やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

改訂の序
 本書は,2009年に初版が刊行され,以来,約8年が経過した.この間,2016年度には歯学教育モデル・コア・カリキュラムならびに歯科医師国家試験出題基準の大幅改訂が行われ,社会ニーズに対応した歯学教育内容への改善が求められている.歯科医師国家試験出題基準(平成30年版)では,超高齢社会への対応のための充実に加え,出題項目の可能な限りの包括化・簡素化が行われた.また,初版にも記したが,「口腔と全身のかかわり」が注目されているものの,歯学教育の実際では,顎顔面の解剖学の知識があればよしとする風潮がある.しかしながら,口腔解剖学は一般(全身)解剖学を基盤とした学問であり,また有病高齢者が急増している中,その病態の理解のためには全身の基本構造を学習しておく必要があることはいうまでもない.
 われわれが第2版でとった編集方針は,重要事項の精選を基本とし,これに詳しい解説を加えるという点は初版と同じであるが,ほとんどすべての項目で,新しい記載を加えて内容の充実を図った.同時に,本書の特徴である臨床的記述も書き改め,内容の充実と最新情報への更新を行った.また,できるだけわかりやすい模式図(シェーマ)で説明するように統一することを心がけた.この点から,今回の改訂に当たって,写真を少なくするよう心がけた.理由は以下の通りである.写真による実物の提示は,解剖学から長く離れている開業医などには新鮮なイメージを与えるかもしれないが,学生が「ものの形とその位置関係」を正しく理解する上では,正しい方法とは考えられない.さらに,写真で示された部位が,意図する内容を理解させるのに正確かつ理想的かという意味では疑問が多い.この問題の解決のためには,むしろ過去にヨーロッパならびにわが国で出版されている詳細な解剖図譜(アトラス)を参考として,別に示すべきであると考えた.したがって,やむを得ない,あるいは必要である場合以外は,模式図で説明することにした.
 本書の特徴として,以下のことがあげられよう.第一に,口腔解剖学は人体解剖学の口腔・頭頸部領域に特化した解剖学ではあるが,一般医科向けの解剖学テキストから頭頸部・顔面の部分のみを取り出して編集出版されていた従来のテキストとは異なり,歯学生に必要不可欠な内容はより充実した内容としていること,第二に,通常の講義の教科書の用途に加え,歯科医師国家試験,CBTの準備テキストとして本書がその要求を十分に充たしており,さらに,臨床との関連性について特に紙面を割いたこと,があげられる.このように,本書は,解剖学学習者ならびに教員,さらに各科臨床歯科医師の要望を充たすような編集方針で,全国の歯学部教員により執筆されている.
 本書が初版同様に,学生ならびに教員,臨床歯科医師に受け入れられ,将来,歯科医学における標準的解剖学教科書に深化していくことを期待したい.
 おわりに,改訂にあたり編集方針を理解され,快く協力いただいた著者の方々にお礼を申し上げる.同時に,全面的な改訂作業にあたり,種々の提案,助言をいただいた医歯薬出版編集部の方々にお礼を申し上げる.
 2018年1月
 編者一同



はじめに 歯学で学ぶ解剖学とは
 解剖学は,アリストテレスやヴェサリウスを引き合いに出すまでもなく,医学の歴史上最も早く学問として成立した分野である.わが国でも,日本解剖学会は最も古い医学の学会である.
 これは,医学を学ぶうえで,また医療を施すうえで,まずその対象とする人体の構造を知ることから始める必要があることを物語っている.解剖学が「基礎医学の基礎」と称されるのはこのためである.
 基礎歯科学では,全身の理解と専門分野である口腔とその関連境域の理解の両方の教育を歯学部のなかで行わなければならない.

・なぜ全身の知識が必要なのか
 歯学教育はともすれば,歯科に関係のある項目のみに限って扱う傾向が強かった.これは,さまざまな場面で昔から論じられているように,歯科医療が歯のみを対象として,齲蝕の治療,抜歯,義歯の製作という作業が長く歯科医療のほとんどを占めていたという歴史的事実があったため,その後歯科医療の対象が広がっていった後も,歯科医療ならびに歯学教育従事者の観念が固定したままで経過したからであろう.
 一方で,従来「口腔は全身の一部」,「口腔から全身の健康を観察する」,あるいは「口腔の健康を通じて全身の健康を」と歯科のあり方がさまざまに表現されていながら,歯学教育の実際には反映されることが少ないという欠陥が明瞭にみられる.解剖学の教育でも,顎顔面の解剖学の知識があればよしとする風潮があることは事実である.実際,歯科が解剖実習で首から下を行う意味は何かという極端な意見もまれに聞かれる.
 歯科に凝り固まったこのような概念を修正するためには,歯科医学は医学の一部であると意識し続けることがまず必要で,従来型の「歯科は歯科である,特殊なのである」とする考えは払拭しなければならない.同時に,歯科だからこの程度でよいのだという矮小な自己認識をもたないよう意識することも必要であろう.
 全身を意識するあるいは全身を見渡す歯科医学・歯科医療といいつつ,歯科に関係がないので実習は首から上でよいとする矛盾した風潮がある.もちろん,歯科においては首から下は治療の対象ではない.しかし学部教育では歯科臨床各科を学ぶと同時に,歯科医療の理解と実践において必要となる全身疾患を学ぶので,それに対応する全身の知識は必要である.とりわけ歯科麻酔学では,求められる全身の知識は一般医科での麻酔学と異なるところはない.
 また,口腔とその関連領域の構造は,歯を除けば全身の構造と著しく異なることは少ない.したがって,全身を対象として解剖実習を行うにあたり,とくに運動器では,全身の関節運動に比べて,咀嚼機構の複雑さ巧妙さを学ぶうえでおおいに意味がある.また,人体のさまざまな部位でその構造を剖出し,その合理性と必然性を理解することは,きわめて意義深く,人体さらに生命への畏敬の念を醸成する最善の機会となる.系統解剖学の実習で全身を行うのはこのような意味も含まれている.
 「モデルコアカリキュラム」の導入で共用試験が本格実施されている.平成19年には歯科医学教授要綱が改訂され,続いてモデルコアカリキュラムの改訂,歯科医師国家試験出題基準の改正が行われている.このため,今後の国家試験ではより臨床に密接した基礎歯科学が重要視されると考えられる.この意味で,全身と口腔の関係あるいは全身からみた口腔という概念に改めて目を向ける必要が生じている.したがって,これからの解剖学教育では,全身の構造を念頭にあらためて歯科の専門領域を深く知ることが求められることになろう.

・どのように解剖学を学ぶか
 歯科医学を学ぶ基礎としての解剖学では,まず,全身の系統解剖として,人体の構造を概観し,その成り立ちを説明できるための最低限の知識が要求される.続いて,歯科の専門領域として,顎顔面,あるいは頭頸部の詳細な理解が必要となる.さらに,臨床とくに外科系科目に直結する応用解剖学,局所解剖学とよばれる知識も必須のものとして要求される.
 従来の歯科におけるあるいは歯科学用とする解剖学書は,全身の解剖学のうち,顎顔面を詳しく記載したとするものが多かった.これはこれで意味があるが,読者が医師となることを前提としている教育体系の全身の部分を簡略化したに過ぎない場合が多い.将来歯科医師となる学生にとって,教育される口腔解剖学の構成には,単に口腔とその周囲が詳しいという以上に,歯科医師ならびに歯科医療の専門家の目が届いている「歯科のための解剖学」としての内容が十分反映されていることが必要である.本書は,このような目的で編集されている.
 まず,ヒトという生物の全身の成り立ちを大まかに理解する必要がある.系統解剖学としてそれぞれの系統の成り立ちと相互の関係が説明できることが必要である.全身の構造の理解のためには,個体発生学,さらには比較解剖学と系統発生学の基礎的な知識も有用である.この段階では系統解剖学と局所解剖学の関連を理解し,また臨床歯科を学ぶうえでの基礎をつくる必要がある.そのうえで,口腔解剖学を学ぶことが順序である.ただし,歯の解剖学は,文字通り歯科独特の学問であり,全身に対する知識と分けて学ぶことも可能である.この歯の解剖学の理解のためには,比較解剖学,系統発生学さらには人類学の基礎知識が同様に有用である.また,保存修復学,歯科補綴学など臨床科目の基礎部分として実習(歯型彫刻など)と組み合わせたカリキュラムとしても可能であろう.
 教育する側にとって,理想的な教育を実践しようとすると,相当の時間数を必要とし,これに対して近年の1コマあたりの授業時間削減傾向と減少する授業担当時間という問題が障害となる.また,口腔解剖学として特別に教育する範囲をどこまでにするかという問題も解決が難しいと考える教員もいることと思う.このようななか,上記のような口腔解剖学の教育理念をいかに実現するかは,解剖学担当の教員の知恵と学生の学ぶ熱意とにかかっていると我々は強調したい.同時に,解剖学教員は,解剖学は理解する学問であって,単純に用語を丸暗記するものではないことを学習を始める前に初学者に向かってあらためて強調する必要があることを意識しなければならない.
 本書の編纂は,歯科領域に優れた解剖学教員が多い現在という幸運がなければ不可能であったと考える.多忙のなか執筆協力いただいた先生方には,この場を借りて心より御礼を申し上げたい.今後定期的に見直しを受けながら,本書が真に歯科教育の標準的解剖学教科書として育っていけば,編者らにとって望外の喜びである.
 2009年10月
 監修 脇田 稔
    山下靖雄
 編集 井出吉信
    前田健康
    天野 修
第I編 総論
 第1章 解剖学用語(脇田 稔)
  I 解剖学用語とは
  II 方向用語とは
  III 方向用語の概説
   1.人体の3方向
    1)矢状面 2)水平面 3)前頭面
   2.部位による方向
    1)内と外,内側と外側,表層(浅層)側と深側
    2)中心側と末梢側,近位・遠位・中間,浅部と深部
    3)橈側と尺側,脛側と腓側,掌側と足底側,背側,前頭側と後頭側,外側と頭頂側
   3.運動の方向
   4.歯科における方向用語
    1)歯列の方向用語 2)歯の方向用語
 第2章 骨学総論(松永 智,阿部伸一,橋本正次)
  I 骨の種類,機能と表面形状の名称
   1.骨の種類
    1)長骨 2)短骨 3)扁平骨
    4)不規則骨 5)含気骨
   2.骨の機能
    1)支持 2)運動 3)内臓の保護
    4)造血 5)無機塩類の貯蔵
   3.骨の表面形状
    1)陥凹,切れ込み,孔 2)突出部
  II 人体を構成する骨の数と名称
   1.体幹の骨
    1)頭蓋骨 2)椎骨 3)肋骨
    4)胸骨
   2.上肢骨
    1)上肢帯の骨 2)自由上肢の骨
   3.下肢骨
    1)下肢帯の骨 2)自由下肢の骨
 第3章 筋学総論(松永 智,阿部伸一,橋本正次)
  I 筋の種類,機能と名称
  II 筋の組織学的分類
   1.骨格筋 2.心筋 3.平滑筋
  III 筋の機能
   1.運動作用 2.体熱の発生
   3.体の保護作用
  IV 骨格筋の基本構造
  V 骨格筋の形状と分類
   1.筋の起始・停止
   2.各部位の筋の名称と機能
    1)頭部の筋 2)頸部の筋 3)背部の筋 4)胸部の筋
    5)腹部の筋 6)上肢の筋 7)下肢の筋
 第4章 関節学総論(橋富久)
  I 骨の連結による分類
   1.不動関節
    1)線維性の連結 2)軟骨性の連結
    3)骨性の連結
   2.半関節
    1)線維性の連結 2)軟骨性の連結
   3.可動関節
    1)可動関節の基本構造
    2)関節の補助装置
  II 関節に関与する骨の数による分類
   1.単関節 2.複関節
  III 関節の機能(運動軸の数)による分類
   1.一軸性の関節 2.二軸性の関節
   3.多軸性の関節
  IV 関節面の形態による分類
   1.蝶番関節 2.車軸関節 3.楕円関節
   4.平面関節 5.鞍関節 6.球関節
  V 滑膜性の連結の神経と血管の分布
   1.関節の血管 2.関節の神経
 第5章 脈管学総論
  I 血管系(沢 禎彦)
   1.血管系の構成
    1)脈管の種類 2)血管の役割
    3)栄養血管と機能血管 4)循環動態
   2.血管の構造
    1)血管壁の構成要素 2)動脈
    3)静脈 4)門脈と怪網 5)毛細血管
    6)周皮細胞
   3.血管分枝の状態
    1)微小循環の形態 2)動脈の吻合
    3)静脈の吻合 4)動静脈吻合
   4.心臓(前田健康)
    1)心臓の位置と形態 2)心臓の内部構造
    3)心臓壁の構造 4)心臓の脈管 5)心臓の神経
    6)心臓の拍動のコントロール
   5.血液の循環
    1)小循環 2)大循環 3)胎児循環
  II リンパ系(藤村 朗)
   1.リンパ管とリンパ本幹,胸管 2.骨髄
   3.胸腺 4.脾臓 5.虫垂
   6.扁桃,集合リンパ小節(パイエル板) 7.リンパ節
 第6章 神経学総論
  I 神経系の分類(金銅英二)
  II 神経系の組織構造
   1.神経細胞,ニューロン 2.神経線維(軸索)
   3.神経膠細胞
  III 中枢神経系(市川博之)
   1.中枢神経系の構成要素
   2.中枢神経系の発生
   3.中枢神経系の概観
    1)延髄 2)橋 3)中脳 4)間脳
    5)小脳 6)終脳(大脳) 7)脊髄
    8)脳室と脊髄中心管,髄膜と脳脊髄液
  IV 末梢神経系
   1.末梢神経の構築
   2.末梢神経系の構成要素
    1)遠心性線維 2)求心性線維
   3.末梢神経系の発生
   4.末梢神経系の概観
    1)脳神経 2)脊髄神経
    3)自律神経系
 第7章 感覚器学総論(前田健康)
  I 概説
  II 視覚器
   1.眼球 2.眼球内容物
  III 平衡・聴覚器
   1.外耳 2.中耳 3.内耳
    1)平衡覚の受容 2)聴覚の受容
  IV 味覚器
  V 嗅覚器
  VI 外皮
   1.皮膚の構造
   2.粘膜
   3.皮膚の感覚装置
    1)自由神経終末 2)メルケル小体 3)マイスナー小体
    4)ファーテル-パチニ小体 5)クラウゼ小体
    6)ゴルジ-マッツォーニ小体 7)ルフィニ小体
  VII 筋の伸展受容器
 第8章 内臓学総論
  I 内臓と器官(滝川俊也)
  II 器官の分類
   1.実質器官
    1)小葉 2)実質と間質
   2.中空性器官
    1)内層 2)中層 3)外層
    4)頭頸部器官での層構成
  III 内臓とその発生
   1.消化器系器官とその発生
    1)消化器系の構成
    2)原腸から消化管の発生
    3)消化器付属器官の発生
   2.呼吸器系器官とその発生
   3.内分泌系器官とその発生
   4.口腔顎顔面の発生
  IV 漿膜と外膜(天野 修)
   1.漿膜とは
   2.漿膜の構造
    1)中皮と漿膜下組織 2)漿膜腔
   3.胸膜
   4.心膜
   5.腹膜
   6.外膜
  V 体腔
   1.体腔とは
   2.体腔の区分と境界
    1)胸腔 2)縦隔 3)横隔膜
    4)腹腔 5)体腔の発生
  VI 間膜
   1.間膜とは 2.間膜の発生
   3.腹膜後器官(後腹膜器官)
  VII 頭頸部の基本構造と内臓
   1.頭頸部の層構造
   2.筋膜
    1)浅筋膜 2)深筋膜 3)隙
   3.頭頸部内臓との関係
第II編 各論
 第9章 頭頸部の体表(近藤信太郎)
  I 頭頸部の区分
  II 頭の部位
  III 顔の部位
   1.眼窩部 2.鼻部 3.口部 4.オトガイ部
   5.眼窩下部 6.頬部 7.耳下腺咬筋部 8.頬骨部
  IV 頸の部位
   1.前頸三角
    1)顎下三角 2)頸動脈三角
    3)オトガイ下三角 4)筋三角
   2.後頸三角(外側頸三角部)
    1)後頭三角
    2)大鎖骨上窩(肩甲鎖骨三角部)
   3.胸鎖乳突部
   4.後頸部
  V 皮膚割線
  VI 三叉神経の顔面への出口となる孔の位置
 第10章 頭頸部の骨(松永 智,井出吉信)
  I 頭蓋
  II 脳頭蓋
   1.頭蓋冠,頭蓋底,頭蓋腔
    1)頭蓋冠 2)頭蓋底
   2.脳頭蓋の縫合と泉門
    1)縫合 2)泉門
   3.脳頭蓋を構成する骨
    1)前頭骨 2)頭頂骨 3)後頭骨
    4)側頭骨 5)蝶形骨 6)篩骨
  III 顔面頭蓋
   1.顔面頭蓋を構成する骨
    1)鼻骨 2)涙骨 3)鋤骨
    4)下鼻甲介 5)上顎骨
    6)頬骨 7)口蓋骨 8)下顎骨
    9)舌骨
   2.眼窩,鼻腔,骨口蓋,翼口蓋窩
    1)眼窩 2)鼻腔 3)骨口蓋
    4)翼口蓋窩
 第11章 頭頸部の筋(田松裕一)
  I 頭部の筋
   1.顔面筋
    1)頭蓋表筋 2)眼瞼部の筋
    3)鼻部の筋 4)耳介部の筋
    5)口唇と頬の筋
   2.咀嚼筋
    1)咬筋 2)側頭筋
    3)外側翼突筋 4)内側翼突筋
  II 頸部の筋
   1.広頸筋
   2.舌骨上筋
    1)顎舌骨筋 2)顎二腹筋
    3)茎突舌骨筋 4)オトガイ舌骨筋
   3.舌骨下筋
    1)胸骨甲状筋 2)甲状舌骨筋
    3)胸骨舌骨筋 4)肩甲舌骨筋
  III 後頸部の筋
   1.椎前筋群
    1)頭長筋 2)頸長筋
    3)前頭直筋 4)外側頭直筋
   2.斜角筋群
    1)前斜角筋 2)中斜角筋
    3)後斜角筋
  IV 側頸部の筋
   1.胸鎖乳突筋
 第12章 顎関節(阿部伸一,井出吉信)
   1.骨部
    1)下顎頭 2)下顎窩
   2.軟組織部
    1)関節円板 2)外側翼突筋
    3)関節包
   3.靱帯
    1)外側靱帯 2)副靱帯
   4.関節軟骨
   5.滑膜組織
 第13章 頭頸部の血管・リンパ系
  I 血管(馬場麻人)
   1.頭頸部の動脈系
    1)総頸動脈 2)外頸動脈
    3)内頸動脈 4)鎖骨下動脈
   2.頭頸部の静脈系
    1)内頸静脈 2)外頸静脈
    3)鎖骨下静脈 4)硬膜静脈洞
  II リンパ(中村雅典)
   1.頭部のリンパ節
    1)頭部浅リンパ節 2)頭部深リンパ節
   2.頸部のリンパ節
    1)浅頸リンパ節 2)深頸リンパ節
   3.扁桃
    1)口蓋扁桃 2)舌扁桃
    3)咽頭扁桃 4)耳管扁桃
 第14章 頭頸部の神経系
  I 中枢神経系(吉田 篤)
   1.中枢神経系の概略
    1)延髄 2)橋 3)中脳
    4)間脳 5)小脳 6)終脳
    7)大脳基底核
   2.脳神経核
   3.感覚核
    1)頭部の皮膚感覚 2)頭部の深部感覚
    3)頭部の痛覚 4)頭部の一般体性感覚の伝達における体部位局在性
    5)大脳皮質からの下行投射による感覚情報伝達の修飾
    6)内臓感覚 7)特殊感覚
   4.運動核(遠心性起始核)
    1)運動ニューロン
    2)副交感神経節前ニューロン
   5.脳神経核が関与する他の反射
    1)顎反射の神経回路 2)嚥下反射の神経回路
    3)味覚が惹起する反射性活動の神経回路
  II 末梢神経系(前田健康)
   1.末梢神経の概要
    1)脊髄神経 2)脳神経
    3)自律神経系
   2.脳神経
    1)特殊体性求心性神経
    2)体性運動性神経 3)鰓弓神経
   3.頭部の自律神経系
    1)特徴 2)交感神経系 3)副交感神経系
    4)主な腺の自律神経支配
 第15章 頭頸部の内臓
  I 消化器系
   1.口腔(下田信治,塩崎一成)
    1)口腔とは 2)口唇 3)口腔前庭
    4)固有口腔 5)舌
   2.唾液腺(天野 修)
    1)唾液と唾液腺 2)大唾液腺 3)唾液腺の神経支配
    4)耳下腺 5)顎下腺 6)舌下腺 7)小唾液腺
   3.咽頭(影山幾男)
    1)咽頭鼻部(上咽頭) 2)咽頭口部(中咽頭)
    3)咽頭喉頭部(下咽頭) 4)咽頭の神経 5)咽頭筋
  II 呼吸器系
   1.鼻腔(松尾雅斗)
    1)鼻腔を構成する骨 2)鼻腔の神経
    3)鼻腔の脈管
   2.副鼻腔
    1)前頭洞 2)蝶形骨洞
    3)篩骨洞(篩骨蜂巣) 4)上顎洞
   3.喉頭(土門卓文)
    1)喉頭軟骨 2)喉頭腔,喉頭蓋
    3)喉頭筋 4)喉頭の脈管・神経
   4.気管
    1)気管の脈管・神経
   5.気管支と肺
    1)気管支 2)気管支の脈管・神経
    3)肺
  III 感覚器系(佐藤 巌)
   1.感覚の種類
   2.感覚受容器
    1)機械受容器 2)侵害受容器
   3.口腔の感覚
    1)表面感覚(皮膚感覚) 2)深部感覚
    3)口腔の感覚の局在性 4)歯および歯根膜の感覚
    5)歯髄の痛み 6)象牙質の痛み 7)顎関節の感覚
   4.特殊感覚
    1)味覚 2)味覚受容器 3)味覚の伝導路
    4)咽頭と軟口蓋の感覚
  IV 内分泌腺(池田やよい)
   1.甲状腺
    1)外観 2)位置・大きさ
   2.副甲状腺(上皮小体)
   3.甲状腺と副甲状腺(上皮小体)の脈管と神経
    1)動脈 2)静脈 3)リンパ系
    4)神経
   4.甲状腺と副甲状腺(上皮小体)の組織学
    1)甲状腺 2)副甲状腺(上皮小体)
   5.甲状腺と副甲状腺(上皮小体)の発生
    1)甲状腺の発生 2)副甲状腺(上皮小体)の発生
   6.甲状腺と副甲状腺(上皮小体)から分泌されるホルモンとその機能
    1)甲状腺ホルモン
    2)副甲状腺(上皮小体)ホルモン
第III編 歯科応用解剖学
 第16章 加齢と歯の喪失に伴う顎骨の変化(松永 智,井出吉信)
  I 口腔・顎顔面領域の成長発育
   1.上顎の成長発育
    1)縫合部での成長 2)骨の新生添加および吸収による成長
    3)歯槽突起の発育
   2.下顎の成長発育
    1)下顎頭 2)下顎枝
    3)下顎体 4)歯槽部
  II 口腔・顎顔面領域の老化と歯の喪失に伴う変化
   1.顎骨の老化
    1)上顎骨 2)下顎骨
   2.歯の喪失に伴う顎骨の変化
    1)上顎骨 2)下顎骨
 第17章 咀嚼と嚥下(阿部伸一,井出吉信)
  I 摂食行動の機序
   1.食物の認識(先行期/認知期)
   2.口腔への取り込み(準備期(1))
   3.咀嚼と食塊形成(準備期(2))
   4.舌根部,咽頭への送り込み(嚥下,口腔期)
   5.咽頭通過,食道への送り込み(嚥下,咽頭期)
   6.食道通過(嚥下,食道期)
  II 嚥下障害
 第18章 骨折と筋(小林正治,齊藤 力)
  I 顎骨骨折の病因
  II 顎骨骨折の診断
   1.問診 2.臨床所見 3.画像検査
  III 骨折の分類
   1.創部との交通の有無による分類
   2.外力の作用部位による分類
   3.骨折の状態による分類
   4.骨折線数による分類
   5.受傷からの期間による分類
  IV 下顎骨骨折
   1.骨折部位による分類 2.好発部位
   3.骨片の変位
  V 上顎骨骨折
   1.骨折部位による分類 2.骨片の変位
  VI 頬骨・頬骨弓骨折
   1.好発部位 2.骨片の変位
  VII 眼窩壁吹き抜け骨折
  VIII 顔面多発骨折
 第19章 義歯と筋(阿部伸一,井出吉信)
  I 顎骨の形態変化と義歯の形態
   1.下顎骨 2.上顎骨
  II 歯を喪失した後の顎骨において変化が少ない部位
   1.下顎骨 2.上顎骨
  III 義歯製作の際に考慮すべき組織
   1.頬筋 2.顔面筋(表情筋)
   3.顎舌骨筋 4.レトロモラーパッド
   5.舌 6.義歯周囲の口腔粘膜の構造
 第20章 感染・炎症と隙(柴田俊一)
  I 筋膜隙の臨床的意義
  II 頸部の筋膜隙
  III 口腔周囲の筋膜隙
   1.咀嚼筋隙
    1)翼突下顎隙 2)咬筋下隙
    3)側頭下隙 4)側頭隙
   2.顎下隙
   3.舌下隙
   4.オトガイ下隙
   5.耳下腺隙
   6.浅顔面隙
   7.扁桃周囲隙
   8.咽頭周囲隙
  IV 口腔周囲の隙の連絡
   1.咀嚼筋隙の交通先 2.舌下隙の交通先
   3.顎下隙の交通先 4.耳下腺隙の交通先
  V 歯性病巣感染の広がりと膿瘍形成部位
   1.下顎前歯,小臼歯部 2.下顎大臼歯部
   3.上顎切歯,犬歯,小臼歯部
   4.上顎大臼歯部
 第21章 歯科麻酔,神経損傷と神経ブロック(一戸達也)
  I 歯科における局所麻酔法の種類
   1.表面麻酔法 2.浸潤麻酔法
   3.伝達麻酔法
  II 表面麻酔のための解剖学
  III 浸潤麻酔のための解剖学
    1)歯肉 2)歯槽粘膜 3)硬口蓋粘膜
    4)上顎歯槽骨 5)下顎歯槽骨
    6)皮質骨表面から根尖までの距離
    7)口腔底部
  IV 伝達麻酔のための解剖学
   1.下顎孔伝達麻酔に関連した解剖学
    1)下顎孔 2)針の刺入部位
    3)方法 4)奏効部位
    5)Gow-Gates法とAkinosi法
   2.眼窩下孔伝達麻酔に関連した解剖学
    1)眼窩下孔 2)針の刺入部位
    3)方法 4)奏効部位
  V 神経損傷と解剖学
  VI 神経ブロックと解剖学
 第22章 画像解剖学(林 孝文)
  I 口内法エックス線画像の正常像
  II パノラマエックス線画像の正常像
  III 頭部およびセファロエックス線画像の正常像
   1.頭部後前方向(PA)撮影法
   2.頭部側方向撮影法
  IV MRIの正常像
  V CT・歯科用コーンビームCTの正常像
  VI 超音波断層像(超音波検査)の正常像
  VII 核医学検査の正常像
 第23章 気道確保(一戸達也)
  I 気道閉塞
  II 気道確保
  III 用手気道確保
   1.頭部後屈法 2.顎先挙上法
   3.下顎挙上法
  IV 器具を用いた気道確保
   1.エアウェイ挿入
    1)経口・経鼻エアウェイ
    2)ラリンゲルマスク・エアウェイ
   2.気管挿管
   3.輪状甲状間膜穿刺
   4.気管切開
 第24章 口腔癌のリンパ節転移・頸部郭清術(坂下英明)
  I 口腔癌のリンパ節転移と予後
  II 頸部リンパ節の特徴と区分
  III 頸部郭清術の名称と分類
  IV 根治的頸部郭清術の基本術式
 第25章 抜歯(坂下英明)
  I 抜歯とは
  II 下顎埋伏智歯の抜去
  III 上顎洞底との関係
 第26章 止血と脈拍(ア山浩司,天野 修)
  I 出血
  II 止血
   1.止血機構
   2.口腔および頸部領域へ分布する動脈
    1)上甲状腺動脈 2)舌動脈
    3)顔面動脈 4)顎動脈
  III 脈拍
   1.頭頸部の動脈
    1)総頸動脈 2)顔面動脈
    3)後頭動脈 4)浅側頭動脈
   2.上肢の動脈
    1)腋窩動脈 2)上腕動脈
    3)橈骨動脈 4)尺骨動脈
  IV 採血
 第27章 インプラントのための解剖学(阿部伸一,井出吉信)
  I 下顎骨内部および下顎骨周囲に分布する神経と脈管
   1.翼突下顎隙を走行する下歯槽神経と下歯槽動・静脈
    1)下顎骨内部を走行する下歯槽神経
    2)下歯槽動・静脈 3)オトガイ神経
    4)舌下隙を走行する舌神経と舌下動脈
    5)下顎枝前縁付近を走行する頬神経
  II 上顎顎骨内部,および上顎骨周囲に分布する神経と脈管
   1.上顎結節部に分布する神経と動・静脈
   2.上顎小臼歯部,前歯部に分布する神経と動・静脈
   3.口蓋に分布する神経と動・静脈

 索引
 平成30年度版歯科医師国家試験出題基準との対応
 歯科教育モデル・コア・カリキュラム(平成28年度版)との対応