発刊によせて
令和4年歯科疾患実態調査において,8020達成者(80歳以上で20本以上の残存歯を有する者)の割合は51.6%であった.この数値だけみると,歯が多く残っている高齢者が増え,日本の歯科医療の勝利,歯科治療や義歯の必要性は減少しているというイメージに捉えられやすい.しかしながらわが国の高齢化は着実に進行しており,これらの減少をパーセンテージだけで表すのは早計である.実際,8020非達成者は1999年で85%,718万人だったのが2016年には54%,911万人という報告があり,割合は大きく減少しているが実数は200万人増加しているという報告もある.高齢者の歯科受診の割合は依然として低いので,これらの表に出てこない多くの患者は在宅である.
歯科訪問診療を実施していると,実に多くの問題点があることがわかる.患者の全身状態の勘案,服用薬に対する配慮,口腔機能の著しい衰えなど一朝一夕には解決し得ない問題も多いし解決法がみえない問題も多い.本書の著者である竹前健彦先生は,長く地域の歯科医療に情熱的に取り組んでこられた.これからの歯科医療には歯科衛生士が重要であるという認識から,歯科衛生士学校も設立された.高齢者の嚥下の問題が重要であることを認識すると,本書の監修もしていただいている本学の戸原 玄教授のもとで大学院研究生として1年間摂食嚥下の訪問診療に同行したほどの情熱をお持ちの先生である.その先生が日々の訪問診療を通して伝えなければならない,伝えたいと思った事項をまとめたのが本書である.
竹前先生のご専門は全部床義歯補綴学で,それらの真髄を徳島大学歯学部前教授の松本直之先生に学んだ.その教えがところどころに表れており大変参考になる.私は竹前先生の医局の後輩になるので,「記載でおかしいところがあれば遠慮なく直してほしい」と依頼された.原稿を受け取り読んでみると,「訪問診療をする若い先生はこれを知っておいてほしい」「このように考えてほしい」といった気持ちが強く表れていることがわかる.そのため,ついつい普段使われない用語や補綴学のセオリーとは完全には合致しない表現もしばしばみられる.しかしながら,部分床においては支台歯と義歯床の関係を明確にすること,全部床の場合は辺縁封鎖や適切な咬合関係の樹立によってできるだけ動かない義歯にすること,といった根本的原則はしっかり押さえられている.また,本書で大きく取り上げられているノンメタルクラスプデンチャーについても推奨される使い方とは違う部分もみられる.そのケースは補綴学的な原則をもってしてもうまくいきにくく,金属床にしても維持力が得られない困難なケースであり,試行錯誤の結果,在宅の要介護者の眼前の栄養摂取やQOLに重きを置いた結果であることを理解していただきたい.
したがって,若い先生には本書を読むだけでなく教科書もしっかり読んで原則もきっちり理解しておくことが大事である.その原則を基盤として,患者さんの望みや困りごとをよく見定めて対処する.それが歯科訪問診療の真髄であり,患者さんや家族の喜びとともにわれわれ歯科医師も大きな満足感を得ることができると思う.
令和5年12月
水口俊介
はじめに
「全部床も部分床も食べるときに動く義歯は痛い,噛めない」
全部床義歯は辺縁封鎖,部分床義歯はリジッドサポート(p.22参照).これは義歯補綴の基本セオリーである.このセオリーを満たすように歯科医師は患者のために設計し,リライニングや修理を行えば,保険材料のレジン床でも金属床やノンメタルクラスプデンチャーでも,動揺のない噛める義歯になる.部分床義歯は材質により使用感,審美観などに差はあるが,便利な軟性レジンを用いたノンメタルクラスプデンチャーが保険適応になることに期待したい.全部床義歯は従来のレジン床で十分に噛める義歯を患者に提供できるが,下顎全部床義歯については特に難症例の粘膜調整の工夫を細かく記述したので是非参考にしていただきたい.
診療室でも訪問診療でも,全部床でも部分床でも,食べるときに動く義歯は痛く,噛めない.
私達歯科医師は,患者の要望を十分に把握したうえで,その許される条件のなかで最良の噛める義歯を,補綴学のセオリーに沿った義歯を提供しなければならない.そのセオリーに基づき,臨床で「こんなとき,どうするか」と迷った際の工夫をまとめたものが本書である.
さらに,今までどんなによく噛める立派な義歯を使っていても,あるいはインプラントや天然歯で噛めていても,老化や,摂食嚥下障害を伴う全身の病気に悩まされ,噛めなくなったり飲み込めなくなったりする人が多くなる超高齢社会を迎え,歯科医師は患者の口腔だけではなく,全身の健康状態を把握できる力を身につけるべき時代の到来となっている.高齢者の心身の状態に留意しながら,自分の診療室でも,訪問診療の多職種連携でも,自信を持って医療貢献したいものである.
本書では,摂食嚥下を専門とする並木千鶴先生,今田良子先生に我々歯科医師が今までに学べていない分野の必要な情報をわかりやすくまとめていただいた.監修の水口俊介先生,戸原玄先生にも貴重なご意見をいただいた.ここに,厚く御礼申し上げます.
令和5年12月
竹前健彦
令和4年歯科疾患実態調査において,8020達成者(80歳以上で20本以上の残存歯を有する者)の割合は51.6%であった.この数値だけみると,歯が多く残っている高齢者が増え,日本の歯科医療の勝利,歯科治療や義歯の必要性は減少しているというイメージに捉えられやすい.しかしながらわが国の高齢化は着実に進行しており,これらの減少をパーセンテージだけで表すのは早計である.実際,8020非達成者は1999年で85%,718万人だったのが2016年には54%,911万人という報告があり,割合は大きく減少しているが実数は200万人増加しているという報告もある.高齢者の歯科受診の割合は依然として低いので,これらの表に出てこない多くの患者は在宅である.
歯科訪問診療を実施していると,実に多くの問題点があることがわかる.患者の全身状態の勘案,服用薬に対する配慮,口腔機能の著しい衰えなど一朝一夕には解決し得ない問題も多いし解決法がみえない問題も多い.本書の著者である竹前健彦先生は,長く地域の歯科医療に情熱的に取り組んでこられた.これからの歯科医療には歯科衛生士が重要であるという認識から,歯科衛生士学校も設立された.高齢者の嚥下の問題が重要であることを認識すると,本書の監修もしていただいている本学の戸原 玄教授のもとで大学院研究生として1年間摂食嚥下の訪問診療に同行したほどの情熱をお持ちの先生である.その先生が日々の訪問診療を通して伝えなければならない,伝えたいと思った事項をまとめたのが本書である.
竹前先生のご専門は全部床義歯補綴学で,それらの真髄を徳島大学歯学部前教授の松本直之先生に学んだ.その教えがところどころに表れており大変参考になる.私は竹前先生の医局の後輩になるので,「記載でおかしいところがあれば遠慮なく直してほしい」と依頼された.原稿を受け取り読んでみると,「訪問診療をする若い先生はこれを知っておいてほしい」「このように考えてほしい」といった気持ちが強く表れていることがわかる.そのため,ついつい普段使われない用語や補綴学のセオリーとは完全には合致しない表現もしばしばみられる.しかしながら,部分床においては支台歯と義歯床の関係を明確にすること,全部床の場合は辺縁封鎖や適切な咬合関係の樹立によってできるだけ動かない義歯にすること,といった根本的原則はしっかり押さえられている.また,本書で大きく取り上げられているノンメタルクラスプデンチャーについても推奨される使い方とは違う部分もみられる.そのケースは補綴学的な原則をもってしてもうまくいきにくく,金属床にしても維持力が得られない困難なケースであり,試行錯誤の結果,在宅の要介護者の眼前の栄養摂取やQOLに重きを置いた結果であることを理解していただきたい.
したがって,若い先生には本書を読むだけでなく教科書もしっかり読んで原則もきっちり理解しておくことが大事である.その原則を基盤として,患者さんの望みや困りごとをよく見定めて対処する.それが歯科訪問診療の真髄であり,患者さんや家族の喜びとともにわれわれ歯科医師も大きな満足感を得ることができると思う.
令和5年12月
水口俊介
はじめに
「全部床も部分床も食べるときに動く義歯は痛い,噛めない」
全部床義歯は辺縁封鎖,部分床義歯はリジッドサポート(p.22参照).これは義歯補綴の基本セオリーである.このセオリーを満たすように歯科医師は患者のために設計し,リライニングや修理を行えば,保険材料のレジン床でも金属床やノンメタルクラスプデンチャーでも,動揺のない噛める義歯になる.部分床義歯は材質により使用感,審美観などに差はあるが,便利な軟性レジンを用いたノンメタルクラスプデンチャーが保険適応になることに期待したい.全部床義歯は従来のレジン床で十分に噛める義歯を患者に提供できるが,下顎全部床義歯については特に難症例の粘膜調整の工夫を細かく記述したので是非参考にしていただきたい.
診療室でも訪問診療でも,全部床でも部分床でも,食べるときに動く義歯は痛く,噛めない.
私達歯科医師は,患者の要望を十分に把握したうえで,その許される条件のなかで最良の噛める義歯を,補綴学のセオリーに沿った義歯を提供しなければならない.そのセオリーに基づき,臨床で「こんなとき,どうするか」と迷った際の工夫をまとめたものが本書である.
さらに,今までどんなによく噛める立派な義歯を使っていても,あるいはインプラントや天然歯で噛めていても,老化や,摂食嚥下障害を伴う全身の病気に悩まされ,噛めなくなったり飲み込めなくなったりする人が多くなる超高齢社会を迎え,歯科医師は患者の口腔だけではなく,全身の健康状態を把握できる力を身につけるべき時代の到来となっている.高齢者の心身の状態に留意しながら,自分の診療室でも,訪問診療の多職種連携でも,自信を持って医療貢献したいものである.
本書では,摂食嚥下を専門とする並木千鶴先生,今田良子先生に我々歯科医師が今までに学べていない分野の必要な情報をわかりやすくまとめていただいた.監修の水口俊介先生,戸原玄先生にも貴重なご意見をいただいた.ここに,厚く御礼申し上げます.
令和5年12月
竹前健彦
発刊によせて(水口俊介)
はじめに「全部床も部分床も食べるときに動く義歯は痛い,噛めない」(竹前健彦)
動く義歯は痛くて噛めない―動かない義歯製作のためのセオリー(竹前健彦)
I―動かない義歯のための工夫,心得ておくセオリー
(竹前健彦)
1 全部床義歯は辺縁封鎖と咬合調整が命
(1)印象採得のポイント
1)面倒でも個人トレーを使え(急がば回れ)
Case 1 簡単な個人トレーの試適と調整法
Case 2 準備された個人トレーが短いときに,工夫して有効に活用する方法
2)最終義歯の床辺縁の長さを考慮した個人トレーの調節
Case 3 床縁が適切な長さにできあがっている個人トレーによる上下全部床義歯のシリコーン印象:トレーがよければ短時間で優れた印象が採れる
(2)辺縁封鎖のポイント
1)全部床義歯の辺縁封鎖
2)辺縁封鎖獲得時の問題点と対応
Case 4 残根あるいはそれに近い残存歯の有効活用でオーバーデンチャー
Case 5 使えない残根でも工夫してなるべく不潔部位を減らす
(3)咬合採得のポイント
1)上下全部床義歯咬合採得の実際
2)咬合調整のしやすい排列法
3)臼歯をすべてリンガライズドオクルージョンで排列,調整する方法
4)咬合調整のポイント
5)高齢で顎関節が甘くなり1点で咬合しない.どうする?
2 部分床義歯はリジッドサポートするためのレスト支持が命
(1)前歯部天然歯は切縁レストで工夫する
Case 6 切縁レスト付与が局部床義歯に仕事をさせる
Case 7 前歯部残存歯を支台歯として準備し活用できた義歯
(2)部分床義歯リライニングのときのポイント
1)部分床義歯のリライニングは,レストに気をつける
II―こんなときどうする? 義歯治療での悩みとその対処
(竹前健彦)
1 全部床義歯
(1)上顎がゆるむ,外れて落ちる
(2)下顎がゆるむ,浮き上がる,噛むと動いて安定しない,シーソーする
(3)舌小帯両サイドの封鎖と微妙な調整
Case 8 下顎総義歯が痛くて困っている→辺縁封鎖が得られず動く義歯は痛い!
Case 9 ピッタリしていて浮き上がらないが少し痛む
Case 10 顎の形が悪いから無理だといわれた
Case 11 咬合調整ヨシ,舌小帯両サイド粘膜適合状態ヨシ,顎舌骨筋線部のリリーフ状態ヨシが下顎全部床義歯安定の三大ポイント
(4)顎舌骨筋線部が当たって痛い,慢性的に当たる
(5)下顎全部床の舌側の吸着がよいのに,食べると床が浮き上がる
2 部分床義歯
(1)「動く義歯は痛い」 動かない条件
(2)こんなときどうする? 困ったときの軟性レジン材の利点
1)軟性レジン材による部分床義歯の利点について
2)臼歯部の1本義歯について
Case 12 遊離端義歯の性能アップ
Case 13 最後臼歯の1歯欠損に対して延長ブリッジにせず簡単補綴
Case 14 上顎舌側に大きな骨隆起がある場合の設計の工夫
Case 15 下顎舌側に骨隆起がある場合でも小さな義歯が設計可能
(3)大きな義歯はイヤだといわれたら
Case 16 大きな義歯はイヤだといわれたら?(下顎症例)
(4)すれ違い咬合は難しい どうする?
Case 17 すれちがい咬合で義歯床が動くため,いろいろな材質で工夫した結果,ノンメタルクラスプの軟らかいレジン床義歯で救われた症例
(5)今残っている歯は削られたり被せられたりしたくない 現状のまま奥歯でしっかり噛める入れ歯を入れてほしい
Case 18 患者が残存歯の削合を絶対に拒否して,現状のままで義歯製作のみを強く希望
Case 19 大きな義歯はイヤだといわれたら? 残根を有効活用できたノンメタルクラスプデンチャー用軟性レジン床の効果
(6)長期入院で義歯を外していたので部分床義歯が使えない
(7)認知症患者に指を噛まれないで正確な歯科治療を行うには
3 インプラントSOS
(1)下顎の細い顎骨上で動く全部床を動かない部分床に
Case 20 ミニインプラントで動かない義歯に変貌
(2)インプラントの残骸が残っている どうする?
Case 21 Case 17の7 6支台歯で天然歯が残った義歯と同じくインプラントが残されて,上下のすれ違い咬合になっている症例
(3)インプラントの残骸を不潔域にしない工夫
Case 22 インプラントに蓋をする工夫(周囲炎を防ぐ)
4 残存歯のトラブル
(1)前歯部残根がある場合の床外型線の工夫
Case 23 前歯部床外形線の工夫を必要とする症例
(2)歯頸部歯肉が下がり鼓形空隙が多くなり食渣が入る
Case 24 臼歯部に食渣が入り込んで困る
Case 25 軟性床用レジン材の有効活用
(3)長年調子が良好で使用してきた支台歯が脱落して来院 簡単に再装着したがすぐに脱落して再来院した
Case 26 前歯部支台歯が脱離して来院した高価な義歯
(4)抜歯されると歯の抜けたところが恥ずかしいので困る/いきなりバネがみえるのはイヤだ
Case 27 患者に抜歯による不便をさせないためのノンメタルクラスプ即時義歯
(5)軟性レジン材適用の失敗例
Case 28 軟性レジン材適用の失敗例
III―義歯治療時に知っておきたい全身のポイント
1 訪問歯科診療を行う際に知っておきたい多職種連携と全身のみかた(並木千鶴)
(1)歯科医師としての多職種連携時の心得
(2)把握しておくべき全身の状態・用語
1)栄養状態に関する用語
2)血液検査の数値
3)栄養摂取方法
(3)患者の観察ポイント
1)頭
2)身体
3)口と喉
(4)咀嚼機能の評価
2 口腔癌(今田良子)
(1)口腔癌の疫学
(2)口腔癌の実際
(3)リスク管理
おわりに(竹前健彦)
索引
はじめに「全部床も部分床も食べるときに動く義歯は痛い,噛めない」(竹前健彦)
動く義歯は痛くて噛めない―動かない義歯製作のためのセオリー(竹前健彦)
I―動かない義歯のための工夫,心得ておくセオリー
(竹前健彦)
1 全部床義歯は辺縁封鎖と咬合調整が命
(1)印象採得のポイント
1)面倒でも個人トレーを使え(急がば回れ)
Case 1 簡単な個人トレーの試適と調整法
Case 2 準備された個人トレーが短いときに,工夫して有効に活用する方法
2)最終義歯の床辺縁の長さを考慮した個人トレーの調節
Case 3 床縁が適切な長さにできあがっている個人トレーによる上下全部床義歯のシリコーン印象:トレーがよければ短時間で優れた印象が採れる
(2)辺縁封鎖のポイント
1)全部床義歯の辺縁封鎖
2)辺縁封鎖獲得時の問題点と対応
Case 4 残根あるいはそれに近い残存歯の有効活用でオーバーデンチャー
Case 5 使えない残根でも工夫してなるべく不潔部位を減らす
(3)咬合採得のポイント
1)上下全部床義歯咬合採得の実際
2)咬合調整のしやすい排列法
3)臼歯をすべてリンガライズドオクルージョンで排列,調整する方法
4)咬合調整のポイント
5)高齢で顎関節が甘くなり1点で咬合しない.どうする?
2 部分床義歯はリジッドサポートするためのレスト支持が命
(1)前歯部天然歯は切縁レストで工夫する
Case 6 切縁レスト付与が局部床義歯に仕事をさせる
Case 7 前歯部残存歯を支台歯として準備し活用できた義歯
(2)部分床義歯リライニングのときのポイント
1)部分床義歯のリライニングは,レストに気をつける
II―こんなときどうする? 義歯治療での悩みとその対処
(竹前健彦)
1 全部床義歯
(1)上顎がゆるむ,外れて落ちる
(2)下顎がゆるむ,浮き上がる,噛むと動いて安定しない,シーソーする
(3)舌小帯両サイドの封鎖と微妙な調整
Case 8 下顎総義歯が痛くて困っている→辺縁封鎖が得られず動く義歯は痛い!
Case 9 ピッタリしていて浮き上がらないが少し痛む
Case 10 顎の形が悪いから無理だといわれた
Case 11 咬合調整ヨシ,舌小帯両サイド粘膜適合状態ヨシ,顎舌骨筋線部のリリーフ状態ヨシが下顎全部床義歯安定の三大ポイント
(4)顎舌骨筋線部が当たって痛い,慢性的に当たる
(5)下顎全部床の舌側の吸着がよいのに,食べると床が浮き上がる
2 部分床義歯
(1)「動く義歯は痛い」 動かない条件
(2)こんなときどうする? 困ったときの軟性レジン材の利点
1)軟性レジン材による部分床義歯の利点について
2)臼歯部の1本義歯について
Case 12 遊離端義歯の性能アップ
Case 13 最後臼歯の1歯欠損に対して延長ブリッジにせず簡単補綴
Case 14 上顎舌側に大きな骨隆起がある場合の設計の工夫
Case 15 下顎舌側に骨隆起がある場合でも小さな義歯が設計可能
(3)大きな義歯はイヤだといわれたら
Case 16 大きな義歯はイヤだといわれたら?(下顎症例)
(4)すれ違い咬合は難しい どうする?
Case 17 すれちがい咬合で義歯床が動くため,いろいろな材質で工夫した結果,ノンメタルクラスプの軟らかいレジン床義歯で救われた症例
(5)今残っている歯は削られたり被せられたりしたくない 現状のまま奥歯でしっかり噛める入れ歯を入れてほしい
Case 18 患者が残存歯の削合を絶対に拒否して,現状のままで義歯製作のみを強く希望
Case 19 大きな義歯はイヤだといわれたら? 残根を有効活用できたノンメタルクラスプデンチャー用軟性レジン床の効果
(6)長期入院で義歯を外していたので部分床義歯が使えない
(7)認知症患者に指を噛まれないで正確な歯科治療を行うには
3 インプラントSOS
(1)下顎の細い顎骨上で動く全部床を動かない部分床に
Case 20 ミニインプラントで動かない義歯に変貌
(2)インプラントの残骸が残っている どうする?
Case 21 Case 17の7 6支台歯で天然歯が残った義歯と同じくインプラントが残されて,上下のすれ違い咬合になっている症例
(3)インプラントの残骸を不潔域にしない工夫
Case 22 インプラントに蓋をする工夫(周囲炎を防ぐ)
4 残存歯のトラブル
(1)前歯部残根がある場合の床外型線の工夫
Case 23 前歯部床外形線の工夫を必要とする症例
(2)歯頸部歯肉が下がり鼓形空隙が多くなり食渣が入る
Case 24 臼歯部に食渣が入り込んで困る
Case 25 軟性床用レジン材の有効活用
(3)長年調子が良好で使用してきた支台歯が脱落して来院 簡単に再装着したがすぐに脱落して再来院した
Case 26 前歯部支台歯が脱離して来院した高価な義歯
(4)抜歯されると歯の抜けたところが恥ずかしいので困る/いきなりバネがみえるのはイヤだ
Case 27 患者に抜歯による不便をさせないためのノンメタルクラスプ即時義歯
(5)軟性レジン材適用の失敗例
Case 28 軟性レジン材適用の失敗例
III―義歯治療時に知っておきたい全身のポイント
1 訪問歯科診療を行う際に知っておきたい多職種連携と全身のみかた(並木千鶴)
(1)歯科医師としての多職種連携時の心得
(2)把握しておくべき全身の状態・用語
1)栄養状態に関する用語
2)血液検査の数値
3)栄養摂取方法
(3)患者の観察ポイント
1)頭
2)身体
3)口と喉
(4)咀嚼機能の評価
2 口腔癌(今田良子)
(1)口腔癌の疫学
(2)口腔癌の実際
(3)リスク管理
おわりに(竹前健彦)
索引














