序文
本書の前身である『歯科医のための耳鼻咽喉科学』は1984年に初版,1996年に第2版が出版された.1994年より耳鼻咽喉科学が「歯科医学教授要綱」に組み込まれたため,第2版出版の主目的は本書を教授要綱に準拠した内容にすることであった.その後,本要綱は2007年の改訂で終了し,現在は「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」に従って,より実践的診療能力を重視した学生教育が行われている.
耳鼻咽喉科領域では耳鼻咽喉以外の顔面,頸部領域病変に対する認知度が高まり,2021年には診療科名を耳鼻咽喉科頭頸部外科と改めた.第2版出版後27年経過した現在,コンピュータの汎用,AIの導入などで,検査,診断,治療,手術のいずれにも大きな進歩があった.遺伝子診断の導入や免疫チェックポイント阻害薬の使用,内視鏡下手術の一般化とナビゲーションシステムの導入などはその代表である.一方,従来の慢性副鼻腔炎とは病態が異なり,手術治療だけでは対応が困難な好酸球性副鼻腔炎の増加などが問題となっている.このような状況下,第2版の内容を刷新し,これまでの進歩と最新の情報を取り込むために新版『歯科医師のための耳鼻咽喉科頭頸部外科学』を出版する運びとなった.
改訂の準備は2021年春,新型コロナウイルス感染症第4波流行期に始まった.その後も繰り返す流行のため,対面での編集会議を行うことができず,電子メール,Web編集会議での意見交換,討議を繰り返し発刊に至った.この間2年半が経過し,2023年5月には本感染症は第2類から第5類感染症に移行した.まさに本感染症への対応に追われる中での執筆,編集であった.
本書の基本的構成は第2版と同様である.各章に「歯科との関連」の項を設け,本文の理解を助けるために参考となる疾患,検査,用語を「メモ」として入れ,新たに注目を浴びている疾患あるいは検査法などを「トピックス」として記載した.今回の特徴の一つは,過去数年の歯科医師国家試験問題から当科領域に関連ある数題を選び,解説を加えて巻末に提示したことである.これは増刷のたびに問題を差し替える予定である.歯科医師諸先生には基本的な事項や新知見の確認,学生諸君には国家試験対策の一助にしていただきたい.本書をより有用なものするため,諸氏より忌憚のないご批判,ご指摘をいただければ幸甚である.
2023年11月
監修,編集委員一同
本書の前身である『歯科医のための耳鼻咽喉科学』は1984年に初版,1996年に第2版が出版された.1994年より耳鼻咽喉科学が「歯科医学教授要綱」に組み込まれたため,第2版出版の主目的は本書を教授要綱に準拠した内容にすることであった.その後,本要綱は2007年の改訂で終了し,現在は「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」に従って,より実践的診療能力を重視した学生教育が行われている.
耳鼻咽喉科領域では耳鼻咽喉以外の顔面,頸部領域病変に対する認知度が高まり,2021年には診療科名を耳鼻咽喉科頭頸部外科と改めた.第2版出版後27年経過した現在,コンピュータの汎用,AIの導入などで,検査,診断,治療,手術のいずれにも大きな進歩があった.遺伝子診断の導入や免疫チェックポイント阻害薬の使用,内視鏡下手術の一般化とナビゲーションシステムの導入などはその代表である.一方,従来の慢性副鼻腔炎とは病態が異なり,手術治療だけでは対応が困難な好酸球性副鼻腔炎の増加などが問題となっている.このような状況下,第2版の内容を刷新し,これまでの進歩と最新の情報を取り込むために新版『歯科医師のための耳鼻咽喉科頭頸部外科学』を出版する運びとなった.
改訂の準備は2021年春,新型コロナウイルス感染症第4波流行期に始まった.その後も繰り返す流行のため,対面での編集会議を行うことができず,電子メール,Web編集会議での意見交換,討議を繰り返し発刊に至った.この間2年半が経過し,2023年5月には本感染症は第2類から第5類感染症に移行した.まさに本感染症への対応に追われる中での執筆,編集であった.
本書の基本的構成は第2版と同様である.各章に「歯科との関連」の項を設け,本文の理解を助けるために参考となる疾患,検査,用語を「メモ」として入れ,新たに注目を浴びている疾患あるいは検査法などを「トピックス」として記載した.今回の特徴の一つは,過去数年の歯科医師国家試験問題から当科領域に関連ある数題を選び,解説を加えて巻末に提示したことである.これは増刷のたびに問題を差し替える予定である.歯科医師諸先生には基本的な事項や新知見の確認,学生諸君には国家試験対策の一助にしていただきたい.本書をより有用なものするため,諸氏より忌憚のないご批判,ご指摘をいただければ幸甚である.
2023年11月
監修,編集委員一同
1章 耳科学
1 聴覚系の解剖(山野貴史)
1.外耳
2.中耳
3.内耳
2 聴覚系の機能(高橋真理子)
1.外耳
2.中耳
3.内耳(蝸牛)
4.蝸牛神経,聴覚中枢路
3 聴覚系の検査
1.一般検査
2.聴覚検査
3.耳管機能検査
4.画像検査
4 平衡系の解剖(山野貴史)
1.前庭
2.半規管
3.前庭神経と中枢路
5 平衡系の機能(相馬啓子)
1.前庭器の機能
2.半規管の機能
3.前庭反射
6 平衡機能検査
1.立ち直り検査,偏倚検査
2.眼振検査
3.カロリックテスト(温度刺激検査)
7 耳疾患(高橋真理子)
1.外耳疾患
2.中耳疾患
3.内耳疾患
歯科との関連
2章 鼻科学
1 鼻の解剖(相馬啓子)
1.外鼻
2.鼻腔
3.副鼻腔
4.鼻副鼻腔の血管
5.鼻副鼻腔の神経
2 鼻の機能
1.嗅覚
2.気道としての機能(加温,加湿,浄化)
3.共鳴作用
3 鼻の検査
1.前鼻鏡検査
2.内視鏡検査
3.鼻腔通気度検査
4.嗅覚検査法
5.画像診断
4 鼻疾患(飯村慈朗)
1.鼻出血
2.鼻中隔彎曲症,肥厚性鼻炎
3.アレルギー性鼻炎
4.副鼻腔炎
5.嚢胞性疾患
6.腫瘍性疾患
7.外傷性疾患
歯科との関連(相馬啓子)
3章 口腔・咽頭科学
1 口腔・咽頭の解剖(馬場 優)
1.口腔の解剖
2.咽頭の解剖
2 口腔・咽頭の機能
1.口腔の機能
2.咽頭の機能
3 口腔・咽頭の検査(志賀清人,片桐克則)
1.唾液分泌検査
2.味覚検査
3.内視鏡検査
4.嚥下機能検査
4 口腔・咽頭の疾患(松塚 崇,江原雄一)
1.口腔の疾患
2.唾液腺の疾患
3.咽頭の疾患
歯科との関連(松塚 崇)
4章 喉頭科学
(佐藤雄一郎)
1 喉頭の解剖
1.喉頭の軟骨
2.喉頭の筋肉
3.喉頭の内腔
2 声帯の構造と音声機能
1.組織学的構造
2.音声機能
3 喉頭の検査
1.間接喉頭鏡検査
2.喉頭内視鏡検査
3.ストロボスコピー
4 喉頭の疾患
1.急性喉頭炎
2.急性喉頭蓋炎
3.声帯結節
4.声帯ポリープ
5.喉頭乳頭腫
6.ポリープ様声帯
7.喉頭肉芽腫
8.喉頭白板症
9.声帯麻痺
10.喉頭癌
歯科との関連
5章 気管・食道科学(頸部)
(長谷川泰久)
1 気管・気管支の解剖と機能
2 気管・気管支の検査
3 気管・気管支の疾患
1.気管・気管支炎
2.慢性気管・気管支炎
3.気管の外傷
4.気管腫瘍
5.気管・気管支異物
4 気道確保の手技
1.気管切開術
2.緊急気道確保
3.気管切開の合併症
5 食道の解剖と機能
6 食道の検査
1.食道内視鏡検査
2.病理組織学的検査
3.画像診断
7 頸部食道の疾患
1.食道異物
2.腐食性食道炎および食道狭窄
3.食道癌
歯科との関連
6章 音声言語医学
1 音声医学(山野貴史)
1.声の特徴と機能および調節
2.音声障害の発声のメカニズム
3.音声障害の分類と評価
4.音声障害の検査
5.音声障害の治療
2 言語医学(倉智雅子,阿志賀大和)
1.言語と話しことば
2.言語
3.話しことば
歯科との関連(佐藤雄一郎)
7章 頭頸部外科学
1 頭頸部外科学について(五十嵐文雄)
2 顔面・頸部の発生
1.顔面の発生
2.頸部の発生
3 顔面・頸部の解剖
1.顔面の筋肉
2.頸部の筋肉,筋膜
3.血管
4.神経
5.甲状腺
4 顔面頸部の検査
1.視診・触診
2.X線検査
3.CT,MRI検査
4.超音波検査
5.核医学検査
6.病理学的検査
5 顔面頸部の疾患
1.顔面の疾患
2.頸部の疾患
6 顔面・頸部の形成外科(野村 務)
1.再建の種類
2.部位別の再建方法
歯科との関連(五十嵐文雄)
付録 耳鼻咽喉科頭頸部外科学領域の歯科医師国家試験問題過去問(抜粋)
索引
1 聴覚系の解剖(山野貴史)
1.外耳
2.中耳
3.内耳
2 聴覚系の機能(高橋真理子)
1.外耳
2.中耳
3.内耳(蝸牛)
4.蝸牛神経,聴覚中枢路
3 聴覚系の検査
1.一般検査
2.聴覚検査
3.耳管機能検査
4.画像検査
4 平衡系の解剖(山野貴史)
1.前庭
2.半規管
3.前庭神経と中枢路
5 平衡系の機能(相馬啓子)
1.前庭器の機能
2.半規管の機能
3.前庭反射
6 平衡機能検査
1.立ち直り検査,偏倚検査
2.眼振検査
3.カロリックテスト(温度刺激検査)
7 耳疾患(高橋真理子)
1.外耳疾患
2.中耳疾患
3.内耳疾患
歯科との関連
2章 鼻科学
1 鼻の解剖(相馬啓子)
1.外鼻
2.鼻腔
3.副鼻腔
4.鼻副鼻腔の血管
5.鼻副鼻腔の神経
2 鼻の機能
1.嗅覚
2.気道としての機能(加温,加湿,浄化)
3.共鳴作用
3 鼻の検査
1.前鼻鏡検査
2.内視鏡検査
3.鼻腔通気度検査
4.嗅覚検査法
5.画像診断
4 鼻疾患(飯村慈朗)
1.鼻出血
2.鼻中隔彎曲症,肥厚性鼻炎
3.アレルギー性鼻炎
4.副鼻腔炎
5.嚢胞性疾患
6.腫瘍性疾患
7.外傷性疾患
歯科との関連(相馬啓子)
3章 口腔・咽頭科学
1 口腔・咽頭の解剖(馬場 優)
1.口腔の解剖
2.咽頭の解剖
2 口腔・咽頭の機能
1.口腔の機能
2.咽頭の機能
3 口腔・咽頭の検査(志賀清人,片桐克則)
1.唾液分泌検査
2.味覚検査
3.内視鏡検査
4.嚥下機能検査
4 口腔・咽頭の疾患(松塚 崇,江原雄一)
1.口腔の疾患
2.唾液腺の疾患
3.咽頭の疾患
歯科との関連(松塚 崇)
4章 喉頭科学
(佐藤雄一郎)
1 喉頭の解剖
1.喉頭の軟骨
2.喉頭の筋肉
3.喉頭の内腔
2 声帯の構造と音声機能
1.組織学的構造
2.音声機能
3 喉頭の検査
1.間接喉頭鏡検査
2.喉頭内視鏡検査
3.ストロボスコピー
4 喉頭の疾患
1.急性喉頭炎
2.急性喉頭蓋炎
3.声帯結節
4.声帯ポリープ
5.喉頭乳頭腫
6.ポリープ様声帯
7.喉頭肉芽腫
8.喉頭白板症
9.声帯麻痺
10.喉頭癌
歯科との関連
5章 気管・食道科学(頸部)
(長谷川泰久)
1 気管・気管支の解剖と機能
2 気管・気管支の検査
3 気管・気管支の疾患
1.気管・気管支炎
2.慢性気管・気管支炎
3.気管の外傷
4.気管腫瘍
5.気管・気管支異物
4 気道確保の手技
1.気管切開術
2.緊急気道確保
3.気管切開の合併症
5 食道の解剖と機能
6 食道の検査
1.食道内視鏡検査
2.病理組織学的検査
3.画像診断
7 頸部食道の疾患
1.食道異物
2.腐食性食道炎および食道狭窄
3.食道癌
歯科との関連
6章 音声言語医学
1 音声医学(山野貴史)
1.声の特徴と機能および調節
2.音声障害の発声のメカニズム
3.音声障害の分類と評価
4.音声障害の検査
5.音声障害の治療
2 言語医学(倉智雅子,阿志賀大和)
1.言語と話しことば
2.言語
3.話しことば
歯科との関連(佐藤雄一郎)
7章 頭頸部外科学
1 頭頸部外科学について(五十嵐文雄)
2 顔面・頸部の発生
1.顔面の発生
2.頸部の発生
3 顔面・頸部の解剖
1.顔面の筋肉
2.頸部の筋肉,筋膜
3.血管
4.神経
5.甲状腺
4 顔面頸部の検査
1.視診・触診
2.X線検査
3.CT,MRI検査
4.超音波検査
5.核医学検査
6.病理学的検査
5 顔面頸部の疾患
1.顔面の疾患
2.頸部の疾患
6 顔面・頸部の形成外科(野村 務)
1.再建の種類
2.部位別の再建方法
歯科との関連(五十嵐文雄)
付録 耳鼻咽喉科頭頸部外科学領域の歯科医師国家試験問題過去問(抜粋)
索引