はじめに
AHAのガイドライン2005の解説は「劇画でみる,これだけはしてほしい歯科医院の緊急対処」として2007年に初めて出版しましたので,すでに15年経ちました.その後ガイドライン2010版に「AHAガイドライン2010と歯科医院での緊急対処法」として修正し,これら2冊は主に緊急事態の対応に慣れない歯科医師を主な対象として書いてきました.緊急事態対応に慣れていない医療関係者または医療従事者が緊急事態に遭遇した場合,初期対応が重要で,傷病者の予後を大きく左右するのですから,倒れた人の傍らにいた誰もがそうした事態への対応ができるように世の中が変われば,傷病者はすぐに処置を受けることができ,これは本当に大切なことです.その後ガイドラインは2015から2020へと変わってきましたが,その後大きな修正,変化はありません.したがって,関係書籍を読んでいると「ガイドライン2015からの変更がない」ということばかりが目についてしまい,あとは同じと書かれると,どうも全体像が分かりづらいのです.
ただ,2点の変化があります.一つにはコロナパンデミックのために,感染予防に関する項目が加わりました.したがって,気道確保には修正があり,以前のようにフェイスシールドを用いた呼気吹き込みはなくなりました.もう一つはスマホの流行です.これにより通報の仕方には少し変わった点があります.これらは時代の流れに沿った当然の変更です.
今回,今まで記載してきた全ての項目に自分で学生や講習会で扱ってみて不足していると思ったところを追加し,内容が理解できるようにまとめてみました.挿絵やテクニカルポイントでは講習会で受講者に説明していることを多く取り入れています.なるべく専門的知識がなくとも理解できるように書きました.したがって本書は学生,講習会参加予定の方,インストラクターを目指す方,救急医療専門ではない医療関係者または従事者を含む幅広く多くの方々を対象にしております.
少しでも多くの皆様に,本書を新しいガイドラインの下での救急処置法の理解に役立てていただけましたら大変光栄に存じます.
著者
AHAのガイドライン2005の解説は「劇画でみる,これだけはしてほしい歯科医院の緊急対処」として2007年に初めて出版しましたので,すでに15年経ちました.その後ガイドライン2010版に「AHAガイドライン2010と歯科医院での緊急対処法」として修正し,これら2冊は主に緊急事態の対応に慣れない歯科医師を主な対象として書いてきました.緊急事態対応に慣れていない医療関係者または医療従事者が緊急事態に遭遇した場合,初期対応が重要で,傷病者の予後を大きく左右するのですから,倒れた人の傍らにいた誰もがそうした事態への対応ができるように世の中が変われば,傷病者はすぐに処置を受けることができ,これは本当に大切なことです.その後ガイドラインは2015から2020へと変わってきましたが,その後大きな修正,変化はありません.したがって,関係書籍を読んでいると「ガイドライン2015からの変更がない」ということばかりが目についてしまい,あとは同じと書かれると,どうも全体像が分かりづらいのです.
ただ,2点の変化があります.一つにはコロナパンデミックのために,感染予防に関する項目が加わりました.したがって,気道確保には修正があり,以前のようにフェイスシールドを用いた呼気吹き込みはなくなりました.もう一つはスマホの流行です.これにより通報の仕方には少し変わった点があります.これらは時代の流れに沿った当然の変更です.
今回,今まで記載してきた全ての項目に自分で学生や講習会で扱ってみて不足していると思ったところを追加し,内容が理解できるようにまとめてみました.挿絵やテクニカルポイントでは講習会で受講者に説明していることを多く取り入れています.なるべく専門的知識がなくとも理解できるように書きました.したがって本書は学生,講習会参加予定の方,インストラクターを目指す方,救急医療専門ではない医療関係者または従事者を含む幅広く多くの方々を対象にしております.
少しでも多くの皆様に,本書を新しいガイドラインの下での救急処置法の理解に役立てていただけましたら大変光栄に存じます.
著者
はじめに
Chapter 1 「救命の連鎖」の新しい概念
成人と小児の救命の連鎖の違い
Chapter 2 確認と救急の出動要請まで
確認と救急の出動要請まで
蘇生法開始時間が遅れるほど,やはり蘇生率は下がっていた
一般市民にCPRを開始させるには,意識の確認が最も重要
Hands-Only CPRとは?
胸骨圧迫のみで,なぜ心肺蘇生法が成り立つか?
まとめ
Chapter 3 成人が1人で行う一次救命処置
1)心停止の確認
救急指令が電話で心肺蘇生法を指導すると,実際に心肺蘇生法を行う人が増えたか?
死戦期呼吸とは何か
死戦期呼吸は電話では判断しにくい
緊急通報のなかで心停止を発見するキーワードは,「反応なし」と「呼吸がおかしい」
米国における救急事情:麻薬中毒患者に対する対応の必要
脈をとることで心停止は正確に判断できるか?
2)心肺蘇生法の開始
胸骨圧迫:換気は30:2が最適である
胸骨圧迫の深さはどのくらいがいいのか?
胸骨圧迫を速くすると深さは浅くなる
リコイルについて:寄りかかりを防ぐことが重要
胸骨圧迫比率(Chest Compression Fraction)とは?
胸部圧迫の2分間での交代は正しかったのか?
3)気道の確保と換気
人口呼吸にかける時間は長いほうがいい?
換気のし過ぎはかえって害,「ほどほどに」
頭の位置と気道について
心肺蘇生法に人工呼吸を入れることの検証
経口エアウェイと酸素マスクを使用しながら胸骨圧迫を中断しないのがこれからの心肺蘇生法の形に?
4)2人で行う心肺蘇生法
Chapter 4 AEDの使い方
1)AEDが届いたら
2)AED使用に際して注意すべきこと
パドル(電極)は大きい方が良い
除細動のショック波形は2相性が良いとした理由
3)AEDを使用してはいけない状況
心停止後のショックの反応は時間によって低下する
ショックの後,確認なしに心臓マッサージをする意味は
ショック前後の長いCPRの中断は良くない
除細動を試みる前にCPRをすべきであるとしたガイドライン2020
成人のBLS手順のまとめ
Chapter 5 小児・乳児の心肺蘇生法
1)年齢区分の定義
2)2人以上で対応する場合
3)1人で対応しなければならない場合
小児の心肺蘇生にも,人工呼吸は入れたほうがいい
小児の胸骨圧迫の深さとは?
小児の脈の確認は?
胸郭包み込み両拇指圧迫法は本当にいいのか?
Chapter 6 窒息の解除
窒息の発生の状況について
レストランにはポスターを貼ること
Chapter 7 ガイドライン2020で追加された新たな対応
傷病者がCOVID-19に感染しているかはわからない
妊婦のCPRは血流を保つためにおなかを移動させる
BLSの手技の対応表
おわりに
Chapter 1 「救命の連鎖」の新しい概念
成人と小児の救命の連鎖の違い
Chapter 2 確認と救急の出動要請まで
確認と救急の出動要請まで
蘇生法開始時間が遅れるほど,やはり蘇生率は下がっていた
一般市民にCPRを開始させるには,意識の確認が最も重要
Hands-Only CPRとは?
胸骨圧迫のみで,なぜ心肺蘇生法が成り立つか?
まとめ
Chapter 3 成人が1人で行う一次救命処置
1)心停止の確認
救急指令が電話で心肺蘇生法を指導すると,実際に心肺蘇生法を行う人が増えたか?
死戦期呼吸とは何か
死戦期呼吸は電話では判断しにくい
緊急通報のなかで心停止を発見するキーワードは,「反応なし」と「呼吸がおかしい」
米国における救急事情:麻薬中毒患者に対する対応の必要
脈をとることで心停止は正確に判断できるか?
2)心肺蘇生法の開始
胸骨圧迫:換気は30:2が最適である
胸骨圧迫の深さはどのくらいがいいのか?
胸骨圧迫を速くすると深さは浅くなる
リコイルについて:寄りかかりを防ぐことが重要
胸骨圧迫比率(Chest Compression Fraction)とは?
胸部圧迫の2分間での交代は正しかったのか?
3)気道の確保と換気
人口呼吸にかける時間は長いほうがいい?
換気のし過ぎはかえって害,「ほどほどに」
頭の位置と気道について
心肺蘇生法に人工呼吸を入れることの検証
経口エアウェイと酸素マスクを使用しながら胸骨圧迫を中断しないのがこれからの心肺蘇生法の形に?
4)2人で行う心肺蘇生法
Chapter 4 AEDの使い方
1)AEDが届いたら
2)AED使用に際して注意すべきこと
パドル(電極)は大きい方が良い
除細動のショック波形は2相性が良いとした理由
3)AEDを使用してはいけない状況
心停止後のショックの反応は時間によって低下する
ショックの後,確認なしに心臓マッサージをする意味は
ショック前後の長いCPRの中断は良くない
除細動を試みる前にCPRをすべきであるとしたガイドライン2020
成人のBLS手順のまとめ
Chapter 5 小児・乳児の心肺蘇生法
1)年齢区分の定義
2)2人以上で対応する場合
3)1人で対応しなければならない場合
小児の心肺蘇生にも,人工呼吸は入れたほうがいい
小児の胸骨圧迫の深さとは?
小児の脈の確認は?
胸郭包み込み両拇指圧迫法は本当にいいのか?
Chapter 6 窒息の解除
窒息の発生の状況について
レストランにはポスターを貼ること
Chapter 7 ガイドライン2020で追加された新たな対応
傷病者がCOVID-19に感染しているかはわからない
妊婦のCPRは血流を保つためにおなかを移動させる
BLSの手技の対応表
おわりに