「歯周病の検査・診断・治療計画の指針2008」刊行によせて
近年,歯周病が全身の健康に影響するという研究が数多く報告されるようになってきた.これは,歯周治療により歯の喪失を防ぐということだけでなく,全身の健康管理という観点から合理的な歯周病の検査,診断に基づいた治療計画を立案し,適切な歯周治療を行わねばならないことを意味する.このことを踏まえ,わが国独自の新しい歯周病の分類や治療の指針を作成することの必要性が高まり,平成19年,日本歯周病学会では歯周治療における「検査・診断」「歯周基本治療」「歯周外科治療」「口腔機能回復治療」さらに「サポーティブペリオドンタルセラピーあるいはメインテナンス」に至るまで,歯周治療を総覧する指針として「歯周病の診断と治療の指針2007」を発刊した.
そして本年,本学会は「歯周病の検査・診断・治療計画の指針」を刊行する.「歯周病の診断と治療の指針2007」を歯周治療に関する指針の総論とするならば,本書はその各論の第一弾として,歯周病の検査,診断および治療計画に焦点をあわせ,「1.検査,診断と治療の進め方」「2.歯周基本治療」「3.歯周外科治療」「4.口腔機能回復治療」「5.サポーティブペリオドンタルセラピー・メインテナンス」というテーマごとに構成した.それぞれのパートではEBM(evidence-based medicine)に基づく最新の情報をまとめ,歯周治療の透明性をより高めるように編集している.
本指針の基本的考え方は以下の通りである.
1.2007年に本学会で作成した「歯周病の診断と治療の指針2007」を歯周治療に関する指針の総論として位置づけ,本指針はその各論の第一段として歯周病の検査,診断および治療計画に焦点をあわせた.
2.本指針は,歯周病のなかでもプラーク性歯肉炎,慢性歯周炎および咬合性外傷をおもな対象とし,歯周治療の各段階における歯周病の検査,診断および治療計画を記載した.
3.歯周病の治療を行うにあたり,広範な検査,診断および治療計画の決定には科学的根拠に基づく総合的検討が必要であり,本指針はその基盤となる資料を供するためのものである.
4.本指針は,多くの研修医を含む歯科医師が歯周治療を行う際の客観的な指標となることを目的としている.
5.学術の進歩および医療環境の変化は急速であり,今後も種々なる角度からこの指針の内容について検討し,改訂することが必要である.
以上,日本歯周病学会独自の「歯周病の検査・診断・治療計画の指針2008」に関する基本的な考え方を述べた.本指針が国民に良質な歯周治療を行ううえでの一助となり,これを活用した適切な歯周病の検査,診断および治療計画の立案を行うことで歯周治療が円滑に行われ,国民の口腔保健の向上のみならず全身の健康の維持増進に寄与することを期待する.
平成20年11月
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
理事長 山田 了
近年,歯周病が全身の健康に影響するという研究が数多く報告されるようになってきた.これは,歯周治療により歯の喪失を防ぐということだけでなく,全身の健康管理という観点から合理的な歯周病の検査,診断に基づいた治療計画を立案し,適切な歯周治療を行わねばならないことを意味する.このことを踏まえ,わが国独自の新しい歯周病の分類や治療の指針を作成することの必要性が高まり,平成19年,日本歯周病学会では歯周治療における「検査・診断」「歯周基本治療」「歯周外科治療」「口腔機能回復治療」さらに「サポーティブペリオドンタルセラピーあるいはメインテナンス」に至るまで,歯周治療を総覧する指針として「歯周病の診断と治療の指針2007」を発刊した.
そして本年,本学会は「歯周病の検査・診断・治療計画の指針」を刊行する.「歯周病の診断と治療の指針2007」を歯周治療に関する指針の総論とするならば,本書はその各論の第一弾として,歯周病の検査,診断および治療計画に焦点をあわせ,「1.検査,診断と治療の進め方」「2.歯周基本治療」「3.歯周外科治療」「4.口腔機能回復治療」「5.サポーティブペリオドンタルセラピー・メインテナンス」というテーマごとに構成した.それぞれのパートではEBM(evidence-based medicine)に基づく最新の情報をまとめ,歯周治療の透明性をより高めるように編集している.
本指針の基本的考え方は以下の通りである.
1.2007年に本学会で作成した「歯周病の診断と治療の指針2007」を歯周治療に関する指針の総論として位置づけ,本指針はその各論の第一段として歯周病の検査,診断および治療計画に焦点をあわせた.
2.本指針は,歯周病のなかでもプラーク性歯肉炎,慢性歯周炎および咬合性外傷をおもな対象とし,歯周治療の各段階における歯周病の検査,診断および治療計画を記載した.
3.歯周病の治療を行うにあたり,広範な検査,診断および治療計画の決定には科学的根拠に基づく総合的検討が必要であり,本指針はその基盤となる資料を供するためのものである.
4.本指針は,多くの研修医を含む歯科医師が歯周治療を行う際の客観的な指標となることを目的としている.
5.学術の進歩および医療環境の変化は急速であり,今後も種々なる角度からこの指針の内容について検討し,改訂することが必要である.
以上,日本歯周病学会独自の「歯周病の検査・診断・治療計画の指針2008」に関する基本的な考え方を述べた.本指針が国民に良質な歯周治療を行ううえでの一助となり,これを活用した適切な歯周病の検査,診断および治療計画の立案を行うことで歯周治療が円滑に行われ,国民の口腔保健の向上のみならず全身の健康の維持増進に寄与することを期待する.
平成20年11月
特定非営利活動法人 日本歯周病学会
理事長 山田 了
1 検査,診断と治療の進め方
1.検査項目と意義
2.プラーク性歯肉炎・慢性歯周炎・侵襲性歯周炎・咬合性外傷の診断
3.歯周治療の進め方
2 歯周基本治療
1.基本治療の概念
2.基本治療の治療計画
3.細菌感染に対する治療の実際
4.経口抗菌療法のEBM
5.咬合性外傷に対する治療の実際
3 歯周外科治療
1.組織付着療法
2.歯周組織再生療法
3.切除療法
4.歯周形成手術
5.根分岐部病変の治療
4 口腔機能回復(修復・補綴)治療―固定・ブリッジ・義歯・インプラントの選択
1.治療法選択のために考慮すべきポイント
2.補綴治療法の選択と注意点
5 サポーティブ ペリオドンタル セラピーとメインテナンス
1.用語の定義
2.検査・診断
3.治療計画
4.サポーティブペリオドンタルセラピーのEBM
文献
索引
1.検査項目と意義
2.プラーク性歯肉炎・慢性歯周炎・侵襲性歯周炎・咬合性外傷の診断
3.歯周治療の進め方
2 歯周基本治療
1.基本治療の概念
2.基本治療の治療計画
3.細菌感染に対する治療の実際
4.経口抗菌療法のEBM
5.咬合性外傷に対する治療の実際
3 歯周外科治療
1.組織付着療法
2.歯周組織再生療法
3.切除療法
4.歯周形成手術
5.根分岐部病変の治療
4 口腔機能回復(修復・補綴)治療―固定・ブリッジ・義歯・インプラントの選択
1.治療法選択のために考慮すべきポイント
2.補綴治療法の選択と注意点
5 サポーティブ ペリオドンタル セラピーとメインテナンス
1.用語の定義
2.検査・診断
3.治療計画
4.サポーティブペリオドンタルセラピーのEBM
文献
索引