やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 2016 年の診療報酬改定で導入された「かかりつけ歯科医機能強化型歯科診療所(か強診)」については,「歯界展望1 月号新春座談会」で,小椋正之・歯科医療管理官,遠藤秀樹・日本歯科医師会常務理事,細野 純・細野歯科クリニック院長にその内容や位置づけについてわかりやすくディスカッションをしていただきました
 それでも現場の歯科医師の先生方にはなお,「か強診」の届出によって自院の立場がどうなるのかに戸惑いやら疑問が多いことがわかりました.
 そこで,本書は上記の新春座談会の内容を参考にさせていただきながら,「か強診」の届け出の実際から「か強診の届け出ステップアップ」,「か強診と歯援診,一般の歯科診療所の比較」等の基礎的な内容をまず解説しました.また,「自院の機能チェック」から,「か強診」の施設基準を満たすためには何をクリアすれば良いのかを含め,医院経営のためには今後どのような内容を理解していく必要があるかを具体的に図解してまとめました.
 「か強診」への機能アップにより,患者・住民への歯科医療の質的向上を図り,地域に貢献する歯科医院へとステップアップすることで医院経営の安定化を図り,患者さんからより信頼される歯科医院へと転換されることを本書の趣旨としております.
 内容的には,絵や図を多用し理解されやすくするための工夫をしました.知識については現場ですぐ必要となる情報のみに限定しております.したがって,高齢者対応についての詳しい情報は関連する歯科医学書によって確認いただくようお願いいたします.
 ICT,AIの普及は急速に進むと予想されますが,「か強診」は,2018 年医療介護同時改定を想定した歯科医院です.
 本書が多くの歯科医院に理解していただき,「か強診」の届出が多くなり,歯科医院機能強化が患者さんにとっても,社会にとっても大きな“力”になることを期待しております.
 2017 年初夏
 著者一同
I-1 まずは「か強診」の届けを出すゾウ!
 医療政策の一貫性から生まれた「か強診」
I-2 「か強診」届け出へのStepI〜III!
 「か強診」になるための要件(届出は随時可)
I-3 “か強診““歯援診”“一般”施設基準の比較
  1−施設基準の違い
I-4 「か強診」どうすればなれる?
 「か強診」の届出をしている歯科診療所に聞きました
  1−自院の機能をチェック!
I-5 「か強診」医療機器・器具
 備えるべき医療機器・器具
I-6 「か強診」の届出は大変なの?
  1−研修の受講
  2−連携に関わる医療機関や責任者の明確化
II-1 「か強診」算定できる項目と包括項目
 「 か強診」の評価
III-1 「か強診」の質の向上につながる訪問診療
 訪問診療を始める前に
III-2 歯科訪問診療と歯科医師の役割
 入院医療と在宅医療の接着役
III-3 「か強診」のワンランクアップ機能
  1−介護予防(摂食機能療法)「口腔フレイル」への取り組み
  2−サルコペニアと口腔機能(口腔フレイル)
  3−口腔フレイルと診療報酬上の評価
III-4 高齢者を知るために大切なこと
 事前に知っておきたい患者情報
  1−服用薬剤の把握は重要
  2−患者の生活環境,ADL,認知機能の情報は把握しておく
  3−高齢者総合機能簡易評価法(CGA7)で患者の生活情報の把握は大切
  4−在宅での全身状態のアセスメントの特徴
  5−アセスメントの進め方
  6−初回訪問時に気をつけること
  7−患者ごとの医療連携情報の整理カード
  8−初めての訪問診療成功の秘訣は―無理しない ほどほどに
  9−診療報酬改定に盛られた改定内容に積極的対応を
IV-1 そもそも「口腔ケア」って何?
  1−急性期病院で注目される「口腔ケア」
  2−口腔ケアの実践は患者の基本的人権
IV-2 薬の安全情報は必須
 薬剤手帳を必ずチェック
  1−骨粗鬆症の薬
  2−抗凝固薬
IV-3 医療情報共有のための紹介状・照会状の書き方
  1−主治医等照会する際の主な医科疾患
  2−歯科治療に際しての問題点は主治医宛に必ず記載
IV-4 知っておきたい医療事故調査制度
同時改定に向けての医院戦略
 ―2025年モデルの歯科医療のキーワードは口腔疾患重症化予防,口腔機能維持,歯科訪問診療
  1−将来の歯科医療における機能分化と同時改定
  2−「施設基準改定」からみ同時改定への視点
  3−AI時代にも生き残る歯科診療所