やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第3版の序
 本書初版が2009年に,第2版が2018年に刊行され,発行当初より好感をもって迎えられ,編集者・執筆者が予期した以上の評価を得ることができ,歯科大学・歯学部解剖学教育での口腔解剖学の教科書として重要な位置を占めるようになっていると思われる.この間,初版および第2版執筆者のそれぞれ6割強,約半数が定年退職などで教育の第一線を退き,全国歯科大学・歯学部解剖学担当教員の世代交代が進んでいる.また,歯科医師国家試験出題基準および歯学教育モデル・コア・カリキュラムの改定が行われ,歯科医師法の改正,歯科医師法施行例の一部を改正する政令の公布により,共用試験が公的化され,共用試験合格が歯科医師国家試験受験の要件とされるなど,歯科医学教育を取り巻く環境も大きく変わりつつある.
 こうした中,超高齢社会・少子化に伴い18歳人口が減少し,文部科学省より「2040年に向けた高等教育のグランドデザイン」が公表され,学修者本位の教育への転換が求められている.また歯学教育モデル・コア・カリキュラム令和4年度改訂版では,「2040年以降の社会も想定した医学・歯学・薬学において共通して求められる資質・能力」が明確化され,アウトカム(学修成果)基盤型カリキュラムへの深化が図られている.これらのことは,教育スタイルが「何を教えたか」から,「何を学び身につけることができたのか」への転換の必要性を意味しており,これまで以上に,効果的な教育手法の開発,教材の提供,および学修者の自学自習,水平的思考が重要となっている.
 「口腔解剖学」は,歯学・歯科医療に重要な口腔領域の構造と機能を理解するための「解剖学」の一学問領域である.歯学部では主に歯および口腔を扱うため,これらの構造を学べば十分であると考えがちであるが,人体の構造は複雑かつ巧妙な仕組みの下つくられている.口腔を含む頭部は,進化の過程で特殊な感覚装置が出現し,集中化してつくられた構造であり,そのつくられ方は四肢を含む体幹とは異なっている.口腔は消化管が始まる部位であり,食物を摂取,咀嚼し,初期消化を行い,食塊を形成して咽頭に送り(食塊移送),嚥下させる,すなわち消化機能をもっている.また,咽頭,喉頭,気管と連絡し,呼吸の補助通路としての機能をもち,さらに,構音機能による発話はコミュニケーションの要ともなっている.これらの機能を発揮するために,骨,筋,神経,血管に加え,歯や唾液腺などのさまざまな構造物が発達してきた.形態形成の原則を鑑みれば,これらの構造を理解するには,口腔という局所だけでなく,全身の構造の理解が必要不可欠である.また,近年,有病高齢者が急増し,「口腔疾患と全身疾患の関わり」「口腔と全身の健康の関係」「医科歯科連携」の重要性が強くうたわれており,これらを理解するためには全身の基本構造を学修しておく必要があることはいうまでもない.「歯学の学修者は口腔付近の解剖学だけを学べばよい」という認識はますます通用しなくなってきている.
 また,臨床歯学は基礎歯学の知識の上に立脚しており,「解剖学は決して用語の暗記学問ではない」ということを初学者には強く意識してほしい.ともすると,これまでの肉眼解剖学の講義は教員からの膨大な知識の提供に偏りがちであったが,解剖学は理解・思考する学問であるということを念頭に置いて学修してほしい.近年の歯科医師国家試験は,単なる想起型の出題から,解釈・問題解決型の出題が増えており,水平型の思考が求められるようになっている.解剖学領域でも,単なる記憶型解剖学の出題から,歯科臨床に即した解剖学,いわゆる応用解剖学的内容の出題や学問分野横断型の出題が増えている.
 第2版の改訂の際には,肉眼解剖学が形態形成の原則や機能に裏付けられた形態を理解させる最も基本的な基礎学問であり,将来,歯科医学・医療に携わる歯学生の重要な基礎科目であることを念頭に置き,低学年の学生に対する歯学への好奇心の喚起,わかりやすい文体での記述および図の多用による初学者の理解と向学心の向上,解剖学と臨床との接点について記述することを改訂の基本原則とした.この第3版では,第2版での基本原則に加え,編集者の追加,執筆者の大幅入れ替えおよび記載内容の見直しを行い,(1)解剖学教員の不足および教育時間数の不足の中,学修者の自己学習への寄与,(2)模型図などの模式図の多用化および新規書き下ろし,(3)構造をよりよく理解するための発生過程の記載,(4)機能を理解させるために必要不可欠な組織構造の記載,(5)歯科応用解剖学の充実および章立ての見直し,(6)第2版で未収録であった歯学教育モデル・コア・カリキュラムの内容の追加を行った.
 また,『解剖学用語改訂13版』(医学書院,2007年)では,解剖学用語で用いる漢字は「コンピュータで使用されることの多い表記を用いること」「日本解剖学会として規定するものではない」とされているが,読者の便を考え,歯科医師国家試験や共用試験CBTで用いられている漢字を用いることとした.将来,歯科医師国家試験や共用試験CBTでの表記が改訂される際,修正を行いたい.
 おわりに,本書がこれまで以上に,多くの歯学生,教員,臨床歯科医師に受け入れられ,本邦の口腔解剖学の標準的教科書としてさらに深化していくことを期待したい.改訂にあたり,本書の編集方針を理解され,多忙の中,短時間で執筆協力いただいた先生方に,この場を借りて心より御礼を申し上げたい.同時に,全面的な改訂作業にあたり,種々の提案,助言をいただいた医歯薬出版編集部の方々に御礼を申し上げる.
 2024年12月
 前田健康
 天野 修
 阿部伸一
 馬場麻人


改訂の序
 本書は,2009年に初版が刊行され,以来,約8年が経過した.この間,2016年度には歯学教育モデル・コア・カリキュラムならびに歯科医師国家試験出題基準の大幅改訂が行われ,社会ニーズに対応した歯学教育内容への改善が求められている.歯科医師国家試験出題基準(平成30年版)では,超高齢社会への対応のための充実に加え,出題項目の可能な限りの包括化・簡素化が行われた.また,初版にも記したが,「口腔と全身のかかわり」が注目されているものの,歯学教育の実際では,顎顔面の解剖学の知識があればよしとする風潮がある.しかしながら,口腔解剖学は一般(全身)解剖学を基盤とした学問であり,また有病高齢者が急増している中,その病態の理解のためには全身の基本構造を学習しておく必要があることはいうまでもない.
 われわれが第2版でとった編集方針は,重要事項の精選を基本とし,これに詳しい解説を加えるという点は初版と同じであるが,ほとんどすべての項目で,新しい記載を加えて内容の充実を図った.同時に,本書の特徴である臨床的記述も書き改め,内容の充実と最新情報への更新を行った.また,できるだけわかりやすい模式図(シェーマ)で説明するように統一することを心がけた.この点から,今回の改訂に当たって,写真を少なくするよう心がけた.理由は以下の通りである.写真による実物の提示は,解剖学から長く離れている開業医などには新鮮なイメージを与えるかもしれないが,学生が「ものの形とその位置関係」を正しく理解する上では,正しい方法とは考えられない.さらに,写真で示された部位が,意図する内容を理解させるのに正確かつ理想的かという意味では疑問が多い.この問題の解決のためには,むしろ過去にヨーロッパならびにわが国で出版されている詳細な解剖図譜(アトラス)を参考として,別に示すべきであると考えた.したがって,やむを得ない,あるいは必要である場合以外は,模式図で説明することにした.
 本書の特徴として,以下のことがあげられよう.第一に,口腔解剖学は人体解剖学の口腔・頭頸部領域に特化した解剖学ではあるが,一般医科向けの解剖学テキストから頭頸部・顔面の部分のみを取り出して編集出版されていた従来のテキストとは異なり,歯学生に必要不可欠な内容はより充実した内容としていること,第二に,通常の講義の教科書の用途に加え,歯科医師国家試験,CBTの準備テキストとして本書がその要求を十分に充たしており,さらに,臨床との関連性について特に紙面を割いたこと,があげられる.このように,本書は,解剖学学習者ならびに教員,さらに各科臨床歯科医師の要望を充たすような編集方針で,全国の歯学部教員により執筆されている.
 本書が初版同様に,学生ならびに教員,臨床歯科医師に受け入れられ,将来,歯科医学における標準的解剖学教科書に深化していくことを期待したい.
 おわりに,改訂にあたり編集方針を理解され,快く協力いただいた著者の方々にお礼を申し上げる.同時に,全面的な改訂作業にあたり,種々の提案,助言をいただいた医歯薬出版編集部の方々にお礼を申し上げる.
 2018年1月
 編者一同


はじめに
歯学で学ぶ解剖学とは
 解剖学は,アリストテレスやヴェサリウスを引き合いに出すまでもなく,医学の歴史上最も早く学問として成立した分野である.わが国でも,日本解剖学会は最も古い医学の学会である.
 これは,医学を学ぶうえで,また医療を施すうえで,まずその対象とする人体の構造を知ることから始める必要があることを物語っている.解剖学が「基礎医学の基礎」と称されるのはこのためである.
 基礎歯科学では,全身の理解と専門分野である口腔とその関連境域の理解の両方の教育を歯学部のなかで行わなければならない.
●なぜ全身の知識が必要なのか
 歯学教育はともすれば,歯科に関係のある項目のみに限って扱う傾向が強かった.これは,さまざまな場面で昔から論じられているように,歯科医療が歯のみを対象として,齲蝕の治療,抜歯,義歯の製作という作業が長く歯科医療のほとんどを占めていたという歴史的事実があったため,その後歯科医療の対象が広がっていった後も,歯科医療ならびに歯学教育従事者の観念が固定したままで経過したからであろう.
 一方で,従来「口腔は全身の一部」,「口腔から全身の健康を観察する」,あるいは「口腔の健康を通じて全身の健康を」と歯科のあり方がさまざまに表現されていながら,歯学教育の実際には反映されることが少ないという欠陥が明瞭にみられる.解剖学の教育でも,顎顔面の解剖学の知識があればよしとする風潮があることは事実である.実際,歯科が解剖実習で首から下を行う意味は何かという極端な意見もまれに聞かれる.
 歯科に凝り固まったこのような概念を修正するためには,歯科医学は医学の一部であると意識し続けることがまず必要で,従来型の「歯科は歯科である,特殊なのである」とする考えは払拭しなければならない.同時に,歯科だからこの程度でよいのだという矮小な自己認識をもたないよう意識することも必要であろう.
 全身を意識するあるいは全身を見渡す歯科医学・歯科医療といいつつ,歯科に関係がないので実習は首から上でよいとする矛盾した風潮がある.もちろん,歯科においては首から下は治療の対象ではない.しかし学部教育では歯科臨床各科を学ぶと同時に,歯科医療の理解と実践において必要となる全身疾患を学ぶので,それに対応する全身の知識は必要である.とりわけ歯科麻酔学では,求められる全身の知識は一般医科での麻酔学と異なるところはない.
 また,口腔とその関連領域の構造は,歯を除けば全身の構造と著しく異なることは少ない.したがって,全身を対象として解剖実習を行うにあたり,とくに運動器では,全身の関節運動に比べて,咀嚼機構の複雑さ巧妙さを学ぶうえでおおいに意味がある.また,人体のさまざまな部位でその構造を剖出し,その合理性と必然性を理解することは,きわめて意義深く,人体さらに生命への畏敬の念を醸成する最善の機会となる.系統解剖学の実習で全身を行うのはこのような意味も含まれている.
 「モデルコアカリキュラム」の導入で共用試験が本格実施されている.平成19年には歯科医学教授要綱が改訂され,続いてモデルコアカリキュラムの改訂,歯科医師国家試験出題基準の改正が行われている.このため,今後の国家試験ではより臨床に密接した基礎歯科学が重要視されると考えられる.この意味で,全身と口腔の関係あるいは全身からみた口腔という概念に改めて目を向ける必要が生じている.したがって,これからの解剖学教育では,全身の構造を念頭にあらためて歯科の専門領域を深く知ることが求められることになろう.
●どのように解剖学を学ぶか
 歯科医学を学ぶ基礎としての解剖学では,まず,全身の系統解剖として,人体の構造を概観し,その成り立ちを説明できるための最低限の知識が要求される.続いて,歯科の専門領域として,顎顔面,あるいは頭頸部の詳細な理解が必要となる.さらに,臨床とくに外科系科目に直結する応用解剖学,局所解剖学とよばれる知識も必須のものとして要求される.
 従来の歯科におけるあるいは歯科学用とする解剖学書は,全身の解剖学のうち,顎顔面を詳しく記載したとするものが多かった.これはこれで意味があるが,読者が医師となることを前提としている教育体系の全身の部分を簡略化したに過ぎない場合が多い.将来歯科医師となる学生にとって,教育される口腔解剖学の構成には,単に口腔とその周囲が詳しいという以上に,歯科医師ならびに歯科医療の専門家の目が届いている「歯科のための解剖学」としての内容が十分反映されていることが必要である.本書は,このような目的で編集されている.
 まず,ヒトという生物の全身の成り立ちを大まかに理解する必要がある.系統解剖学としてそれぞれの系統の成り立ちと相互の関係が説明できることが必要である.全身の構造の理解のためには,個体発生学,さらには比較解剖学と系統発生学の基礎的な知識も有用である.この段階では系統解剖学と局所解剖学の関連を理解し,また臨床歯科を学ぶうえでの基礎をつくる必要がある.そのうえで,口腔解剖学を学ぶことが順序である.ただし,歯の解剖学は,文字通り歯科独特の学問であり,全身に対する知識と分けて学ぶことも可能である.この歯の解剖学の理解のためには,比較解剖学,系統発生学さらには人類学の基礎知識が同様に有用である.また,保存修復学,歯科補綴学など臨床科目の基礎部分として実習(歯型彫刻など)と組み合わせたカリキュラムとしても可能であろう.
 教育する側にとって,理想的な教育を実践しようとすると,相当の時間数を必要とし,これに対して近年の1コマあたりの授業時間削減傾向と減少する授業担当時間という問題が障害となる.また,口腔解剖学として特別に教育する範囲をどこまでにするかという問題も解決が難しいと考える教員もいることと思う.このようななか,上記のような口腔解剖学の教育理念をいかに実現するかは,解剖学担当の教員の知恵と学生の学ぶ熱意とにかかっていると我々は強調したい.同時に,解剖学教員は,解剖学は理解する学問であって,単純に用語を丸暗記するものではないことを学習を始める前に初学者に向かってあらためて強調する必要があることを意識しなければならない.
 本書の編纂は,歯科領域に優れた解剖学教員が多い現在という幸運がなければ不可能であったと考える.多忙のなか執筆協力いただいた先生方には,この場を借りて心より御礼を申し上げたい.今後定期的に見直しを受けながら,本書が真に歯科教育の標準的解剖学教科書として育っていけば,編者らにとって望外の喜びである.
 2009年10月
 監修
  脇田 稔
  山下靖雄
 編集
  井出吉信
  前田健康
  天野 修
第I編 総論
 第1章 解剖学の基礎(前田健康)
  I 解剖学とは
  II 人体の構成
  III 器官系
  IV 解剖学用語
  V 位置・方向用語
   1.解剖学的正位
   2.身体の基準平面
   3.方向を示す用語
  VI 人体の区分
   1.体幹
   2.体肢
 第2章 骨学総論(松永 智,阿部伸一)
  I 骨の種類,機能と表面形状の名称
   1.骨の種類
   2.骨の基本構造
   3.骨の機能
   4.骨の表面形状
  II 人体を構成する骨の数と名称
   1.体幹の骨
   2.上肢骨
   3.下肢骨
 第3章 筋学総論(松永 智,阿部伸一)
  I 筋の種類,機能と名称
  II 筋の組織学的分類
   1.骨格筋
   2.心筋
   3.平滑筋
  III 骨格筋の機能
   1.運動作用
   2.体熱の発生
   3.身体の保護作用
  IV 骨格筋の基本構造
  V 骨格筋の形状と分類
   1.筋の起始・停止
   2.運動の方向
   3.各部位の筋の名称と機能
 第4章 関節学総論(橋富久)
  I 骨の連結による分類
   1.不動関節
   2.半関節
   3.可動関節
  II 関節に関与する骨の数による分類
   1.単関節
   2.複関節
  III 関節の機能(運動軸の数)による分類
   1.一軸性の関節
   2.二軸性の関節
   3.多軸性の関節
  IV 関節面の形態による分類
   1.蝶番関節
   2.車軸関節
   3.楕円関節
   4.平面関節
   5.鞍関節
   6.球関節
  V 滑膜性連結の神経と血管の分布
   1.関節の血管
   2.関節の神経
 第5章 循環器学総論(脈管学総論)
  I 循環器系の概説(沢 禎彦)
   1.循環器系の構成
   2.循環器系の機能
  II 心血管系
   1.体循環と肺循環
   2.血管の吻合
   3.機能血管と栄養血管
   4.血管の神経
   5.血管の構造
   6.循環動態
   7.化学受容器と圧受容器
   8.全身の血管系の概略(前田健康)
   9.心臓
  III リンパ系(入江一元)
   1.リンパ管とリンパ節
   2.リンパ管の壁の構造
   3.胸管とリンパ本幹
   4.リンパ性器官
 第6章 神経学総論
  I 神経系の分類(金銅英二)
  II 神経系の組織構造
   1.神経細胞
   2.神経線維
   3.支持細胞
  III 神経系の発生
   1.概説(山本将仁,阿部伸一)
   2.中枢神経の発生
   3.末梢神経系の発生(春原正隆,井出吉昭)
  IV 中枢神経系(山本将仁,阿部伸一)
   中枢神経系の構成
  V 末梢神経系(春原正隆,井出吉昭)
   1.末梢神経の構造
   2.末梢神経線維の分類
   3.神経節と末梢神経系の解剖学的特徴
   4.末梢神経系の概観
   5.主な末梢神経(前田健康)
 第7章 感覚器学総論(前田健康,山田-佐藤友里恵)
  I 概説
  II 感覚の種類
   1.体性感覚
   2.内臓感覚
   3.特殊感覚
  III 感覚受容器
   1.感覚受容器の分類
   2.体性感覚の感覚受容器
   3.皮膚の感覚受容器
   4.筋・腱の固有受容器
  IV 体性感覚を伝える伝導路(頭部を除く)
   1.識別性触圧覚,深部感覚(意識にのぼるもの)を伝える伝導路
   2.温度覚,痛覚,粗大な触圧覚を伝える伝導路
   3.意識にのぼらない深部感覚を伝える伝導路
  V 皮膚
   1.概説
   2.皮膚の構造
   3.粘膜の構造
 第8章 内臓学総論
  I 内臓とその発生(天野 修)
   1.器官系と内臓
   2.消化器系器官とその発生
   3.呼吸器系器官とその発生
   4.内分泌系器官とその発生
   5.泌尿・生殖器系器官とその発生
  II 器官の分類(滝川俊也)
   1.実質器官
   2.中空器官
  III 漿膜と外膜(天野 修)
   1.漿膜とは
   2.漿膜の構造
   3.胸膜
   4.心膜
   5.腹膜
   6.外膜
  IV 体腔
   1.体腔とは
   2.体腔の区分と境界
  V 間膜
   1.間膜とは
   2.間膜の発生
   3.腹膜後器官
第II編 各論
 第9章 頭頸部の基本構造と体表(天野 修)
  I 頭頸部の区分と部位
  II 頭の部位
  III 顔の部位
   1.眼窩部
   2.鼻部
   3.口部
   4.オトガイ部
   5.眼窩下部
   6.頬部
   7.耳下腺咬筋部
   8.頬骨部
  IV 頸の部位
   1.前頸部(前頸三角)
   2.外側頸三角部(後頸三角)
   3.胸鎖乳突部
   4.後頸部
  V 頭頸部体表の臨床的特徴
   1.Langer線
   2.Valleixの圧痛点
   3.頭部の形態計測点
  VI 頭頸部の基本構造
   1.頭頸部の発生
   2.頭頸部の層構造
   3.筋膜
 第10章 頭頸部の骨(松永 智,阿部伸一)
  I 頭蓋
  II 脳頭蓋
   1.頭蓋冠,頭蓋底,頭蓋腔
   2.脳頭蓋の縫合と泉門
   3.脳頭蓋を構成する骨
  III 顔面頭蓋
   1.顔面頭蓋を構成する骨
   2.眼窩,鼻腔,骨口蓋,翼口蓋窩
 第11章 頭頸部の筋(田松裕一)
  I 頭部の筋
   1.顔面筋
   2.咀嚼筋
  II 頸部の筋
   1.広頸筋
   2.舌骨上筋
   3.舌骨下筋
  III 後頸部の筋
   1.椎前筋群
   2.斜角筋群
  IV 側頸部の筋
   胸鎖乳突筋
 第12章 顎関節(山本将仁,阿部伸一)
   1.骨部
   2.軟組織部
   3.靱帯
   4.関節軟骨
   5.滑膜組織
 第13章 頭頸部の血管系・リンパ系
  I 血管系(上村 守)
   1.頭頸部の動脈系の概略
   2.頭頸部の動脈系の発生
   3.頭頸部の主な動脈
   4.頭頸部の静脈系
   5.頭頸部の静脈系の主な枝
  II リンパ系(宇佐美晶信)
   1.リンパ系の概要
   2.頭部のリンパ節
   3.頸部のリンパ節
   4.扁桃
 第14章 頭頸部の神経系
  I 中枢神経系(馬場麻人,吉田 篤)
   1.中枢神経系の概要
   2.脳神経核
   3.感覚核と感覚の伝導
   4.運動核
   5.脳神経核が関与する反射
  II 末梢神経系(前田健康)
   1.脳神経
   2.頭部の自律神経系
   3.頭頸部に分布する脊髄神経
 第15章 頭頸部の感覚器系(前田健康,山田-佐藤友里恵)
  I 概説
  II 体性感覚
   1.顔面の皮膚および粘膜
   2.歯の感覚
   3.顎関節の感覚
   4.筋感覚
   5.頭部の体性感覚を伝える神経回路
  III 特殊感覚
   1.視覚器
   2.平衡・聴覚器
   3.味覚器
   4.嗅覚器
   5.特殊感覚の主な上行性伝導路
 第16章 頭頸部の内臓
  I 消化器系
   1.口腔(天野 修,ア山浩司)
   2.唾液腺(天野 修)
   3.咽頭(影山幾男)
  II 呼吸器系
   1.鼻腔(薗村貴弘)
   2.副鼻腔
   3.喉頭(寺山隆司)
   4.気管
   5.気管支と肺
  III 内分泌系(野中直子)
   1.頭頸部に存在する内分泌腺の概要
   2.各内分泌腺について
   3.口腔領域に重要なホルモン
第III編 歯科応用解剖学
 第17章 画像解剖学(林 孝文)
  I 口内法エックス線画像の正常像
  II パノラマエックス線画像の正常像
  III 頭部エックス線画像の正常像
   1.頭部後前方向posterior-anterior(PA)撮影法
   2.頭部側方向撮影法
  IV MRIの正常像
  V CT・歯科用コーンビームCTの正常像
  VI 超音波断層像(超音波検査)の正常像
  VII 核医学検査の正常像
 第18章 感染・炎症の波及と隙(馬場麻人)
  I 筋膜隙の臨床的な意義
  II 頸部の筋・筋膜と筋膜隙
  III 口腔周囲の筋膜と筋膜隙
   1.咀嚼筋隙
   2.顎下隙(顎下三角隙)
   3.オトガイ下隙(オトガイ下三角隙)
   4.舌下隙
   5.耳下腺隙
   6.浅顔面隙
   7.扁桃周囲隙
  IV 口腔周囲の隙の周囲への連絡
   1.翼突下顎隙の交通先
   2.顎下隙(顎下三角隙)の交通先
   3.舌下隙の交通先
   4.耳下腺隙の交通先
  V 歯性病巣感染の広がりと膿瘍形成部位
   1.下顎前歯,小臼歯部
   2.下顎大臼歯部
   3.上顎切歯,犬歯,小臼歯部
   4.上顎大臼歯
 第19章 口腔内小手術・口腔インプラント治療のための解剖学(阿部伸一,廣内英智)
  I 下顎骨内部および下顎骨周囲に分布する神経と脈管
   翼突下顎隙を走行する下歯槽神経と下歯槽動・静脈
  II 上顎骨内部および上顎骨周囲に分布する神経と脈管
   1.上顎結節部に分布する神経と動・静脈
   2.上顎小臼歯部,前歯部に分布する神経と動・静脈
   3.口蓋に分布する神経と動・静脈
 第20章 咀嚼と嚥下の解剖学(山本将仁,阿部伸一)
  I 摂食行動の機序
   1.食物の認識(先行期/認知期)
   2.口腔への取り込み(準備期(1))
   3.咀嚼と食塊形成(準備期(2))
   4.舌根部,咽頭への送り込み(嚥下,口腔期)
   5.咽頭通過,食道への送り込み(嚥下,咽頭期)
   6.食道通過(嚥下,食道期)
  II 嚥下障害
 第21章 加齢と歯の喪失に伴う顎骨の変化(塩崎一成,阿部伸一)
  I 口腔・顎顔面領域の成長発育
   1.上顎の成長発育
   2.下顎の成長発育
  II 口腔・顎顔面領域の老化と歯の喪失に伴う変化
   1.顎骨の老化
   2.歯の喪失に伴う顎骨の変化
 第22章 義歯と筋(上田貴之,阿部伸一)
  I 無歯顎の解剖
  II 義歯のための解剖
   1.顔面
   2.上顎
   3.下顎
   4.上下顎に共通するもの
 第23章 骨折の解剖学(冨原 圭,前田健康)
  I 顎骨骨折の病因
  II 顎骨骨折の臨床所見と画像検査
   1.臨床所見
   2.画像検査
  III 骨折の分類
   1.創部との交通の有無による分類
   2.外力の作用部位による分類
   3.骨折の状態による分類
   4.骨折線数による分類
   5.受傷からの期間による分類
  IV 下顎骨骨折
   1.骨折部位による分類
   2.好発部位
   3.骨折好発部位における骨片の偏位
  V 上顎骨骨折
   1.骨折部位による分類
   2.骨片の偏位
  VI 頬骨・頬骨弓骨折
  VII 眼窩壁吹き抜け骨折
  VIII 顔面多発骨折
 第24章 局所麻酔,神経損傷と神経ブロック(一戸達也)
  I 歯科における局所麻酔法の種類
   1.表面麻酔法
   2.浸潤麻酔法
   3.伝達麻酔法
  II 表面麻酔のための解剖学
  III 浸潤麻酔のための解剖学
  IV 伝達麻酔のための解剖学
   1.下顎孔伝達麻酔に関連した解剖学
   2.眼窩下孔伝達麻酔に関連した解剖学
  V 神経損傷と解剖学
  VI 神経ブロックと解剖学
 第25章 止血と脈拍(ア山浩司)
  I 出血
  II 止血
   1.止血機構
   2.止血法
   3.口腔および頸部領域へ分布する動脈
  III 脈拍
   1.頭頸部の動脈
   2.上肢の動脈
  IV 採血
 第26章 気道確保(一戸達也)
  I 気道閉塞
  II 気道確保
  III 用手気道確保
   1.頭部後屈法
   2.顎先挙上法
   3.下顎挙上法
  IV 器具を用いた気道確保
   1.エアウェイ挿入
   2.気管挿管
   3.輪状甲状間膜穿刺
   4.気管切開
 第27章 口腔癌とリンパ(前田健康,田沼順一,ア山浩司,山本信治)
  I 口腔癌と転移
   1.血行性転移
   2.リンパ行性転移
   3.播種性転移
  II 癌の診断・治療におけるリンパ系の臨床的意義
  III 頸部リンパ節の臨床解剖
   1.頸部リンパ節の分類
   2.TNM分類
  IV 頸部郭清術

 コラム1 Posseltの図形と下顎頭の動きの関係(山本将仁,阿部伸一)
 コラム2 顎運動時の下顎頭の位置の変化(山本将仁,阿部伸一)

 索引

 令和5年版歯科医師国家試験出題基準と関連する章
 歯科教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)と関連する章