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歯科理工学教育用語集 第2版の出版に寄せて
 日本歯科理工学会では,本分野の歯科用語について歯科医学教育,和文誌・英文誌ならびに国内外の規格および標準化などに活用できることを目的として,全国大学歯学部ならびに歯科大学の歯科理工学担当の諸先生方に執筆をお願いし,本学会の用語検討委員会にて取り纏めいただき「歯科理工学教育用語集」として 2005年 8月に第 1版を発刊しました.また, 2008年 10月には同版の増刷を行ってまいりました.このことは本書が歯科医学発展に役立っている証と考えます.
 本用語集の履歴につきましては,初版に詳しく記載されておりますのでご参照いただければ幸いです.ここでは,ごく簡単にその来歴を記載いたします.本書は,本学会の「歯科理工学キーワード集」(1995年)を母体に歯科理工学分野に関する用語を纏めたものです.学会としましては,可能な限り共通認識のもとで用語を使用することにより,学術情報伝達の健全化ならびに教育現場での混乱を避けることなどを目標に作成しております.そのため,用語検討委員会を中心に,用語の意味,同義語の整理などにつきましては多くの時間を費やし論議されましたが,集約用語数の不足などのご指摘の点もあるかと思います.
 今回の改訂版では,用語検討委員会などで初版編集中に論究に至らなかった点にのみにとどめております.本書が学生諸氏のみならず日本歯科理工学会会員の皆様のお役に立つことを願っております.さらに,本書の上梓以前あるいは以後にも,歯科医学の専門用語集は多々ございますが,歯科医学発展のためには,使用する用語あるいは用語の解釈の歯科界全体での統一は重要なことと考えます.本書がそのようなお役に立つことも願っております.
 また,本書が出版された後に上梓されました学習者用の教科書中の歯科理工学用語は本書をもとに作成されております.さらに, 2008年 6月発行の平成 19(2007)年に改訂されました歯科医学教授要綱(編集歯科大学学長・歯学部長会議)の「歯科理工学分野」の歯科理工学に関する用語は全て本用語集記載の用語が使用されております.
 文末となりましたが,ご執筆いただいた諸先生方ならびに取り纏めにご努力をいただきました用語検討委員会の諸先生方にお礼を申し上げます.
 本分野は材料・機械・器具あるいは使用方法など,多方面にわたり急速に進歩をしております.このため,用語集の改訂もそれに合わせて今後とも検討する必要がございます.さらにより良い用語集の発行のために,会員並びに読者諸氏のご教授ご指導を今後ともお願いいたします.
 2011年 5月
 日本歯科理工学会
 会長 楳本 貢三

序文
 「歯科理工学教育用語集」の初版が発行されて約 6年が経過しました.この間に,本書の著者や編集者の方達から本書の内容を向上させるため貴重なご意見をお寄せ戴きました.また,保存修復学や歯周病学などの分野においても用語集が出版され,本書にとって参考とすべき点が多々見出されました.また, 3年程前に第 1版第 2刷が刊行されていますが,第 2刷ではわずかな手直しに留められ,大きな変更,追加は行われませんでした.このような状況に鑑み,用語検討委員会では昨年より改訂の検討作業を行い,これに基づいて今回の第 2版出版に至りました. 今回の改訂では,新規用語の追加,既収録用語の変更,定義・説明の追加・修正,および同義語の追加・修正などが行われています.追加した新規用語は 21語,既収録用語の変更は 1語(マンセル色票系をマンセル表色系に変更),定義・説明の追加・修正は 15語,そして同義語の追加・修正は 22語となっています.上述しましたように,これらの追加・変更では本書の著者,編集者からのご意見を反映させるとともに,歯科理工学と密接な関係を有する歯科補綴学や保存修復学などの用語集との整合を図りました.他分野で用いられている用語については,さらに整合化を進めていこうと考えています. 言葉は時とともに容易に変化していきます.また,我々の領域においては,新しい材料や器械の出現にともなって新しい用語が生まれてきます.このような観点から,用語集の見直しや再検討は常に続けていくことが必要であり,今後も日本歯科理工学会が用語検討の仕事に積極的に取り組んでいくことを願っています.
 本書の第 2版が歯科理工学教育のさらなる向上に役立つことを期待します.
 2011年 5月
 日本歯科理工学会用語検討委員会
 委員長 小倉 英夫
 委 員 河合 達志
     橋 英和
     本郷 敏雄
     吉成 正雄
     (五十音順)

歯科理工学教育用語集の発刊に寄せて
 このたび,日本歯科理工学会用語検討委員会を中心に全国の歯科大学・歯学部の歯科理工学担当講座の協力を得て,歯科理工学関連用語について整理・統一を行い,厳選した用語に簡明な定義を加えた「歯科理工学教育用語集」を出版する運びとなりました.
 歯科理工学関連用語の整理・統一については,歯科理工学文献データベースの作成を容易に行うための「歯科理工学キーワード集」が本学会キーワード集作成委員会によって 1995年に発行されておりますが,当学会で用語の整理・統一を図り,適切な解説を加えた用語集の発刊は始めての事業であり,用語検討委員会ならびに関係各位の多大なご尽力に心より敬意と謝意を表します.
 日進月歩の科学技術の進展の中で,使用される専門用語に同義語,同意語が多々あったり,時代とともにその解釈の変遷や消長があることは,学術研究の進歩の鏡でもあり,研究分野においては致し方ないことと思います.しかし,新たな材料・器械や技術が出現するたびに新名称が出現し,同義語であっても学問分野や古今東西で解釈が異なっていたり,複数の用語が適切な定義もされずに曖昧なまま使用される状況は,情報化社会の中で学術情報の正確な伝達の妨げになるばかりでなく,歯科医学教育の現場でも混乱の原因となります.
 ISO1942 Dental vocabulary,日本工業規格( JIS),GMDN(Global Medical Device Nomenclature),JMDN(日本における医療機器の一般的名称),文部省「学術用語集」歯学編( 1992年発行)などにも歯科理工学に関連した用語や定義が示されておりますが,必ずしも共通して統一された用語が使用されておらず,共通のコンセンサスが得られている訳ではありません.
 本学会の用語検討委員会で整理・精査された専門用語に簡明な解説がほどこされた「歯科理工学教育用語集」をここに上梓できたことは,単に教育の現場のみでなく,国内外の規格や医療機器の標準化にも有効に活用できるものと考えます.
 用語の一つ一つの背景には幾多の研究や歴史があり,研究者の好悪もあって,いまだ整合性の不十分な箇所や理解の得難い箇所もあるかと推察されます.この用語集も,時に応じて見直し・再検討がなされ,新たな研究成果も加味されれば,さらに充実した用語集となるものと思います.今後の発展に向けて本学会の会員ならびに関係諸氏の御批判と御指導を賜れば幸甚です.
 2005年8月
 日本歯科理工学会
 会長 小田 豊

序文
 日本歯科理工学会が「歯科理工学キーワード集」を 1995年に発刊してから 10年になります.この 10年の間に多くの新材料・新技術が紹介され,キーワード集の改訂が強く求められて参りました.さらに, 2001年には「歯学教育モデル・コア・カリキュラム」が作成され,これと軌を同じくして,コンピュータを利用した多肢選択方式の試験である CBT(computer based test)と客観的な臨床能力試験である OSCE(objective structured clinical examination)が全国の歯科大学・歯学部で実施されることとなりました.このような状況の変化に対応するため,用語検討委員会では会員諸氏の全面的なご支援・ご助力の下に歯科理工学教育の中で用いられる専門用語の標準化を行うとともに,用語集の出版に向けて 3年以上にわたる作業を続け,この度の出版に漕ぎ着けることができました.教育や研究でご多忙な中,ご協力・ご尽力いただいた歯科理工学教育担当の会員各位ならびに執筆者各位に深く感謝します.
 用語の収録は,歯科理工学教育に基本的に必要な用語に焦点を絞り,隣接領域に属すると考えられる用語は除外することにいたしました.推薦用語の選定にあたり,同義語のある用語については,アンケート調査で基本的に選択頻度の高いものを優先させると同時に他分野における専門用語との整合性や歯科理工学領域内で関連する用語間の整合性を考慮して選択いたしました.執筆は全国 29の歯学部・歯科大学より推薦された歯科理工学教育担当の先生方にお願いし,執筆にあたっては,収録用語を 8グループ((1)無機材料・金属材料,(2)有機材料・複合材料,(3)物理的性質,機械的性質,(4)化学的生物学的性質,(6)成形・加工技術,(7)器械・器具,(8)その他)に分けて作業班を構成し,各作業班ごとの執筆作業を行いました.執筆内容につきましては作業班内部で検討を行い,その結果を用語検討委員会で討議して最終稿といたしました.
 本用語集は,現時点では歯科理工学教育に大きく貢献できると確信しております.しかし,言葉は生きており,時代の変遷とともに変化していく運命にあります.今回収録された用語も修正あるいは変更の必要を迎える時期がいずれ訪れるかと思います.したがいまして,今回出版となりました用語集をもとに学会内で継続的に議論を重ね,永続的に改訂されていくことを強く願っております.
 平成 17年 8月
 日本歯科理工学会用語検討委員会
 委員長 小倉 英夫
 委 員 荒木 吉馬
     小園 凱夫
     橋 英和
     中嶌  裕
     久恒 邦博
     本郷 敏雄
     吉成 正雄
     (五十音順)