やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第7版 序
 『歯科矯正学』は,1974年に初版である第1版第1刷が発行され,以後,改版を重ね,約50年が経過し今日に至っております.第6版は2019年1月に発行され,全国レベルの教科書としての認識のもと,多くの日本の歯科大学,歯学部の学生に利用されてきました.
 昨今,様々な科学分野において目まぐるしい変化が遂げられており,歯科医学においても同様に学術的な研究成果をもとにした歯科臨床技術は日進月歩で発展し,歯学教育を取り巻く環境も大きく変化しています.
 具体的には,平成28年から6年ぶりに改定された令和4年版「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」が令和6年度の歯学部入学生から導入されました.また,「歯科医師国家試験出題基準」も令和5年版に改定され,第116回歯科医師国家試験から新基準にて出題されています.また,近年,矯正歯科臨床における診療ガイドラインが策定され,診療システムにおいては,歯科矯正用アンカースクリューの薬事承認により「固定」の概念が刷新されました.また,先天性多数歯欠如や小児の口腔機能発達不全への対応,診断技術のデジタル化や口腔内スキャナーの応用など,診断・治療方針・方法の策定に伴う矯正装置の取り扱い等についても新しい知識と正しい理解が必要です.多くの歯科学生が教科書としている本書においては,これらの内容について見直し,時代の要請に応えて追加記載しています.
 一方で,第7版の編纂においても,これまでと同様,先進的な研究に意欲的に取り組む研究者や確かな知識・技術を有する臨床家を多く育成することを目的とした,歯科学生向けの教科書という基本的な姿勢は,従来同様,堅持しました.また,第6版までに築き上げられた「総論」・「診断学」・「治療学」の大きな骨格をもとにした構成は,第7版でも踏襲しています.
 第7版でもわが国の教育・研究の第一線で活躍されている優れた先生方に執筆をお願いしました.本書が歯科矯正学教育における中心的な教科書として,よりいっそう歯科医学の発展に貢献できれば望外の喜びです.
 編集委員
  後藤滋巳
  齋藤 功
  西井 康
  槇 宏太郎
  森山啓司
  山城 隆


第6版 序
 本書『歯科矯正学』は1974年に榎 恵先生監修による初版が発行されてから,改版を重ねて44年が経過した.これまでの第5版は2008年に第1刷が発行され10年余が経過している.この第5版は多くの大学の先生にご執筆いただき,日本全国の歯科大学,大学歯学部で多くの学生に利用される日本を代表する歯科矯正学の教科書としての地位を得ている.
 一方で,歯科医学は学術的な研究成果や歯科臨床技術の進歩・発展によって日進月歩しており,また歯学教育に対する姿勢やそれを取り巻く環境も昨今大きく変化している.平成28年度(2016年度)には「歯学教育モデル・コア・カリキュラム―教育内容ガイドライン―」が改訂され,平成30年(2018年)には「歯科医師国家試験出題基準」も改訂された.このような背景を鑑みると,多くの歯科学生が教科書としている本書においては,その内容を新たに見直して時代の要請に応えていく必要性が生じているものと考えられる.すなわち第5版の初版が発行されてから10年余を経過した現在,本書は第6版として新たに改訂する必要があるものと考えられる.
 本書は試験対策本や実習書とは異なる.第6版への改訂にあたっては,歯科学生に必要な最低限の内容を網羅することは勿論だが,それだけではなく,先進的な研究に意欲的に取り組む研究者や,確かな知識・技術を有する臨床家を多く育成することをも目的とした歯科学生向けの教科書,参考図書にするという基本的な姿勢を,従来と同じく堅持した.
 第6版の構成は第5版までに築き上げられてきた「総論」・「診断学」・「治療学」の大きな骨格を踏襲し,また細部の章の構成も第5版を基本的に参考にして進めた.この従来からの構成は,歯科大学学長・歯学部長会議によって編纂された「歯科医学教授要綱」の内容に概ね準拠したものである.また執筆者としては,これまでと同様に多くの大学の先生がたにご参加いただくこととし,全国29のすべての歯科大学,大学歯学部の教授31名をはじめとして総勢39名の大学教員の先生がたにご執筆いただいた.執筆依頼から発刊までの間に移動や定年退任されて所属や肩書きが替わられた先生もいらしたが,執筆時には日本国内すべての歯科大学・大学歯学部の教授,准教授が著者として名を連ねた.
 著者を多く擁すると,書物全体の偏りは少なくなるものの,執筆の姿勢に著者間でのバラつきが生じる懸念がある.それを避けるために,編集委員会では頻回に会議を開催し,一般に常識として認められた内容であるかどうか,教科書に記載するに値するエビデンスに基づいた内容であるかどうか,また用語が適切かなど,綿密に内容を検討させていただき,著者にご理解を頂いて修正をお願いしたこともあった.
 本書が学生諸君の教科書,参考書として役立つだけでなく,読者が歯科矯正学に対する興味を深め,延いては将来,歯科矯正学,矯正歯科治療の発展に寄与されることにつながれば,望外の喜びである.
 2018年12月
 編集
  飯田順一郎
  葛西一貴
  後藤滋巳
  末石研二
  槇 宏太郎
  山城 隆


第5版 序
 本書『歯科矯正学』の初版が榎 恵先生の監修により1974年に発刊されてから,早くも30余年が経過した.その間に,いくつもの歯科矯正学の教科書が刊行され,また海外の教科書も数多く翻訳されてきたが,本書は堅実に版を重ね,次第にわが国の代表的な歯科矯正学の教科書のひとつとしての地位を得てきているように思われる.
 このたび,第5版に改訂するにあたり,その当初より,医歯薬出版からは,できるだけ多くの大学機関の先生方にご執筆をお願いして,ぜひとも全国レベルで認識されるような教科書としたいとの並々ならぬご意向をお聞きした.
 いささか大仰な言い方をすれば,教科書は学生教育における公器である.したがって,教科書には基本的にその内容や考え方に偏りがないことが望まれ,その観点からは多数の機関からの参画は歓迎されるところである.ご執筆の依頼をご快諾された先生方の所属先を一顧すれば,全国のほとんどの大学がその名を連ねている.誠にもって,頼もしい限りである.先鋭的や特異的になることを避け,できるだけ標準的な思考のもとで編集にあたることを心がけ,願わくば歯科医師国家試験の問題作成に際しても,参考としていただけるようなわが国の統一的な教科書としたいところが偽りのない思いである.
 ところが,多くの執筆者を擁することは,偏りは少なくなるものの,それだけバラつきが大きくなって収まりが悪くなるのが自然の摂理である.それを避けるためにも,ひたすらそれぞれのご執筆者にご理解をいただき,最先端の研究成果や臨床技術,あるいはご執筆者個人の持説を控えていただき,われわれの分野で長年にわたって十分に揉まれ,すでに国際的にもコンセンサスが得られている歯科矯正学の智恵と技のエッセンスだけに焦点を絞り,その情報を本書でご披露願うことを原則とした.とはいうものの,ことに臨床科学は日進月歩である.教科書も,頑なに守旧一辺倒であってはならぬはずで,そのための改訂版でもある.
 近年の歯科矯正学の進歩を特色づけてきたものは,その対象領域を基礎的にも臨床的にも拡げてきたこと,また臨床診断に際して判断基準の客観性を深めてきたこと,さらには術式もさまざまに展開してきたことなどであろう.それぞれの基本的な理念と実例とが本書に明快に反映できるよう,構成上の工夫と,それにふさわしい執筆者の人選を行って,できるかぎりの対応に努めたつもりである.
 教科書とは一生お付き合いするもの.学生諸君には,本書に提供された歯科矯正学の厳選素材を存分に活かし,それに各自が創意の味つけをされて,学生時代はもとより将来にわたっても,さまざまな問題解決にあたっていただきたい.編集子一同のささやかな希望である.
 2008年3月
 編集
  相馬邦道
  飯田順一郎
  山本照子
  葛西一貴
  後藤滋巳
  (執筆順)


第4版 序
 本書は,大学歯学部あるいは歯科大学の学生を対象にした教科書として企画されたものである.したがって,歯科医学生として学ぶべき“歯科矯正学”の範囲は,網羅されている.さらに,学生の理解を助けるために構成についていくつかの工夫が加えられている.
 まず,“歯科矯正学”を総論,診断学,治療学に大きく分け,総論では基礎領域の関連情報を交えて歯科矯正学を支えている基礎的な部分の解説を行っている.つぎに,診断学では矯正歯科臨床の診断に関連する診査・検査の方法,およびこれらの診査・検査をもとにした総合的な診断について解説している.治療学の項では,矯正歯科治療によってもたらされる生体の反応,各種矯正装置の構成,作用,適応などについて述べている.さらに,ここでは矯正歯科治療の実際について症例を交えての解説を行っている.これらの解説に際して,本書では伝統的な考え方および治療法から,歯科医学生に必要な最新の基礎知識,検査法,治療法まで触れている.
 “歯科矯正学”は,歯科医学生にとって取り組みにくい領域の一つである.なぜなら,学生時代に臨床の現場をみる機会が他の臨床科目に比べて少なく,したがって,症状が治癒していく過程を観察する機会がほとんどないことなどがその理由としてあげられる.
 現在,歯科医学教育の現場では問題志向型の教育が叫ばれている.これは,患者がもつ問題(症状)を具体的に把握することから始まり,これらの問題点を解決するにはどのような診査・検査が必要か,またその結果をどのように考えるのかを学び,最終的にその症状にもっとも適した治療法を学習するというものである.
 このような教授法には,従来型の教科書は向いていないという意見もある.しかし,問題志向型の教育を充実させるのは基礎となる座学的知識を学生がどれほど豊富に持ち合わせるかにかかっている.その座学的な知識を学ぶ場合には,本書のような系統だった教科書が知識の整理には最適といえる.
 歯科医学生が,卒業後臨床に従事した時点で“歯科矯正学”を振り返り学ぶ場合には,本書のような整理された教科書がぴったりである.このような点から,歯科医学人生のあらゆる時点で本書を大いに活用していただきたい.
 2001年3月20日
 編集
  葛西一貴
  後藤滋巳
  亀田 晃
  相馬邦道
  川本達雄
  丹羽金一郎
  (五十音順)


第3版 序
 近年,わが国で出版されている歯科矯正学ならびに矯正治療に関する書籍数は驚くほど急増し,すでに50種を超えている.
 このことは矯正治療を行う歯科医の急増と無関係ではない.
 1980年には『矯正歯科』を標榜する歯科医数が2,680名にすぎなかったのに,わずか8年後の1988年には実に6,800名と2.5倍に達し,その後も依然としてふえ続けている.
 この増加の最も大きな理由は,矯正治療を必要とする歯科医療の分野が著しく拡大したことにある.
 それは補綴的治療に先立って行われる支台歯や鉤歯の矯正治療,咬合の異常に起因する歯周病や顎関節症の治療の一環としての矯正治療,唇顎口蓋裂児や成人の矯正治療の急増などによるもので,好むと好まざるとを問わず,すべての歯科医が矯正治療に正しい理解を持ち,適切な矯正治療を行いうることが要望されるようになったからである.
 本書は1974年,榎 恵先生の監修によって出版された“歯科矯正学”(本橋康助,岩澤忠正 編集,医歯薬出版)の改訂版として企画されたものである.
 本書では前書の刊行後,十数年間においてさらに進展,開発された学理や新しい矯正装置,治療方法などのうち,広く内外で認められたものをより多くとり入れることにつとめた.
 そして,その執筆にはそれぞれの項目に最もふさわしい方を選んだため,歯科矯正学の教授17名とともに,全執筆者数は31名に達している.
 執筆者はそれぞれの分野に精通する教育者であるだけに,分担されたテーマの記述はきわめて簡明で理解しやすいもので,学生ばかりでなく多くの臨床医にとっても座右の書となりうるものと自負している.
 この本が日本の歯科矯正学の発展と,矯正臨床の普及の一助となることを願っている.
 1991年9月
 編集
  飯塚哲夫
  瀬端正之
  岩澤忠正
  本橋康助
  (五十音順)


第2版 序
 本書が第1版を刊行してから早くも5年,幸いに刷数も第6刷を重ね,ようやく版を改める機が熟してきたようである.しかし現実にどの章のどこを改め,どのような新しい情報を加えるかなどとなると,とまどいがないとはいえない.初版の序に述べたように教科書というものは,研究業績の報告などとは違って,“これならば一般に同感なり評価を得たと考えてよいという段階”で,その研究なり技術を取上げるべきだと考えているからである.
 この5年間に得られためぼしい業績は無くはない.たとえば,いわゆる整形外科的な強い力を用いて,単に歯の位置だけでなく,成長を抑制したり,隣接骨組織までの形を変えようとする試みが,基礎的実験のみでなく,臨床面でもかなりの業績をあげつつある.しかし,これを今の段階で教科書に取上げるのには,まだためらいを感ぜずにはいられない.一方,新しい名称を冠した技術が2,3はなばなしく登場し,一部の術者の間でも試みられつつある.しかし日本人の不正咬合に対しての応用面での評価が定まったとはいえない.また舌を含めての口腔周囲筋の異常な機能や行動を改善するための学際的な研究と,その臨床応用面での専門的な人材を養成しようとする試みも初期の段階にある.
 以上のようなわけで,今回の改版ではきわめて限られた部分の削除と追加とに限られた.“歯の小移動”M.T.M.という章を加えたのは,矯正学的な知識と技術の応用で,咬合のよりよい修復や,よりよい補綴物ができることは臨床家にとっての喜びであり,患者にとっても幸せであるに違いないからである.しかも,かならずしも専門的な技術を要するものでもなく,一応の研修を受ければ可能であることによるのである.
 本年になってようやく歯科において“矯正歯科“,“小児歯科”という診療科名の標榜が許されるようになった.専門家による高度の治療はそれなりに必要ではあるが,将来は一般の臨床家でも,ある程度の矯正学的知識や一部の技術が必要となる時期がくるに違いない.すでに小児歯科と矯正歯科との間でも重なり合いの分野がふえつつある.また全口腔単位治療とか,プライマリー・ケアという診療計画の必要性が強調されるようになった現在,一般臨床家にとっても,“患者にとって今何が必要か”を把えるために,専門的領域と考えられる分野についても一通りの情報を持つ必要が要求されるであろう.本書が在学生の教科書のみならず,そのような役目を果たしてくれることを念願している.
 1979年11月
 榎 恵


第1版 序
 第二次世界大戦を終えて間もなく1947年,恩師 高橋新次郎先生の戦前の著書である“矯正歯科学“の第6版と,岩垣 宏先生の“小矯正歯科学”とが刊行されたが,間もなく絶版となり,1960年に高橋先生の著書が全く装いを新たにして“新編歯科矯正学“として刊行されるまでは歯科矯正学の教科書は絶無であった.1965年には斎藤先生の“歯科矯正治療の臨床”が刊行されたが,基礎理論編を欠くために教科書としては用いられず,高橋新次郎先生の“新編歯科矯正学”のみがここ十数年にわたって唯一の教科書として用いられてきた.
 しかし“新編歯科矯正学”が刊行されてからすでに十数年の年月を閲している.その間1960年ごろを境として歯科矯正学は基礎的な面においても,技術面においても新しい進展が見られ,それらのうちのいくつかの情報はすでに外国の教科書に採り入れられつつある現状である.
 個人的な意見ではあるが,私は教科書というものは息の永い存在であるところに価値があるものであると考えている.日進月歩とはいえ,基礎理論的な業績が国際的な評価を経るまでには長い年月を必要とするものであり,また技術的な面でも多くの臨床的な追試を経て初めて国際的な承認を得るものなのである.したがってそれらの研究や報告が発表された段階で,これを教科書に採り入れるというような性急な態度はとるべきでないと考えている.
 しかし現状はこれらの新しい情報のいくつかはすでに各大学の教育の中に採り入れられつつあり,それらを含めた新しい教科書の刊行を望む声がある.
 本橋康助・岩澤忠正両教授が本書の刊行を企画されたのも,それらの要望をふまえてのことときいている.両教授はこうした考えに基づいて志を同じくする同僚にはかり,執筆者とその担当項目とを選んで共同執筆の形をとる教科書の刊行を企て,その監修を私に求められたのである.
 それぞれの執筆者はその項目にふさわしく適任であると思われたので,監修といえばおこがましいが,ひととおり眼をとおして,重複するところ,調整を要するところなどについていささか助言し,ほぼ矯正教科書として体裁をととのえることができるように力添えをさせてもらったのである.
 多数の執筆者からなる書物の利点は前述のように,おのおのが得意の領域について筆を執ることができることではあるが,一方では一貫したフィロソフィーに欠けるうらみがあって,ともすれば歩み寄りによって個性的な考えが失われることもある.しかし教科書としては片寄りがないという点で利点といえなくもない.
 つとめて同じ事項についての重複を避けることを心がけたが,ときには重複は学生諸君の記憶を強化することに役立つと思いあえてそのままにしたところもある.また学会で選定するに至っていない新しい学術用語の訳についても一貫しない点もあるが,原語を付しているのでその同定はできるものと思っている.
 本書が学生諸君に歯科矯正学に対する興味を覚えしめ,進んでその研究や技術の修得に志す人が増加することができれば執筆者の喜びこれにまさるものはないであろう.
 1974年9月
 榎 恵
I編 総論
 1章 歯科矯正学の定義と歴史(新井一仁)
  I 歯科矯正学の語源と定義
   I・1 歯科矯正学の語源
   I・2 歯科矯正学の定義
  II 歯科矯正学の歴史
   II・1 欧米における歯科矯正学の歩み
   II・2 日本における発展
 2章 矯正歯科治療の目的と意義(森山啓司)
  I 矯正歯科治療の目的
  II 不正咬合による障害
   II・1 齲蝕の誘因
   II・2 歯周病の誘因
   II・3 外傷の誘因
   II・4 歯根吸収の誘因
   II・5 咀嚼機能障害
   II・6 筋機能異常
   II・7 顎骨の発育異常
   II・8 発音異常
   II・9 審美的な欲求と心理的な背景
  III 矯正歯科治療の意義
 3章 成長発育
  I 成長発育概論(上岡 寛)
   I・1 成長発育の定義
   I・2 成長発育のパターン
   I・3 一般的な身体発育経過
   I・4 成長発育の評価法
   I・5 相対成長
   I・6 生理的年齢
   I・7 社会性・言語・情動の発達
   I・8 成長発育の影響因子
  II 頭蓋および顎顔面骨の発生および成長(山城 隆)
   II・1 頭部の発生
   II・2 頭蓋骨の発生
   II・3 頭蓋骨の成長発育
   II・4 脳頭蓋の成長発育
   II・5 顔面頭蓋の成長発育
   II・6 加齢変化(成人以降の加齢変化)
  III 歯列と咬合の成長発育・加齢変化(須田直人)
   III・1 歯の形成と萌出
   III・2 乳歯列期の咬合
   III・3 混合歯列期の咬合
   III・4 永久歯列期の咬合
   III・5 咬合発育段階(歯齢)
   III・6 歯列弓の大きさの変化
   III・7 歯列弓の加齢変化
  IV 口腔機能の発達(宮脇正一)
   IV・1 咀嚼
   IV・2 嚥下
   IV・3 発音
 4章 咬合
  I 咬合概論(橋一郎)
   I・1 咬合の定義
   I・2 咬合の解剖学
   I・3 咬合の生理学
   I・4 咬合と顎運動
  II 正常咬合
   II・1 正常咬合の概念
   II・2 永久歯列期の正常咬合
   II・3 乳歯列期の正常咬合
   II・4 混合歯列期の正常咬合
   II・5 正常咬合の成立とその保持条件
  III 不正咬合(友成 博,関谷利子)
   III・1 不正咬合の疫学
   III・2 不正咬合の種類
   III・3 不正咬合の分類
 5章 不正咬合の原因
  I 不正咬合の原因のとらえ方(森山啓司,辻 美千子)
   I・1 環境的要因と遺伝的要因
   I・2 先天的原因と後天的原因
  II 先天的原因
   II・1 不正咬合を発現する主な先天異常
   II・2 歯数の異常
   II・3 歯の形態異常
   II・4 口腔軟組織の形態異常
  III 後天的原因(小野卓史,細道 純)
   III・1 全身的原因
   III・2 局所的原因
 6章 不正咬合の予防(西井 康,有泉 大)
  I 不正咬合の予防の意義と目的
   I・1 予防矯正
   I・2 抑制矯正
  II 乳歯列期における予防
   II・1 機能的に偏位した顎位の改善
   II・2 口腔習癖の除去
   II・3 欠損部の保隙
   II・4 乳歯の先天性欠如,癒合歯への対応
  III 混合歯列期における予防
   III・1 過剰歯
   III・2 永久歯の先天性欠如
   III・3 乳歯の晩期残存
   III・4 乳歯の早期喪失
   III・5 小帯の異常
   III・6 歯の骨性癒着
   III・7 永久歯の萌出方向の異常
   III・8 口腔習癖,口腔周囲筋の異常
   III・9 呼吸の問題
  IV 永久歯列期における予防
   IV・1 最後臼歯の萌出余地不足
   IV・2 歯周病
 7章 矯正歯科治療に伴う生体反応(溝口 到)
  I 全身的反応
  II 局所的反応
   II・1 歯,歯周組織
   II・2 顎骨,顎関節などに起こる反応
  III 歯の移動に伴う骨改造
  IV 最適な矯正力による反応
  V 強い矯正力による反応
  VI 上顎歯列弓の拡大
  VII 全身状態との関連性
   VII・1 ビスホスホネート(BP)類
   VII・2 抗炎症薬
   VII・3 糖尿病
   VII・4 感染性心内膜炎
   VII・5 若年性特発性関節炎
   VII・6 低身長
II編 診断学
 8章 診断(佐藤嘉晃)
  I 診断の基本
   I・1 矯正歯科治療における診断の特徴
   I・2 矯正歯科治療の流れとインフォームドコンセント,問題指向型診療
   I・3 根拠に基づいた医療と診療ガイドライン
  II 医療面接と診察
   II・1 医療面接
   II・2 診察
 9章 検査
  I 形態的検査(槇 宏太郎,芳賀秀郷)
   I・1 全身的検査
   I・2 顔面写真
   I・3 口腔内写真
   I・4 口腔模型
   I・5 セットアップモデル
   I・6 画像検査
   I・7 頭部エックス線規格写真分析(北井則行)
  II 機能検査(小野卓史,細道 純)
   II・1 下顎運動検査
   II・2 筋機能検査
   II・3 咀嚼機能検査
   II・4 咬合機能検査
   II・5 嚥下機能検査
   II・6 発音機能検査
 10章 治療目標・治療計画の立案(根岸慎一)
  I 分析結果による問題リストの作成
  II 治療目標の設定
   II・1 顎関係の不正
   II・2 歯列・咬合関係の不正
   II・3 その他
  III 治療計画の立案
   III・1 治療の開始時期
   III・2 治療方法
   III・3 治療結果の評価
  IV 治療後の安定性の予測
 11章 矯正歯科治療における抜歯の考え方(川元龍夫)
  I 歴史的背景
  II 抜歯の必要性
   II・1 目的
   II・2 適応症
   II・3 抜歯の基準
  III 抜歯の部位と数
   III・1 乳歯の抜去
   III・2 永久歯の抜去
   III・3 過剰歯などの抜去
  IV 連続抜去法
   IV・1 連続抜去法とは
   IV・2 術式
   IV・3 連続抜去法の利点と欠点
III編 治療学
 12章 治療学概論(西井 康,有泉 大)
  I 矯正歯科治療の目的
  II 動的矯正治療の種類
   II・1 予防矯正
   II・2 抑制矯正(一期治療)
   II・3 本格矯正(二期治療)
  III 矯正歯科治療の開始時期
  IV 治療結果の評価
 13章 矯正力(田渕雅子,後藤滋巳)
  I 矯正力の種類
   I・1 作用目的による分類
   I・2 矯正力の大きさと作用様式による分類
  II 歯の移動様式
 14章 矯正歯科治療における固定(田中栄二)
  I 固定の定義と意義
   I・1 定義
   I・2 意義
  II 固定の種類
   II・1 部位による分類
   II・2 抵抗の性質による分類
   II・3 抜歯空隙利用のための固定の分類
   II・4 歯科矯正用アンカースクリューによる固定
 15章 矯正用材料の特性(吉田教明)
  I 矯正用材料の具備すべき条件
  II 矯正用ワイヤー
   II・1 矯正用ワイヤーの機械的特性
   II・2 矯正用ワイヤーの材質と特性
  III 高分子材料
   III・1 エラスティック
   III・2 接着材
   III・3 床用レジン
 16章 矯正装置
  I 矯正装置の種類と特徴(松本尚之)
   I・1 矯正装置の基本的条件
   I・2 矯正装置の分類
     (1)器械的矯正装置
     (2)機能的矯正装置
   I・3 歯科技工士との連携
  II 器械的矯正装置
   II・1 固定式矯正装置
    A 唇・舌側弧線装置(玉置幸雄)
     (1)リンガルアーチ(舌側孤線装置)
     (2)パラタルアーチ
     (3)Nanceのホールディングアーチ
     (4)タングクリブ
    B マルチブラケット装置(本吉 満)
     (1)エッジワイズ装置
    C 拡大装置(新井一仁,栃木啓佑)
     (1)急速拡大装置
     (2)固定式の緩徐拡大装置
     (3)可撤式の緩徐拡大装置
   II・2 可撤式矯正装置
    A 顎内固定装置
     (1)床矯正装置
     (2)咬合斜面板
     (3)咬合挙上板
     (4)スライディングプレート
    B 顎外固定装置(佐藤和朗)
     (1)ヘッドギア(上顎顎外固定装置)
     (2)チンキャップ(オトガイ帽装置)
     (3)上顎前方牽引装置
    C その他(槇 宏太郎)
     (1)アライナー型矯正装置(マウスピース型矯正装置)
  III 機能的矯正装置
     (1)アクチバトール(藤原琢也,後藤滋巳)
     (2)バイオネーター(宮澤 健,後藤滋巳)
     (3)Frankel装置(ファンクショナルレギュレーター)
     (4)リップバンパー
  IV その他の矯正装置
     (1)バイトジャンピングアプライアンス
     (2)Herbst装置
     (3)顎外力を併用した機能的矯正装置
     (4)ペンデュラム装置
 17章 乳歯列期・混合歯列期の治療
  I 乳歯列期の治療(根岸慎一)
   I・1 歯性の異常
   I・2 口腔習癖
   I・3 咬合関係の異常
  II 混合歯列期の治療(飯嶋雅弘)
   II・1 上顎前突
   II・2 下顎前突
   II・3 開咬
   II・4 過蓋咬合
   II・5 臼歯部交叉咬合(根岸慎一)
   II・6 前歯部叢生,捻転
   II・7 正中離開(川元龍夫,黒石加代子)
   II・8 歯の異所萌出(川元龍夫,郡司掛香織)
   II・9 低位乳歯
   II・10 口腔習癖による不正咬合(西井 康,有泉 大)
 18章 永久歯列期の治療
  I 上顎前突(宮脇正一)
   I・1 定義
   I・2 要因と治療法
  II 下顎前突(小林さくら子)
   II・1 下顎前突の形態的特徴
   II・2 下顎前突の治療の考え方
   II・3 各成因への対応
  III 叢生(山口徹太郎,池中僚亮)
   III・1 原因
   III・2 治療法
  IV 上下顎前突(山口徹太郎,小泉 創)
   IV・1 原因
   IV・2 治療法
   IV・3 保定
  V 過蓋咬合(福井和徳,川鍋 仁)
   V・1 定義
   V・2 治療上の留意点
  VI 開咬(北浦英樹)
   VI・1 定義
   VI・2 治療法
  VII 交叉咬合(谷本幸太郎)
   VII・1 定義
   VII・2 特徴
   VII・3 治療上の留意点
  VIII 埋伏(松本尚之,西浦亜紀)
   VIII・1 原因
   VIII・2 埋伏歯に起因する続発症
   VIII・3 矯正歯科治療の適否
   VIII・4 治療の手順
   VIII・5 治療の留意点
  IX 外傷(小林さくら子)
   IX・1 原因と分類
   IX・2 受傷後にみられる症状と変化
   IX・3 矯正歯科治療における一般的注意点
 19章 保定
  I 保定とは(齋藤 功)
   I・1 定義と意義
   I・2 保定の種類
  II 保定装置
   II・1 可撤式保定装置
   II・2 固定式保定装置
  III 保定期間
  IV 再発とその防止策(松本尚之)
   IV・1 再発
   IV・2 再発防止策
   IV・3 外科的矯正治療後の再発とその防止策
 20章 チーム医療の中の矯正歯科治療
  I 口唇裂・口蓋裂の矯正歯科治療(槇 宏太郎,長濱 諒)
   I・1 概論
   I・2 術前顎矯正治療
   I・3 乳歯列期・混合歯列期の矯正歯科治療
   I・4 顎裂部骨移植術
   I・5 永久歯列期の矯正歯科治療
  II 顎変形症の矯正歯科治療(齋藤 功)
   II・1 外科的矯正治療の目的
   II・2 外科的矯正治療の適応症
   II・3 外科的矯正治療の手順
  III 顎関節症と矯正歯科治療(谷本幸太郎)
   III・1 顎関節症の概念
   III・2 顎関節症の診断
   III・3 顎関節症を伴う不正咬合に対する矯正歯科治療の留意点
  IV 歯の先天性欠如と矯正歯科治療(森山啓司,東堀紀尚)
   IV・1 概要
   IV・2 歯および顎顔面形態の特徴
   IV・3 病因
   IV・4 診断
   IV・5 先天性多数歯欠損症に対する矯正歯科治療
  V その他の矯正歯科治療(玉置幸雄,石井太郎)
   V・1 補綴科,保存修復科との連携
   V・2 歯周病科との連携
   V・3 口腔外科との連携
 21章 矯正歯科治療における口腔衛生管理(藤原琢也,後藤滋巳)
  I 矯正歯科治療前の口腔内環境
  II 矯正歯科治療中の口腔内環境
  III 口腔内環境の検査と記録
  IV 口腔衛生指導
   IV・1 矯正歯科治療開始前の口腔衛生指導
   IV・2 矯正歯科治療中の口腔衛生指導
   IV・3 生活習慣への指導
   IV・4 医療者による口腔衛生管理と清掃指導
  V 矯正歯科治療における口腔衛生管理
 22章 矯正歯科治療に伴う偶発症・併発症
  I 歯根吸収(藤原琢也,後藤滋巳)
  II 白濁・齲蝕
  III 歯周組織への為害作用
  IV 口腔軟組織への傷害
  V 顎関節症
  VI 皮膚への傷害
  VII アレルギー
   VII・1 金属アレルギー
   VII・2 ラテックスアレルギー
  VIII 歯科矯正用アンカースクリューによる併発症(宮澤 健,後藤滋巳)
付録 矯正用材料,矯正用器械・器具
  I 矯正用材料(吉田教明)
   I・1 線材料
   I・2 バンド材料
   I・3 ブラケット
   I・4 接着材
   I・5 エラスティック
   I・6 床用レジン
   I・7 その他の矯正用材料
  II 矯正用器械・器具(影山 徹,川原良美)
   II・1 バンド製作のための器具
   II・2 線屈曲のためのプライヤー
   II・3 装着のための器具
   II・4 ワイヤーの切断に用いる器具
   II・5 その他の器具

 コラム
  早期治療と限局治療(西井 康)
  スタンダードエッジワイズ法とストレートワイヤー法(本吉 満)
  睡眠時無呼吸(小野卓史,細道 純)

 参考文献
 索引