やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

『口腔顎顔面外科学専門用語集』の発刊に寄せて
 このたび,社団法人日本口腔外科学会から『口腔顎顔面外科学専門用語集』が発刊される運びとなりました.
 今回の発刊に至った契機は,古くは平成4年発行の文部省『学術用語集 歯学編(増訂版)』を改訂するに際して,本学会からも歯科学術用語委員会が日本歯科医学会歯科学術用語委員会の一翼を担って編纂作業をしてきたことに加え,その後に日本歯周病学会から用語集作成への協力依頼があったことなどから口腔外科専門用語集を作成する機運が高まってきたことです.平成18年,当時の瀬戸ユ一前理事長の意向を受けて,歯科学術用語委員会(由良義明委員長)はその方向性を定め,平成18年度(社)日本口腔外科学会総会で承認され,正式に専門用語集の編纂に取り組むことになりました.
 この専門用語集の編纂に当たっては,平成20年11月に日本歯科医学会から発刊された『日本歯科医学会学術用語集』の原案となった約23,000語を基に口腔外科領域で必要な用語を約2,000語にまで絞り込みを行い,その分野に強い評議員の先生方に分担して用語執筆をして頂きました.さらに歯科学術用語委員会では平成20年12月から3月にかけて校閲作業を行い,その過程で用語が1,881語にまで減りました.平成21年には委員長が佐々木 朗先生に交代しましたが,編纂作業は滞ることなく継続され,最終的には1,775語が残ることになりました.
 このように,用語集を編纂するということは,気の遠くなるような膨大な作業であり,大変な労力と細心の注意が求められます.歯科学術用語委員会の先生方には長年にわたり用語の絞り込みから用語執筆,執筆後の校閲作業,用語の統一化など,誠心誠意ご尽力いただきましたことに対し,心より感謝申し上げます.
 今や口腔外科の領域も一昔前のように大学・病院関係の口腔外科専門医だけのものではなく,歯学の各専門分野と密接に繋がり,本学会の関連学会も30を超えるまでに裾野が広がっています.また,それに関わる職種も歯科医師,医師,看護師,歯科衛生士に止まらず,薬剤師,言語療法士や栄養士といった医療職だけでなく,介護や福祉を支える人たちまで多岐にわたっています.これからの医療におけるキーワードが「チーム医療」であることを考えると,これらいろいろな立場の考えを同じベクトルに収斂させるものは用語の定義と統一に他なりません.用語の持つ重要性は今後ますます高まるものと思います.
 本用語集が学会員の皆様はもとより,多くの歯科および医科分野の皆様方のお役に立ちますことを心より期待しております.
 2011年8月
 社団法人日本口腔外科学会
 理事長 福田 仁一

序文
 この度,社団法人日本口腔外科学会から専門用語集である『口腔顎顔面外科学専門用語集』(A Glossary of Terms for Oral and Maxillofacial Surgery 2011)を発刊することになりました.本用語集は口腔外科に関連する学術用語とその解説から構成されており,約4年間の歳月をかけて編纂されました.2008年より由良義明教授を委員長とする歯科学術用語委員会により用語選定や原稿の取りまとめが行われ,歯科学術用語委員会案が出来上がりました.2009年9月に歯科学術用語委員会は学術用語委員会と名称が変更され,メンバーも変更となり,委員長には佐々木朗が就任致しました.そして新メンバーによって歯科学術用語委員会案(1,811用語)の校閲作業に入りました.校閲は雑誌編集査読委員会と学術用語委員会の両委員会の委員によって2度行われました.特に『日本歯科医学会学術用語集』(日本歯科医学会編)との整合性や欧文表記,解説文の内容などについて校閲を行いました.その結果,重複用語の削除や解説の修正などにより学術用語委員会案(1,775用語)が出来上がり,それをもとに医歯薬出版との作業に入りました.この時点からの校閲作業は学術用語委員会にて行いましたが,校閲を重ねると外国人名称の取り扱いや用語集全体の用語の不統一,見出し語の重複,誤字,脱字などの修正箇所や課題も数多く出てきました.また本用語集には解説が含まれているため量も多く,そのため校閲作業に時間がかかってしまい発刊が大幅に遅れましたことを深くお詫び申し上げます.
 本用語集については口腔外科学会関連の他学会の用語集との整合性や時代に応じて用語の追加・変更など新たな対応も必要になってくると思われます.皆さまのご意見を頂き今後の改訂版に反映させて参りたいと思います.編纂作業に深く携わったものとして,この用語集が口腔外科を学ぶ歯学部の学生にとって必須の手引き書として,また口腔外科専門医や口腔外科の臨床・教育・研究に関わるあらゆる職種の人たちの参考書としてご活用頂ければ幸いと存じます.
 最後になりましたが,発刊にご協力頂きました福田仁一理事長,前理事長瀬戸ユ一先生,学術常任理事木村博人先生,執筆して頂きました評議員諸氏,校閲に協力して頂きました雑誌編集査読委員会委員,編纂を担当された医歯薬出版の編集部諸氏に学術用語委員会を代表して心よりお礼を申し上げます.
 2011年8月
 社団法人日本口腔外科学会
 学術用語委員会委員長 佐々木 朗