては多くの時間を費やし論議されましたが,集約用語数の不足などのご指摘の点もあるかと思います.
 今回の改訂版では,用語検討委員会などで初版編集中に論究に至らなかった点にのみにとどめております.本書が学生諸氏のみならず日本歯科理工学会会員の皆様のお役に立つことを願っております.さらに,本書の上梓以前あるいは以後にも,歯科医学の専門用語集は多々ございますが,歯科医学発展のためには,使用する用語あるいは用語の解釈の歯科界全体での統一は重要なことと考えます.本書がそのようなお役に立つことも願っております.
 また,本書が出版された後に上梓されました学習者用の教科書中の歯科理工学用語は本書をもとに作成されております.さらに,2008年6月発行の平成19(2007)年に改訂されました歯科医学教授要綱(編集 歯科大学学長・歯学部長会議)の「歯科理工学分野」の歯科理工学に関する用語は全て本用語集記載の用語が使用されております.
 文末となりましたが,ご執筆いただいた諸先生方ならびに取り纏めにご努力をいただきました用語検討委員会の諸先生方にお礼を申し上げます.
 本分野は材料・機械・器具あるいは使用方法など,多方面にわたり急速に進歩をしております.このため,用語集の改訂もそれに合わせて今後とも検討する必要がございます.さらにより良い用語集の発行のために,会員並びに読者諸氏のご教授ご指導を今後ともお願いいたします.
 2011年5月
 日本歯科理工学会
 会長 楳本 貢三



序文
 「歯科理工学教育用語集」の初版が発行されて約6年が経過しました.この間に,本書の著者や編集者の方達から本書の内容を向上させるため貴重なご意見をお寄せ戴きました.また,保存修復学や歯周病学などの分野においても用語集が出版され,本書にとって参考とすべき点が多々見出されました.また,3年程前に第1版第2刷が刊行されていますが,第2刷ではわずかな手直しに留められ,大きな変更,追加は行われませんでした.このような状況に鑑み,用語検討委員会では昨年より改訂の検討作業を行い,これに基づいて今回の第2版出版に至りました.
 今回の改訂では,新規用語の追加,既収録用語の変更,定義・説明の追加・修正,および同義語の追加・修正などが行われています.追加した新規用語は21語,既収録用語の変更は1語(マンセル色票系をマンセル表色系に変更),定義・説明の追加・修正は15語,そして同義語の追加・修正は22語となっています.上述しましたように,これらの追加・変更では本書の著者,編集者からのご意見を反映させるとともに,歯科理工学と密接な関係を有する歯科補綴学や保存修復学などの用語集との整合を図りました.他分野で用いられている用語については,さらに整合化を進めていこうと考えています.
 言葉は時とともに容易に変化していきます.また,我々の領域においては,新しい材料や器械の出現にともなって新しい用語が生まれてきます.このような観点から,用語集の見直しや再検討は常に続けていくことが必要であり,今後も日本歯科理工学会が用語検討の仕事に積極的に取り組んでいくことを願っています.
 本書の第2版が歯科理工学教育のさらなる向上に役立つことを期待します.
 2011年5月
 日本歯科理工学会
 用語検討委員会
 委員長 小倉 英夫
 委 員 河合 達志
     橋 英和
     本郷 敏雄
     吉成 正雄
     (五十音順)



歯科理工学教育用語集の発刊に寄せて
 このたび,日本歯科理工学会用語検討委員会を中心に全国の歯科大学・歯学部の歯科理工学担当講座の協力を得て,歯科理工学関連用語について整理・統一を行い,厳選した用語に簡明な定義を加えた「歯科理工学教育用語集」を出版する運びとなりました.
 歯科理工学関連用語の整理・統一については,歯科理工学文献データベースの作成を容易に行うための「歯科理工学キーワード集」が本学会キーワード集作成委員会によって1995年に発行されておりますが,当学会で用語の整理・統一を図り,適切な解説を加えた用語集の発刊は始めての事業であり,用語検討委員会ならびに関係各位の多大なご尽力に心より敬意と謝意を表します.
 日進月歩の科学技術の進展の中で,使用される専門用語に同義語,同意語が多々あったり,時代とともにその解釈の変遷や消長があることは,学術研究の進歩の鏡でもあり,研究分野においては致し方ないことと思います.しかし,新たな材料・器械や技術が出現するたびに新名称が出現し,同義語であっても学問分野や古今東西で解釈が異なっていたり,複数の用語が適切な定義もされずに曖昧なまま使用される状況は,情報化社会の中で学術情報の正確な伝達の妨げになるばかりでなく,歯科医学教育の現場でも混乱の原因となります.
 ISO1942 Dental vocabulary,日本工業規格(JIS),GMDN(Global Medical Device Nomenclature),JMDN(日本における医療機器の一般的名称),文部省「学術用語集」歯学編(1992年発行)などにも歯科理工学に関連した用語や定義が示されておりますが,必ずしも共通して統一された用語が使用されておらず,共通のコンセンサスが得られている訳ではありません.
 本学会の用語検討委員会で整理・精査された専門用語に簡明な解説がほどこされた「歯科理工学教育用語集」をここに上梓できたことは,単に教育の現場のみでなく,国内外の規格や医療機器の標準化にも有効に活用できるものと考えます.
 用語の一つ一つの背景には幾多の研究や歴史があり,研究者の好悪もあって,いまだ整合性の不十分な箇所や理解の得難い箇所もあるかと推察されます.この用語集も,時に応じて見直し・再検討がなされ,新たな研究成果も加味されれば,さらに充実した用語集となるものと思います.今後の発展に向けて本学会の会員ならびに関係諸氏の御批判と御指導を賜れば幸甚です.
 2005年8月
 日本歯科理工学会
 会長 小田 豊



序文
 日本歯科理工学会が「歯科理工学キーワード集」を1995年に発刊してから10年になります.この10年の間に多くの新材料・新技術が紹介され,キーワード集の改訂が強く求められて参りました.さらに,2001年には「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」が作成され,これと軌を同じくして,コンピュータを利用した多肢選択方式の試験であるCBT(computer based test)と客観的な臨床能力試験であるOSCE(objective structured clinical examination)が全国の歯科大学・歯学部で実施されることとなりました.このような状況の変化に対応するため,用語検討委員会では会員諸氏の全面的なご支援・ご助力の下に歯科理工学教育の中で用いられる専門用語の標準化を行うとともに,用語集の出版に向けて3年以上にわたる作業を続け,この度の出版に漕ぎ着けることができました.教育や研究でご多忙な中,ご協力・ご尽力いただいた歯科理工学教育担当の会員各位ならびに執筆者各位に深く感謝します.
 用語の収録は,歯科理工学教育に基本的に必要な用語に焦点を絞り,隣接領域に属すると考えられる用語は除外することにいたしました.推薦用語の選定にあたり,同義語のある用語については,アンケート調査で基本的に選択頻度の高いものを優先させると同時に他分野における専門用語との整合性や歯科理工学領域内で関連する用語間の整合性を考慮して選択いたしました.執筆は全国29の歯学部・歯科大学より推薦された歯科理工学教育担当の先生方にお願いし,執筆にあたっては,収録用語を8グループ((1)無機材料・金属材料,(2)有機材料・複合材料,(3)物理的性質,機械的性質,(4)化学的生物学的性質,(6)成形・加工技術,(7)器械・器具,(8)その他)に分けて作業班を構成し,各作業班ごとの執筆作業を行いました.執筆内容につきましては作業班内部で検討を行い,その結果を用語検討委員会で討議して最終稿といたしました.
 本用語集は,現時点では歯科理工学教育に大きく貢献できると確信しております.しかし,言葉は生きており,時代の変遷とともに変化していく運命にあります.今回収録された用語も修正あるいは変更の必要を迎える時期がいずれ訪れるかと思います.したがいまして,今回出版となりました用語集をもとに学会内で継続的に議論を重ね,永続的に改訂されていくことを強く願っております.
 平成17年8月
 日本歯科理工学会
 用語検討委員会
 委員長 小倉 英夫
 委 員 荒木 吉馬
     小園 凱夫
     橋 英和
     中嶌  裕
     久恒 邦博
     本郷 敏雄
     吉成 正雄
     (五十音順)