序文
本書は,臨床医が患者の痛みを治すために書かれた本である.
感覚は本来体験しないと分からないものである. 例えば,見えるということは何かを見た経験がないと理解できないのではないだろうか. 聴くことも,嗅ぐこともそうである. こうした感覚のない人々に,それらを言葉で知らそうとしてもほとんど不可能であろう. しかし,それらの感覚を持っている人々にとっては同じ景色を見,同じ音楽を聴き,同じ香水の臭いを嗅ぐことができる. 他の感覚の障害や欠如に比べて痛みを感じることができない人は極めて少なく,したがってまず誰もが痛みを覚える. 誰でも痛みを体験していて,同時にそのつらさも体験している. にもかかわらず,己の痛みでない限りでは他人の痛みを知ることはできないし,いくら説明されても痛みを共有することはできない. 苦痛という言葉があるように痛みは必ず苦しみを伴い,その苦しみは痛みの生理学的な面だけでなく心の問題を含んだ心理学的な側面を合わせ持つ. 痛みはこれによって複雑多岐な様相を呈し,他人には推し量れない性質を持つこととなる. このことは,患者と医師の立場でも同様であって,今自分で痛みを覚えていない医師は患者の痛みを軽く考えるのが普通である.
痛みは,生存のための警告信号ではあるが,ほとんどの場合が身体の具合の悪さの警告を発しているだけにとどまらず,それ自身が生活を障害し,著しい場合には生きる望みを奪うほどである. 痛みから逃れるために,古くからさまざまな方法が工夫されてきた. とはいうものの近代医学が痛みそのものに焦点をあてはじめたのは,さして古いことではない. 「痛みは疾患や具合の悪い状態に付随したものであり,痛みの程度はその具合の悪さの評価につながるので有益なのだ.」と多くの医師は考えていた. また,「痛みだけで死ぬことはない. 仕方がないことだから我慢しよう.」と患者は耐えていた. こうした医師の考え方や社会的な通念が研究に火をつけなかった原因であるかもしれないし,あるいは,あまりに複雑すぎるために科学的なアプローチのとっかかりがなかったのかもしれない. 痛点が発見されたのは110年前であり,これは,笑気の全身麻酔が発見されたときよりも約40年遅く,コカインの局所麻酔発見と同じときである. 痛みの受容器は痛点の約10年後に発見されている. 痛みの機序がわずかでも解明される前に,既に痛みを制御する方法の一つが発見されていた. エンジンの構造が分からなくても自動車が運転できるようなもので,極めて実際的である. しかし,自動車を高度に動かそうとすると構造音痴ではすまなくなる.
痛みの伝達物質,痛みの下降性抑制機序,ゲートコントロール説,内因性モルヒネ様物質など痛みやその抑制の機序に関する多くの研究は戦後であり,ジグソーパズルのように痛みの全体像を理解する情報が集まりだしたのはつい最近のことである. したがって,痛みの治療の進歩も基礎的な研究の進展に従って急速に進んできた. しかしながら,慢性痛で治療に極めて難渋し,悲惨な生活を送らざるを得ない患者に対応する方途は未到で,埋められない部分も多い. 痛みの複雑性は心的要因に基づくことも多いが,この面への理解が我々には一般に足りないところである. 今後の研究は,心をつかさどっている大脳辺縁系と痛みとの関係が進んでくることと思われるが,治療にあたっては常に患者の苦しみに医学的な理解を示すことが必要である.
本書は口腔と顔面の痛みを治療するためにはどのようにしたらよいのかという実際的な観点から,痛みの基礎と臨床からそれぞれ造詣の深い第一線の先生方にお書きいただいた. わが国においてはこれだけ歯科領域の痛みに関するまとまった本がないことから,常に口腔の痛みに直面している歯科医師のみならず,歯科衛生士,学生の多くにお役に立てると考えている.
重複の箇所も少なからずあるが,それはその項目で欠かすことの出来ない内容であるのでそのまま記載されている. 痛みは未解の領域が多いので本書にも不備の部分があると思われる. これは編者の責任でもあるので,読者のご指摘を得て今後改訂の折りには改善していきたいと思う.
平成9年秋 編者を代表して 石川達也
本書は,臨床医が患者の痛みを治すために書かれた本である.
感覚は本来体験しないと分からないものである. 例えば,見えるということは何かを見た経験がないと理解できないのではないだろうか. 聴くことも,嗅ぐこともそうである. こうした感覚のない人々に,それらを言葉で知らそうとしてもほとんど不可能であろう. しかし,それらの感覚を持っている人々にとっては同じ景色を見,同じ音楽を聴き,同じ香水の臭いを嗅ぐことができる. 他の感覚の障害や欠如に比べて痛みを感じることができない人は極めて少なく,したがってまず誰もが痛みを覚える. 誰でも痛みを体験していて,同時にそのつらさも体験している. にもかかわらず,己の痛みでない限りでは他人の痛みを知ることはできないし,いくら説明されても痛みを共有することはできない. 苦痛という言葉があるように痛みは必ず苦しみを伴い,その苦しみは痛みの生理学的な面だけでなく心の問題を含んだ心理学的な側面を合わせ持つ. 痛みはこれによって複雑多岐な様相を呈し,他人には推し量れない性質を持つこととなる. このことは,患者と医師の立場でも同様であって,今自分で痛みを覚えていない医師は患者の痛みを軽く考えるのが普通である.
痛みは,生存のための警告信号ではあるが,ほとんどの場合が身体の具合の悪さの警告を発しているだけにとどまらず,それ自身が生活を障害し,著しい場合には生きる望みを奪うほどである. 痛みから逃れるために,古くからさまざまな方法が工夫されてきた. とはいうものの近代医学が痛みそのものに焦点をあてはじめたのは,さして古いことではない. 「痛みは疾患や具合の悪い状態に付随したものであり,痛みの程度はその具合の悪さの評価につながるので有益なのだ.」と多くの医師は考えていた. また,「痛みだけで死ぬことはない. 仕方がないことだから我慢しよう.」と患者は耐えていた. こうした医師の考え方や社会的な通念が研究に火をつけなかった原因であるかもしれないし,あるいは,あまりに複雑すぎるために科学的なアプローチのとっかかりがなかったのかもしれない. 痛点が発見されたのは110年前であり,これは,笑気の全身麻酔が発見されたときよりも約40年遅く,コカインの局所麻酔発見と同じときである. 痛みの受容器は痛点の約10年後に発見されている. 痛みの機序がわずかでも解明される前に,既に痛みを制御する方法の一つが発見されていた. エンジンの構造が分からなくても自動車が運転できるようなもので,極めて実際的である. しかし,自動車を高度に動かそうとすると構造音痴ではすまなくなる.
痛みの伝達物質,痛みの下降性抑制機序,ゲートコントロール説,内因性モルヒネ様物質など痛みやその抑制の機序に関する多くの研究は戦後であり,ジグソーパズルのように痛みの全体像を理解する情報が集まりだしたのはつい最近のことである. したがって,痛みの治療の進歩も基礎的な研究の進展に従って急速に進んできた. しかしながら,慢性痛で治療に極めて難渋し,悲惨な生活を送らざるを得ない患者に対応する方途は未到で,埋められない部分も多い. 痛みの複雑性は心的要因に基づくことも多いが,この面への理解が我々には一般に足りないところである. 今後の研究は,心をつかさどっている大脳辺縁系と痛みとの関係が進んでくることと思われるが,治療にあたっては常に患者の苦しみに医学的な理解を示すことが必要である.
本書は口腔と顔面の痛みを治療するためにはどのようにしたらよいのかという実際的な観点から,痛みの基礎と臨床からそれぞれ造詣の深い第一線の先生方にお書きいただいた. わが国においてはこれだけ歯科領域の痛みに関するまとまった本がないことから,常に口腔の痛みに直面している歯科医師のみならず,歯科衛生士,学生の多くにお役に立てると考えている.
重複の箇所も少なからずあるが,それはその項目で欠かすことの出来ない内容であるのでそのまま記載されている. 痛みは未解の領域が多いので本書にも不備の部分があると思われる. これは編者の責任でもあるので,読者のご指摘を得て今後改訂の折りには改善していきたいと思う.
平成9年秋 編者を代表して 石川達也
第1編 痛みの特徴〈基礎編〉/1
I 痛みのメカニズムと特徴(野間弘康)3
痛みとはなにか……3
口腔および顎顔面に痛みの感覚が生じる機構……3
1.体性痛と内臓痛/3
2.侵害受容線維,侵害受容器/4
3.三叉神経脊髄路核尾側亜核と延髄外側毛様体/5
口腔・顎顔面の痛みの特徴……5
原因疾患と痛みの特徴……7
1.炎症性疼痛/8
2.筋肉痛/9
3.関節の痛み/12
4.血管の痛み/13
5.癌(悪性腫瘍)の痛み/14
6.神経原性痛/16
7.心因性の痛み/18
II 痛みの分類(雨宮義弘)20
時間的経過による痛みの分類…… 20
1.急性痛/20
2.慢性痛/21
痛みの原因による分類…… 24
末枢性疼痛…… 24
頭部,顎顔面領域での痛みの分類…… 25
III 痛みの発生と抑制機構……26
1 痛みの発生の神経機構(花岡一雄)26
歴史的考察…… 26
感覚の分類…… 27
痛みの定義…… 27
痛みの成因…… 27
1.外部から侵害刺激が加わった場合/27
2.組織の病変や異常による場合/28
3.神経系の異常による場合/28
4.精神的原因によって身体に異常が生じる場合/30
5.心因性の痛み/30
痛みの起こる仕組み…… 30
1.インパルスの発生/30
2.インパルスの伝導/30
3.脊髄へのインパルスの入力/30
4.脊髄後角部の解剖と生理/31
5.脊髄後角部へのインパルスの入力/32
6.侵害情報信号の脊髄内上行伝播/33
7.視床核への投射/34
8.大脳皮質/34
9.痛みの解コード/35
2 痛みの抑制の神経機構(花岡一雄)36
門調節説…… 36
下行性痛覚抑制機構…… 37
1.中脳水道周囲灰白質からの下行性抑制路/37
内因性オピオイド…… 39
3 痛みの発生と抑制の生化学的機構(猪木令三)40
侵害受容と化学受容…… 40
発痛物質と受容体感作物質…… 41
痛みの抑制の生体機序…… 43
1.脊髄後角/43
2.脳上位/44
三叉神経節における知覚伝導の修飾…… 44
麻薬性鎮痛薬と解熱性鎮痛薬の作用機序…… 44
1.麻薬性鎮痛薬/44
2.解熱性鎮痛薬/45
ストレス鎮痛と生体内活性物質…… 46
おわりに…… 47
4 関連痛(花岡一雄)48
関連痛とは…… 48
関連痛の発生機序…… 51
内臓痛と皮膚への投射…… 53
IV 痛みによる生体反応(金子 ,一戸達也)56
1 自律神経系……56
解剖学的特徴…… 56
伝達物質…… 58
受容体…… 61
痛みに対する自律神経系の応答…… 64
2 内分泌系……65
下垂体―副腎皮質系…… 66
レニン―アンギオテンシン―アルドステロン系…… 67
抗利尿ホルモン…… 67
甲状腺ホルモン…… 68
V 痛みの局所的悪循環(金子 ,一戸達也)69
1.痛覚亢進/70
2.痛みの悪循環/72
3.痛みに起因した機能障害/74
VI 痛みと心理(内田安信)75
1 疼痛と情動反応―生理・心理面から―75
痛みの反応と患者心理…… 76
痛みの患者心理…… 78
VII 痛みに関する最近の研究の歩み―物質的研究を中心として(上田)79
「痛み」とは…… 79
慢性炎症モデルについて…… 81
末梢神経軸索切断モデルについて…… 83
末梢神経軸索部分損傷モデルについて…… 84
まとめ…… 85
第2編 痛みの臨床総論/87
I 口腔・顎顔面の痛みの分類(柿澤)89
1.痛みの臨床分類/89
2.病態による口腔・顎顔面の痛みの分類/91
II 痛みの診断の原則(柿澤)94
1.痛みの情報の整理/94
2.痛みのカテゴリーの同定/97
III 問診,診察と評価(鈴木長明)99
1.一般的事項/99
2.主訴/100
3.既往歴および常用薬剤/100
4.家族歴/100
5.現病歴/100
6.現症/101
7.検査/103
8.評価/110
IV 痛みの測定法(十時忠秀)111
痛みの実験的および電気生理学的測定…… 111
1.熱刺激法/111
2.機械的刺激法/112
3.化学刺激法/112
4.電機刺激法/112
5.電気生理学方法/112
6.止血帯疼痛比/112
痛みの臨床的測定…… 113
1.Visual Analougue Scale(VAS)/113
2.Numerical Rating Scale(NRS)/113
3.McGill Pain Questionaire(MPQ)/113
4.著者らが使用しているPain and QOL Scale/113
おわりに…… 119
V 除痛法……120
1 原則(金子 ,一戸達也)120
1.第1段階/121
2.第2段階/121
3.第3段階/121
4.第4段階/121
5.第5段階/129
2 薬物(一戸達也)122
1.鎮痛薬/122
2.抗炎症薬/125
3.中枢性筋弛緩薬/128
4.鎮痙薬/129
5.精神安定薬/129
6.抗うつ薬/129
7.特異的薬剤/130
3 神経ブロック(一戸達也)131
1.神経ブロックとは/131
2.神経ブロックに使用する薬剤/132
3.神経ブロックに使用する器材/133
4.神経ブロックの偶発症/133
5.神経ブロックの基本的注意点/135
6.神経ブロック各論/135
4 局所麻酔(一戸達也)140
1.診断的局所麻酔/140
2.治療的局所麻酔/140
5 経皮的刺激(住友雅人,阿部 郷)147
1.TENS/147
2.鍼/148
3.TEAS/149
6 I物理療法(住友雅人,阿部 郷)151
1.マッサージ/151
2.灸/152
3.輻射温熱療法/153
4.低出力レーザー/154
7 外科的療法(柿澤)156
1.症候症疼痛に対する外科的除痛法/156
2.末/156
3.後頭蓋窩神経減荷術/157
8 心理療法(内田安信)159
歯科心身症の治療…… 159
治療法の組み合わせと技法の内容…… 160
簡易精神(心理)療法…… 160
心理療法の実際…… 161
VI 痛みを訴える患者の管理……164
1 小(海野雅浩)164
痛みの特徴…… 164
痛みの評価…… 164
1.痛みの原因と局在/164
2.痛みの強さと質/164
痛みの管理…… 166
2 大(海野雅浩)167
痛みの特徴…… 167
痛みの評価…… 167
1.痛みの原因と局在/167
2.痛みの強さと質/168
3.痛み方/168
4.痛みの随伴症状/168
痛みの管理…… 169
3 老(海野雅浩)169
痛みの特徴…… 169
痛みの評価…… 169
痛みの管理…… 170
4 反応が特異な人(海野雅浩)170
痛みの特徴…… 170
痛みの評価…… 172
痛みの管理…… 172
5 癌(水口公信)173
頭頸部癌の病態生理…… 174
頭頸部癌の疼痛…… 174
1.痛/174
2.痛みを増悪する因子/174
症…… 174
鎮痛方法…… 175
1.診/175
2.鎮痛方法/175
心理的対応…… 177
おわりに…… 178
第3編 痛みの臨床各論/179
I ガイダンス(石川達也・瀧澤雅一)181
痛みの臨床的意義…… 181
痛みの原因疾患とその対策…… 181
II 歯と歯根膜の痛み(山本 ・須田英明)184
1 歯髄炎……184
原…… 184
1.細菌性刺激/184
2.物理的刺激/184
3.化学的刺激/186
症…… 186
1.可逆性炎症歯髄/186
2.不可逆性炎症歯髄/187
3.壊死歯髄/188
鑑別診断…… 188
1.患歯の固定/189
2.歯髄の生死の鑑別/189
3.可逆性・不可逆性炎症歯髄の鑑別/189
処…… 190
1.罹患歯髄の処置/190
2.境界領域の症例の処置/191
まとめ…… 191
2 知覚過敏(石川達也・清野栄治)192
原…… 192
1.歯の摩耗ほか/192
2.歯肉退縮ほか/192
3.窩洞形成後または修復後に生ずるもの/192
4.辺縁性歯周炎/193
5.歯根膜空/193
6.咬/193
症…… 193
1.象牙細管内神経分布説/194
2.象牙芽細胞痛覚受容器説/194
3.動水力学説/194
鑑別診断…… 194
処…… 195
1.露出象牙質表面の被覆/195
2.象牙細管の封鎖/195
3.欠損部の修復/195
4.歯髄神経の鎮静化/195
5.歯髄除去/196
6.その他,原因の除去/196
まとめ…… 196
III 口腔粘膜と歯周組織の痛み(矢島安朝)197
1 痛みの特徴とそのメカニズム……197
2 主な疾患の診断と処置……197
単純疱疹…… 197
1.原/197
2.症/197
3.鑑別診断/198
4.処/198
帯状疱疹…… 198
1.原/198
2.症/198
3.鑑別診断/199
4.処/199
ヘルプアンギーナ…… 199
1.原/199
2.症/199
3.鑑別診断/199
4.処/200
手足口病…… 200
1.原/200
2.症/200
3.鑑別診断/200
4.処/200
天疱瘡および類天疱瘡…… 200
1.原/200
2.症/200
3.鑑別診断/201
4.処/201
多形滲出性紅斑…… 201
1.原/201
2.症/201
3.鑑別診断/201
4.処/202
慢性再発性アフタ…… 202
1.原/202
2.症/202
3.鑑別診断/202
4.処/202
Behcet病…… 202
1.原/202
2.症/202
3.鑑別診断/202
4.処/203
壊死性潰瘍性口内炎および壊疽性口内炎…… 203
1.原/203
2.症/203
3.鑑別診断/203
4.処/203
褥瘡性潰瘍…… 204
1.原/204
2.症/204
3.鑑別診断/204
4.処/204
扁平苔癬…… 204
1.原/204
2.症/204
3.鑑別診断/204
4.処/204
辺縁性歯周炎の急性発作…… 205
1.原/205
2.症/205
3.鑑別診断/205
4.処/205
急性化膿性根尖性歯周炎…… 205
1.原/205
2.症/205
3.鑑別診断/205
4.処/205
3 びらんや潰瘍に対する除痛のための対症療法……205
含嗽…… 206
副腎皮質ホルモン口腔用軟膏…… 206
付着剤…… 206
噴霧剤…… 206
表面麻酔剤…… 206
消炎鎮痛剤…… 207
IV 筋痛と関節痛―運動器の痛み―(杉崎正志)208
1 深部痛の特徴……208
1.関連痛について/208
2.過敏化や慢性痛への移行/209
3.侵害刺激と交感神経/211
2 鑑別診断法……212
1.除外診断法/212
2.筋痛と関連痛の鑑別について/212
3 各種疾患について……214
1.感染性疾患/214
2.腫瘍性および腫瘍類似疾患/215
3.変性性疾患/218
4.外傷性疾患/219
5.神経原性疼痛/220
6.リウマチ性疾患/221
7.顎関節症/222
8.精神病性,心理的痛み/224
9.その他/225
V 顔面皮膚の痛み(今村佳樹)229
1.顔面皮膚の疼痛性疾患の分類/229
2.顔面皮膚の知覚異常/231
3.帯状疱疹/232
VI 舌の痛み(内田安信)234
舌の痛みを訴える患者の動態について…… 234
舌痛症の症状とそのパーソナリティー…… 235
VII 骨・骨膜の痛み(柿澤)239
1.骨膜炎/239
2.急性化膿性下顎骨骨髄炎/240
3.ドライソケット/241
4.顎骨骨折/242
VIII 血管の痛み(伊東 ・山本泰久)243
1.鑑別診断/243
2.病/244
3.治療法/244
4.鑑別疾患/245
IX 神経の痛み(鈴木長明)246
三叉神経痛…… 246
1.症/246
2.原/247
3.治療法/247
舌咽神経痛…… 253
1.症/253
2.原/253
3.治療法/253
X 他の内臓の痛み……255
1 咽頭痛,副鼻腔痛(白幡雄一)255
1.診断の進め方/255
2.のどの痛み/256
3.鼻の痛み/258
2 口腔腺および腺体痛ほか(柿澤)262
1.唾石症/262
2.流行性耳下腺炎/263
3.反復性耳下腺炎/264
XI 心因性の痛み(内田安信)266
痛みと患者心理…… 266
心因性疼痛の慢性遷延化と悪循環…… 268
痛み―その発症や経過と心理特性とのかかわり…… 269
心因性疼痛の治療…… 271
1.簡易精神療法/271
2.行動療法/272
心因性疼痛の臨床像と総合医学的アプローチ…… 272
XII 自律神経反射性疼痛……274
1 カウザルギー(一戸達也)274
2 幻肢痛(飯島一彦)277
1.発生頻度/277
2.痛みの性質/278
3.発生機序/278
4.治療法/278
XIII 反射性交感神経性萎縮症(飯島一彦)281
1.定/281
2.発生機序/281
3.症状と経過/281
4.診断基準/282
5.治療法/283
XIV 術後痛(金子)285
術後痛にかかわる因子…… 285
歯科口腔外科の術後痛…… 285
術後痛制御の目的…… 285
術後痛制御の方法…… 286
XV 無痛無汗症(池田正一)287
口腔症状…… 287
第4編 口腔・顎顔面領域の痛みを症状とする症候群/293(野間弘康)
和文索引/297
欧文索引/304
I 痛みのメカニズムと特徴(野間弘康)3
痛みとはなにか……3
口腔および顎顔面に痛みの感覚が生じる機構……3
1.体性痛と内臓痛/3
2.侵害受容線維,侵害受容器/4
3.三叉神経脊髄路核尾側亜核と延髄外側毛様体/5
口腔・顎顔面の痛みの特徴……5
原因疾患と痛みの特徴……7
1.炎症性疼痛/8
2.筋肉痛/9
3.関節の痛み/12
4.血管の痛み/13
5.癌(悪性腫瘍)の痛み/14
6.神経原性痛/16
7.心因性の痛み/18
II 痛みの分類(雨宮義弘)20
時間的経過による痛みの分類…… 20
1.急性痛/20
2.慢性痛/21
痛みの原因による分類…… 24
末枢性疼痛…… 24
頭部,顎顔面領域での痛みの分類…… 25
III 痛みの発生と抑制機構……26
1 痛みの発生の神経機構(花岡一雄)26
歴史的考察…… 26
感覚の分類…… 27
痛みの定義…… 27
痛みの成因…… 27
1.外部から侵害刺激が加わった場合/27
2.組織の病変や異常による場合/28
3.神経系の異常による場合/28
4.精神的原因によって身体に異常が生じる場合/30
5.心因性の痛み/30
痛みの起こる仕組み…… 30
1.インパルスの発生/30
2.インパルスの伝導/30
3.脊髄へのインパルスの入力/30
4.脊髄後角部の解剖と生理/31
5.脊髄後角部へのインパルスの入力/32
6.侵害情報信号の脊髄内上行伝播/33
7.視床核への投射/34
8.大脳皮質/34
9.痛みの解コード/35
2 痛みの抑制の神経機構(花岡一雄)36
門調節説…… 36
下行性痛覚抑制機構…… 37
1.中脳水道周囲灰白質からの下行性抑制路/37
内因性オピオイド…… 39
3 痛みの発生と抑制の生化学的機構(猪木令三)40
侵害受容と化学受容…… 40
発痛物質と受容体感作物質…… 41
痛みの抑制の生体機序…… 43
1.脊髄後角/43
2.脳上位/44
三叉神経節における知覚伝導の修飾…… 44
麻薬性鎮痛薬と解熱性鎮痛薬の作用機序…… 44
1.麻薬性鎮痛薬/44
2.解熱性鎮痛薬/45
ストレス鎮痛と生体内活性物質…… 46
おわりに…… 47
4 関連痛(花岡一雄)48
関連痛とは…… 48
関連痛の発生機序…… 51
内臓痛と皮膚への投射…… 53
IV 痛みによる生体反応(金子 ,一戸達也)56
1 自律神経系……56
解剖学的特徴…… 56
伝達物質…… 58
受容体…… 61
痛みに対する自律神経系の応答…… 64
2 内分泌系……65
下垂体―副腎皮質系…… 66
レニン―アンギオテンシン―アルドステロン系…… 67
抗利尿ホルモン…… 67
甲状腺ホルモン…… 68
V 痛みの局所的悪循環(金子 ,一戸達也)69
1.痛覚亢進/70
2.痛みの悪循環/72
3.痛みに起因した機能障害/74
VI 痛みと心理(内田安信)75
1 疼痛と情動反応―生理・心理面から―75
痛みの反応と患者心理…… 76
痛みの患者心理…… 78
VII 痛みに関する最近の研究の歩み―物質的研究を中心として(上田)79
「痛み」とは…… 79
慢性炎症モデルについて…… 81
末梢神経軸索切断モデルについて…… 83
末梢神経軸索部分損傷モデルについて…… 84
まとめ…… 85
第2編 痛みの臨床総論/87
I 口腔・顎顔面の痛みの分類(柿澤)89
1.痛みの臨床分類/89
2.病態による口腔・顎顔面の痛みの分類/91
II 痛みの診断の原則(柿澤)94
1.痛みの情報の整理/94
2.痛みのカテゴリーの同定/97
III 問診,診察と評価(鈴木長明)99
1.一般的事項/99
2.主訴/100
3.既往歴および常用薬剤/100
4.家族歴/100
5.現病歴/100
6.現症/101
7.検査/103
8.評価/110
IV 痛みの測定法(十時忠秀)111
痛みの実験的および電気生理学的測定…… 111
1.熱刺激法/111
2.機械的刺激法/112
3.化学刺激法/112
4.電機刺激法/112
5.電気生理学方法/112
6.止血帯疼痛比/112
痛みの臨床的測定…… 113
1.Visual Analougue Scale(VAS)/113
2.Numerical Rating Scale(NRS)/113
3.McGill Pain Questionaire(MPQ)/113
4.著者らが使用しているPain and QOL Scale/113
おわりに…… 119
V 除痛法……120
1 原則(金子 ,一戸達也)120
1.第1段階/121
2.第2段階/121
3.第3段階/121
4.第4段階/121
5.第5段階/129
2 薬物(一戸達也)122
1.鎮痛薬/122
2.抗炎症薬/125
3.中枢性筋弛緩薬/128
4.鎮痙薬/129
5.精神安定薬/129
6.抗うつ薬/129
7.特異的薬剤/130
3 神経ブロック(一戸達也)131
1.神経ブロックとは/131
2.神経ブロックに使用する薬剤/132
3.神経ブロックに使用する器材/133
4.神経ブロックの偶発症/133
5.神経ブロックの基本的注意点/135
6.神経ブロック各論/135
4 局所麻酔(一戸達也)140
1.診断的局所麻酔/140
2.治療的局所麻酔/140
5 経皮的刺激(住友雅人,阿部 郷)147
1.TENS/147
2.鍼/148
3.TEAS/149
6 I物理療法(住友雅人,阿部 郷)151
1.マッサージ/151
2.灸/152
3.輻射温熱療法/153
4.低出力レーザー/154
7 外科的療法(柿澤)156
1.症候症疼痛に対する外科的除痛法/156
2.末/156
3.後頭蓋窩神経減荷術/157
8 心理療法(内田安信)159
歯科心身症の治療…… 159
治療法の組み合わせと技法の内容…… 160
簡易精神(心理)療法…… 160
心理療法の実際…… 161
VI 痛みを訴える患者の管理……164
1 小(海野雅浩)164
痛みの特徴…… 164
痛みの評価…… 164
1.痛みの原因と局在/164
2.痛みの強さと質/164
痛みの管理…… 166
2 大(海野雅浩)167
痛みの特徴…… 167
痛みの評価…… 167
1.痛みの原因と局在/167
2.痛みの強さと質/168
3.痛み方/168
4.痛みの随伴症状/168
痛みの管理…… 169
3 老(海野雅浩)169
痛みの特徴…… 169
痛みの評価…… 169
痛みの管理…… 170
4 反応が特異な人(海野雅浩)170
痛みの特徴…… 170
痛みの評価…… 172
痛みの管理…… 172
5 癌(水口公信)173
頭頸部癌の病態生理…… 174
頭頸部癌の疼痛…… 174
1.痛/174
2.痛みを増悪する因子/174
症…… 174
鎮痛方法…… 175
1.診/175
2.鎮痛方法/175
心理的対応…… 177
おわりに…… 178
第3編 痛みの臨床各論/179
I ガイダンス(石川達也・瀧澤雅一)181
痛みの臨床的意義…… 181
痛みの原因疾患とその対策…… 181
II 歯と歯根膜の痛み(山本 ・須田英明)184
1 歯髄炎……184
原…… 184
1.細菌性刺激/184
2.物理的刺激/184
3.化学的刺激/186
症…… 186
1.可逆性炎症歯髄/186
2.不可逆性炎症歯髄/187
3.壊死歯髄/188
鑑別診断…… 188
1.患歯の固定/189
2.歯髄の生死の鑑別/189
3.可逆性・不可逆性炎症歯髄の鑑別/189
処…… 190
1.罹患歯髄の処置/190
2.境界領域の症例の処置/191
まとめ…… 191
2 知覚過敏(石川達也・清野栄治)192
原…… 192
1.歯の摩耗ほか/192
2.歯肉退縮ほか/192
3.窩洞形成後または修復後に生ずるもの/192
4.辺縁性歯周炎/193
5.歯根膜空/193
6.咬/193
症…… 193
1.象牙細管内神経分布説/194
2.象牙芽細胞痛覚受容器説/194
3.動水力学説/194
鑑別診断…… 194
処…… 195
1.露出象牙質表面の被覆/195
2.象牙細管の封鎖/195
3.欠損部の修復/195
4.歯髄神経の鎮静化/195
5.歯髄除去/196
6.その他,原因の除去/196
まとめ…… 196
III 口腔粘膜と歯周組織の痛み(矢島安朝)197
1 痛みの特徴とそのメカニズム……197
2 主な疾患の診断と処置……197
単純疱疹…… 197
1.原/197
2.症/197
3.鑑別診断/198
4.処/198
帯状疱疹…… 198
1.原/198
2.症/198
3.鑑別診断/199
4.処/199
ヘルプアンギーナ…… 199
1.原/199
2.症/199
3.鑑別診断/199
4.処/200
手足口病…… 200
1.原/200
2.症/200
3.鑑別診断/200
4.処/200
天疱瘡および類天疱瘡…… 200
1.原/200
2.症/200
3.鑑別診断/201
4.処/201
多形滲出性紅斑…… 201
1.原/201
2.症/201
3.鑑別診断/201
4.処/202
慢性再発性アフタ…… 202
1.原/202
2.症/202
3.鑑別診断/202
4.処/202
Behcet病…… 202
1.原/202
2.症/202
3.鑑別診断/202
4.処/203
壊死性潰瘍性口内炎および壊疽性口内炎…… 203
1.原/203
2.症/203
3.鑑別診断/203
4.処/203
褥瘡性潰瘍…… 204
1.原/204
2.症/204
3.鑑別診断/204
4.処/204
扁平苔癬…… 204
1.原/204
2.症/204
3.鑑別診断/204
4.処/204
辺縁性歯周炎の急性発作…… 205
1.原/205
2.症/205
3.鑑別診断/205
4.処/205
急性化膿性根尖性歯周炎…… 205
1.原/205
2.症/205
3.鑑別診断/205
4.処/205
3 びらんや潰瘍に対する除痛のための対症療法……205
含嗽…… 206
副腎皮質ホルモン口腔用軟膏…… 206
付着剤…… 206
噴霧剤…… 206
表面麻酔剤…… 206
消炎鎮痛剤…… 207
IV 筋痛と関節痛―運動器の痛み―(杉崎正志)208
1 深部痛の特徴……208
1.関連痛について/208
2.過敏化や慢性痛への移行/209
3.侵害刺激と交感神経/211
2 鑑別診断法……212
1.除外診断法/212
2.筋痛と関連痛の鑑別について/212
3 各種疾患について……214
1.感染性疾患/214
2.腫瘍性および腫瘍類似疾患/215
3.変性性疾患/218
4.外傷性疾患/219
5.神経原性疼痛/220
6.リウマチ性疾患/221
7.顎関節症/222
8.精神病性,心理的痛み/224
9.その他/225
V 顔面皮膚の痛み(今村佳樹)229
1.顔面皮膚の疼痛性疾患の分類/229
2.顔面皮膚の知覚異常/231
3.帯状疱疹/232
VI 舌の痛み(内田安信)234
舌の痛みを訴える患者の動態について…… 234
舌痛症の症状とそのパーソナリティー…… 235
VII 骨・骨膜の痛み(柿澤)239
1.骨膜炎/239
2.急性化膿性下顎骨骨髄炎/240
3.ドライソケット/241
4.顎骨骨折/242
VIII 血管の痛み(伊東 ・山本泰久)243
1.鑑別診断/243
2.病/244
3.治療法/244
4.鑑別疾患/245
IX 神経の痛み(鈴木長明)246
三叉神経痛…… 246
1.症/246
2.原/247
3.治療法/247
舌咽神経痛…… 253
1.症/253
2.原/253
3.治療法/253
X 他の内臓の痛み……255
1 咽頭痛,副鼻腔痛(白幡雄一)255
1.診断の進め方/255
2.のどの痛み/256
3.鼻の痛み/258
2 口腔腺および腺体痛ほか(柿澤)262
1.唾石症/262
2.流行性耳下腺炎/263
3.反復性耳下腺炎/264
XI 心因性の痛み(内田安信)266
痛みと患者心理…… 266
心因性疼痛の慢性遷延化と悪循環…… 268
痛み―その発症や経過と心理特性とのかかわり…… 269
心因性疼痛の治療…… 271
1.簡易精神療法/271
2.行動療法/272
心因性疼痛の臨床像と総合医学的アプローチ…… 272
XII 自律神経反射性疼痛……274
1 カウザルギー(一戸達也)274
2 幻肢痛(飯島一彦)277
1.発生頻度/277
2.痛みの性質/278
3.発生機序/278
4.治療法/278
XIII 反射性交感神経性萎縮症(飯島一彦)281
1.定/281
2.発生機序/281
3.症状と経過/281
4.診断基準/282
5.治療法/283
XIV 術後痛(金子)285
術後痛にかかわる因子…… 285
歯科口腔外科の術後痛…… 285
術後痛制御の目的…… 285
術後痛制御の方法…… 286
XV 無痛無汗症(池田正一)287
口腔症状…… 287
第4編 口腔・顎顔面領域の痛みを症状とする症候群/293(野間弘康)
和文索引/297
欧文索引/304