第2版監訳者の序
Netter博士による『Netter's Head and Neck Anatomy for Dentistry』をわが国の歯科大学・歯学部の解剖学教育に携わる諸先生方のご協力により,『ネッター頭頸部・口腔顎顔面の臨床解剖学アトラス』として翻訳出版したのはちょうど一昨年(2012年)の2月のことでした.第1版では『Atlas of Human Anatomy』から脈々と続くNetter博士の精密な解剖図に新たな図が追加され,理解を助けるための説明文が加わり,頭頸部の複雑かつ精緻な解剖構造をより理解しやすいように配慮されていました.また,本書は,もう1つの特徴として,各章の終わりに臨床との関連が解説されており,基礎から臨床への橋渡しとなる頭頸部解剖学として編纂されていました.そのため,翻訳第1版は発行以来,歯学のみならず,医学,コメディカルなど大変多岐にわたる分野の方々から好評を博しました.
膨大な原著第1版の翻訳を完了し,出版したものの,早くも原著第2版が出版されました.この第2版では,図の配置換えや新たな図を追加するとともに,表の整理も行われていますが,このほか今回の大きく改訂された点の1つは,頭頸部解剖学に加え,CHAPTER 22として『上肢,背部,胸部,腹部の概説』が追加されたことです.これは,精巧かつ複雑な人体の構造をトータルに見渡す意味では意義深いものと考えています.また,解剖図に加え,CT写真などのX線写真も追加し,より臨床に配慮された内容になっており,複雑な頭頸部の構造を容易に理解できるように構成されています.さらに,この改訂では読者の学習に役立つよう,各章の内容に基づいた多肢選択問題が新たに追加されています.ただし,この多肢選択問題の翻訳にあたっては,わが国の国家試験やCBTと比較すると,日本語と英語のコンテクストが異なることによる設問様式の違いがあるため,原文の意味を損なわないよう十分配慮しながら,わが国で頻用されている形式に修正してあります.また,本多肢選択問題を解いたり,利用したりする際には,誤答肢を選ばせることが多くなっている点に,ご留意いただきたいと思います.
翻訳にあたり,用語については日本解剖学会解剖学用語委員会編集の『解剖学用語 改訂13版』を用いましたが,第1版同様,解剖学用語集に収録されていない英語名も多く,また臨床を意識した用語,人名を付した用語も多く掲載されています.本書を利用する際には,この点についてもご理解をいただきたいと思います.
著者の解剖学教育への熱意のこもった本書が,さまざまな職種の方々の頭頸部解剖学の理解に役立つことを願っております.最後に,今回改訂版の出版にあたり,その意義を十二分に理解され,翻訳の機会を与えていただき,また短期間で困難かつ膨大な編集作業にあたられた医歯薬出版歯科編集部の方々に感謝を申し上げます.
2014年3月
新潟大学大学院医歯学総合研究科
前田健康
Netter博士による『Netter's Head and Neck Anatomy for Dentistry』をわが国の歯科大学・歯学部の解剖学教育に携わる諸先生方のご協力により,『ネッター頭頸部・口腔顎顔面の臨床解剖学アトラス』として翻訳出版したのはちょうど一昨年(2012年)の2月のことでした.第1版では『Atlas of Human Anatomy』から脈々と続くNetter博士の精密な解剖図に新たな図が追加され,理解を助けるための説明文が加わり,頭頸部の複雑かつ精緻な解剖構造をより理解しやすいように配慮されていました.また,本書は,もう1つの特徴として,各章の終わりに臨床との関連が解説されており,基礎から臨床への橋渡しとなる頭頸部解剖学として編纂されていました.そのため,翻訳第1版は発行以来,歯学のみならず,医学,コメディカルなど大変多岐にわたる分野の方々から好評を博しました.
膨大な原著第1版の翻訳を完了し,出版したものの,早くも原著第2版が出版されました.この第2版では,図の配置換えや新たな図を追加するとともに,表の整理も行われていますが,このほか今回の大きく改訂された点の1つは,頭頸部解剖学に加え,CHAPTER 22として『上肢,背部,胸部,腹部の概説』が追加されたことです.これは,精巧かつ複雑な人体の構造をトータルに見渡す意味では意義深いものと考えています.また,解剖図に加え,CT写真などのX線写真も追加し,より臨床に配慮された内容になっており,複雑な頭頸部の構造を容易に理解できるように構成されています.さらに,この改訂では読者の学習に役立つよう,各章の内容に基づいた多肢選択問題が新たに追加されています.ただし,この多肢選択問題の翻訳にあたっては,わが国の国家試験やCBTと比較すると,日本語と英語のコンテクストが異なることによる設問様式の違いがあるため,原文の意味を損なわないよう十分配慮しながら,わが国で頻用されている形式に修正してあります.また,本多肢選択問題を解いたり,利用したりする際には,誤答肢を選ばせることが多くなっている点に,ご留意いただきたいと思います.
翻訳にあたり,用語については日本解剖学会解剖学用語委員会編集の『解剖学用語 改訂13版』を用いましたが,第1版同様,解剖学用語集に収録されていない英語名も多く,また臨床を意識した用語,人名を付した用語も多く掲載されています.本書を利用する際には,この点についてもご理解をいただきたいと思います.
著者の解剖学教育への熱意のこもった本書が,さまざまな職種の方々の頭頸部解剖学の理解に役立つことを願っております.最後に,今回改訂版の出版にあたり,その意義を十二分に理解され,翻訳の機会を与えていただき,また短期間で困難かつ膨大な編集作業にあたられた医歯薬出版歯科編集部の方々に感謝を申し上げます.
2014年3月
新潟大学大学院医歯学総合研究科
前田健康
CHAPTER 1 頭頸部の発生
概観
鰓弓
鰓嚢(咽頭嚢),鰓膜(咽頭膜),鰓裂(咽頭裂)
頭蓋
顔面
口蓋
舌
甲状腺
臨床との関連
CHAPTER 2 骨学
概観
頭蓋骨
観察方向と縫合
主な孔と裂
頸椎
臨床との関連
CHAPTER 3 神経解剖学の基礎と脳神経
神経組織
中枢神経系
末梢神経系
脳神経
臨床との関連
CHAPTER 4 頸部
概観と局所解剖
頸部の三角
前頸三角
後頸三角
後頭下三角
内臓
頸の基部
筋
頸部の血液供給
頸部の神経支配
臨床との関連
CHAPTER 5 頭皮と表情筋
概観と局所解剖
頭皮の概説
頭皮の血液供給
頭皮の神経支配
表情筋の概説
顔面の血液供給
顔面の神経支配
臨床との関連
CHAPTER 6 耳下腺隙と耳下腺
概観と局所解剖
耳下腺隙陥凹
耳下腺隙の内容物
臨床との関連
CHAPTER 7 側頭窩および側頭骨下窩
概観と局所解剖
側頭窩の境界構造
側頭窩に含まれる構造
側頭下窩の境界構造
側頭下窩に含まれる構造
CHAPTER 8 咀嚼筋群
概観と局所解剖
咀嚼筋群
血液供給
神経支配
臨床との関連
CHAPTER 9 顎関節
概観と局所解剖
解剖
血液供給
神経支配
臨床との関連
CHAPTER 10 翼口蓋窩
概観と局所解剖
境界と開口部
翼口蓋窩の内容物
画像
CHAPTER 11 鼻および鼻腔
概観と局所解剖
鼻
鼻腔
臨床との関連
画像
CHAPTER 12 副鼻腔
概観と局所解剖
前頭洞
篩骨洞
上顎洞
蝶形骨洞
臨床との関連
画像
CHAPTER 13 口腔
概観と局所解剖
外部構造の解剖
口腔の境界構造
歯
口腔の血液供給
口腔の神経支配
唾液腺
臨床との関連
画像
CHAPTER 14 舌
概観と局所解剖
肉眼解剖
筋
神経支配
血液供給
臨床との関連
CHAPTER 15 咽頭
概観と局所解剖
咽頭の区分
筋
咽頭壁の間隙
血液供給
神経支配
臨床との関連
CHAPTER 16 喉頭
概観と局所解剖
軟骨
膜と靱帯
筋
血液供給
神経支配
臨床との関連
CHAPTER 17 頸筋膜
概観と局所解剖
頸筋膜
筋膜隙
臨床との関連
CHAPTER 18 耳
概観と局所解剖
構造と境界
筋
神経支配
血液供給
臨床との関連
CHAPTER 19 眼と眼窩
眼窩の概観と局所解剖
眼窩の骨学
眼窩の内容
臨床との関連
CHAPTER 20 頭頸部の自律神経
自律神経系の概観
頭頸部の交感神経
頭頸部の副交感神経
臨床との関連
CHAPTER 21 口腔内麻酔
概観と局所解剖
下顎の麻酔
上顎の麻酔
CHAPTER 22 上肢,背部,胸部,腹部の概説
概観と局所解剖
骨学
筋
胸郭の内容物
腹部の内容物
血液供給
神経支配
付録A Q & A
付録B リンパ管
索引
和文索引
欧文索引
概観
鰓弓
鰓嚢(咽頭嚢),鰓膜(咽頭膜),鰓裂(咽頭裂)
頭蓋
顔面
口蓋
舌
甲状腺
臨床との関連
CHAPTER 2 骨学
概観
頭蓋骨
観察方向と縫合
主な孔と裂
頸椎
臨床との関連
CHAPTER 3 神経解剖学の基礎と脳神経
神経組織
中枢神経系
末梢神経系
脳神経
臨床との関連
CHAPTER 4 頸部
概観と局所解剖
頸部の三角
前頸三角
後頸三角
後頭下三角
内臓
頸の基部
筋
頸部の血液供給
頸部の神経支配
臨床との関連
CHAPTER 5 頭皮と表情筋
概観と局所解剖
頭皮の概説
頭皮の血液供給
頭皮の神経支配
表情筋の概説
顔面の血液供給
顔面の神経支配
臨床との関連
CHAPTER 6 耳下腺隙と耳下腺
概観と局所解剖
耳下腺隙陥凹
耳下腺隙の内容物
臨床との関連
CHAPTER 7 側頭窩および側頭骨下窩
概観と局所解剖
側頭窩の境界構造
側頭窩に含まれる構造
側頭下窩の境界構造
側頭下窩に含まれる構造
CHAPTER 8 咀嚼筋群
概観と局所解剖
咀嚼筋群
血液供給
神経支配
臨床との関連
CHAPTER 9 顎関節
概観と局所解剖
解剖
血液供給
神経支配
臨床との関連
CHAPTER 10 翼口蓋窩
概観と局所解剖
境界と開口部
翼口蓋窩の内容物
画像
CHAPTER 11 鼻および鼻腔
概観と局所解剖
鼻
鼻腔
臨床との関連
画像
CHAPTER 12 副鼻腔
概観と局所解剖
前頭洞
篩骨洞
上顎洞
蝶形骨洞
臨床との関連
画像
CHAPTER 13 口腔
概観と局所解剖
外部構造の解剖
口腔の境界構造
歯
口腔の血液供給
口腔の神経支配
唾液腺
臨床との関連
画像
CHAPTER 14 舌
概観と局所解剖
肉眼解剖
筋
神経支配
血液供給
臨床との関連
CHAPTER 15 咽頭
概観と局所解剖
咽頭の区分
筋
咽頭壁の間隙
血液供給
神経支配
臨床との関連
CHAPTER 16 喉頭
概観と局所解剖
軟骨
膜と靱帯
筋
血液供給
神経支配
臨床との関連
CHAPTER 17 頸筋膜
概観と局所解剖
頸筋膜
筋膜隙
臨床との関連
CHAPTER 18 耳
概観と局所解剖
構造と境界
筋
神経支配
血液供給
臨床との関連
CHAPTER 19 眼と眼窩
眼窩の概観と局所解剖
眼窩の骨学
眼窩の内容
臨床との関連
CHAPTER 20 頭頸部の自律神経
自律神経系の概観
頭頸部の交感神経
頭頸部の副交感神経
臨床との関連
CHAPTER 21 口腔内麻酔
概観と局所解剖
下顎の麻酔
上顎の麻酔
CHAPTER 22 上肢,背部,胸部,腹部の概説
概観と局所解剖
骨学
筋
胸郭の内容物
腹部の内容物
血液供給
神経支配
付録A Q & A
付録B リンパ管
索引
和文索引
欧文索引








