やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

発刊の辞
 本書は,斯界では唯一の総合歯科医学辞典である.昭和45 年(1970)に初版を発刊したので,この第4 版は46 年目になる.
 前3 版からは17 年経つが,28 であった科目数は39 に増加し,用語総数も1,166 語増えて,9,366 語を網羅した.
 今版は,初版以来の編集方針を踏襲し,知識欲の旺盛な臨床研修歯科医のレベルに焦点をあてて,全用語を平易かつ明解に解説することに努めた.体裁は,読みやすさと使いやすさを期して,前版のA5 判を受け継いだ.
 これまで同様に今版も,関係者の座右の書となることを願っている.
 おわりに,3 年におよぶ編纂に際し,ご協力ご尽力いただいた多くの日本歯科大学関係者,医歯薬出版の石飛あかね氏,藤本憲明氏および,同社関係者の方々に心から感謝を捧げる.
 平成28 年3 月
 編集代表 中原 泉
 藤井一維

第3 版発刊の辞
 本辞典は,昭和45 年(1970)に初版を発刊し,同50 年(1975)に第2 版を続刊した.第2 版は好個の辞典として広読され,平成10 年(1998)まで26 刷・11 万部を数えるロングセラーとなった.
 実は,編者としては,増刷10 年目頃から忸怩たるものを覚えはじめていた.学問は年々,寄せくる波のように変化してゆくからである.けれども,第2 版編纂の辛酸を思うと,改訂に踏み切れぬまま20 年が過ぎてしまった.医歯薬出版の編集者から背中をおされて,ようやく新版に着手したのが,21 年目の平成8 年(1996)であった.
 第2 版では,手書きの原稿カードが段ボール箱5 個にあふれていた.今回は往時の難業は霧散し,まさにコンピューター時代を実感させられた.読者のニーズに応えて,本辞典のCD化も計画されている.
 さて,新版は,日本歯科大学の歯学部・新潟歯学部の教授26 名が編集委員となり,初版以来の編集方針を踏襲し,臨床実習生・臨床研修医のレベルに焦点をあてて,歯科学生,歯科医師をはじめ,歯科衛生士,歯科技工士にも利用いただけるよう,平易かつ明解に解説することを期した.
 収載した用語総数は,前版の約4 割増の8,200 語となった.体裁は,読みやすさと使いやすさを心がけ,前版のA5 判を受け継いだ.
 第3 版となるこの新版が,斯界の関係者の座右の書となることを切に願っている.
 顧みて,平成8 年5 月15 日に新潟市のホテルで開催した第1 回編集委員会の翌日,歯科放射線学担当の前多一雄委員が緊急入院し,大腸がんのため後事を教室員に託し,12 月30 日に56 歳で逝去された.ここに記して,同君を偲ぶ.
 おわりに,編纂に際しご協力ご尽力いただいた多くの教室関係者,医歯薬出版の米川征英氏,長田崇道氏,猪瀬学氏に心から感謝を捧げる.
 平成11 年3 月
 編集代表 中原 泉

第2 版発刊の辞
 本書の初版を発刊してから,早くも5 年の歳月が過ぎた.この間好評を得たことは,編者として望外の喜びであったが,この種の出版物は2,3 年を経ると,自ら忸怩たる思いに駆られはじめる.それだけ医学が日々,進歩している証左であろう.それゆえに絶えず時代の歩みに応じて,改善していかなければならない編者の責務と宿命を感じる.
 そこで構想を新たにメンバーを再編成して,日本歯科大学の少壮の教授・助教授クラスを中心に,昭和49 年7 月より新版の編纂に着手したが,この編集を通して,最近5 年間の歯科医学の進展とその変貌に,改めて驚かされた.
 顕微X線法のめざましい活用によって,従来の定義が塗りかえられ,抗生物質等の開発は治療内容の改善を促し,さらにはメタルボンド・ポーセレンの定着,オーラル・リハビリテーションの流行,ナソロジーの研究,コンポジット・レジンの出現,カルボキシレート・セメントの普及,齲蝕原性ストレプトコッカス・ミュータンスの再評価,アナルゲジアの確立,ハリ麻酔の登場,産業歯科医の認定,ダイレクト・ボンディングの検討等々…….
 それに伴って旧版用語で消えていった用語もさることながら,今回新しく加わってきた顔々は数えきれない.半年1 年や一分野の狭い視点では,それらの変化はさざ波ほどにも感じなかったものが,5 年間にわたる全体像として顧みてはじめて,歯科医学の大いなるうねりを実感し,今さらながら学問の歩みに粛然とさせられた次第である.
 このほど編集9 カ月という最高の集中力によって上梓の運びとなったが,今回は本格的な歯科医学用語辞典として,重要かつ常用の歯科用語,基本的な医学用語,および最近の新しい用語を選定し,歯科に関するあらゆる事項――概論歴史から隣接医学まで総数6,000 語を網羅した.
 あわせて臨床医はじめ歯科医師や関係補助者が,専門外の言葉や遠去かっていた語句を簡単に再確認したり,歯科大学生はじめ関係学生が,初めて接する単語を正確に理解し,ふだんの学習のまとめに利用できるように,平易かつ適切に解説することに努め,すべての歯科関係者の座右の書として広く活用願うことを期した.
 終りに推薦の辞をいただいた日本歯科大学の中原爽歯学部長,編集校正の雑務を手伝っていただいた泉田亮助,有泉俊朗の両氏,および各委員の編集作業に際してご協力ご支援をいただいた多数の方々,ならびに医歯薬出版株式会社の清水豊取締役,中務進一郎氏に深甚の感謝を捧げる.
 昭和50 年10 月
 日本歯科大学「歯科用語集」編集委員会OB会
 編集委員長 中原 泉
 編集委員
  村上俊樹
  真田一男
  影向範昭
  片桐正隆
  渡辺武彦
  吉田隆一
  丹羽源男
  萩原進夫
  鴨井久一
  森田修己
  畑 好昭
  長谷川 明
  上原 淳
  与五沢文夫
  下岡正八
  前多一雄
  加藤譲治

初版発刊の辞
 現在,歯科医学は極めて高度な発展を示し,他のどの科学分野にも遜色なく,歯科界は充実した歩みを進めている.その歯科界にあって,医科等に較べてやや立ち遅れていると思われる面として,専門の用語集および辞典の類の不備が指摘されねばならないことを,我々は常々感じていた.
 幸い,歯科用語集の方は,我々の後輩である現役学生の手によって,昭和43 年12 月完成をみ,現在も着々と改訂が進められている.この用語集の一段落を機にして,次に我々は懸案の歯科辞典の編纂に着手する必要性を一層強く感じはじめた.実際,我々の身近でもかねてから,学生が手軽に活用できる歯科辞典がないため,不便不満を覚えてその出現を要望する声も少なくなかった.
 そこで,この点をいささかでも補いたいと,歯科用語集編集委員会のOBを中心とした在校の中堅の助手,高学年の大学院生等,各専門の有志15 名が集まり,歯科学生,併せて歯科衛生士,歯科技工士向きの平易で,ハンディな入門書,また開業医,研究者,その他の歯科関係者が簡便に参照できる参考書を意図して,昭和44 年9 月編纂に着手した.
 そして本年3 月,基礎・臨床全科目総数3,670 語を収録し,一応所期の目標を満たした歯科辞典づくりを完了し,このたび先の「歯科用語集」の姉妹編として,歯科関係者の勉学と参考の資とする運びになった.
 もちろん,浅学非才の者達が7 カ月という短期間で編纂したものであり,僭越との謗りは免れえないが,歯科医学が絶えず刻々と変化していくことから,この種のものは決して短期で責任を果たすことのできるものではなく,地道な息の長い仕事であることは充分に心得ている.その意味から諸賢のご指導ご叱正をいただいて,今後ともさらに正確な,充実した歯科辞典に磨き上げていくことをお約束して,ご寛容を願う次第である.
 終りに,推薦の辞をいただいた日本歯科大学の中原實学長,表紙のデザインを願った企画部,写真撮影の協力を得た三宅誠一君,原稿整理を手伝ってくれた歯科用語集編集委員会の関口和也,池田龍彦,小島清,清水文雄,関茂,関口正巳の学生総務諸君,校正の手助けをしてくれた佐沢史朗,国本信夫の両君,および写真等資料収集に際して,温かい応援と適切な助言をいただいた各教室の多数の先生方,ならびに医歯薬出版株式会社の中務進一郎係長に深い感謝を捧げる.これらの広い背景を得なければ,到底為しえなかったことである.
 なお,本書の編纂に当たっては,辞書という性格上,各種多数の成書・文献を,資料として参考に供させていただいたことを附記する.
 昭和45 年8 月
 日本歯科大学「歯科用語集」編集委員会OB会
 編集委員長 中原 泉
 編集委員
  安藤進夫
  上原 淳
  大橋齢孝
  鴨井久一
  下岡正八
  中上喜久男
  丹羽源男
  野川 勇
  萩原進夫
  長谷川明
  林 俊郎
  藤村光広
  村上俊樹
  与五沢文夫
  吉田隆一