序文
アドバンスシリーズは,監修者の言葉にもあるように,従来主として各教科別に編纂されてきた教科書や専門書を縦糸にたとえるならば,あるテーマに沿って総合的に編纂された横糸となるような本を制作することを目的に企画されている.
本書は当初,補綴,矯正を中心に「咬合」というテーマで計画されたが,アドバンスシリーズの他の巻との整合性から咬合が関与する疾患を前面に出すことになり,いわゆる「顎関節症」を主たる対象に,「顎口腔機能異常の診断とその対策」ということで作業を関始した.その後種々検討を重ね,最終的に「顎機能障害―新しい診断システムと治療指針」ということに落ち着いた.
疾患名ならびに本疾患と咬合との関わりについての考え方については第1章で取り上げたので,詳しくはそちらを参照していただきたいが,日本語のみならず英語でも多くの疾患名が使われており,確定するに至っていないのが現状である.また,対象としている病態が人によってあるいは国によって大きく異なっていることがあるなど,疾患名や疾患に対する考え方は今後も変遷することが予想される.時機をみて改訂できればと願っている.
本書は顎機能障害の解説に始まり顎口腔系の形態と機能について説明し,ついで顎機能障害の診断と治療法を紹介,最後に多様な本疾患の代表的な症例を呈示することで読者の理解を深めていただく構成となっている.
用語ならびに考え方についてはできるだけ統一するよう心掛けたが,上に述べたように書名として苦慮した疾患名を始め,現時点では統一しきれないものが幾つか残った.
その中の一つに中心位(セントリックリレーション)という用語で表される下顎位がある.この用語は,顎関節における関節窩と下顎頭との位置関係に注目して上下顎の顎間関係を規定する言葉で,アメリカ補綴歯科学会用語委員会は,かつては「下顎頭が関節窩の後上方にある位置」と定義していた.この位置で下顎がほぼ純粋な回転運動をすることができることから,“蝶番軸(ヒンジアキシス)を参照して模型を咬合器に装着し,補綴的に咬合再構成をする”というナソロジー学派の術式は広く世界に普及した.しかし,この下顎位で行った咬合治療のその後の経過に対する反省や種々の研究から,適正な咬頭嵌合位としての下顎位はそれよりやや前方であることが明らかになり,最新の第5版の用語集(1987)では,関節窩に対する下顎頭の位置は,かつての後上方から前上方へと修正され,セントリックリレーションはわが国の「顆頭安定位」(顆頭が関節窩のなかで無理なく最も安定する位置)と同様の顎間関係となった.
しかし,同じ用語であるにもかかわらずその内容が大きく変わったためか,セントリックリレーションという用語や,それに対応して用いられるセントリックオクルージョン(中心咬合位)という咬合位を示す用語は使われなくなる傾向にある.
これに対し,わが国では“中心位”を下顎後退位と理解し,この下顎位が適正な咬頭嵌合位(=中心咬合位)に対応する下顎位ではないとする考え方が従来からあり,その人達は日本語の中心位の概念を変える必要性を感じていない.一方,日本語の中心位をアメリカ補綴歯科学会用語委員会の歯科補綴学用語集(第5版)の定義に従い使用している方もいるので,本書では出典をつけるなどして,どちらの意味で使用しているのかを明示する努力をした.この点については読者におかれても注意をお願いしたい.
次に「関節結節」と「関節隆起」という用語についてであるが,文部省と日本歯科医学会共編の「学術用語集 歯学編(増訂版)」では日本語としては関節結節のみが記載されており,これに対応する英語として articular eminenceと articular tubercleの2語があげられている.本書ではこの2つの用語を区別して使用している著者と,両者を同義語として使用している著者がいる.これらの用語については臨床的な視点も考慮に入れて,今後さらに検討する必要があると思われる.
そのほか,顆頭位(下顎頭位)の診断に関する放射線学的な評価について考え方の統一がとれていないなど幾つかの問題が残されているが,いずれ理解が深まるものと期待している.
本書編纂にあたり,執筆を担当してくださった方々,種々ご意見をお寄せくださった方々,ならびに実務面で多大の貢献をいただいた徳島大学歯学部中野雅徳先生をはじめとする各位に感謝いたします.
最後に,本書を企画・出版するにあたり C深いご理解とご協力をいただいた医歯薬出版株式会社の関係各位に深甚なる感謝の意を表します.
1993年 11月 編者一同
アドバンスシリーズは,監修者の言葉にもあるように,従来主として各教科別に編纂されてきた教科書や専門書を縦糸にたとえるならば,あるテーマに沿って総合的に編纂された横糸となるような本を制作することを目的に企画されている.
本書は当初,補綴,矯正を中心に「咬合」というテーマで計画されたが,アドバンスシリーズの他の巻との整合性から咬合が関与する疾患を前面に出すことになり,いわゆる「顎関節症」を主たる対象に,「顎口腔機能異常の診断とその対策」ということで作業を関始した.その後種々検討を重ね,最終的に「顎機能障害―新しい診断システムと治療指針」ということに落ち着いた.
疾患名ならびに本疾患と咬合との関わりについての考え方については第1章で取り上げたので,詳しくはそちらを参照していただきたいが,日本語のみならず英語でも多くの疾患名が使われており,確定するに至っていないのが現状である.また,対象としている病態が人によってあるいは国によって大きく異なっていることがあるなど,疾患名や疾患に対する考え方は今後も変遷することが予想される.時機をみて改訂できればと願っている.
本書は顎機能障害の解説に始まり顎口腔系の形態と機能について説明し,ついで顎機能障害の診断と治療法を紹介,最後に多様な本疾患の代表的な症例を呈示することで読者の理解を深めていただく構成となっている.
用語ならびに考え方についてはできるだけ統一するよう心掛けたが,上に述べたように書名として苦慮した疾患名を始め,現時点では統一しきれないものが幾つか残った.
その中の一つに中心位(セントリックリレーション)という用語で表される下顎位がある.この用語は,顎関節における関節窩と下顎頭との位置関係に注目して上下顎の顎間関係を規定する言葉で,アメリカ補綴歯科学会用語委員会は,かつては「下顎頭が関節窩の後上方にある位置」と定義していた.この位置で下顎がほぼ純粋な回転運動をすることができることから,“蝶番軸(ヒンジアキシス)を参照して模型を咬合器に装着し,補綴的に咬合再構成をする”というナソロジー学派の術式は広く世界に普及した.しかし,この下顎位で行った咬合治療のその後の経過に対する反省や種々の研究から,適正な咬頭嵌合位としての下顎位はそれよりやや前方であることが明らかになり,最新の第5版の用語集(1987)では,関節窩に対する下顎頭の位置は,かつての後上方から前上方へと修正され,セントリックリレーションはわが国の「顆頭安定位」(顆頭が関節窩のなかで無理なく最も安定する位置)と同様の顎間関係となった.
しかし,同じ用語であるにもかかわらずその内容が大きく変わったためか,セントリックリレーションという用語や,それに対応して用いられるセントリックオクルージョン(中心咬合位)という咬合位を示す用語は使われなくなる傾向にある.
これに対し,わが国では“中心位”を下顎後退位と理解し,この下顎位が適正な咬頭嵌合位(=中心咬合位)に対応する下顎位ではないとする考え方が従来からあり,その人達は日本語の中心位の概念を変える必要性を感じていない.一方,日本語の中心位をアメリカ補綴歯科学会用語委員会の歯科補綴学用語集(第5版)の定義に従い使用している方もいるので,本書では出典をつけるなどして,どちらの意味で使用しているのかを明示する努力をした.この点については読者におかれても注意をお願いしたい.
次に「関節結節」と「関節隆起」という用語についてであるが,文部省と日本歯科医学会共編の「学術用語集 歯学編(増訂版)」では日本語としては関節結節のみが記載されており,これに対応する英語として articular eminenceと articular tubercleの2語があげられている.本書ではこの2つの用語を区別して使用している著者と,両者を同義語として使用している著者がいる.これらの用語については臨床的な視点も考慮に入れて,今後さらに検討する必要があると思われる.
そのほか,顆頭位(下顎頭位)の診断に関する放射線学的な評価について考え方の統一がとれていないなど幾つかの問題が残されているが,いずれ理解が深まるものと期待している.
本書編纂にあたり,執筆を担当してくださった方々,種々ご意見をお寄せくださった方々,ならびに実務面で多大の貢献をいただいた徳島大学歯学部中野雅徳先生をはじめとする各位に感謝いたします.
最後に,本書を企画・出版するにあたり C深いご理解とご協力をいただいた医歯薬出版株式会社の関係各位に深甚なる感謝の意を表します.
1993年 11月 編者一同
第1章 顎機能障害(顎関節症)とは……1
顎機能障害(顎関節症)についての概説……2
疾患名について……2
顎機能障害に関する研究の系譜……3
現状と今後の展望……5
第2章 顎口腔系の形態と機能……9
I 顎口腔系の機能的解剖学…… 10
1 顎関節の構造と機能…… 10
顎関節の解剖学的特徴…… 10
顎関節の発生と起源…… 10
顎関節の成長・発育…… 12
食性別による顎関節の形態と機能…… 12
2 各構成要素の機能とバイオメカニクス…… 14
顎関節が負荷関節であるとする臨床的考察…… 14
組織解剖学的特徴…… 14
顎関節負荷…… 20
関節内圧…… 20
II 顎口腔系の生理学…… 23
咀嚼を起こす神経系の働き…… 23
咀嚼筋・舌筋・舌骨筋の活動…… 24
咀嚼力調節の機構…… 24
咀嚼力調節にかかわる歯根膜感覚…… 25
咀嚼力調節にかかわる咀嚼筋の感覚…… 27
III 咬合と顎運動…… 29
1 咬合の正常像とその概念…… 29
歯および歯列弓の形態と大きさの調和…… 29
顎骨の形態と大きさおよび位置…… 31
中心咬合位での上下顎の接触関係…… 33
顎口腔系筋群の機能…… 33
顎関節の構造と機能…… 35
中枢神経系および神経・筋機構の正常なメカニズム…… 35
健全な歯周支持組織…… 35
調和のとれた顔貌の形成…… 35
2 正常咬合の獲得…… 37
骨格系の条件…… 37
軟組織および筋系の条件…… 38
歯系の条件…… 41
中枢神経系の条件…… 41
3 基本的な顎運動…… 42
下顎の限界運動…… 42
咬頭嵌合位と代表的な下顎位との関係…… 46
基本的な下顎運動…… 47
習慣性開閉口運動…… 48
咀嚼運動…… 48
側方滑走運動…… 54
第3章 顎機能障害の病態……55
I 顎機能障害の分類・病因・疫学…… 56
1 顎機能障害の分類…… 56
症型分類の概説…… 56
日本顎関節学会の症型分類…… 59
2 顎機能障害の病態…… 60
咀嚼筋にみられる障害…… 60
顎関節内障…… 62
3 疫学的考察…… 65
出現頻度…… 65
年齢的特徴と性差…… 66
歯科治療との関連…… 66
II 顎機能障害における発症因子としての咬合の役割…… 68
咬合障害の疫学的考察…… 68
咬合の病因寄与機序についての考察…… 71
III 顎機能障害の各症状の発症機序…… 77
1 疼痛の発生機序…… 77
関節原性疼痛…… 78
関節外性疼痛…… 78
関連痛…… 78
2 開口障害の発生機序…… 79
関節原性開口障害…… 79
関節外性開口障害…… 80
3 顎関節雑音の発生機序…… 80
第4章 顎機能障害の診査および診断……83
I 顎機能障害の病態の把握…… 84
頭蓋下顎機能障害プロトコール…… 84
プロトコールの各項目における診査方法…… 84
II 顎関節の診査および診断…… 92
1 顎関節雑音および疼痛の診査…… 92
顎関節雑音…… 92
顎関節痛…… 94
下顎頭運動制限あるいは過剰運動…… 96
2 顎関節のX線検査…… 97
顎関節の骨形態はどのように変化するか…… 97
経過観察を行った症例…… 98
経過観察の行われた症例からの示唆……101
パノラマX線写真による顎関節の撮影……103
パノラマX線写真の観察……105
3 顎関節の磁気共鳴画像検査(MRI)……108
撮像シーケンスと撮像法……108
MRIで何がわかるか……108
MRI検査の応用……108
臨床例……108
4 顎関節内視鏡……111
総論……111
各論……115
III 咀嚼筋,頭頚部筋の診査……120
1 筋の触診……120
触診部位と方法……120
2 筋電図検査……124
筋電図の記録法……124
筋電図の診断法……125
IV 咬合および顎運動の診査と診断……129
1 咬頭嵌合位での咬合接触の診査……129
咬合紙による診査の問題点……129
咬合紙による印記部……129
ブラックシ 潟Rーンを用いた add画像診査……130
咬みしめ強度の規定……131
顎機能障害患者における咬合治療例……131
T-Scanシステム……131
2 顎運動測定……134
顎運動における相対運動……134
測定法の分類……134
各測定法の特徴……134
3 咬合診断……138
咬頭嵌合位の位置の異常とその診断……139
咬頭嵌合位における咬合接触の安定性の異常とその診断……140
滑走運動をガイドする部位の異常とその診断……141
滑走運動をガイドする方向の異常とその診断……142
咬合平面に関する診断……143
4 顎運動の診断……145
1 自由度の診断……145
2 自由度の診断……145
3 自由度の診断……145
パントグラフによる診断……145
6 自由度の診断……146
V 顎機能障害診断システムと診断のチャート……152
1 口腔外科の立場から……152
顎関節症における各症型の診断基準……152
複合型……153
鑑別診断……154
2 補綴科の立場から……157
当科における顎関節症診断システム……157
各症型の臨床的特徴……158
顎関節症の診断チャート……162
3 矯正科の立場から――矯正科で行っている診断システム……163
顎口腔機能解析システムの概要……163
顎運動演算部……166
筋電図解析部……167
生体振動解析部……167
第5章 顎機能障害の治療法……169
I 治療計画の立案……170
顎機能障害治療のフローチャート……170
フローチャートに沿った診断と治療……170
II 各種治療法……177
1 スプリント療法……177
前歯接触型バイトプレーン……177
オクルーザルバイトプレーンスプリント……178
リポジショニングスプリント……178
ピボッティングスプリント……180
オクルーザルスプリント……180
その他……183
2 理学療法……183
冷熱療法……183
マッサージ療法……184
運動訓練療法……184
姿勢トレーニング療法……184
電気刺激療法……185
麻酔注射療法……186
イオン導入療法……186
ハリ治療……186
3 その他の療法……186
薬物療法……186
精神療法……187
バイオフィードバック療法……187
行動療法……187
プラセボ療法……188
ホームケアの指導療法……188
レーザー療法……188
咬合治療……188
外科療法……190
第6章 症例からみた顎機能障害……195
筋痛を主訴とした症例……196
症例……196
顎関節部の疼痛を主訴とした症例……200
顎関節障害とその原因……200
顎関節障害の診査,診断および治療……201
症例……202
顎関節雑音を主訴とした症例……205
症例……205
顎関節雑音に対する治療……207
開口制限を主訴とした症例 1 ―― 顎関節内障(保存療法)……209
関節円板の捕捉に成功した症例……209
関節円板の捕捉ができなかった症例……211
開口制限を主訴とした症例 2 ―― 顎関節内障(顎関節内視鏡による処置)……214
症例……214
筋性開口障害の診断と治療……218
診断……218
カウンセリング……218
治療……219
不眠を伴った開口障害の症例……220
咬合干渉とブラキシズムに起因した開口障害の症例……221
閉口障害を主訴とした症例……223
症例……225
全身に強い症状の出た症例 1 ―― 肩こり……228
症例……228
全身に強い症状の出た症例 2 ―― めまい(マイオドンティクス)……232
症例……232
歯科的考察……233
「めまい」をめぐって――専門医との話し合いのなかからの考察……236
デンタルスプリントが,なぜメニエール病に効いたか……238
全身に強い症状の出た症例 3 ―― その他……242
症例……242
総義歯症例……246
症例……246
全顎的な咬合の再構成を行った症例……250
症例……250
咬合治療の1つの目標……252
全顎にわたる補綴治療時の咬合採得……253
最終補綴にかかるまえに……254
ナイトガードの装着……254
矯正治療により発症したと思われる症例……255
症例1……255
症例2……257
矯正治療により治癒した症例 1……259
症例1……259
症例2……261
矯正治療により治癒した症例 2 ―― 外科的症例……263
症例……263
小児の顎機能障害症例……270
症例……271
観血的処置を必要とした症例……274
症例……274
バイオフィードバックが奏功した症例……278
症例1……278
症例2……281
心理的要因が強く関与していると考えられた症例……284
症例……284
習慣性顎関節脱臼……288
症例……288
オーラルディスキネジア 1……292
症例……292
オーラルディスキネジア 2……297
症例……297
舌習癖と関連した顎機能障害……301
症例……301
顎機能障害症例にみられる舌習癖……302
舌の異常習癖を誘発する因子……303
舌習癖中の顎運動と筋活動……303
舌の安静位……303
顎関節部に形態異常を示した症例……305
顎関節の形態異常(顎関節症IV型)……305
診断と治療のポイント……305
臨床例……305
症例……306
関節円板の転位を伴う不正咬合の矯正……308
復位を伴う関節円板前方転位症例 1……308
復位を伴う関節円板内方転位症例 2……310
復位を伴わない関節円板前方転位症例……312
○付頭蓋下顎機能障害プロトコール……317
索引……329
顎機能障害(顎関節症)についての概説……2
疾患名について……2
顎機能障害に関する研究の系譜……3
現状と今後の展望……5
第2章 顎口腔系の形態と機能……9
I 顎口腔系の機能的解剖学…… 10
1 顎関節の構造と機能…… 10
顎関節の解剖学的特徴…… 10
顎関節の発生と起源…… 10
顎関節の成長・発育…… 12
食性別による顎関節の形態と機能…… 12
2 各構成要素の機能とバイオメカニクス…… 14
顎関節が負荷関節であるとする臨床的考察…… 14
組織解剖学的特徴…… 14
顎関節負荷…… 20
関節内圧…… 20
II 顎口腔系の生理学…… 23
咀嚼を起こす神経系の働き…… 23
咀嚼筋・舌筋・舌骨筋の活動…… 24
咀嚼力調節の機構…… 24
咀嚼力調節にかかわる歯根膜感覚…… 25
咀嚼力調節にかかわる咀嚼筋の感覚…… 27
III 咬合と顎運動…… 29
1 咬合の正常像とその概念…… 29
歯および歯列弓の形態と大きさの調和…… 29
顎骨の形態と大きさおよび位置…… 31
中心咬合位での上下顎の接触関係…… 33
顎口腔系筋群の機能…… 33
顎関節の構造と機能…… 35
中枢神経系および神経・筋機構の正常なメカニズム…… 35
健全な歯周支持組織…… 35
調和のとれた顔貌の形成…… 35
2 正常咬合の獲得…… 37
骨格系の条件…… 37
軟組織および筋系の条件…… 38
歯系の条件…… 41
中枢神経系の条件…… 41
3 基本的な顎運動…… 42
下顎の限界運動…… 42
咬頭嵌合位と代表的な下顎位との関係…… 46
基本的な下顎運動…… 47
習慣性開閉口運動…… 48
咀嚼運動…… 48
側方滑走運動…… 54
第3章 顎機能障害の病態……55
I 顎機能障害の分類・病因・疫学…… 56
1 顎機能障害の分類…… 56
症型分類の概説…… 56
日本顎関節学会の症型分類…… 59
2 顎機能障害の病態…… 60
咀嚼筋にみられる障害…… 60
顎関節内障…… 62
3 疫学的考察…… 65
出現頻度…… 65
年齢的特徴と性差…… 66
歯科治療との関連…… 66
II 顎機能障害における発症因子としての咬合の役割…… 68
咬合障害の疫学的考察…… 68
咬合の病因寄与機序についての考察…… 71
III 顎機能障害の各症状の発症機序…… 77
1 疼痛の発生機序…… 77
関節原性疼痛…… 78
関節外性疼痛…… 78
関連痛…… 78
2 開口障害の発生機序…… 79
関節原性開口障害…… 79
関節外性開口障害…… 80
3 顎関節雑音の発生機序…… 80
第4章 顎機能障害の診査および診断……83
I 顎機能障害の病態の把握…… 84
頭蓋下顎機能障害プロトコール…… 84
プロトコールの各項目における診査方法…… 84
II 顎関節の診査および診断…… 92
1 顎関節雑音および疼痛の診査…… 92
顎関節雑音…… 92
顎関節痛…… 94
下顎頭運動制限あるいは過剰運動…… 96
2 顎関節のX線検査…… 97
顎関節の骨形態はどのように変化するか…… 97
経過観察を行った症例…… 98
経過観察の行われた症例からの示唆……101
パノラマX線写真による顎関節の撮影……103
パノラマX線写真の観察……105
3 顎関節の磁気共鳴画像検査(MRI)……108
撮像シーケンスと撮像法……108
MRIで何がわかるか……108
MRI検査の応用……108
臨床例……108
4 顎関節内視鏡……111
総論……111
各論……115
III 咀嚼筋,頭頚部筋の診査……120
1 筋の触診……120
触診部位と方法……120
2 筋電図検査……124
筋電図の記録法……124
筋電図の診断法……125
IV 咬合および顎運動の診査と診断……129
1 咬頭嵌合位での咬合接触の診査……129
咬合紙による診査の問題点……129
咬合紙による印記部……129
ブラックシ 潟Rーンを用いた add画像診査……130
咬みしめ強度の規定……131
顎機能障害患者における咬合治療例……131
T-Scanシステム……131
2 顎運動測定……134
顎運動における相対運動……134
測定法の分類……134
各測定法の特徴……134
3 咬合診断……138
咬頭嵌合位の位置の異常とその診断……139
咬頭嵌合位における咬合接触の安定性の異常とその診断……140
滑走運動をガイドする部位の異常とその診断……141
滑走運動をガイドする方向の異常とその診断……142
咬合平面に関する診断……143
4 顎運動の診断……145
1 自由度の診断……145
2 自由度の診断……145
3 自由度の診断……145
パントグラフによる診断……145
6 自由度の診断……146
V 顎機能障害診断システムと診断のチャート……152
1 口腔外科の立場から……152
顎関節症における各症型の診断基準……152
複合型……153
鑑別診断……154
2 補綴科の立場から……157
当科における顎関節症診断システム……157
各症型の臨床的特徴……158
顎関節症の診断チャート……162
3 矯正科の立場から――矯正科で行っている診断システム……163
顎口腔機能解析システムの概要……163
顎運動演算部……166
筋電図解析部……167
生体振動解析部……167
第5章 顎機能障害の治療法……169
I 治療計画の立案……170
顎機能障害治療のフローチャート……170
フローチャートに沿った診断と治療……170
II 各種治療法……177
1 スプリント療法……177
前歯接触型バイトプレーン……177
オクルーザルバイトプレーンスプリント……178
リポジショニングスプリント……178
ピボッティングスプリント……180
オクルーザルスプリント……180
その他……183
2 理学療法……183
冷熱療法……183
マッサージ療法……184
運動訓練療法……184
姿勢トレーニング療法……184
電気刺激療法……185
麻酔注射療法……186
イオン導入療法……186
ハリ治療……186
3 その他の療法……186
薬物療法……186
精神療法……187
バイオフィードバック療法……187
行動療法……187
プラセボ療法……188
ホームケアの指導療法……188
レーザー療法……188
咬合治療……188
外科療法……190
第6章 症例からみた顎機能障害……195
筋痛を主訴とした症例……196
症例……196
顎関節部の疼痛を主訴とした症例……200
顎関節障害とその原因……200
顎関節障害の診査,診断および治療……201
症例……202
顎関節雑音を主訴とした症例……205
症例……205
顎関節雑音に対する治療……207
開口制限を主訴とした症例 1 ―― 顎関節内障(保存療法)……209
関節円板の捕捉に成功した症例……209
関節円板の捕捉ができなかった症例……211
開口制限を主訴とした症例 2 ―― 顎関節内障(顎関節内視鏡による処置)……214
症例……214
筋性開口障害の診断と治療……218
診断……218
カウンセリング……218
治療……219
不眠を伴った開口障害の症例……220
咬合干渉とブラキシズムに起因した開口障害の症例……221
閉口障害を主訴とした症例……223
症例……225
全身に強い症状の出た症例 1 ―― 肩こり……228
症例……228
全身に強い症状の出た症例 2 ―― めまい(マイオドンティクス)……232
症例……232
歯科的考察……233
「めまい」をめぐって――専門医との話し合いのなかからの考察……236
デンタルスプリントが,なぜメニエール病に効いたか……238
全身に強い症状の出た症例 3 ―― その他……242
症例……242
総義歯症例……246
症例……246
全顎的な咬合の再構成を行った症例……250
症例……250
咬合治療の1つの目標……252
全顎にわたる補綴治療時の咬合採得……253
最終補綴にかかるまえに……254
ナイトガードの装着……254
矯正治療により発症したと思われる症例……255
症例1……255
症例2……257
矯正治療により治癒した症例 1……259
症例1……259
症例2……261
矯正治療により治癒した症例 2 ―― 外科的症例……263
症例……263
小児の顎機能障害症例……270
症例……271
観血的処置を必要とした症例……274
症例……274
バイオフィードバックが奏功した症例……278
症例1……278
症例2……281
心理的要因が強く関与していると考えられた症例……284
症例……284
習慣性顎関節脱臼……288
症例……288
オーラルディスキネジア 1……292
症例……292
オーラルディスキネジア 2……297
症例……297
舌習癖と関連した顎機能障害……301
症例……301
顎機能障害症例にみられる舌習癖……302
舌の異常習癖を誘発する因子……303
舌習癖中の顎運動と筋活動……303
舌の安静位……303
顎関節部に形態異常を示した症例……305
顎関節の形態異常(顎関節症IV型)……305
診断と治療のポイント……305
臨床例……305
症例……306
関節円板の転位を伴う不正咬合の矯正……308
復位を伴う関節円板前方転位症例 1……308
復位を伴う関節円板内方転位症例 2……310
復位を伴わない関節円板前方転位症例……312
○付頭蓋下顎機能障害プロトコール……317
索引……329