本書を発刊するにあたり─無歯顎難症例の治療技術と心の治療
最近発売された無歯顎治療の本をみると,ほとんどの総義歯が大きな床縁形態で,天然歯のもとあった位置近くに人工歯が配列されている.筋の働きを中心とした構音,咀嚼機能に優れている点が歯科教育の注目を集め,筋の付着部まで義歯床を延長するコンパウンド印象が,現在の王道(Royal Road)といっても過言ではない.しかし,この義歯がうまくいかなかったとしたらどうだろう.
20年前の書籍では,小さいサイズの義歯も注目を集めていたばかりでなく,咬合様式もGysiに代表されるフルバランスドオクルージョン,そして,モノプレーンオクルージョン,リンガライズドオクルージョン,などが紹介され,それぞれに合わせた人工歯配列テクニックが紹介されていた.小さな床面積の義歯には力学的に安定な人工歯配列を,大きな床面積の義歯にはもと天然歯のあった位置に人工歯を配列するといった具合に,床面積による支持力の大小に応じて力学的な人工歯配列位置を変化させる策が公然ととられていた.
あの当時から,どの義歯が患者にとってよい義歯なのか?という議論が繰り返されてきたが,「大きい義歯は,どっしりしていてかみやすいが,邪魔である」「小さい義歯は,装着していて楽ではあるが,はずれやすい」「リンガライズドオクルージョンは,肉はかみ切れるが,野菜がうまく食べられない」「Gysiのフルバランスドオクルージョンはすばらしい考えであるが,口腔内で正確に実現することは難しい」などのように,どの義歯にも利点欠点があり,他を圧倒して一番の義歯となりうる方法は存在しなかった.
今回,難症例について執筆してみると,難症例を克服するためのテクニックは,コンパウンド技法以外の総義歯製作術から学んだテクニックを利用していることに気づく.
それらの技法は,口腔粘膜による義歯床全周囲封鎖の下顎総義歯の吸着テクニック,無歯顎義歯の咬座印象法,フラットテーブル治療用義歯を使った動的印象法であったり,ときには,交叉配列や歯槽頂間線の法則を利用することもある.治療オプションとして,インプラント維持の力を借りて問題の解決に当たることも必要である.このように,無歯顎難症例患者を救おうとするときには,一つの製作方法にこだわらず,さまざまな技法のよいところを取って実践に望んでいく姿勢が大切である.
しかし,正直な話,難症例患者の要求をすべて完璧に達成できるわけではない.難症例を解決するための印象テクニックや技工テクニックの技数は,意外に少ないのである.総義歯に機能回復の限界があることをわれわれ歯科医師は十分に知っていて,メンタルな問題を抱えたケースや患者の要求が高すぎるケースは,治療技術を駆使しただけでは,とても患者を満足させることができない.
それでは,他に患者を満足させる要素はあるのだろうか?
実は,技術以外に大切なことがある.それは,科学的な話とはほど遠い,「患者を見捨てずに努力しよう」という歯科医院全体の診療に打ち込む姿勢である.受付,歯科衛生士は,無歯顎治療の現場に介入することは少ないが,患者が歯科医院に足を踏み入れた瞬間から「お元気ですか?」「義歯の具合はいかがですか?」「きっと大丈夫ですよ!」と患者に声をかけてどんどん励ます.歯科技工士も難しい顔をせずに「先生と一緒に駄目な所は何とかします」と患者をさらに勇気づける.「私も諦めることなく黙々と努力する」.ふと気がつけば患者がいつの間にか阿部歯科医院を好きになっていてみんなと会話するようになる.「自分が大切に扱われている」と患者が気づきはじめると,今まで痛かった義歯の具合がよくなり「この義歯はいい義歯だ」と感じはじめるのである.
このように,メンタルサポート,おもてなしの心,あるいは「仁」ともいえるスタッフ達の患者への思いやりが患者を変え,義歯はいつの間にか患者の口に馴染んで十分な機能を発揮する.この精神的なサポートの重要性は歯科治療全般に必要なことかもしれないが,特に無歯顎難症例の患者に対しては,とてもよい効果を生み出すのである.
したがって,無歯顎難症例患者に対して最も大切なことは,技術的にクオリティーの高い義歯をつくることは当然として,患者との良好な関係を築くことである.術者と患者相互の対人関係が,患者の総義歯治療に対する評価に大きな影響を与えるといえる.
今回の書を発刊するにあたり,いつもすばらしい阿部歯科医院の雰囲気を作り上げてくれるスタッフ一同,小久保京子歯科技工士を中心とするエースデンタル義歯分野のメンバー,そして,本書発刊の機会を与えてくれた医歯薬出版株式会社と関係各位に,心より御礼申し上げたい.
そして,最後に,私の体を毎日気遣ってくれた家内の阿部和子に感謝の意を表したい.
2013年10月
阿部二郎
最近発売された無歯顎治療の本をみると,ほとんどの総義歯が大きな床縁形態で,天然歯のもとあった位置近くに人工歯が配列されている.筋の働きを中心とした構音,咀嚼機能に優れている点が歯科教育の注目を集め,筋の付着部まで義歯床を延長するコンパウンド印象が,現在の王道(Royal Road)といっても過言ではない.しかし,この義歯がうまくいかなかったとしたらどうだろう.
20年前の書籍では,小さいサイズの義歯も注目を集めていたばかりでなく,咬合様式もGysiに代表されるフルバランスドオクルージョン,そして,モノプレーンオクルージョン,リンガライズドオクルージョン,などが紹介され,それぞれに合わせた人工歯配列テクニックが紹介されていた.小さな床面積の義歯には力学的に安定な人工歯配列を,大きな床面積の義歯にはもと天然歯のあった位置に人工歯を配列するといった具合に,床面積による支持力の大小に応じて力学的な人工歯配列位置を変化させる策が公然ととられていた.
あの当時から,どの義歯が患者にとってよい義歯なのか?という議論が繰り返されてきたが,「大きい義歯は,どっしりしていてかみやすいが,邪魔である」「小さい義歯は,装着していて楽ではあるが,はずれやすい」「リンガライズドオクルージョンは,肉はかみ切れるが,野菜がうまく食べられない」「Gysiのフルバランスドオクルージョンはすばらしい考えであるが,口腔内で正確に実現することは難しい」などのように,どの義歯にも利点欠点があり,他を圧倒して一番の義歯となりうる方法は存在しなかった.
今回,難症例について執筆してみると,難症例を克服するためのテクニックは,コンパウンド技法以外の総義歯製作術から学んだテクニックを利用していることに気づく.
それらの技法は,口腔粘膜による義歯床全周囲封鎖の下顎総義歯の吸着テクニック,無歯顎義歯の咬座印象法,フラットテーブル治療用義歯を使った動的印象法であったり,ときには,交叉配列や歯槽頂間線の法則を利用することもある.治療オプションとして,インプラント維持の力を借りて問題の解決に当たることも必要である.このように,無歯顎難症例患者を救おうとするときには,一つの製作方法にこだわらず,さまざまな技法のよいところを取って実践に望んでいく姿勢が大切である.
しかし,正直な話,難症例患者の要求をすべて完璧に達成できるわけではない.難症例を解決するための印象テクニックや技工テクニックの技数は,意外に少ないのである.総義歯に機能回復の限界があることをわれわれ歯科医師は十分に知っていて,メンタルな問題を抱えたケースや患者の要求が高すぎるケースは,治療技術を駆使しただけでは,とても患者を満足させることができない.
それでは,他に患者を満足させる要素はあるのだろうか?
実は,技術以外に大切なことがある.それは,科学的な話とはほど遠い,「患者を見捨てずに努力しよう」という歯科医院全体の診療に打ち込む姿勢である.受付,歯科衛生士は,無歯顎治療の現場に介入することは少ないが,患者が歯科医院に足を踏み入れた瞬間から「お元気ですか?」「義歯の具合はいかがですか?」「きっと大丈夫ですよ!」と患者に声をかけてどんどん励ます.歯科技工士も難しい顔をせずに「先生と一緒に駄目な所は何とかします」と患者をさらに勇気づける.「私も諦めることなく黙々と努力する」.ふと気がつけば患者がいつの間にか阿部歯科医院を好きになっていてみんなと会話するようになる.「自分が大切に扱われている」と患者が気づきはじめると,今まで痛かった義歯の具合がよくなり「この義歯はいい義歯だ」と感じはじめるのである.
このように,メンタルサポート,おもてなしの心,あるいは「仁」ともいえるスタッフ達の患者への思いやりが患者を変え,義歯はいつの間にか患者の口に馴染んで十分な機能を発揮する.この精神的なサポートの重要性は歯科治療全般に必要なことかもしれないが,特に無歯顎難症例の患者に対しては,とてもよい効果を生み出すのである.
したがって,無歯顎難症例患者に対して最も大切なことは,技術的にクオリティーの高い義歯をつくることは当然として,患者との良好な関係を築くことである.術者と患者相互の対人関係が,患者の総義歯治療に対する評価に大きな影響を与えるといえる.
今回の書を発刊するにあたり,いつもすばらしい阿部歯科医院の雰囲気を作り上げてくれるスタッフ一同,小久保京子歯科技工士を中心とするエースデンタル義歯分野のメンバー,そして,本書発刊の機会を与えてくれた医歯薬出版株式会社と関係各位に,心より御礼申し上げたい.
そして,最後に,私の体を毎日気遣ってくれた家内の阿部和子に感謝の意を表したい.
2013年10月
阿部二郎
I編 総義歯難症例の考え方とそのアプローチ
1 はじめに
2 難症例とは何か
3 難症例における三つの義歯製作方法
(1)義歯を修正して完成義歯とする方法
(2)下顎位修正型の治療用義歯から完成義歯への移行(二つを製作する方法)
(3)インプラントオーバーデンチャーで対応する方法
4 よい義歯とは?(「患者満足度分析」による分析)
5 どのような義歯が難症例患者の満足度を高めるのか?─5人の有名歯科技工士が製作した同一患者に対する義歯
6 義歯の成功を左右する最重要事項は,適切な下顎位を採得すること
II編 難症例と下顎吸着義歯,BPS
1 最適な顎間関係を得るための義歯製作システム(BPS)
2 下顎吸着テクニックとBPS義歯の製作工程
(1)概形印象
(2)セントリックトレーによる簡易咬合採得
(3)概形印象模型を咬合器の真中にマウンティングするホリゾンタルガイド
(4)ナソメータMつき各個トレーの製作
(5)精密印象
(6)印象体を用いたゴシックアーチの描記(適性下顎位の最終決定)
(7)フェイスボウトランスファー〜マウンティング
(8)モデルアナリシス(模型解析)と人工歯配列
(9)IvoBaseを使ったレジン重合とネクスコ(Nexco)によるジンジバルキャラクタライゼーション
(10)最終義歯装着
III編 かみ合わせの狂いを知る
1 術前の下顎位検査と治療用義歯の必要性の検討
2 適性下顎位の検査─X線による診断
3 検査から治療へのフィードバック
4 顎関節X線情報の臨床サイドへのフィードバック
(1)治療用義歯を必要としない症例
(2)治療用義歯を必要とする症例
5 被曝情報の提供
6 検査を基本とした歯科医院づくりのすすめ
(1)脆弱な顎堤粘膜への対応
IV編 難症例の臨床対応
1 上顎義歯の難症例
2 上顎難症例を克服するための工夫
3 下顎難症例を克服するための工夫
(1)下顎難症例を克服するための工夫
4 臨床症例を提示するにあたり
5 難症例を克服するために行うべきこと
各難症例に応じた具体的な対応策と義歯の製作
1.義歯を装着することが難しい症例
(1)下顎遊離端欠損における生体補償(biologic adaptation)とは
2.無歯顎者における生体補償
(1)「口腔容積の萎縮」と考えられた症例
(2)起きうる問題の予測
3.義歯長期未装着者について
(1)義歯未装着者の臨床的特徴は?
4.長期にわたる上顎義歯未装着症例─上顎無補綴による生体補償
(1)概要
(2)治療説明
(3)問題点と解決
(4)治療用義歯使用後のコミュニケーション
(5)結果
(6)最終義歯
(7)治療後の経過
5.義歯装着ストレスへの対応─メンタルな問題と義歯の違和感
(1)概要
(2)問診からの情報
(3)治療(義歯未装着者の原因を探るために)
(4)患者による義歯装着時間の記録 2011年8月9日〜12月12日(約4か月)
6.無歯顎ドライマウス患者(口腔乾燥症)
7.舌不随意運動(オーラルジスキネジア)の患者に対する臨床対応
(1)主訴:ベロをちょろちょろ動かしてみっともないので,治してほしい
(2)治療後
(3)術後の経過
8.顎機能障害による咬合不安定への対応(1)
(1)適正な咬合高径で製作した総義歯による対応
(2)軟性裏装材の劣化
9.顎機能障害による咬合不安定への対応(2)─下顎2インプラントオーバーデンチャーを中心に
(1)顎機能障害患者へのインプラント対応
(2)インプラントオーバーデンチャーの製作
10.下顎シングルデンチャーの痛みへの対応
(1)義歯床の拡大
(2)義歯床の拡大と接着剤の併用
11.審美の難症例について
(1)はじめに
(2)高齢者における前歯配列のポイント
(3)顔面に麻痺のある患者の場合
(4)美へのいらだち
(5)解決策はいつも戻れる位置への前歯配列
(6)知人の一言で最悪の義歯に一変した症例
(7)再製作に対する問題
(8)患者が引き起こす二次的問題
12.上顎片側の著しい顎堤吸収への対応
(1)有歯顎時の左右的すれ違い咬合が無歯顎になると
(2)下顎片側顎堤吸収
(3)上顎片側顎堤吸収
(4)上下顎片側顎堤吸収
症例:1995〜2012年の17年間の経過から
13.嘔吐反射に対する上顎補綴
(1)上顎シングルデンチャー─上下無歯顎症例よりもシングルデンチャーのほうが難しい場合もある
(2)無口蓋義歯の三つの工夫
(3)嘔吐反射の無口蓋インプラントオーバーデンチャー患者の生活のためにインプラントが必要な場合もある
14.上顎シングルデンチャー
(1)クラスプデンチャーでの限界
(2)前がみの原因
15.残存歯の状況に合わせた上顎シングルデンチャーの臨床実践
(1)対合両側大臼歯が存在している場合
(2)対合片側大臼歯が存在している場合
(3)対合両側大臼歯が欠損している場合─小臼歯群よりも前方の歯が残っている場合
16.無歯顎症例における上顎フラビーガムの対処法
(1)上下無歯顎において前がみがつくり出すフラビーガムの四つの原因
(2)フラビーガムのほとんどは義歯による
(3)無歯顎症例における上顎フラビーガムの臨床
17.Class Iの顔貌を切望するClass IIIの上顎シングルデンチャー
(1)一般的なClass IIIの前歯配列と実際に患者が望む前歯配列
(2)骨吸収を伴った重度のClass III
(3)上顎シングルデンチャーにおける重度Class IIIの難症例
18.ブラキシズムへの対応
19.顎堤吸収が著しく,下顎位が不安定な症例
終わりに
文献
索引
1 はじめに
2 難症例とは何か
3 難症例における三つの義歯製作方法
(1)義歯を修正して完成義歯とする方法
(2)下顎位修正型の治療用義歯から完成義歯への移行(二つを製作する方法)
(3)インプラントオーバーデンチャーで対応する方法
4 よい義歯とは?(「患者満足度分析」による分析)
5 どのような義歯が難症例患者の満足度を高めるのか?─5人の有名歯科技工士が製作した同一患者に対する義歯
6 義歯の成功を左右する最重要事項は,適切な下顎位を採得すること
II編 難症例と下顎吸着義歯,BPS
1 最適な顎間関係を得るための義歯製作システム(BPS)
2 下顎吸着テクニックとBPS義歯の製作工程
(1)概形印象
(2)セントリックトレーによる簡易咬合採得
(3)概形印象模型を咬合器の真中にマウンティングするホリゾンタルガイド
(4)ナソメータMつき各個トレーの製作
(5)精密印象
(6)印象体を用いたゴシックアーチの描記(適性下顎位の最終決定)
(7)フェイスボウトランスファー〜マウンティング
(8)モデルアナリシス(模型解析)と人工歯配列
(9)IvoBaseを使ったレジン重合とネクスコ(Nexco)によるジンジバルキャラクタライゼーション
(10)最終義歯装着
III編 かみ合わせの狂いを知る
1 術前の下顎位検査と治療用義歯の必要性の検討
2 適性下顎位の検査─X線による診断
3 検査から治療へのフィードバック
4 顎関節X線情報の臨床サイドへのフィードバック
(1)治療用義歯を必要としない症例
(2)治療用義歯を必要とする症例
5 被曝情報の提供
6 検査を基本とした歯科医院づくりのすすめ
(1)脆弱な顎堤粘膜への対応
IV編 難症例の臨床対応
1 上顎義歯の難症例
2 上顎難症例を克服するための工夫
3 下顎難症例を克服するための工夫
(1)下顎難症例を克服するための工夫
4 臨床症例を提示するにあたり
5 難症例を克服するために行うべきこと
各難症例に応じた具体的な対応策と義歯の製作
1.義歯を装着することが難しい症例
(1)下顎遊離端欠損における生体補償(biologic adaptation)とは
2.無歯顎者における生体補償
(1)「口腔容積の萎縮」と考えられた症例
(2)起きうる問題の予測
3.義歯長期未装着者について
(1)義歯未装着者の臨床的特徴は?
4.長期にわたる上顎義歯未装着症例─上顎無補綴による生体補償
(1)概要
(2)治療説明
(3)問題点と解決
(4)治療用義歯使用後のコミュニケーション
(5)結果
(6)最終義歯
(7)治療後の経過
5.義歯装着ストレスへの対応─メンタルな問題と義歯の違和感
(1)概要
(2)問診からの情報
(3)治療(義歯未装着者の原因を探るために)
(4)患者による義歯装着時間の記録 2011年8月9日〜12月12日(約4か月)
6.無歯顎ドライマウス患者(口腔乾燥症)
7.舌不随意運動(オーラルジスキネジア)の患者に対する臨床対応
(1)主訴:ベロをちょろちょろ動かしてみっともないので,治してほしい
(2)治療後
(3)術後の経過
8.顎機能障害による咬合不安定への対応(1)
(1)適正な咬合高径で製作した総義歯による対応
(2)軟性裏装材の劣化
9.顎機能障害による咬合不安定への対応(2)─下顎2インプラントオーバーデンチャーを中心に
(1)顎機能障害患者へのインプラント対応
(2)インプラントオーバーデンチャーの製作
10.下顎シングルデンチャーの痛みへの対応
(1)義歯床の拡大
(2)義歯床の拡大と接着剤の併用
11.審美の難症例について
(1)はじめに
(2)高齢者における前歯配列のポイント
(3)顔面に麻痺のある患者の場合
(4)美へのいらだち
(5)解決策はいつも戻れる位置への前歯配列
(6)知人の一言で最悪の義歯に一変した症例
(7)再製作に対する問題
(8)患者が引き起こす二次的問題
12.上顎片側の著しい顎堤吸収への対応
(1)有歯顎時の左右的すれ違い咬合が無歯顎になると
(2)下顎片側顎堤吸収
(3)上顎片側顎堤吸収
(4)上下顎片側顎堤吸収
症例:1995〜2012年の17年間の経過から
13.嘔吐反射に対する上顎補綴
(1)上顎シングルデンチャー─上下無歯顎症例よりもシングルデンチャーのほうが難しい場合もある
(2)無口蓋義歯の三つの工夫
(3)嘔吐反射の無口蓋インプラントオーバーデンチャー患者の生活のためにインプラントが必要な場合もある
14.上顎シングルデンチャー
(1)クラスプデンチャーでの限界
(2)前がみの原因
15.残存歯の状況に合わせた上顎シングルデンチャーの臨床実践
(1)対合両側大臼歯が存在している場合
(2)対合片側大臼歯が存在している場合
(3)対合両側大臼歯が欠損している場合─小臼歯群よりも前方の歯が残っている場合
16.無歯顎症例における上顎フラビーガムの対処法
(1)上下無歯顎において前がみがつくり出すフラビーガムの四つの原因
(2)フラビーガムのほとんどは義歯による
(3)無歯顎症例における上顎フラビーガムの臨床
17.Class Iの顔貌を切望するClass IIIの上顎シングルデンチャー
(1)一般的なClass IIIの前歯配列と実際に患者が望む前歯配列
(2)骨吸収を伴った重度のClass III
(3)上顎シングルデンチャーにおける重度Class IIIの難症例
18.ブラキシズムへの対応
19.顎堤吸収が著しく,下顎位が不安定な症例
終わりに
文献
索引








