はじめに
万が一,あなたが治療中の患者さんが突然,不調を訴えたり,意識をなくしてしまったらどうしますか?
高齢化社会(65歳以上が3,000万人以上,総人口の約24.1%)に伴い,歯科医療の現場においても治療中やその前後に医療事故が起こる危険性が増加しています.一般的には問診票の記入,バイタルサインの測定などにより偶発症の大半は予防できるといわれていますが,治療前に待合室で,あるいは治療待ちのチェア上で患者さんが意識をなくしてしまったり,心停止状態になった事例も報告されています.
予期せぬアクシデントに直面した際,医師の応援を要請したり,救急車などの出動を依頼することも重要ですが,救急車の到着を待つ間,歯科医師だけでなくその場にいるすべてのスタッフが,目の前の患者さんに適切な救命処置や救急処置を行うことが求められています.
2007年4月に医療法が改正され,われわれに課せられた義務と責任がより明確に,より厳しくなりました.
しかし,日頃からトレーニングを繰り返し行っていたとしても,実際に患者さんの全身状態が急変したとき,落ち着いてバイタルサインを測定して,的確に対応するということは容易ではありません.
そこで本書では,まず症状別にフローチャートを示し,それぞれの対処法が書かれている「I.症状からみた対処法」,「II.救命処置」のページをすぐに開けるよう工夫し,「そのとき」何をしたらよいかを,ひと目でわかるように原因,症状,対処法に分けてまとめました.特に一次救命処置は,2010年に改定されたことから,より詳しく解説をしています.
さらに,「III.偶発症予防のためにできること」では,そもそも偶発症が起こらないようにするために,日頃からどのようなことに気をつけて治療すればよいか,問診や対診のポイントからバイタルサインの見方と評価までを,わかりやすく示しました.
第3版においては,付録のDVDを活用していただくことで,よりいっそう実践的な対応が可能になると思います.
さまざまな配慮を必要とする患者さんに対して,一人でも多くの歯科医師およびスタッフが,医療人の一人として時代に則した安心・安全な歯科医療を行えるよう,本書を存分に活用していただきたいと思います.
2012年10月
見崎 徹
伊東隆利
渋谷 鑛
万が一,あなたが治療中の患者さんが突然,不調を訴えたり,意識をなくしてしまったらどうしますか?
高齢化社会(65歳以上が3,000万人以上,総人口の約24.1%)に伴い,歯科医療の現場においても治療中やその前後に医療事故が起こる危険性が増加しています.一般的には問診票の記入,バイタルサインの測定などにより偶発症の大半は予防できるといわれていますが,治療前に待合室で,あるいは治療待ちのチェア上で患者さんが意識をなくしてしまったり,心停止状態になった事例も報告されています.
予期せぬアクシデントに直面した際,医師の応援を要請したり,救急車などの出動を依頼することも重要ですが,救急車の到着を待つ間,歯科医師だけでなくその場にいるすべてのスタッフが,目の前の患者さんに適切な救命処置や救急処置を行うことが求められています.
2007年4月に医療法が改正され,われわれに課せられた義務と責任がより明確に,より厳しくなりました.
しかし,日頃からトレーニングを繰り返し行っていたとしても,実際に患者さんの全身状態が急変したとき,落ち着いてバイタルサインを測定して,的確に対応するということは容易ではありません.
そこで本書では,まず症状別にフローチャートを示し,それぞれの対処法が書かれている「I.症状からみた対処法」,「II.救命処置」のページをすぐに開けるよう工夫し,「そのとき」何をしたらよいかを,ひと目でわかるように原因,症状,対処法に分けてまとめました.特に一次救命処置は,2010年に改定されたことから,より詳しく解説をしています.
さらに,「III.偶発症予防のためにできること」では,そもそも偶発症が起こらないようにするために,日頃からどのようなことに気をつけて治療すればよいか,問診や対診のポイントからバイタルサインの見方と評価までを,わかりやすく示しました.
第3版においては,付録のDVDを活用していただくことで,よりいっそう実践的な対応が可能になると思います.
さまざまな配慮を必要とする患者さんに対して,一人でも多くの歯科医師およびスタッフが,医療人の一人として時代に則した安心・安全な歯科医療を行えるよう,本書を存分に活用していただきたいと思います.
2012年10月
見崎 徹
伊東隆利
渋谷 鑛
はじめに
症状からみたフローチャート
I.症状からみた対処法
循環器
1 血圧が急激に上昇したら
2 血圧が急激に低下したら
3 頻脈がみられたら
4 徐脈になったら
5 不整脈に気づいたら
6 胸痛や胸部不快感を訴えたら
脳・神経
7 患者の応答が鈍くなってきたら(意識レベルの低下・意識喪失)
8 頭痛を訴えたら
9 吐き気を訴えたり,嘔吐したら
10 けいれんが起こったら
11 手足のしびれ・麻痺がみられたら
呼吸器
12 呼吸の異常がみられたら(呼吸困難,窒息感,呼吸抑制)
13 チアノーゼがみられたら
14 気管・食道に異物が落ちたら
15 ぜんそく(気管支喘息)発作がみられたら
その他
16 四肢冷感・冷汗がみられたら
17 アナフィラキシーが疑われたら
18 出血が止まらなくなったら
19 興奮がみられたら
20 浮腫・気腫がみられたら
21 高血糖・低血糖が疑われたら─ BS測定
22 アレルギーが疑われたら
23 ビスフォスフォネート製剤を服用している患者の抜歯をすることになったら
II.救命処置
一次救命処置(BLS)のフローチャート
意識・呼吸の確認 胸骨圧迫(心臓マッサージ) 気道確保 人工呼吸 除細動 小児(1〜8歳)の心停止時の対応について 蘇生後のケア バイタルサインの測定 自発呼吸が確認できる場合 救急薬剤の投与
III.偶発症予防のためにできること
1 安全な歯科治療のための提案
2 問診(医療面接)のポイント116
3 内科(主治医)対診のポイント120
4 カルテ開示を求められた際の対応
5 訪問歯科診療を安全に行うためのポイント128
6 バイタルサインの見方と評価
1 脈拍
2 血圧
3 動脈血酸素飽和度
4 呼吸
コラム
tPA:組織型プラスミノーゲン活性化因子
知覚過敏,錯知覚(錯感覚)
加齢による四肢の冷感
汗もいろいろ―精神性発汗と基礎発汗
静脈注射用抗菌薬の皮内反応試験
コアグチェック
AED充電中の胸骨圧迫について
文献
索引
付録 一次救命処置ガイドライン2010準拠DVDビデオ
第一部 全身管理法と救急処置
第二部 気道異物の除去法
第三部 心停止時の対処法
症状からみたフローチャート
I.症状からみた対処法
循環器
1 血圧が急激に上昇したら
2 血圧が急激に低下したら
3 頻脈がみられたら
4 徐脈になったら
5 不整脈に気づいたら
6 胸痛や胸部不快感を訴えたら
脳・神経
7 患者の応答が鈍くなってきたら(意識レベルの低下・意識喪失)
8 頭痛を訴えたら
9 吐き気を訴えたり,嘔吐したら
10 けいれんが起こったら
11 手足のしびれ・麻痺がみられたら
呼吸器
12 呼吸の異常がみられたら(呼吸困難,窒息感,呼吸抑制)
13 チアノーゼがみられたら
14 気管・食道に異物が落ちたら
15 ぜんそく(気管支喘息)発作がみられたら
その他
16 四肢冷感・冷汗がみられたら
17 アナフィラキシーが疑われたら
18 出血が止まらなくなったら
19 興奮がみられたら
20 浮腫・気腫がみられたら
21 高血糖・低血糖が疑われたら─ BS測定
22 アレルギーが疑われたら
23 ビスフォスフォネート製剤を服用している患者の抜歯をすることになったら
II.救命処置
一次救命処置(BLS)のフローチャート
意識・呼吸の確認 胸骨圧迫(心臓マッサージ) 気道確保 人工呼吸 除細動 小児(1〜8歳)の心停止時の対応について 蘇生後のケア バイタルサインの測定 自発呼吸が確認できる場合 救急薬剤の投与
III.偶発症予防のためにできること
1 安全な歯科治療のための提案
2 問診(医療面接)のポイント116
3 内科(主治医)対診のポイント120
4 カルテ開示を求められた際の対応
5 訪問歯科診療を安全に行うためのポイント128
6 バイタルサインの見方と評価
1 脈拍
2 血圧
3 動脈血酸素飽和度
4 呼吸
コラム
tPA:組織型プラスミノーゲン活性化因子
知覚過敏,錯知覚(錯感覚)
加齢による四肢の冷感
汗もいろいろ―精神性発汗と基礎発汗
静脈注射用抗菌薬の皮内反応試験
コアグチェック
AED充電中の胸骨圧迫について
文献
索引
付録 一次救命処置ガイドライン2010準拠DVDビデオ
第一部 全身管理法と救急処置
第二部 気道異物の除去法
第三部 心停止時の対処法








