やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第4 版の序
 『口腔微生物学・免疫学』は2000 年に初版を発行して以来,主に歯学部学生を対象とする教科書として,これまで2 回の改訂を経て充実化を図ってきた.過不足のない記述とわかりやすい図表を附随することで,将来の歯科医師として必要かつ十分な微生物学・免疫学の体系的知識と論理的思考を身につけられるように目指してきた.しかしながら,第3 版刊行後5 年が過ぎ,(口腔)微生物学・免疫学の教育を担当される先生方の世代交代があり,また増刷時の小さな変更では補いきれない項目もかなり累積してきた.さらに,新興・再興感染症の流行により,社会から歯科医療人に要請される感染症の知識も増加傾向にある.そこで,内容・構成・執筆者を入れ替え,より良質な教科書へと発展させるべく大規模な改訂を試みた.
 第4 版では浜田茂幸先生のご指導を仰ぎながら,編者として小松澤均,大原直也,寺尾豊の3 教授を新たに迎え,編集陣の増強と若返りを図った.諸氏には企画段階から参画してもらい,編集委員会として全体に亘る構成の再点検を行った.たとえば,第3 版の5 章建てを4 章建てとし,各章に責任編者を当て,バランスのとれた内容を盛り込むことと執筆者間に統一性をもたせることを目論んだ.
 主な改良点として,歯科医師国家試験やCBTの学習に向けて,略語,索引,用語説明などを充実させた.進歩の速い免疫学の章は大幅に改変するとともに,微生物学各論の項も統一のとれた記述を図った.また,各論をより深く理解するために,総論には基礎の基礎となる項目を配置した.これら以外の項目についても図表,写真,本文の見直しを徹底し,内容的にもup-to-dateなものに仕上がるよう注意を払った.さらに,内容的にはやや高度でも学生の興味を引くような項目や科学的あるいは臨床的に重要と思われる項目については,執筆者にその記載をお願いした.
 スマートフォンやタブレットを使い慣れたIT世代の学生諸君が,少しでも楽しくかつ集中して学習できることを願って,必要と思われる事項のQRコード(二次元バーコード)を巻末に添付した.賛否両論はあろうと思うが,教育者の使い方次第で有用なツールになることを期待する.
 新たな試みを設けたことや編者・執筆者の交代などもあり,内容は随所に大きな変化を得たが,その代償としてリスクも負っている.度重なる校正を経て改良を加えてきたが,不備な点が未だ多く残されていることと思う.本書をさらに良いものとするためにも,読者の忌憚ないご意見を賜りたい.
 最後に,所々の制約にもかかわらずご協力を賜った執筆者の先生方,ならびに制作に関する適切な助言や補助を頂いた医歯薬出版株式会社編集部に衷心より感謝を申し上げる.
 2015 年11 月
 編者代表 川端重忠

第3 版の序
 <口腔微生物学・免疫学>の第3 版を刊行できる運びになった.
 第3 版では,免疫学の章を大幅に充実させ,また,医真菌学の項を一新した.この他,全章にわたって本文を精査し,内容の最新化を図り,微生物名の改変への対応,わかりやすい図表への改訂あるいは追加・差し替えなどを行い,コストの許す限りのカラー化を試みた.また,判型をA4(変形)に拡大し,より読みやすく,かつ物理的なコンパクトさを維持するように努めた.前版に比してかなり充実したものに仕上がったと確信している.
 第3 版では編者として新たに川端重忠,西原達次,菅井基行,中川一路の4 教授に加わっていただき,企画から実務に至る要所要所で支えていただいた.
 また,著者の先生方には多忙な中を快くお引け受けいただき,かつ編者からのさまざまなリクエストにお応えいただいたことは,ありがたく,厚くお礼を申し上げます.あわせて,編集実務の労をとられた医歯薬出版株式会社編集部に深謝します.
 メキシコに端を発した“新型インフルエンザ”を例に挙げるまでもなく,古くからなじみの病原微生物も時とともに巧みに変身し,それに応じて感染症の様相も絶えざる変化を続けている.逆に,これまではほとんど顧みられることのなかった微生物でも,医療の高度化や環境の変化で新たに病原微生物と認知されるものが必ず出現してくることであろう.微生物学・感染症学の教科書の改訂が必要な所以である.
 次回の改訂からは,若い編者が中心になって本書をいっそう進化させてくれることを祈念し,役目を終えたいと思う.
 2010 年2 月
 編者を代表して,
 浜田茂幸
 バンコク郊外・RCC-ERIにて

第2 版の序
 <口腔細菌学・免疫学>の初版が刊行されてから早くも5年が経過した.この間多くの方々から頂いたご指摘などを参考にしつつ,初版を全面的に見直し,ここに改訂第2 版の刊行に至った.
 本書の基本方針は,初版の序文に具体的に示した通りで,いささかの変更点もない.微生物学と免疫学の基本を押さえつつ,進歩が激しいこの分野の成果をできる限り平易な表現で取り入れるように努めた.また,菌種名(学名)の変更などにも目を配った.さらに,初版でやや手薄と感じた領域や章については,それらを質・量ともに補強しつつ,全体としてのページ数の増加がないように気を配った.
 本書が歯科医学を学ぶ学生諸君の教科書として,また口腔細菌学に興味をもつ大学院生や非専門家の参考書として大いに役立つことを祈念し,期待する.
 本書が今後もさらなる進化をとげるために,読者諸氏のご支援とご鞭撻をお願いしたい.
 2005 年6 月浜田茂幸
 東京・九段にて

初版の序
 口腔内には多数かつ広範多彩な微生物が生息している.歯科医学が対象とする病気の多くは,その発生場所や原因はともかくとして,いずれも微生物フローラに彩られた口腔という環境で生じる.
 口腔の疾患のうち,今も昔も齲蝕と歯周病が罹患者の多さの点で1,2 を占める点では変わりがない.
 齲蝕を口腔内の微生物と関連づけて科学的なメスを加えたのはW.D.Millerである.1890 年頃のことであった.早くに開花した口腔細菌学ではあるが,20 世紀に入って,結果として長い雌伏の期間を余儀なくされた.しかし,1960〜 70 年代に入ると齲蝕の病因に関する研究は実りの時期を迎え,その後も着実な進歩をとげ,今日に至っている.
 一方,歯周病の病因については,1970〜 1980 年代になって,嫌気性細菌学の技術の進歩とともに,独自の境地を開き,短年月の間にわれわれの共有する知識は飛躍的に増加し,深化した.
 換言すれば,歯科医学を学ぶ学生諸君が習得すべき「知」の量は,細菌学領域に限ってみても最近30 年間に圧倒的に増大し,これを臨床の場で生かすべく,消化吸収することが求められている.そのためには断片的な知識を羅列するだけではなく,これらを相互に有機的に関連づけて考える必要がある.本書はこのような目的に役立つことを目指して執筆・編集したものである.
 執筆に際してはできる限り最新の知見をも視野に入れ,必要な事項は簡潔ながらも過不足なく取り入れたつもりである.その点では,大学院生諸氏にとっても,口腔感染症の病因とその予防についての復習や,研究面での参考書として利用できるはずである.また,臨床系の研究者や医師が最新の研究の動向や知見を概観するための効率的な情報源ともなるように想定して編纂されている.
 最初の2 章では,「微生物学」および「免疫学」の全般にわたるアウトラインが記されており,これら2つの領域にわたる学問の幅と基礎的知見を学ぶ.次いで,医学的に重要とされる病原微生物の性状と,惹起される疾患の概略を知る.そのうえで,これらの感染症疾患の予防と治療についての今日の状況を理解する.
 このような広い意味の病原微生物学を習得したうえで,歯科医学に最も密接に関連する「口腔微生物学および免疫学」のエッセンスを学ぶ.まず口腔フローラとデンタルプラークについて最新の知見を理解する.次いで,齲蝕と歯周病の病像・病因・対策を多くの図表の助けを借りて学ぶ.
 最後に,齲蝕や歯周病以外の口腔内の代表的な感染性疾患を知る.この部分は口腔外科学,歯科保存学,歯科補綴学など,臨床各科で学ぶことがらの基本となる事項が説明されている.
 以上の各章は,多くの専門家がそれぞれ自分の得意とする分野を中心に執筆し,編者である私が全体的な統一を図りつつ,教科書としての形に整えたものである.事前に相当に考えつくしたつもりの目次も,編集を終えてみると,なお工夫の余地は少なくない.これについては近い将来の改訂に待ちたい.
 最後に分担執筆に快く応じていただいた先生方と,制作の労をとられた医歯薬出版株式会社編集部に深謝いたします.
 2000 年3月
 浜田茂幸
 大阪・千里にて
第1章 微生物学総論
 I 微生物学の歴史と発展(川端重忠)
   1.疫病の認識
   2.微生物の観察から自然発生説の否定へ
   3.微生物と病気
   4.純培養の重要性
   5.病原菌発見の黄金期
   6.ウイルスの発見
   7.化学療法薬の発見
   8.免疫学のはじまり
 II 微生物の基礎(川端重忠)
   1.生物界における微生物の位置づけ
   2.微生物の性状
    1)細菌(真正細菌,古細菌)  2)ウイルス  3)真菌  4)原虫
   3.プリオン:タンパク質性感染因子
 III 微生物の分類と性状
  A 細菌(大森喜弘)
   1.細菌の分類
    1)分類  2)命名
   2.細菌の形態
    1)細菌の染色と観察方法  2)細菌細胞の形状
    3)細菌を構成する構造体と組成
   3.細菌の培養
    1)栄養  2)酸素  3)温度  4)pH(水素イオン濃度)  5)浸透圧(塩濃度)
   4.細菌の増殖様式
    1)増殖様式と倍加時間  2)増殖曲線  3)コロニー形成
   5.細菌の代謝
    1)細菌の代謝  2)エネルギー産生  3)細菌相互間の生育調整
  B ウイルス(大森喜弘)
   1.ウイルスの分類と性状
   2.宿主特異性
   3.ウイルスの基本構造
    1)ウイルス核酸  2)カプシド  3)エンベロープ
    4)ウイルス粒子内の酵素やタンパク質
   4.ウイルスの増殖様式
    1)吸着  2)侵入  3)脱殻  4)素材の合成とウイルス粒子の組み立て  5)放出
   5.感染細胞の動態
    1)細胞破壊型感染  2)細胞非破壊型感染
   6.ウイルス干渉
   7.ウイルスの培養
    1)動物接種法  2)鶏卵培養法  3)細胞培養法
  C 真菌(安部 茂)
   1.真菌の分類
    1)分類  2)命名
   2.真菌の形態
    1)細菌との相違点  2)真菌の形態と構造
   3.真菌の発育と増殖形態
    1)真菌の生活環  2)無性世代と有性世代  3)無性胞子と有性胞子
   4.真菌の培養
  D 原虫(大森喜弘)
   1.原虫の分類
   2.原虫の構造
   3.原虫の増殖
   4.口腔から検出される原虫
 IV 微生物の遺伝学─細菌遺伝子とその変異(中田匡宣,川端重忠)
   1.細菌染色体の構造と複製
    1)染色体の構造  2)染色体の複製
   2.細菌遺伝子の構成
   3.転写
    1)転写の開始  2)転写の終結  3)細菌のmRNA
    4)転写の制御
   4.翻訳
    1)リボソームとtRNA  2)翻訳の開始  3)ペプチドの伸長
 V 微生物遺伝子の変化(中田匡宣,川端重忠)
   1.遺伝子の伝達に関与する可動性因子
    1)バクテリオファージ  2)プラスミド  3)トランスポゾン
   2.遺伝子の伝達様式
    1)形質転換  2)接合によるプラスミドと染色体の伝達  3)形質導入
   3.遺伝子の変化と再構築
   1)突然変異  2)組換え
 VI 微生物遺伝子の応用(中田匡宣,川端重忠)
   1.遺伝子工学の原理
    1)遺伝子クローニング  2)PCR法  3)DNA塩基配列の決定  4)マイクロアレイ解析
   2.ゲノム微生物学とメタゲノム解析
 VII 感染制御(菅井基行)
  A 感染と発病
   1.感染の経路と様式
    1)感染経路  2)感染様式
   2.日和見感染症と院内感染症
    1)日和見感染症  2)院内感染症と市中感染症
  B 感染の免疫
   1.物理的障壁
   2.化学的障壁
   3.常在細菌叢による防御(生物学的障壁)
  C 感染微生物の検出と感染症の診断
   1.生体反応の検査
    1)炎症の存在を裏づける検査  2)感染症の局在を示す検査  3)感染症と非感染性疾患の鑑別に必要な検査
   2.微生物の検出方法
    1)顕微鏡による直接観察  2)培養と同定  3)抗原・抗体の検出  4)核酸の検出
  D 感染症の治療
   1.化学療法と化学療法薬
    1)選択毒性  2)静菌作用と殺菌作用  3)抗菌力の評価法  4)抗菌スペクトル  5)感受性分布と累積百分率曲線
   2.化学療法薬の種類と作用機序
    1)細胞壁合成阻害薬  2)細胞膜傷害薬  3)タンパク質合成阻害薬  4)核酸合成阻害薬  5)補酵素合成阻害薬  6)抗結核薬
   3.薬剤耐性
    1)薬剤耐性化機序  2)薬剤耐性獲得の機序
   4.化学療法薬の臨床
    1)化学療法薬の選択  2)化学療法薬の殺菌曲線
    3)薬剤投与後効果  4)化学療法薬の薬物動態
    5)化学療法薬の使用法  6)副作用
  E 滅菌と消毒
   1.物理的な方法
    1)熱による滅菌・消毒  2)照射滅菌  3)低温プラズマ滅菌  4)濾過滅菌
   2.化学的な方法
    1)ガス滅菌  2)オゾン  3)電解水
   3.薬剤による消毒法
    1)消毒薬  2)消毒効果に影響を与える因子
    3)消毒薬各論
第2章 免疫学
 I 免疫学の基礎(大原直也)
   1.自己と非自己の認識
   2.免疫学の歴史
    1)免疫学の始まり,“二度なし現象”  2)抗体の発見
    3)抗体多様性の解明  4)リンパ球の発見  5)アレルギー研究の進歩  6)自然免疫の発展
   3.自然免疫と獲得免疫
   4.能動免疫と受動免疫
   5.免疫系を構成する因子
    1)免疫担当臓器  2)免疫担当細胞
   6.サイトカインとサイトカイン受容体
    1)サイトカイン  2)サイトカイン受容体  3)サイトカインの作用
 II 自然免疫(桑田啓貴)
   1.微生物の認識機構
    1)Toll様受容体(TLR)  2)NOD様受容体(NLR)
    3)RIG-I様受容体(RLR)  4)C型レクチン受容体(CLR)
   2.微生物の排除機構
    1)液性因子  2)貪食細胞の種類  3)食胞(ファゴソーム)と貪食メカニズム(ファゴサイトーシス)
 III 自然免疫から獲得免疫へ(桑田啓貴)
   1.主要組織適合遺伝子複合体
    1)MHCクラスIとMHCクラスIIの構造  2)MHCの特徴
   2.抗原の処理と提示
    1)クラスIの抗原提示  2)クラスIIの抗原提示
    3)T細胞への抗原提示と抗原提示増強の仕組み
    4)クロスプレゼンテーション
   3.B細胞受容体とB細胞の活性化
   4.T細胞受容体とT細胞の活性化
 IV 体液性免疫(桑田啓貴,大原直也)
   1.B細胞と抗体
    1)B細胞の分化  2)抗体の構造  3)抗体の種類
    4)抗体の生物活性  5)免疫グロブリン遺伝子の再構成とクラススイッチ  6)体液性免疫の二次応答
    7)抗原とエピトープ  8)抗体のアロタイプとイディオタイプ  9)ハプテン
   2.抗原抗体反応とその応用
    1)中和反応  2)沈降反応  3)凝集反応  4)補体結合テスト  5)標識抗体法  6)モノクローナル抗体
 V 細胞性免疫(田中芳彦)
   1.T細胞と細胞性免疫
    1)T細胞の種類と性状  2)細胞性免疫の制御機構
    3)T細胞の分化・成熟とメモリー機能
   2.ウイルス感染細胞の排除
   3.細胞内寄生性細菌に対する感染防御
    1)Th1 細胞によるマクロファージの活性化  2)細胞傷害性T細胞(CTL)による傷害  3)肉芽腫の形成
   4.移植と拒絶反応
    1)拒絶反応のしくみ  2)移植片対宿主反応
   5.腫瘍免疫
    1)腫瘍抗原  2)腫瘍細胞に対する傷害作用
 VI 粘膜免疫(川端重忠)
   1.粘膜免疫の特徴
   2.リンパ関連組織の分布と種類
   3.粘膜における抗原処理
   4.粘膜におけるリンパ球の遊走機構
   5.sIgAの産生制御
   6.粘膜系T細胞
 VII 過敏症(アレルギー)(大原直也)
   1.I型過敏症反応
   2.II型過敏症反応
   3.III型過敏症反応
   4.IV型過敏症反応
 VIII 免疫不全・自己免疫疾患(寺尾 豊)
   1.免疫不全
    1)補体系構成要素の欠損に起因する先天性免疫不全  2)食細胞の機能不全による先天性免疫不全
    3)B細胞の機能障害による免疫不全  4)T細胞の機能障害による免疫不全
   2.自己免疫疾患
    1)免疫寛容  2)自己免疫疾患
 IX ワクチンによる感染症の予防(大原直也)
   1.ワクチンの種類と特徴
   2.ワクチンの投与経路とアジュバント
   3.現行ワクチンの性状
    1)ジフテリア・百日咳・破傷風混合ワクチン(DPT),ジフテリア・百日咳・破傷風混合ワクチン+不活化ポリオワクチン(DPT-IPV)  2)ポリオワクチン  3)麻疹ワクチンおよび風疹ワクチン  4)水痘ワクチン
    5)日本脳炎ワクチン  6)Hibワクチン  7)肺炎球菌ワクチン  8)ヒトパピローマウイルスワクチン
    9)BCGワクチン  10)ムンプスワクチン  11)インフルエンザワクチン  12)B型肝炎ワクチン  13)ロタウイルスワクチン
   4.現行ワクチンの問題点と副反応
 X 抗原非特異的免疫療法(大原直也)
   1.ステロイド剤
   2.免疫抑制剤
   3.抗体医薬
   4.サイトカイン製剤
第3章 病原微生物各論
 I グラム陽性球菌と感染症(川端重忠)
   1.レンサ球菌の性状と分類
    1)A群レンサ球菌  2)B群レンサ球菌  3)肺炎球菌  4)腸球菌
   2.ブドウ球菌
    黄色ブドウ球菌
 II グラム陽性桿菌と感染症(大原直也)
   1.ジフテリア菌
   2.リステリア菌
   3.バシラス属
    炭疽菌
   4.クロストリジウム属
    1)破傷風菌  2)ボツリヌス菌
   5.抗酸菌
    1)結核菌  2)らい菌  3)非結核性抗酸菌
 III グラム陰性球菌と感染症(大原直也)
   1.ナイセリア属
    1)髄膜炎菌  2)淋菌
   2.モラクセラ属
    Moraxella catarrhalis
 IV グラム陰性桿菌と感染症(中山浩次,内藤真理子)
   1.腸内細菌科
    1)大腸菌  2)赤痢菌  3)サルモネラ  4)クレブシエラ属とセラチア属  5)プロテウス属  6)エルシニア属
   2.ビブリオ科
    1)コレラ菌  2)腸炎ビブリオ
   3.らせん状桿菌
    1)カンピロバクター属  2)ヘリコバクター属
   4.緑膿菌と類縁菌
    1)緑膿菌  2)類鼻疽菌  3)Burkholderia cepacia
   5.百日咳菌と類縁菌
    百日咳菌
   6.レジオネラ属
   7.ブルセラ属
   8.パスツレラ属
    1)Haemophilus influenza  2)その他のHaemophilus属
    3)Pasteurella multocida
   9.その他の病原性グラム陰性桿菌
    1)野兎病菌  2)鼠咬症スピリルム
 V スピロヘータと感染症(柴田健一郎)
   1.トレポネーマ属
    1)梅毒トレポネーマ  2)口腔トレポネーマ
   2.ボレリア属
    1)ライム病ボレリア  2)回帰熱ボレリア
   3.レプトスピラ属
    黄疸出血性レプトスピラ
 VI マイコプラズマと感染症(柴田健一郎)
   1.性状
    1)形態  2)培養  3)薬剤感受性  4)グルコース,アルギニンおよび尿素の利用  5)ペプチダーゼ活性  6)遺伝的性状  7)抗体による発育阻止
   2.ヒトマイコプラズマの感染
    1)M.pneumoniae  2)U.urealyticum,U.parvum,Mycoplasma hominis,M.genitalium  3)口腔マイコプラズマ
   3.動物におけるマイコプラズマ感染症
 VII クラミジアと感染症(柴田健一郎)
   1.構造と生活環
   2.病原性
    1)Chlamydia trachomatis  2)Chlamydia psittaci
    3)Chlamydia pneumoniae
   3.治療
 VIII リケッチアと感染症(柴田健一郎)
   1.分類
   2.性状と感染サイクル
   3.病原性
    1)発疹チフス群リケッチア  2)紅斑熱群リケッチア  3)ツツガムシ病群リケッチア  4)腺熱エールリヒア
 IX 病原真菌と感染症(安部 茂)
   1.真菌症各論
    1)深在性カンジダ症  2)口腔のカンジダ症
    3)アスペルギルス症  4)クリプトコックス症
    5)接合菌症(ムーコル症)  6)トリコスポロン症,その他の深在性真菌症  7)ニューモシスチス肺炎
    8)深部皮膚真菌症  9)表在性真菌症
   2.真菌症の診断と治療
 X 原虫と感染症(大森喜弘)
   1.赤痢アメーバ
   2.ランブル鞭毛虫
   3.膣トリコモナス
   4.トリパノソーマ属
   5.リューシュマニア属
   6.マラリア原虫属
   7.トキソプラズマ
 XI ウイルス(寺尾 豊,小田真隆)
  A DNAウイルス
   1.ヘルペスウイルス科
    1)ヒトヘルペスウイルス1(単純ヘルペスウイルス1 型)  2)ヒトヘルペスウイルス2(単純ヘルペスウイルス2 型)  3)ヒトヘルペスウイルス3(水痘・帯状疱疹ウイルス)  4)ヒトヘルペスウイルス4(Epstein-Barrウイルス)  5)ヒトヘルペスウイルス5(ヒトサイトメガロウイルス)  6)ヒトヘルペスウイルス6  7)ヒトヘルペスウイルス7  8)ヒトヘルペスウイルス8(カポジ肉腫関連ヘルペスウイルス)
   2.ポックスウイルス科
    1)痘瘡ウイルス  2)ワクチニアウイルス
   3.アデノウイルス科
    アデノウイルス
   4.パピローマウイルス科
    ヒトパピローマウイルス
   5.パルボウイルス科
    ヒトパルボウイルス
   6.ヘパドナウイルス科
  B RNAウイルス
   1.オルトミクソウイルス科
    1)インフルエンザウイルスA,B,C  2)高病原性トリインフルエンザ
   2.パラミクソウイルス科
    1)ムンプスウイルス  2)麻疹ウイルス  3)RSウイルス
   3.トガウイルス科
    風疹ウイルス
   4.ラブドウイルス科
    狂犬病ウイルス
   5.フィロウイルス科
    1)エボラウイルス  2)マールブルグウイルス
   6.ピコルナウイルス科
    1)ポリオウイルス  2)コクサッキーウイルス
    3)エンテロウイルス  4)ライノウイルス
   7.レオウイルス科
    ロタウイルス
   8.フラビウイルス科
    1)黄熱ウイルス  2)デングウイルス  3)日本脳炎ウイルス  4)ウエストナイルウイルス  5)C型肝炎ウイルス
   9.コロナウイルス科
    SARSコロナウイルス
   10.カリシウイルス科
    ノロウイルス
   11.アレナウイルス科
    ラッサウイルス
   12.レトロウイルス科
    1)ヒトT細胞白血病ウイルス  2)ヒト免疫不全ウイルス
   13.肝炎ウイルス
    1)A型肝炎ウイルス  2)B型肝炎ウイルス  3)C型肝炎ウイルス  4)D型肝炎ウイルス  5)E型肝炎ウイルス
  C ウイルス性新興・再興感染症
第4章 口腔の感染症
 I 口腔微生物学の発展(小松澤 均)
   1.う蝕の病因論と細菌学
   2.歯周病の病因と細菌学の寄与
   3.全身疾患と口腔細菌
 II 人体の正常フローラ(西原達次,有吉 渉)
   1.人体の各部位の主なフローラ
    1)皮膚  2)鼻と鼻咽喉・上気道  3)胃  4)腸管
    5)膣  6)泌尿器
 III 口腔細菌叢(西原達次,沖永敏則)
   1.口腔の微生物生態系
   2.口腔細菌叢の成立と成熟
    1)口腔細菌叢の成立  2)口腔細菌叢の修飾と成熟
 IV 口腔免疫学(西原達次)
   1.口腔の免疫
   2.口腔関連リンパ系組織
   3.唾液による口腔免疫
    1)唾液の感染防御作用  2)唾液中の抗体
   4.歯肉溝の免疫学的特徴
    歯周炎局所におけるエスケープ機構について
   5.口腔細菌による免疫の抑制
 V 口腔内の主な微生物(小松澤 均)
  A グラム陽性菌
   1.口腔レンサ球菌
    1)ミュータンス菌群  2)ミティス菌群  3)サリバリウス菌群  4)アンギノーサス菌群
   2.AbiotrophiaとGranulicatella
   3.腸球菌
   4.PeptococcusとPeptostreptococcus
   5.Lactobacillus
   6.Corynebacterium matruchotii
   7.Propionibacterium acnes
   8.Eubacterium
   9.放線菌
    1)A.israelii  2)A.viscosus  3)A.naeslundii
    4)A.odontolyticus
   10.Arachnia propionica
   11.Bifidobacterium
   12.Rothia dentocarinosa
  B グラム陰性菌
   1.Neisseria
   2.Moraxella
   3.Veillonella
   4.黒色色素産生嫌気性桿菌
    1)Porphyromonas gingivalis  2)Prevotella intermedia  3)その他の黒色色素産生菌
   5.非黒色色素産生Prevotella属
    1)P.oralis  2)P.heparinolytica
   6.Tannerella forsythia(forsythensis)
   7.Aggregatibacter actinomycetemcomitans
   8.Fusobacterium nucleatum
   9.Leptotrichia buccalis
   10.Capnocytophaga
   11.Eikenella corrodens
   12.運動性菌群
    1)Selenomonas sputigena  2)Campylobacter属
  C 口腔トレポネーマ
   1.T.denticola
   2.T.vincentii
  D マイコプラズマ
   1.M.salivarium
   2.M.orale
  E 原虫
   1.口腔トリコモナス
   2.歯肉アメーバ
 VI デンタルプラーク(小松澤 均)
   1.プラークの定義
   2.デンタルプラークの形成
    1)ペリクルの形成  2)初期プラークの形成  3)デンタルプラークの成熟
   3.デンタルプラークの構造と機能
    1)デンタルプラークの化学的組成  2)デンタルプラークの構成細菌  3)デンタルプラークの機能  4)デンタルプラークの病原性
   4.デンタルプラークの石灰化と歯石形成
    1)歯肉縁上歯石と歯肉縁下歯石  2)歯石の組成
    3)歯石の病原性
   5.バイオフィルムとしてのデンタルプラーク
    1)バイオフィルムの特徴  2)バイオフィルムとしての機能  3)バイオフィルム中の細菌間情報伝達
 VII う蝕
  A う蝕の病像(山下喜久)
   1.う蝕の臨床像
   2.歯冠部う蝕
   3.歯根面う蝕
  B う蝕の細菌学(山下喜久,柴田幸江)
   1.ミュータンスレンサ球菌の分類と性状
    1)S.mutans  2)S.sobrinus  3)S.criceti  4)S.ratti
    5)S.ferusとS.macacae  6)S.downei  7)S.orisratti,S.devrieseiおよびS.troglodytae
   2.ミュータンスレンサ球菌の分離と同定
   3.ミュータンスレンサ球菌の抗原性物質
    1)血清型特異多糖抗原  2)リポタイコ酸  3)タンパク質抗原
   4.ミュータンスレンサ球菌とう蝕
    1)実験う蝕  2)ヒトにおけるう蝕とミュータンス菌  3)ミュータンスレンサ球菌の生態
   5.ミュータンスレンサ球菌の病原因子
    1)菌体表層成分とペリクルの相互作用  2)グルカンの産生と固着  3)酸産生と耐酸性  4)貯蔵多糖の合成
  C う蝕の免疫学(吉田明弘)
   1.う蝕と抗体
   2.う蝕の免疫学的抑制
    1)抗原  2)免疫の方法  3)う蝕ワクチン療法の問題点
  D 病因論に基づいたう蝕の予防(吉田明弘)
   1.プラークコントロール
    1)機械的プラークコントロール  2)化学的プラークコントロール  3)生物学的プラークコントロール
   2.食品中のGTF阻害物質
    1)ポリフェノール  2)スクロース構造異性体
    3)オリゴ糖
   3.糖代謝の抑制
    1)フッ素化合物  2)糖アルコール  3)クロルヘキシジン
   4.付着の抑制
    ラクトフェリン
   5.細菌叢の改善
    プロバイオティクス
 VIII 歯周病
  A 歯周病の病像(木村重信)
   1.歯肉炎から歯周炎へ
    1)歯肉炎と歯周炎  2)歯周病の疫学
   2.歯周病の臨床像
    1)歯肉炎  2)歯周炎
  B 歯周病の細菌学(西原達次)
   1.プラークの病因的意義
    1)歴史的背景  2)歯肉縁上プラーク  3)歯肉縁下プラーク  4)バイオフィルム
   2.歯周病原性細菌の性状と分類
    1)歯周病原性細菌として判定する基準  2)歯肉炎に関わる細菌  3)歯周炎にかかわる細菌  4)歯周病とスピロヘータ
   3.主な歯周病原性細菌の病原因子
    1)多様な病原因子  2)P.gingivalisの病原因子  3)A.actinomycetemcomitansの病原因子  4)T.denticolaの病原因子  5)T.forsythiaの病原因子  6)その他の歯周病原性細菌の病原因子
  C 歯周病の分子免疫学(村上幸孝)
   1.歯周組織の生体防御機構
   2.炎症反応における歯周組織破壊
    1)IL-1  2)TNF-α  3)IL-6  4)PGE2
   3.炎症性骨吸収の分子メカニズム
    1)歯槽骨吸収における炎症性サイトカインの関与
    2)歯周病原性細菌のLPSと骨吸収
  D 病因論に基づいた歯周病の予防と治療
   1.歯周病の検査と診断法
    1)歯周病原性細菌の細菌叢の検索  2)生体の炎症反応と免疫学的反応の検索
   2.病因論に基づいた歯周病治療法
   3.抗菌薬による歯周病治療
    ドラッグデリバリーシステム(局所薬物配送システム,LDDS)
   4.将来の展望
 IX その他の口腔関連微生物感染症(木村重信)
   1.歯内疾患の細菌学
    1)歯髄炎の細菌学  2)感染根管と根尖性歯周炎
   2.唾液腺の感染症
    1)ウイルス性唾液腺感染症  2)細菌性唾液腺感染症
   3.顎骨骨髄炎の細菌学
    1)急性顎骨骨髄炎  2)慢性顎骨骨髄炎
   4.インプラントに付随する感染
   5.カンジダ症
   6.顎顔面領域の放線菌症
 X 口腔微生物と全身疾患…小松澤 均,松尾美樹
   1.口腔細菌に起因する全身疾患
    1)誤嚥性肺炎  2)菌血症  3)細菌性心内膜炎(感染性心内膜炎)
   2.歯周疾患と全身疾患との関わり合い
    1)糖尿病  2)循環器疾患  3)リウマチ  4)その他
   3.口腔所見が認められる全身疾患
    1)麻疹ウイルス  2)コクサッキーウイルス  3)水痘・帯状疱疹ウイルス  4)単純ヘルペスウイルス
 XI 歯科診療における感染防止(西原達次)
   1.標準予防策:スタンダードプレコーション
   2.歯科診療における感染経路
   3.医療従事者の予防接種
   4.医療従事者の曝露防止
   5.手洗い
   6.医療器具の滅菌・消毒

 略語一覧
 用語集
 参考図書
 関連リンク集
 和文欧文索引