やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

監訳者の言葉
 私がGroher先生を知ったのは,藤島一郎先生と塩浦政男先生が翻訳された『嚥下障害―その病態とリハビリテーション』(医歯薬出版,1989年8月発行)を発刊直後に手にしたときでした.当時は嚥下障害に関する書籍が極めて少なかった時代ですから,その本の出現はたいへん衝撃的な出来事でした.この先生のもとで学びたいと思い,すぐにニューヨークの退役軍人病院のGroher先生に手紙を出し,留学受け入れをご快諾いただきました.先生は1990年5月にニューヨークからフロリダ州タンパの退役軍人病院の言語聴覚部門の主任として移られる予定とのことでしたので,赴任から半年ほど間をとり1990年11月から先生のもとで学ばせて頂きました.先生はたいへん温かく迎えて下さり,留学開始直後から家族ぐるみで遠出をして休日を過ごすなど,私を旧知の友人のようにもてなして下さいました.同時に,嚥下障害の診断からリハビリテーションまでを本当に丁寧に教えて下さいました(写真1).
 当時,Crary先生はフロリダ大学の言語部門の主任をされていてGroher先生とは,半年に1回,フロリダ大学でカンファレンスを行っており,大学まで片道約2時間の道のりを,Groher先生の愛車を運転しながら,慣れない英会話と右側通行に随分と神経を使ったことを懐かしく思い出します.Crary先生は明るく精力的な先生で,ジョークを散りばめながら懇切丁寧にさまざまなことを教えて下さいました(写真2).私は1993年以来,ほぼ毎年米国嚥下障害学会に参加し,プログラム終了後にお二人と夕食をとりながら,今もいろいろと教えて頂いています.またメールで頻繁に意見交換を行っていますが,今回のこの本についてはご執筆中から最高水準の本を書いているとお二人より何度も情報をいただき,またときには日本の情報をお尋ねになり,今回の訳本を刊行することについては原著が米国で発刊される前より内諾を頂いていました.
 発刊された原著を手にしたとき,とにかくその充実した内容に圧倒されました.嚥下障害に関わる各医療職の役割,治療の流れなどの解説,解剖と正常機能,新生児・小児の正常嚥下・発達・嚥下障害,嚥下障害の原因と特徴,臨床評価法,専門機器を用いた評価法,治療法の選択法,実際の治療法,科学的根拠の重要性などについて,最新の情報と豊富な実例を提示しながら丁寧に解説されており,また各章ごとに学習目標も提示されています.これからこの分野を学ぼうとする学生からベテランの臨床家まで,嚥下障害に携わるすべての医療職の方にとって必読の教科書であると確信しました.
 この圧倒的な内容を持つ原著を翻訳する翻訳者は,日常の業務として嚥下障害の臨床に深く関わっている「歯科における摂食・嚥下を考える会」(のもう会)のメンバーから募りました.「のもう会」は訳者の鄭先生,舘村先生と私の3人が2000年に設立を企画した歯科医師の摂食・嚥下障害に対する取り組みのレベルアップを目的とした会で,2001年第55回日本口腔科学会総会(歯科の分野で唯一の日本医学会の分科会)において第1回の会が開催されて以来,日本老年歯科医学会,日本摂食・嚥下リハビリテーション学会などで開催を重ね,現在では日本摂食・嚥下リハビリテーション学会のサテライトの会として前宣伝はしなくても会場が埋まるほどの会に成長しています.
 この「のもう会」から翻訳に参加して下さったメンバーは全員,Crary先生とGroher先生の講演を拝聴したことがあり,「のもう会」の宴で両先生と忌憚のない意見交換をしています.またGroher先生を何度も大学に招聘し,Crary先生とGroher先生の大学に留学あるいは訪問したメンバーや,さらにはGroher先生の指導による嚥下障害海外研修コースを毎年企画しているメンバーも含まれています.このようにどの翻訳メンバーもCrary先生とGroher先生を直接知り,お二人の考え方を十分理解していると思います.
 さまざまな意見を積極的に出し合いながら訳出を担当して下さった訳者の先生方,全編を読むにあたり手伝って下さった当講座の武井良子先生,ならびに関係各位に感謝致します.そして最後になりますが,私とGroher先生,Crary先生との掛け橋となった本を翻訳され,また本書の前身である嚥下障害入門(医歯薬出版)を翻訳され,多くの示唆を与えて下さった藤島一郎先生,「のもう会」の礎を作られ,育まれた鄭 漢忠先生,舘村 卓先生に感謝して監訳者の言葉を結びたいと思います.
 2011年11月
 高橋浩二

日本語版発刊にあたり 原著者の言葉
 日本語版発刊にあたり,日本の皆様にメッセージを送る機会を与えていただいたことをたいへん光栄に思います.翻訳版の出版にあたり,私たちの古くからの友人である高橋先生が,訳者の先生方とこの本に情熱を傾けて下さったことは,私たちにとっては何事にも代えがたい喜びです.私たち二人は,ともに日本で講演を行ったことがありますが,摂食・嚥下障害にかかわる日本の方々が臨床ならびに科学的業績を著しい速度で積み上げられる努力を目のあたりにし,深い尊敬の念を抱きました.嚥下障害の専門学会として日本摂食・嚥下リハビリテーション学会は世界一の規模の組織であり,また多職種間の連携を重視する姿勢が続く限り,この組織が増々発展していくことは疑いの余地がないでしょう.日本摂食・嚥下リハビリテーション学会の会員の皆様のご努力に敬意を表します.
 日本ならびに世界における嚥下障害の診断とその治療体系は,過去30年以上にわたり発展を続けてきました.当初は,嚥下障害の症状を評価し,嚥下調整食などの代償法により障害を管理することに視点が集中していましたが,現在では世界の視点は嚥下障害を引き起こす個々の病因を理解し,さまざまな疾患群において嚥下障害を予防し,障害が発症した場合は治療するという方向に向かっています.本書においてはこの変化を実現させた科学的根拠を紹介することに努めました.私たちは,基礎的研究においても臨床的研究においても,その科学的根拠が常に変わりうることを理解していますが,さらなる研究が必要であることに目を向けながら,現時点での科学的根拠を偏ることなく示すことができたと信じます.
 日本と米国では文化が異なります.この違いが嚥下障害の対応になんらかの影響を及ぼす場合があるかもしれません.しかし高橋先生と訳者の先生方は日米両国の臨床の実情を深く理解され,患者や医療従事者と向き合われるときはこの違いについて常に注意を払われてきました.
 私たちは,この本の翻訳が私たちや米国の他の臨床家や研究者,ならびに日本の臨床家や研究者との間でより強い協力関係を築くためのさらなる踏み台となることを願います.一緒に協力していくことでお互いにより多くのことを教え合い,共通の患者からより多くのことを学ぶことができるようになるでしょう.日々行われている嚥下障害治療の臨床において日米間で異なる点が少しはあるかもしれませんが,よりよい評価法,よりよい対処法そしてそれらを開発するための研究が必要であるということは日米で一致しているはずです.私たちは高橋先生と訳者の先生方に深い敬意を表するとともに,この本が日本における嚥下障害の医療に役立つことを心より祈っています.
 Michael E.Groher
 Michael A.Crary

原著序文
 本書は,嚥下障害を有する乳児,小児および成人を治療するうえで,基礎的または包括的な基盤を確立したいと考える臨床家(clinician訳者注:本文中では治療担当者と訳した)を対象に,診断と治療のプロセスとそれらを行う根拠となる研究に焦点をあわせて書かれている.
 包括的なアプローチがされているために,経験の浅い臨床家が本書を一読しても診断と治療に関して完全に理解することができない部分もあるだろうが,経験豊富な臨床家にとっては有益なものとなるに違いない.嚥下障害の治療について,初心者または上級者に指導する立場にある大学の教員に役立つように本書を以下のように構成した.
 1.機器を用いた検査法の画像ライブラリーへのアクセス(Evolveウェブサイト上にある.訳者注:日本語版ではアクセスは不可)
 2.嚥下障害に関連した多くの問題を含む短い実例の紹介
 3.鑑識眼を養うための症例(各章の臨床的考察)
 4.問題解決能力を判定するための一連の入力問題を利用して,現病歴と既往歴,臨床所見,機器による検査所見を統合し,自分自身の判断決定能力を分析するための症例(Evolveウェブサイト上にある)
 さらに,我々自身の先入観や見識に基づいた逸話(各章の臨床ノート)を吹き込むことを試みた.なお,その逸話とは今まで我々が治療した何百もの患者から実際に得られたものである.
 我々は,嚥下障害の治療法を指導する最良の方法は,問題解決のためのアプローチ法を解説することであると考えている.
 本書では,治療法の危険性と恩恵を比較することを重視するような慣例を避けるように心がけた.臨床においては慣例的な治療ばかりを行うことで治療上の問題点を解決するための選択枝が見失われてしまうことが多々ある.
 嚥下障害の治療の成功は,多くの医療専門職が協力することによって,はじめて実現させることができる(Chapter1を参照).嚥下障害の患者にとって多職種によってアプローチされることが最良であると知られている一方で,職種間の調整に失敗して多職種アプローチの質がうまくいかないこともある.多職種アプローチの調整は言語療法士が行うことが多い.本書では言語療法士の役割を強調しているが,他の職種の役割についても,おもに各章の症例紹介において説明した.
 究極的には,本書は嚥下障害患者のあらゆる問題について,ならびに専門家がいかに嚥下障害を改善させるかについてに焦点をあわせて書かれている.嚥下障害は多くの医学的問題から,またときには非医学的(精神的)問題から生じること,さらに嚥下障害は嚥下機構の生理学的な変化だけで生じるのではないことを読者は理解するだろう.正常に飲み込むことができないということは,結果として患者の医学的健康および精神的健康に重大な影響を及ぼす.誤嚥性肺炎,低栄養,脱水のような嚥下障害の二次的な医学的問題が起こると,嚥下障害患者は免疫不全,精神的錯乱,あるいは死に至るまでの併発症に罹患しやくする.このことから嚥下障害の専門家は一般的な医学知識を十分に獲得するよう努めていかなければならない.読者は各章において嚥下障害を取り巻く重要な鍵ともいえる医学的概念について理解し,注意を払わなければならないが,いくつかの概念については本書を越えてさらに詳細に学ぶ必要があるだろう.
 好きなものを安全に摂取できないということ,あるいは公共の場で普通に食べることができないということが二次的にうつ状態や精神的苦痛を生み出し,やがては社会生活から引きこもり,患者の生活の質の低下を招くであろうことは容易に理解できる.また,特別な食事を用意することは多大な時間を必要とし,経済的な負担となる場合もある.手短にいえば,人間の生活様式は食事時間を中心に展開しているのである.この正常な日常行動が中断されることは,はかりしれない打撃を生活にもたらす.したがって,嚥下障害の治療は生理学的機能の改善に向けて行われるだけではなく,最終的には普通に飲めないことから生じる心理社会的問題を正常に戻すために行われるべきである.また,嚥下障害患者の治療は失った機能を回復させる試みであると同時に,習得したリハビリテーションの手法を続けることにより,将来起こりうる医学的な併発症を予防する試みでもあるという観点で捉えるべきである.
 嚥下障害患者の治療は,多くの医療専門職にとってかかわるべき専門領域の一つとなった.言語療法士が嚥下障害患者の治療を専門領域としたのはここ30年以内のことである.
 臨床家が嚥下障害患者の治療に関するさまざまな問題点に遭遇することが多くなったため,臨床と基礎の科学研究者は,治療の質を向上させるために問題を解決したり提起したりする研究を行うようになった.これらの努力の多くは嚥下障害の専門誌であるDysphagiaや,毎年開催されている米国嚥下障害学会(The Dysphagia Research Society.訳者注;1992年に第1回Annual Meetingが開催されて以来,毎年開催されている米国の学会で,最近では日本からの参加者も増えた),米国言語聴覚協会(American Speech,Language,and Hearing Association;ASHA)の最も大きな研修部門(special interest division.訳者注;米国言語聴覚協会が主催する研修部門で,現在18の部門がある)である第13部門の嚥下障害に集約されている.また多くの専門分野から,嚥下障害患者の治療,診断,病因についてのテキストも出版され,その数は着実に増えつづけている.本書がそのうちの1冊として数えられるだけでなく,この分野に興味をもつ研究者と臨床家が嚥下障害患者の生活の質の向上に向けて途絶えることなく探求を続けることを後おしするものとなるよう願っている.

原著献辞
 この本は,我々の仕事に影響を与えてくれた以下の人達に捧げたい.その多くは,嚥下障害の治療において多職種アプローチの概念を打ち立て,発展させてきた先駆者である.彼らの行ってきた臨床的かつ明解な研究が礎となり,われわれの専門分野が今なお発展し,嚥下障害患者の生活の質が向上していることは疑いの余地はない.
 Joan Arvedson,Ian Cook,Nick Diamant,Olle Ekberg,Michael Feinberg,Susan Langmore,George Larsen,Maureen Lefton-Greif,Jeri Logemann,Arthur Miller,Robert Miller,JoAnn Robbins,Reza Shaker
 そして,米国を代表する教育大学,ジョンスホプキンス大学の最初の多職種嚥下障害チームの以下のメンバーに捧げたい.
 Jim Bosma,David Bucholtz,Martin Donner,Browyn Jones,Haskins Kashima,Patti Linden,Bill Ravich
 最後に臨床科学の新しい世代を代表する以下の人達に捧げたい.彼らの多くは我々に影響を与え,また研究をともに行ってきた.敬意を表すべき大きな業績を成し遂げた彼らや,そのほかのこれからを担う多くの人達は,今後も我々に重要な示唆を与えてくれるだろう.
 Margareta Bulow,Susan Butler,Giselle Carnaby-Mann,Julie Cichero,Ichiro Fujishima,Maggie Lee Huckabee,Paula Leslie,Rosemary Martino,Gary McCulloch,Bonnie Martin-Harris,Cathy Pelletier,David Smithard,Catriona Steele,Koji Takahashi,and more
 臨床科学は,発展の速度が遅い.臨床科学の発展には時間と努力を捧げる必要があるばかりではなく,捧げた努力により将来恩恵を受けるであろう患者と真剣に向き合うことが必要である.臨床科学には挫折,落とし穴,欠陥などがつきものである.
 我々は,患者の幸せのために,また臨床科学に携わる人達のために,ここに2人の世界的な偉人の言葉を紹介する(もし彼らの言葉を間違った意味で紹介していたらお詫びしたい).
 無視されて,嘲笑されて,迫害される.それでも,最後に勝つのは我々である.
  マハトマガンディー Mahatma Gandih(インド独立の父)
 ある方法を選んで試すことは常識である.もし失敗しても素直に認めて別の方法を試すべきである.しかし何にもまして大切なことは,常に何かを試すことである.
  フランクリンルーズベルト Franklin D.Roosevelt(第32代米国大統領)
 すべての人に幸あれ
 M.G.and M.C.
 監訳者の言葉
 日本語版発行にあたって
 原著序文
 原著献辞
1編 序論
 Chapter-1 嚥下障害入門(高橋浩二 訳)
  嚥下障害とは何か
   罹患率と有病率 施設ごとの有病率
  嚥下障害の帰結
   医学的帰結 心理社会的帰結 臨床管理 臨床検査 専門機器を用いた検査 治療法の選択
  どのような職種が嚥下障害にかかわるか
   言語療法士 耳鼻咽喉科医 消化器内科医 放射線科医 神経内科医 歯科医師 看護師 栄養士 作業療法士 神経発達を促すための専門医療職 呼吸器科医,呼吸療法士
  ケアのレベル
   急性期医療施設 新生児集中治療室 亜急性期医療施設 回復期リハビリテーション施設 介護療養施設 在宅療養
  まとめ
 Chapter-2 成人の正常嚥下機能(舘村 卓,河合利彦 訳)
  嚥下にかかわる正常な解剖学
   (口腔)準備期(oral preparatory stage) 口腔期/咽頭期(oral/pharyngeal stage) 食道期(esophageal stage)
  嚥下にかかわる正常な生理学
   口腔の準備 口腔期 呼吸と嚥下 咽頭期 食道期
  食塊とその移送の多様性
   食事量と嚥下運動調節 粘性 加齢と嚥下 口腔期と加齢 咽頭期と加齢 食道と加齢
  嚥下の神経調節
   末梢神経と延髄による調節 核上性の調節
  まとめ
 Chapter-3 満期産と早産の乳幼児における正常嚥下とその発達(田村文誉,今井庸子 訳)
  発生学と胎児の発達
  正常発達における各発達段階の特徴的な事象
   聴覚の発達 視覚の発達 味覚と嗅覚の発達 運動反射の発達
  正常な乳児の嚥下
   正常な解剖 非栄養的吸啜と栄養的吸啜 吸啜対吸引 母乳栄養 乳児期早期 栄養摂取の移り変わり 6か月から12か月
  まとめ
2編 嚥下障害の原因と特徴
 Chapter-4 小児期の障害(西脇恵子 訳)
  小児の背景
  母親の状態
   糖尿病,妊娠性糖尿病 妊娠高血圧腎症 薬剤
  早産
   壊死性腸炎 胃食道逆流症 気管食道瘻と食道閉鎖
  呼吸器疾患
   新生児呼吸窮迫症候群 新生児一過性多呼吸 無呼吸 気管支肺異形成症 新生児における遷延性高血圧症
  神経障害
   小頭症 水頭症 頭蓋内出血 てんかん発作 脳室周囲白質軟化症 分娩時外傷
  心臓血管障害
  先天異常
   口唇口蓋裂
  小児の摂食障害
  小児の典型的な発達過程
  摂食に関する医学的な問題
   胃腸の疾患 心臓呼吸機能の状態 頭頚部の障害 アレルギー
  摂食に関する感覚の問題
  自閉症スペクトラム
  脳性麻痺
  脳損傷
  ダウン症
  まとめ
 Chapter-5 成人の神経疾患(渡邊 裕,枝広あや子,佐藤絵美子 訳)
  はじめに−症状と神経障害
   嚥下機能に関連する機能的神経構造の概要
  大脳皮質の機能
   大脳皮質の機能と嚥下障害
  大脳半球脳血管障害における嚥下障害
   治療法の検討
  認知症における嚥下障害
   治療法の検討
  外傷性脳損傷における嚥下障害
   治療法の検討
  皮質下機能
  皮質下機能,嚥下機能障害:パーキンソン病
   治療法の検討
  脳幹の機能
   脳幹の機能と嚥下障害 治療法の検討 嚥下における小脳の役割
  下位運動ニューロンと筋疾患
   下位運動ニューロン機能と嚥下障害 筋疾患および嚥下障害
  神経原性嚥下障害に類似する嚥下の特発性医原性障害
  まとめ
 Chapter-6 嚥下障害と頭頸部癌(大部一成 訳)
  疾患としての癌
   癌とは? 癌の診断
  頭頸部癌の治療
   手術 放射線治療 化学療法
  頭頸部癌患者にみられる嚥下障害
   手術に起因する嚥下障害 放射線治療に起因する嚥下障害
  頭頸部癌患者の嚥下障害の評価戦略
   嚥下機能評価の時期 影響因子の評価
  頭頸部癌患者の嚥下障害の治療戦略
   嚥下治療の時期 食塊移送に問題がある場合の治療 気導防御に問題がある場合の治療 放射線治療後の粘膜や筋肉の変性に対する治療
  まとめ
 Chapter-7 食道の嚥下障害(関谷秀樹 訳)
  言語療法士の役割
  構造の異常
   食道狭窄 内腔変形 食道憩室
  食道の運動不全
   蠕動障害 非特異的食道運動障害
  下部食道括約筋機能の異常
   アカラジア 下部食道括約筋単独の異常
  胃食道逆流性疾患
   逆流のメカニズム 逆流を計測する 胃食道逆流性疾患の治療
  喉頭咽頭逆流
  鑑別診断
  食道入口部の障害
   輪状咽頭筋の突出(cricopharyngeal bar) Zenker憩室
  咽頭食道関係
  まとめ
 Chapter-8 呼吸性および神経原性障害(花上伸明 訳)
  背景
  人工気道
   気管内チューブ 気管切開カニューレ
  嚥下と気管切開
   喉頭挙上 声門下圧
  嚥下障害の手術後の原因
   甲状腺切除 頸動脈内膜切除術 頸椎手術 食道切除術 頭蓋底/後頭蓋窩
  外傷
   歯科的な外傷 熱傷
  薬剤
  慢性閉塞性肺疾患
  まとめ
3編 嚥下機能の評価
 Chapter-9 成人の臨床評価(鈴木 亮,菊谷 武 訳)
  理論的根拠
  嚥下障害の症状
   問診
  嚥下障害の徴候
  病歴
   病歴の多様性
  診察
   臨床観察 脳神経の診察 嚥下テスト 摂食評価
  誤嚥を検出するための検査
   水飲みテスト 酸素飽和度テスト(oxygen saturation tests) Modifi ed Evan's Blue Dye Test
  標準検査
  補助的な検査
  まとめ
 Chapter-10 機器を使用した嚥下検査;嚥下造影検査(VF)と嚥下内視鏡検査(VE)(小西 勝,谷本啓二 訳)
  機器を使用した嚥下検査の検討
   機器を用いた嚥下検査のゴール(到達目標) 機器を使用した嚥下検査の適応症
  嚥下造影検査
   名称の由来 嚥下造影検査の目的 嚥下造影検査の手順 嚥下造影検査の利点と欠点
  嚥下内視鏡検査
   嚥下内視鏡検査と嚥下造影検査の違い 嚥下内視鏡検査の具体的手順 嚥下内視鏡検査の利点と欠点
  嚥下造影検査と嚥下内視鏡検査の直接比較
  まとめ
 Chapter-11 乳幼児,小児の評価における特別な配慮(田村文誉,今井庸子 訳)
  乳児
  乳児のサブシステム
   生命維持システム 運動システム 状態のシステム 注意システム 自己調節システム
  発達過程
  ベッドサイドでの発達・摂食評価
   経歴(既往歴) 状態のシステム 姿勢と筋緊張 反射 適応反応 生理的安定性 口腔の反射 非栄養的吸啜 栄養的吸啜
  機器を用いた検査
   嚥下造影検査 嚥下造影検査と上部消化管造影 光ファイバー内視鏡検査
  年長児
  臨床的摂食評価
   評価の準備
  病歴
  摂食準備のための活動
  技術的状況
   口腔の器官と機能の検査
  摂食過程の観察
   液体 食物
  乳児への特別な配慮
  幼児への特別な配慮
   固形食 食形態
  年長児への特別な配慮
  結果の共有
  まとめ
4編 治療のアプローチ
 Chapter-12 治療上考慮すべき点,治療法の選択(吉田光由 訳)
  科学的根拠に基づく治療
  科学的根拠をみきわめる
  治療時に検討すべきこと
  患者ごとの対応
  治療法ごとの対応
   治療法の選択
  治療法の概要
   内科的治療 外科的治療 リハビリテーション
  治療方針の決定
   情報を収集する 臨床的に意味のある検討課題の提出 個々の治療計画を立案する
  治療計画を立てるための体系
  まとめ
 Chapter-13 乳幼児と小児の治療(綾野理加 訳)
  安定して系統だった成育
   発達を促すケア 姿勢 Skin-to-Skin Care 添い寝
  食べるための準備
  おしゃぶり,哺乳びん,人工乳首
  哺乳のときの姿勢
  口腔感覚と顔面への刺激
  発達にあわせた経口摂取計画
  摂食指導の方法
   Sequential oral sensory approach;SOSアプローチ 行動療法に基づいて構築された摂食療法アプローチ Beckmanの口腔機能アプローチ
  指導様式
   個別の指導 グループ指導 集中治療
  家族が受け入れやすい目標
  短期目標
   文化に対する配慮
  ケアプランの作成
   食べるための準備 新しい食品を提示する 摂食能力に応じた食物のテクスチャーと風味 味とテクスチャーの変更 溶ける固形食品 噛む必要のある硬い食品 訓練のガイドライン 食具の選択
  経管栄養法
  まとめ
 Chapter-14 成人の治療(武井良子 訳)
  どの訓練法を選択し何を考慮すべきか
  嚥下障害の症状の管理;調節法,代償法,調整法
   姿勢の調節 頸部の調整 液体の粘性調整と食品調整
  とろみつき液体が嚥下機構にもたらすその他の効果
  嚥下を変化させる;積極的訓練法
   嚥下機構の改善;口腔器官の運動訓練 気導防御;息こらえ,息こらえ嚥下,強い息こらえ嚥下 嚥下の延長;メンデルソン手技 力を加える;努力嚥下 嚥下を変化させるためのその他の手技
  新たな方向性;運動原理と補助療法
   運動原理と嚥下障害の治療 補助療法は患者の治療にどのように役立つのか 今後の方向性
  科学的根拠の利用について
  まとめ
 Chapter-15 倫理的側面(鄭 漢忠 訳)
  医の倫理
   事前指示
  経管栄養
   経腸栄養 経静脈栄養
  経管栄養チューブを使用する理由
  経管栄養チューブからの離脱
  誤嚥性肺炎
   誤嚥性肺炎のリスクファクター
  医学的側面以外のリスクとメリット
   医学的側面以外のメリット 医学的側面以外のリスク
  倫理的ジレンマ1
  倫理的ジレンマ2

 索引
 原著contributors