序文
歯冠修復の分野において,優れた接着性を示す歯質接着システムの開発とともに,審美性および機能を満たすことを可能としたコンポジットレジンが果たす役割は大きいものがある.特にminimal interventionの概念からは,歯冠修復材としての第一選択にコンポジットレジン修復があげられている.また,これらコンポジットレジン修復物の口腔内における生存期間はメタルインレーと比較しても劣るものではなく,この点からもコンポジットレジン修復は確固たる位置づけを有している修復法として認識されている.
一方,コンポジットレジン修復を行うにあたって忘れてはならない基本があり,それには修復の前準備,材料の取り扱い,メインテナンスのすべてを包含するものである.したがって,個々の症例において何をどのように考えて修復していくのか,明確な指標をもつことが重要となる.形態と機能,そして審美性を回復するために,今ここで行う症例に要求されている最も重要なポイントを理解することで,コンポジットレジン修復はさらなる高みに到達するはずである.
本書は,コンポジットレジン修復では右に出る者がいないであろう卓越したテクニックと知識をもった三人によって編まれたものである.それぞれが,日常の臨床で何を考え,何を目標とし,それを達成するために何を行っているのか,その仔細にわたるステップが余すことなく記述されている.特に臨床例のみならず,模型を用いた図説によって口腔内写真では表現が難しいテクニックも解説されており,必ずや臨床における実践に役立つと考えている.
本書が,コンポジットレジン修復を愛する歯科医師のバイブルとなることを,そして本書を手に取った全員が我々の思いを広く受け止めてくれることを願いながら,ここに擱筆する.
2020年 元旦
宮崎真至
歯冠修復の分野において,優れた接着性を示す歯質接着システムの開発とともに,審美性および機能を満たすことを可能としたコンポジットレジンが果たす役割は大きいものがある.特にminimal interventionの概念からは,歯冠修復材としての第一選択にコンポジットレジン修復があげられている.また,これらコンポジットレジン修復物の口腔内における生存期間はメタルインレーと比較しても劣るものではなく,この点からもコンポジットレジン修復は確固たる位置づけを有している修復法として認識されている.
一方,コンポジットレジン修復を行うにあたって忘れてはならない基本があり,それには修復の前準備,材料の取り扱い,メインテナンスのすべてを包含するものである.したがって,個々の症例において何をどのように考えて修復していくのか,明確な指標をもつことが重要となる.形態と機能,そして審美性を回復するために,今ここで行う症例に要求されている最も重要なポイントを理解することで,コンポジットレジン修復はさらなる高みに到達するはずである.
本書は,コンポジットレジン修復では右に出る者がいないであろう卓越したテクニックと知識をもった三人によって編まれたものである.それぞれが,日常の臨床で何を考え,何を目標とし,それを達成するために何を行っているのか,その仔細にわたるステップが余すことなく記述されている.特に臨床例のみならず,模型を用いた図説によって口腔内写真では表現が難しいテクニックも解説されており,必ずや臨床における実践に役立つと考えている.
本書が,コンポジットレジン修復を愛する歯科医師のバイブルとなることを,そして本書を手に取った全員が我々の思いを広く受け止めてくれることを願いながら,ここに擱筆する.
2020年 元旦
宮崎真至
I編 診療効率を向上させる器材&テクニック
CHAPTER 01 診療効率を向上させる前準備(宮崎真至)
除痛法/歯肉排除法/歯間分離法/術野隔離法/隔壁法/まとめ
CHAPTER 02 器材選択で変わる診療効率(宮崎真至)
歯質切削・齲蝕除去器材/マトリックスシステム/接着システム/レジンペースト/レジン充填器/形態修正・研磨用器材/まとめ
My First Choice(宮崎真至 秋本尚武 保坂啓一)
CHAPTER 03 臼歯部修復で欠かせないテクニック(宮崎真至)
接着技術の進歩と窩洞形態/窩洞外形の決定/窩縁形態/レジンペーストの填塞
CHAPTER 04 前歯部修復で欠かせないテクニック(宮崎真至 辻本暁正)
前歯部修復におけるレジンペーストの選択/色の見方/形態回復/まとめ
II編 失敗しないための臨床の勘所
CHAPTER 01 臼歯部修復における臨床の勘所
01 窩洞の大きさによる修復法の違い(保坂啓一 畑山貴志)
Case 1 シンプルなI級・II級窩洞
Case 2 咬頭被覆が必要なII級窩洞
Case 3 シリコーンガイドを併用した大きなII級窩洞
[Procedure]マトリックスシステムを用いる際の注意点,マトリックスの選択
02 的確な形成を行うためのプレウェッジの重要性(保坂啓一)
Case 1 プレウェッジを用いた典型的なII級窩洞の形成
[Procedure]プレウェッジの効果
03 マトリックスシステムの使い分け−リング状リテーナーの有無−(秋本尚武)
Case 1 リング状リテーナーを使用しなかった症例
Case 2 リング状リテーナーを使用した症例
[Procedure]リング状リテーナーを用いたマトリックスシステムの装着
04-1 フロアブルレジンによる臼歯部充填テクニック(秋本尚武)
Case 1 フロアブルレジンによる臼歯部咬合面修復
[Procedure]各咬頭の充填法
04-2 フロアブルレジンによる臼歯部充填テクニック(保坂啓一)
Case 1 フロアブルレジンのみを用いた修復
[Procedure]フロアブルレジンを使ったII級修復の充填テクニック
05 辺縁隆線の研磨(保坂啓一)
Case 1 II級修復
[Procedure]隣接面における研磨のカギ
CHAPTER 02 前歯部修復における臨床の勘所
01 窩洞の大きさによる隣接面修復の違い(秋本尚武)
Case 1 III級修復
Case 2 小さなIV級修復
Case 3 大きなIV級修復
02 バックウォールの築盛法−シリコーンガイド法とマトリックス法の応用−(宮崎真至 辻本暁正)
Case 1 シリコーンガイド法
Case 2 マトリックス法
[Procedure]シリコーンガイド法の勘所,マトリックス法の勘所
03 修復歯の破折症例における補修修復(保坂啓一)
Case 1 コンポジットレジンの破折症例
[Procedure]破折症例における補修修復のステップ
04-1 歯頸部修復における勘所(秋本尚武)
Case 1 非齲蝕性歯頸部欠損症例
[Procedure]歯頸部修復におけるフロアブルレジンの動かし方
04-2 歯頸部修復における勘所(宮崎真至)
Case 1 前歯部修復
Case 2 小臼歯部修復
[Procedure]アドヒーシブの塗布とフロアブルレジン充填の勘所
CHAPTER 03 アドバンスト症例を確実に審美的に仕上げる
01 ダイレクトラミネートベニア修復(宮崎真至)
Case 1 ダイレクトラミネートベニア修復
[Procedure]前歯部形態付与の勘所
02-1 歯間離開への対応(宮崎真至)
Case 1 歯間離開症例の審美性回復
[Procedure]歯間離開症例におけるマトリックスの選択
02-2 歯間離開への対応(保坂啓一)
Case 1 正中離開症例
[Procedure]歯間離開におけるマトリックスの選択
02-3 歯間離開への対応(秋本尚武)
Case 1 正中離開
Case 2 側切歯と犬歯の歯間離開
03 前歯部形態不全への対応(宮崎真至)
Case 1 前歯部形態不全
[Procedure]矮小歯修復の形態付与
04 矯正歯科治療のリカバリー−修復による残存スペースの閉鎖−(保坂啓一)
Case 1 矯正歯科治療後のスペース閉鎖
05 ダイレクトクラウン−モノブロック修復による健全歯質の温存−(保坂啓一)
Case 1 前歯部のモノブロック修復
Case 2 臼歯部のモノブロック修復
[Procedure]モノブロック修復に使える前歯部大型修復のステップ
06 ダイレクトブリッジ(保坂啓一)
Case 1 前歯部のダイレクトブリッジ
Case 2 臼歯部のダイレクトブリッジ
[Procedure]クリアマトリックスを活用したダイレクトブリッジの術式
CHAPTER 04 補綴処置へのコンポジットレジン修復の応用
01 ラミネートベニア修復へのコンポジットレジンの応用(辻本暁正 宮崎真至)
Case 1 ラミネートベニア修復への応用
02 デジタルデンティストリーの活用−トゥースウェアに対するダイレクトボンディング−(保坂啓一 本山靖治 長谷川勇一 石原洋樹)
Case 1 プラスチッククリアマトリックスを応用したダイレクトボンディング
Case 2 シリコーンクリアマトリックスを応用したダイレクトボンディング
COLUMN
Vol.01 なぜフロアブルレジン充填時に気泡が入ってしまうのか
Vol.02 良好な予後とは(褐線への対応)
Vol.03 アンダー充填よりもオーバー充填
Vol.04 色が合わない,そんなときに考えるべきこと
Vol.05 形態修正のポイントと,研磨前に行うプレポリッシュ
Vol.06 研磨の必要性
CHAPTER 01 診療効率を向上させる前準備(宮崎真至)
除痛法/歯肉排除法/歯間分離法/術野隔離法/隔壁法/まとめ
CHAPTER 02 器材選択で変わる診療効率(宮崎真至)
歯質切削・齲蝕除去器材/マトリックスシステム/接着システム/レジンペースト/レジン充填器/形態修正・研磨用器材/まとめ
My First Choice(宮崎真至 秋本尚武 保坂啓一)
CHAPTER 03 臼歯部修復で欠かせないテクニック(宮崎真至)
接着技術の進歩と窩洞形態/窩洞外形の決定/窩縁形態/レジンペーストの填塞
CHAPTER 04 前歯部修復で欠かせないテクニック(宮崎真至 辻本暁正)
前歯部修復におけるレジンペーストの選択/色の見方/形態回復/まとめ
II編 失敗しないための臨床の勘所
CHAPTER 01 臼歯部修復における臨床の勘所
01 窩洞の大きさによる修復法の違い(保坂啓一 畑山貴志)
Case 1 シンプルなI級・II級窩洞
Case 2 咬頭被覆が必要なII級窩洞
Case 3 シリコーンガイドを併用した大きなII級窩洞
[Procedure]マトリックスシステムを用いる際の注意点,マトリックスの選択
02 的確な形成を行うためのプレウェッジの重要性(保坂啓一)
Case 1 プレウェッジを用いた典型的なII級窩洞の形成
[Procedure]プレウェッジの効果
03 マトリックスシステムの使い分け−リング状リテーナーの有無−(秋本尚武)
Case 1 リング状リテーナーを使用しなかった症例
Case 2 リング状リテーナーを使用した症例
[Procedure]リング状リテーナーを用いたマトリックスシステムの装着
04-1 フロアブルレジンによる臼歯部充填テクニック(秋本尚武)
Case 1 フロアブルレジンによる臼歯部咬合面修復
[Procedure]各咬頭の充填法
04-2 フロアブルレジンによる臼歯部充填テクニック(保坂啓一)
Case 1 フロアブルレジンのみを用いた修復
[Procedure]フロアブルレジンを使ったII級修復の充填テクニック
05 辺縁隆線の研磨(保坂啓一)
Case 1 II級修復
[Procedure]隣接面における研磨のカギ
CHAPTER 02 前歯部修復における臨床の勘所
01 窩洞の大きさによる隣接面修復の違い(秋本尚武)
Case 1 III級修復
Case 2 小さなIV級修復
Case 3 大きなIV級修復
02 バックウォールの築盛法−シリコーンガイド法とマトリックス法の応用−(宮崎真至 辻本暁正)
Case 1 シリコーンガイド法
Case 2 マトリックス法
[Procedure]シリコーンガイド法の勘所,マトリックス法の勘所
03 修復歯の破折症例における補修修復(保坂啓一)
Case 1 コンポジットレジンの破折症例
[Procedure]破折症例における補修修復のステップ
04-1 歯頸部修復における勘所(秋本尚武)
Case 1 非齲蝕性歯頸部欠損症例
[Procedure]歯頸部修復におけるフロアブルレジンの動かし方
04-2 歯頸部修復における勘所(宮崎真至)
Case 1 前歯部修復
Case 2 小臼歯部修復
[Procedure]アドヒーシブの塗布とフロアブルレジン充填の勘所
CHAPTER 03 アドバンスト症例を確実に審美的に仕上げる
01 ダイレクトラミネートベニア修復(宮崎真至)
Case 1 ダイレクトラミネートベニア修復
[Procedure]前歯部形態付与の勘所
02-1 歯間離開への対応(宮崎真至)
Case 1 歯間離開症例の審美性回復
[Procedure]歯間離開症例におけるマトリックスの選択
02-2 歯間離開への対応(保坂啓一)
Case 1 正中離開症例
[Procedure]歯間離開におけるマトリックスの選択
02-3 歯間離開への対応(秋本尚武)
Case 1 正中離開
Case 2 側切歯と犬歯の歯間離開
03 前歯部形態不全への対応(宮崎真至)
Case 1 前歯部形態不全
[Procedure]矮小歯修復の形態付与
04 矯正歯科治療のリカバリー−修復による残存スペースの閉鎖−(保坂啓一)
Case 1 矯正歯科治療後のスペース閉鎖
05 ダイレクトクラウン−モノブロック修復による健全歯質の温存−(保坂啓一)
Case 1 前歯部のモノブロック修復
Case 2 臼歯部のモノブロック修復
[Procedure]モノブロック修復に使える前歯部大型修復のステップ
06 ダイレクトブリッジ(保坂啓一)
Case 1 前歯部のダイレクトブリッジ
Case 2 臼歯部のダイレクトブリッジ
[Procedure]クリアマトリックスを活用したダイレクトブリッジの術式
CHAPTER 04 補綴処置へのコンポジットレジン修復の応用
01 ラミネートベニア修復へのコンポジットレジンの応用(辻本暁正 宮崎真至)
Case 1 ラミネートベニア修復への応用
02 デジタルデンティストリーの活用−トゥースウェアに対するダイレクトボンディング−(保坂啓一 本山靖治 長谷川勇一 石原洋樹)
Case 1 プラスチッククリアマトリックスを応用したダイレクトボンディング
Case 2 シリコーンクリアマトリックスを応用したダイレクトボンディング
COLUMN
Vol.01 なぜフロアブルレジン充填時に気泡が入ってしまうのか
Vol.02 良好な予後とは(褐線への対応)
Vol.03 アンダー充填よりもオーバー充填
Vol.04 色が合わない,そんなときに考えるべきこと
Vol.05 形態修正のポイントと,研磨前に行うプレポリッシュ
Vol.06 研磨の必要性














