やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 歯科矯正学は日進月歩でめまぐるしい発展を遂げており,楽しみ尽くすことのない奥の深い学問です.私が歯科矯正学を勉強し始めたころは,数えるほどしかなかった関連書籍も,いまや多数存在しそれぞれに特色がありますが,これらを網羅することは容易ではありません.
 近年の厳しい歯科医師国家試験を受験する学生にとっては,歯科矯正学の中で歯科医師として具備すべき知識および技能を重要度の高い順に効率よく習得していくことが必要になってきています.しかし,国家試験のために改めて教科書を開いても,そこにはその重要度,優先度の記載はなく,さらに教科書は歯科矯正学を系統的に章として記載しており,数章にまたがる内容の関連性や付随事項についての記載も多くはありません.各章に関連する内容を包括的に学習することで,歯科矯正学への理解が深まり,近年の歯科医師国家試験問題に対応する応用力が格段に身に付くものと考えています.
 本学では数年前より,このような考えのもと,歯科医師国家試験対策として歯科矯正学の重要事項をまとめたプリントを作成し,学生教育に利用してきましたが,これが大変好評で,国家試験対策の必須アイテムとなりつつありました.
 このたび,その内容を“歯科国試パーフェクトマスター”シリーズの1冊としてまとめることとなりました.出版にあたり,歯科医師国家試験出題基準に準拠した内容を精査し,教科書だけでは読者のみなさんが理解しにくい点や間違いやすい点を,写真や図表を多く用いてわかりやすく解説し,さらに毎年出題される新問題についても十分に検討し,対応しました.また,臨床実地問題対策として頻出の症例をまとめて付録とし,各症例に適した診断,治療方針を解説し,臨床に即した応用力も習得できる内容となっており,大変力強い1冊になっていると自負しております.本書を歯科医師国家試験対策書として活用していただくのはもちろんのこと,ベーシックな歯科矯正学の参考書として歯科医療に携わる多くの方々に利用していただければ望外の喜びです.
 2016年11月 清水典佳
Chapter 1 成長発育
Chapter 2 咬合
Chapter 3 不正咬合の原因
Chapter 4 診断
Chapter 5 検査・分析
Chapter 6 矯正歯科治療における抜歯
Chapter 7 矯正力
Chapter 8 矯正力に対する生体反応
Chapter 9 固定
Chapter 10 矯正用材料
Chapter 11 矯正用器械・器具
Chapter 12 矯正装置
Chapter 13 乳歯列期・混合歯列期の治療
Chapter 14 永久歯列期の治療
Chapter 15 保定
 付録 絶対押さえておきたい国試頻出の症例
 付録 矯正歯科治療中の口腔衛生管理
 付録 矯正歯科治療に伴う偶発症
 文献
 索引