やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 投薬の目的が,副作用や相互作用を避け,安全に疾患を治療することにあるのはいうまでもありません.目的どおりに薬効を発現させるためには,薬剤に対する知識を深め,適切な薬剤を処方することが必要になります.そこで本書では,「解説編」「薬剤紹介編」の2 部構成で歯科臨床で頻繁に用いられる薬剤,とりわけ抗菌薬と解熱鎮痛消炎剤に焦点をあわせ,知っておきたい基礎知識を解説してみました.
 前者の「解説編」ではその定義,分類と特徴,処方薬選択の考え方から副作用・相互作用,保険請求の概要までをとりあげ,投薬の基礎をハンディにまとめています.また後者では,これらの頻用薬剤に対して,添付文書の記載内容に基づきその詳細を解説しました.処方薬剤を検索する資料として,適応から副作用,相互作用に至るまで基本情報の要点を確認するためにお使いください.
 診療報酬電子請求に伴い始まる突合点検,後発医薬品促進.あるいは高齢社会の進展,小児医療の充実.医療を取り巻く環境は変化していますが,そうしたいくつかの潮流に横串を通すキーワードをあげるとすれば,「より高い水準で安心・安全を追求していく」ということは自明でしょう.これはもちろん,薬剤処方一つをとっても例外ではありません.このような趨勢のなかで,臨床医は処方薬剤や基礎疾患について知識を深め,患者情報を把握し,ときには他の医療機関と連携をはかりながら,医療の質の確保に努めていかなくてはならないのです.本書が,そのようにして医療の底上げに日々専心されるみなさまの日常診療の一助となり,そしてひいては患者の幸せにつながれば幸いです.
 平成24 年2 月
 編 者
I編 解説編
1 抗菌薬
  抗菌薬の分類と使い方
 歯科適応のあるおもな抗菌薬
 抗菌薬投与時の問題点
2 解熱鎮痛消炎剤
 解熱鎮痛消炎剤の分類
 解熱鎮痛消炎剤の使い方
 非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)とは
 COX(シクロオキシゲナーゼ)と非ステロイド性抗炎症薬
 解熱鎮痛消炎剤のおもな副作用
 歯科適応のあるおもな解熱鎮痛消炎剤
3 その他の代表的な歯科処方薬剤
  外用薬 抗真菌剤
4 副作用と相互作用
 副作用について
 相互作用
 相互作用の種類
5 歯科以外の処方薬剤と歯科領域の副作用
  1)循環器官用薬  2)神経精神疾患用薬
  3)呼吸器疾患用薬
6 投薬料の算定について
  算定の基本原則 算定例
  処方せんについて
7 特定薬剤
II編 薬剤紹介編
1 抗菌薬
 1)ペニシリン系
  アモキシシリン水和物製剤 アンピシリン水和物製剤 バカンピシリン塩酸塩製剤
 2)セフェム系
  セフロキシムアキセチル製剤 セファクロル製剤 セファレキシン製剤 セフジニル製剤 セフテラムピボキシル製剤 セフポドキシムプロキセチル製剤 セフカペンピボキシル塩酸塩製剤 セフジトレンピボキシル製剤
 3)ペネム系
  ファロペネムナトリウム水和物製剤
 4)マクロライド系
  エリスロマイシン製剤・エリスロマイシンステアリン酸塩製剤 アジスロマイシン水和物製剤 クラリスロマイシン製剤 ジョサマイシン製剤 ジョサマイシンプロピオン酸エステル製剤 ロキタマイシン製剤 ロキシスロマイシン製剤
 5)テトラサイクリン系
  テトラサイクリン塩酸塩製剤 ドキシサイクリン塩酸塩製剤 ミノサイクリン塩酸塩製剤
 6)クロラムフェ二コール系
  クロラムフェニコール製剤
 7)リンコマイシン系
  クリンダマイシン塩酸塩製剤
 8)ニューキノロン系
  トスフロキサシントシル塩酸塩製剤 レボフロキサシン製剤 オフロキサシン製剤 ロメフロキサシン塩酸塩製剤
2 解熱鎮痛消炎剤
 1)アニリン系
  アセトアミノフェン製剤
 2)サリチル酸系
  アスピリン製剤 アスピリンダイアルミネート製剤
 3)アントラニル酸系
  フルフェナム酸アルミニウム製剤 メフェナム酸製剤
 4)アリール酢酸系
  インドメタシン製剤 ジクロフェナクナトリウム製剤 アンフェナクナトリウム水和物製剤 モフェゾラク製剤
 5)プロピオン酸系
  フルルビプロフェン製剤 ナプロキセン製剤 プラノプロフェン製剤 ロキソプロフェンナトリウム製剤 ザルトプロフェン製剤
 6)オキシカム系
  ロルノキシカム製剤
 7)塩基性
  エピリゾール製剤 チアラミド塩酸塩製剤
 8)配合剤
  シメトリド+無水カフェイン製剤 アセトアミノフェン+無水カフェイン製剤
 9)漢方
  立効散製剤

 索 引
 文 献