序文
人間にとって一番の幸せは何か?と問えば,ほとんどの人が「健康」と答えることでしょう.私は,心身とも健康で,やる気さえあれば,人間にとって不可能はない!!とまで思っています.仕事も,食事も,運動も,家族との団らんも楽しめる「健康」でさえあれば,少々ふところ具合がさびしくとも幸せに過ごせると思いますが,いくら金銭や地位に恵まれたとしても,不健康では本当の幸せは得られません.
人間の幸せにとって究極の「健康」を保つ仕事を担っているのは「歯科医師」です.自分の口で美味しく食べられている人は健康です.そして,全身の健康を保つには,お口の環境が非常に大切であることは,さまざまなデータによって証明されている「事実」です.しかし,この人間にとって最も大切な部分を担っているはずの歯科界,特に昨今のわが国における歯科の世界には暗雲がたちこめています.医療従事者の意識が下がっています.特にこれからの歯科界を担っていくはずの若人に元気がありません.
歯科医師を目指す若者が減り,一昔前では考えられないことですが,多くの歯科大学で定員割れが起こっています.このままでは,歯科界にすばらしい人材が供給されなくなるおそれが現実味を帯びてきています.国も,力のなくなってきた歯科界に公的医療費を振り向けなくなりつつあります.
一昨年のわが国の国民総医療費は33兆1,276億円,そのなかで歯科に回されたのは2兆5,039億円,わずか7.6%でしかありません.少し前までは10%を超えていたのに,最近では年を追うごとに減少しつつあるという事実は,国が歯科医療の大切さを認めていない証左でもあります.われわれは,このまま歯科界の衰退を看過していてよいのでしょうか?
国民にとって,いや人間にとって一番の幸せ,「健康」を守るために大きな影響力をもつ歯科医療を再生するには,われわれは何をすべきか,いま真摯に考える時であろうと思います.
筆者は,人間にとって大切な歯科医療を再生すべく,まず歯科界がどのような状態にあるのかの現状を認識し,こうなってしまった原因を追及し,現在の歯科医療を取り巻く劣悪な環境の下で苦悶しつつも,患者さんのために自己犠牲を払いながら日々の臨床に取り組んでいる一般臨床家にとっての悩みをひもとき,解決策を探ってみようと考えました.
本書が厳冬期にある歯科界にとって一筋の光明となり,特に,次世代の歯科を担う若き歯科医師が希望をもって歯科医療に傾注し,より国民に評価される歯科界再生の一助となることを願っています.
2009年2月
高橋英登
人間にとって一番の幸せは何か?と問えば,ほとんどの人が「健康」と答えることでしょう.私は,心身とも健康で,やる気さえあれば,人間にとって不可能はない!!とまで思っています.仕事も,食事も,運動も,家族との団らんも楽しめる「健康」でさえあれば,少々ふところ具合がさびしくとも幸せに過ごせると思いますが,いくら金銭や地位に恵まれたとしても,不健康では本当の幸せは得られません.
人間の幸せにとって究極の「健康」を保つ仕事を担っているのは「歯科医師」です.自分の口で美味しく食べられている人は健康です.そして,全身の健康を保つには,お口の環境が非常に大切であることは,さまざまなデータによって証明されている「事実」です.しかし,この人間にとって最も大切な部分を担っているはずの歯科界,特に昨今のわが国における歯科の世界には暗雲がたちこめています.医療従事者の意識が下がっています.特にこれからの歯科界を担っていくはずの若人に元気がありません.
歯科医師を目指す若者が減り,一昔前では考えられないことですが,多くの歯科大学で定員割れが起こっています.このままでは,歯科界にすばらしい人材が供給されなくなるおそれが現実味を帯びてきています.国も,力のなくなってきた歯科界に公的医療費を振り向けなくなりつつあります.
一昨年のわが国の国民総医療費は33兆1,276億円,そのなかで歯科に回されたのは2兆5,039億円,わずか7.6%でしかありません.少し前までは10%を超えていたのに,最近では年を追うごとに減少しつつあるという事実は,国が歯科医療の大切さを認めていない証左でもあります.われわれは,このまま歯科界の衰退を看過していてよいのでしょうか?
国民にとって,いや人間にとって一番の幸せ,「健康」を守るために大きな影響力をもつ歯科医療を再生するには,われわれは何をすべきか,いま真摯に考える時であろうと思います.
筆者は,人間にとって大切な歯科医療を再生すべく,まず歯科界がどのような状態にあるのかの現状を認識し,こうなってしまった原因を追及し,現在の歯科医療を取り巻く劣悪な環境の下で苦悶しつつも,患者さんのために自己犠牲を払いながら日々の臨床に取り組んでいる一般臨床家にとっての悩みをひもとき,解決策を探ってみようと考えました.
本書が厳冬期にある歯科界にとって一筋の光明となり,特に,次世代の歯科を担う若き歯科医師が希望をもって歯科医療に傾注し,より国民に評価される歯科界再生の一助となることを願っています.
2009年2月
高橋英登
序文
第1章 意識改革
(1)医療人として社会の流れを見ることが必要
高齢化の加速時代/産科・小児科の医師不足/保険点数・医療保障・医療クラーク
(2)歯科医療の未来像の構築
歯科の未来を考えること/歯科が達成してきたことを誇ろう/今後行うべきこと
(3)国民に信頼されるために何が必要なのか?
安易に「歯科の特殊性」と言わないこと/患者さんの「常識」をふまえて対応をする
(4)歯科医療保険は「非」国民皆保険
歯科治療は国民皆保険下にはないという共通認識が必要/現状を知ってもらう努力をする
(5)どんな歯科治療を提供すべきなのか?
医療費総体は拡大しても歯科には配分されない/目をつぶって現行制度のもとで妥協診療をするのか?/患者さんにとって,最もよい医療を提供する
(6)今後の歯科医療をどう考えるのか?
予防の重視/潜在患者の掘り起こし
(7)意識改革
適正な医療は健全な医院経営のもとに成り立つ/意識改革が必要
第2章 ニーズを読む
(1)現在患者模様
患者さんのニーズを知る努力を/患者さんの意識の変化/情報化時代の患者さん
(2)ニーズとガイダンス
ニーズを理解したうえでの専門的説明と助言/痛くなく,早く,きれいに,安く,抜かないで……
(3)選ぶのはあくまで患者さん
適切な選択肢を示す努力を
(4)問診表で知るリスク
問診表でわかること/全身疾患・リスク回避/得た情報を確実に把握する
(5)問診表で知る治療への意欲と治療費用についての希望
自費診療の可能性は最初に察知する/問診表は絶対に必要/インターネットの活用
(6)自費と保険
患者さんの価値観/「保険診療で」という場合の説明
(7)「患者納得診療」が歯科治療の根幹
「患者納得診療」がトラブル回避にもつながる/よく説明することの重要性
第3章 多様な選択肢
(1)自院の力を点検してみよう
「引き出し」をどれだけもっているか?/自院の診療の幅を広げるには?
(2)多彩な選択肢を提供するにはまず知識が必要
どんな方法があるかを知らなければ始まらない/衰退する歯科医院にならないように
(3)選択肢を増やす際の優先順序
優先順序をどう決めるのか/拡大策は?
(4)選択肢を増やす際に考えるべきポイント
自院のフィロソフィーをもつ/コスト意識とトラブル対策をしっかりと
第4章 患者納得診療
(1)説明なくして選択なし
説明は自費・保険を問わず,診療の原則/説明のための準備/特徴を端的に,そして医院としての統一見解を示す
(2)料金は事前に,明確に示す
料金は事前に,そしてクリアーに/治療の前に今日の料金を知らせる
(3)自費料金の設定
目安は5倍/症例の難易度を料金に反映させるのは難しい
(4)待てる処置と待てない処置
柔軟な発想で/セルフコントロール時代の新しい1本義歯
(5)どんな歯科治療を提供すべきなのか?
保証期間/保証書の発行/メインテナンスは保証の前提
(6)メインテナンス
「保証の条件」とすることが定期来院につながる/楽しい来院/メインテナンスの料金
第5章 環境の整備
(1)医院の環境を考える2つの視点
患者さんのために行う環境整備/履きかえずに診療室へ/空調・診療時間・患者さん用の駐車場・BGM
(2)受付・待合室
受付・待合室は医院の顔/患者さんの相談に応える雰囲気を
(3)患者さん目線でのチェックが必須
洗面所・洗口コーナー/患者さんの目線での日常の点検を怠らないこと
(4)医療安全/ディスポーザブル製品の導入
医療安全/清潔でリーズナブルなのがディスポーザブル製品
(5)良質な医療を提供するための環境整備
水と空気対策/ライティング/「新規」機械の導入/デジタル化/CT
(6)前進していることを患者さんにアピールする
せっかくの自院の特性を伝えない手はない/伝えることで,導入したものへのニーズが生まれる/どんなに素晴らしい環境でも……
第6章 人材の育成
(1)医院としての理念・目標を掲げる
リーダーシップ/具体的な目標
(2)院長の役割
一番働く存在であること/社会的責任を果たす/社会の認識を知る努力をする
(3)院長としての努力
本を読む/健康雑誌/専門知識の吸収/院内勉強会
(4)医療は人
頑張りに見あう評価を!/頑張って得たものでさらなるパワーアップをしてほしい
(5)働く楽しさ
患者さんの評価を共有する/患者さんから喜びをもらう/人間関係の悩みを超えて,やりたいことを追求してほしい/受付のストレス
(6)長く働ける医院
自己を高める努力を促す/継続性/グループで診療と教育を
(7)外部の目にさらすことが大事
臨床研修医の受け入れ/こんなメリットも/医院見学
(8)明るい未来のために
後継者が明るく働ける歯科界を目指す/歯科医師会の大切さ
あとがき
第1章 意識改革
(1)医療人として社会の流れを見ることが必要
高齢化の加速時代/産科・小児科の医師不足/保険点数・医療保障・医療クラーク
(2)歯科医療の未来像の構築
歯科の未来を考えること/歯科が達成してきたことを誇ろう/今後行うべきこと
(3)国民に信頼されるために何が必要なのか?
安易に「歯科の特殊性」と言わないこと/患者さんの「常識」をふまえて対応をする
(4)歯科医療保険は「非」国民皆保険
歯科治療は国民皆保険下にはないという共通認識が必要/現状を知ってもらう努力をする
(5)どんな歯科治療を提供すべきなのか?
医療費総体は拡大しても歯科には配分されない/目をつぶって現行制度のもとで妥協診療をするのか?/患者さんにとって,最もよい医療を提供する
(6)今後の歯科医療をどう考えるのか?
予防の重視/潜在患者の掘り起こし
(7)意識改革
適正な医療は健全な医院経営のもとに成り立つ/意識改革が必要
第2章 ニーズを読む
(1)現在患者模様
患者さんのニーズを知る努力を/患者さんの意識の変化/情報化時代の患者さん
(2)ニーズとガイダンス
ニーズを理解したうえでの専門的説明と助言/痛くなく,早く,きれいに,安く,抜かないで……
(3)選ぶのはあくまで患者さん
適切な選択肢を示す努力を
(4)問診表で知るリスク
問診表でわかること/全身疾患・リスク回避/得た情報を確実に把握する
(5)問診表で知る治療への意欲と治療費用についての希望
自費診療の可能性は最初に察知する/問診表は絶対に必要/インターネットの活用
(6)自費と保険
患者さんの価値観/「保険診療で」という場合の説明
(7)「患者納得診療」が歯科治療の根幹
「患者納得診療」がトラブル回避にもつながる/よく説明することの重要性
第3章 多様な選択肢
(1)自院の力を点検してみよう
「引き出し」をどれだけもっているか?/自院の診療の幅を広げるには?
(2)多彩な選択肢を提供するにはまず知識が必要
どんな方法があるかを知らなければ始まらない/衰退する歯科医院にならないように
(3)選択肢を増やす際の優先順序
優先順序をどう決めるのか/拡大策は?
(4)選択肢を増やす際に考えるべきポイント
自院のフィロソフィーをもつ/コスト意識とトラブル対策をしっかりと
第4章 患者納得診療
(1)説明なくして選択なし
説明は自費・保険を問わず,診療の原則/説明のための準備/特徴を端的に,そして医院としての統一見解を示す
(2)料金は事前に,明確に示す
料金は事前に,そしてクリアーに/治療の前に今日の料金を知らせる
(3)自費料金の設定
目安は5倍/症例の難易度を料金に反映させるのは難しい
(4)待てる処置と待てない処置
柔軟な発想で/セルフコントロール時代の新しい1本義歯
(5)どんな歯科治療を提供すべきなのか?
保証期間/保証書の発行/メインテナンスは保証の前提
(6)メインテナンス
「保証の条件」とすることが定期来院につながる/楽しい来院/メインテナンスの料金
第5章 環境の整備
(1)医院の環境を考える2つの視点
患者さんのために行う環境整備/履きかえずに診療室へ/空調・診療時間・患者さん用の駐車場・BGM
(2)受付・待合室
受付・待合室は医院の顔/患者さんの相談に応える雰囲気を
(3)患者さん目線でのチェックが必須
洗面所・洗口コーナー/患者さんの目線での日常の点検を怠らないこと
(4)医療安全/ディスポーザブル製品の導入
医療安全/清潔でリーズナブルなのがディスポーザブル製品
(5)良質な医療を提供するための環境整備
水と空気対策/ライティング/「新規」機械の導入/デジタル化/CT
(6)前進していることを患者さんにアピールする
せっかくの自院の特性を伝えない手はない/伝えることで,導入したものへのニーズが生まれる/どんなに素晴らしい環境でも……
第6章 人材の育成
(1)医院としての理念・目標を掲げる
リーダーシップ/具体的な目標
(2)院長の役割
一番働く存在であること/社会的責任を果たす/社会の認識を知る努力をする
(3)院長としての努力
本を読む/健康雑誌/専門知識の吸収/院内勉強会
(4)医療は人
頑張りに見あう評価を!/頑張って得たものでさらなるパワーアップをしてほしい
(5)働く楽しさ
患者さんの評価を共有する/患者さんから喜びをもらう/人間関係の悩みを超えて,やりたいことを追求してほしい/受付のストレス
(6)長く働ける医院
自己を高める努力を促す/継続性/グループで診療と教育を
(7)外部の目にさらすことが大事
臨床研修医の受け入れ/こんなメリットも/医院見学
(8)明るい未来のために
後継者が明るく働ける歯科界を目指す/歯科医師会の大切さ
あとがき








