はじめに
歯周治療のゴールは,歯周病によって喪失した歯周組織の構造的,機能的回復であるが,今日ではそれに加えて,喪失歯に対しても口腔インプラントにより機能や審美性を改善できるようになってきており,歯周病患者に対して行われるインプラント治療は今後ますます増加することが予測される.しかし,歯周病におけるインプラント療法に対する検査,診断からメインテナンス療法に至るまでの治療の流れを網羅し,教育,臨床の場でインプラント治療を応用する際の治療の指針がないのが現状である.
このことを踏まえ,日本歯周病学会では,口腔インプラント委員会(申 基委員長)を中心として安全性を踏まえたインプラント治療を行うための「歯周病患者におけるインプラント治療の指針」を作成した.
その基本的考え方は以下のとおりである.
1.医療現場の実情,社会的要請に対応し,歯周病患者における日常に即した簡明なインプラントの治療指針である.
2.この指針は,多くの歯科医師や臨床研修歯科医が,歯周病患者に対してインプラント治療を実施する際の客観的な指標となるものである.
3.この指針は,各教育機関における歯周病患者におけるインプラント治療に関する教育の参考とするものである.
4.歯周病患者に対してインプラント治療を行うにあたり,この指針を基本に,歯科医学的妥当性に基づく診断によってインプラント治療が進められることを期待する.
5.学術の進歩に伴い医療における治療法の変革は,著しいものがあり,今後もさらに多くの分野からこの指針の内容を検討する.
歯周病に対する治療手段の1つとしてインプラント療法が適切に取り入れられるために,この指針が有効に活用され,国民の口腔保健の向上に寄与することを期待するものである.
平成21年3月
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
理事長 山田 了
歯周治療のゴールは,歯周病によって喪失した歯周組織の構造的,機能的回復であるが,今日ではそれに加えて,喪失歯に対しても口腔インプラントにより機能や審美性を改善できるようになってきており,歯周病患者に対して行われるインプラント治療は今後ますます増加することが予測される.しかし,歯周病におけるインプラント療法に対する検査,診断からメインテナンス療法に至るまでの治療の流れを網羅し,教育,臨床の場でインプラント治療を応用する際の治療の指針がないのが現状である.
このことを踏まえ,日本歯周病学会では,口腔インプラント委員会(申 基委員長)を中心として安全性を踏まえたインプラント治療を行うための「歯周病患者におけるインプラント治療の指針」を作成した.
その基本的考え方は以下のとおりである.
1.医療現場の実情,社会的要請に対応し,歯周病患者における日常に即した簡明なインプラントの治療指針である.
2.この指針は,多くの歯科医師や臨床研修歯科医が,歯周病患者に対してインプラント治療を実施する際の客観的な指標となるものである.
3.この指針は,各教育機関における歯周病患者におけるインプラント治療に関する教育の参考とするものである.
4.歯周病患者に対してインプラント治療を行うにあたり,この指針を基本に,歯科医学的妥当性に基づく診断によってインプラント治療が進められることを期待する.
5.学術の進歩に伴い医療における治療法の変革は,著しいものがあり,今後もさらに多くの分野からこの指針の内容を検討する.
歯周病に対する治療手段の1つとしてインプラント療法が適切に取り入れられるために,この指針が有効に活用され,国民の口腔保健の向上に寄与することを期待するものである.
平成21年3月
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
理事長 山田 了
1 歯周病患者の口腔機能回復治療としてのインプラント治療
1─インプラント治療の変遷と歯周病患者への応用
1)インプラント治療の歴史
2)歯周病患者へのインプラント治療の利点とリスク
3)歯周病罹患歯の抜歯基準とインプラント治療
4)付与すべき咬合関係
5)歯周治療のなかでのインプラント治療の進め方
2─歯周病患者のインプラント治療における問題点
1)歯周組織とインプラント周囲組織
(1)共通点
(2)相違点
2)歯周病リスクファクターのインプラント治療への影響
(1)全身疾患
a.糖尿病
b.心疾患
c.骨粗鬆症
d.精神的疾患のある人
(2)生活習慣
a.喫煙
b.糖尿病
c.ストレス
d.メタボリックシンドローム
(3)免疫能
(4)局所因子
3)インプラント周囲組織のプラークに対する抵抗性
4)インプラント周囲組織の咬合力に対する抵抗性
(1)インプラント周囲組織に及ぼす咬合力の問題点
(2)インプラントへの過重負担
5)インプラント周囲粘膜に起因する問題
(1)インプラント周囲の非可動性粘膜の存在について
(2)審美性に関する問題
6)骨量不足に起因するインプラント埋入位置の問題,クラウン─インプラント・レシオ(CIレシオ)に関する問題点
2 術前検査および診断
1─医療面接
1)歯周病罹患状態
2)インフォームドコンセント
2─歯周病リスクファクターの検査
1)全身疾患
(1)骨粗鬆症
(2)糖尿病
(3)心疾患
2)生活習慣(喫煙,栄養,ストレスなど)
3)免疫能
3─歯周組織の検査
1)歯周一般検査
2)咬合検査
3)歯肉歯槽粘膜の検査
4─粘膜形態および種々の画像診断
1)インプラント埋入部位の粘膜形態
2)エックス線写真
(1)エックス線撮影法
a.口腔内エックス線撮影法
b.口腔外エックス線撮影法
c,モーショントモグラフィー
3)CT(computed tomography)
(1)下顎のインプラント埋入部位のCT撮影
(2)上顎のインプラント埋入部位のCT撮影
5─インプラントの術前補綴診断
1)診断用ワクシングとサージカルステント
2)インプラント上部構造の設計
3 治療計画の立案
1─インプラント治療の流れ
2─歯周病患者に特有の考慮事項
1)プロビジョナルレストレーション
(1)適切な咬合関係および顎位の確立
(2)審美および発音障害の回復
(3)インプラント周囲組織の口腔清掃の確立
2)抜歯の判定
3)その他,考慮すべきオプション
(1)骨造成
(2)軟組織の増大
4 歯周病患者へのインプラント治療の実際
1─前処置としての歯周治療
2─インプラント埋入の基本的な術式
1)歯槽骨頂の明示
2)インプラント埋入窩の形成
3)インプラント埋入
4)インプラント埋入を成功させるための注意事項
3─インプラント二次手術とプロビジョナルレストレーション
1)インプラント周囲への角化粘膜の獲得
2)審美領域への軟組織増大
4─インプラント上部構造
1)種類とデザイン
2)咬合関係
5 メインテナンス
1─残存歯のメインテナンス
2─インプラント周囲組織のメインテナンス
1)プラーク(バイオフィルム)コントロールの状態
2)周囲粘膜の状態およびプロービング時の出血(bleeding on probing:BOP)
3)プロービング深さ(probing depth:PD)
4)排膿の有無
5)エックス線学的評価
6)インプラントの動揺
7)インプラント周囲の角化粘膜
8)歯肉溝滲出液(gingival crevicular fluid:GCF)
9)細菌検査
10)咬合関係
6 インプラント周囲炎に対する処置
1─インプラント周囲炎の定義と分類
2─インプラント周囲炎の原因
3─インプラント周囲炎の治療法
参考:累積的防御療法(cumulative interceptive supportive therapy;CIST)
引用文献
1─インプラント治療の変遷と歯周病患者への応用
1)インプラント治療の歴史
2)歯周病患者へのインプラント治療の利点とリスク
3)歯周病罹患歯の抜歯基準とインプラント治療
4)付与すべき咬合関係
5)歯周治療のなかでのインプラント治療の進め方
2─歯周病患者のインプラント治療における問題点
1)歯周組織とインプラント周囲組織
(1)共通点
(2)相違点
2)歯周病リスクファクターのインプラント治療への影響
(1)全身疾患
a.糖尿病
b.心疾患
c.骨粗鬆症
d.精神的疾患のある人
(2)生活習慣
a.喫煙
b.糖尿病
c.ストレス
d.メタボリックシンドローム
(3)免疫能
(4)局所因子
3)インプラント周囲組織のプラークに対する抵抗性
4)インプラント周囲組織の咬合力に対する抵抗性
(1)インプラント周囲組織に及ぼす咬合力の問題点
(2)インプラントへの過重負担
5)インプラント周囲粘膜に起因する問題
(1)インプラント周囲の非可動性粘膜の存在について
(2)審美性に関する問題
6)骨量不足に起因するインプラント埋入位置の問題,クラウン─インプラント・レシオ(CIレシオ)に関する問題点
2 術前検査および診断
1─医療面接
1)歯周病罹患状態
2)インフォームドコンセント
2─歯周病リスクファクターの検査
1)全身疾患
(1)骨粗鬆症
(2)糖尿病
(3)心疾患
2)生活習慣(喫煙,栄養,ストレスなど)
3)免疫能
3─歯周組織の検査
1)歯周一般検査
2)咬合検査
3)歯肉歯槽粘膜の検査
4─粘膜形態および種々の画像診断
1)インプラント埋入部位の粘膜形態
2)エックス線写真
(1)エックス線撮影法
a.口腔内エックス線撮影法
b.口腔外エックス線撮影法
c,モーショントモグラフィー
3)CT(computed tomography)
(1)下顎のインプラント埋入部位のCT撮影
(2)上顎のインプラント埋入部位のCT撮影
5─インプラントの術前補綴診断
1)診断用ワクシングとサージカルステント
2)インプラント上部構造の設計
3 治療計画の立案
1─インプラント治療の流れ
2─歯周病患者に特有の考慮事項
1)プロビジョナルレストレーション
(1)適切な咬合関係および顎位の確立
(2)審美および発音障害の回復
(3)インプラント周囲組織の口腔清掃の確立
2)抜歯の判定
3)その他,考慮すべきオプション
(1)骨造成
(2)軟組織の増大
4 歯周病患者へのインプラント治療の実際
1─前処置としての歯周治療
2─インプラント埋入の基本的な術式
1)歯槽骨頂の明示
2)インプラント埋入窩の形成
3)インプラント埋入
4)インプラント埋入を成功させるための注意事項
3─インプラント二次手術とプロビジョナルレストレーション
1)インプラント周囲への角化粘膜の獲得
2)審美領域への軟組織増大
4─インプラント上部構造
1)種類とデザイン
2)咬合関係
5 メインテナンス
1─残存歯のメインテナンス
2─インプラント周囲組織のメインテナンス
1)プラーク(バイオフィルム)コントロールの状態
2)周囲粘膜の状態およびプロービング時の出血(bleeding on probing:BOP)
3)プロービング深さ(probing depth:PD)
4)排膿の有無
5)エックス線学的評価
6)インプラントの動揺
7)インプラント周囲の角化粘膜
8)歯肉溝滲出液(gingival crevicular fluid:GCF)
9)細菌検査
10)咬合関係
6 インプラント周囲炎に対する処置
1─インプラント周囲炎の定義と分類
2─インプラント周囲炎の原因
3─インプラント周囲炎の治療法
参考:累積的防御療法(cumulative interceptive supportive therapy;CIST)
引用文献








