やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

歯科医学教授要綱の改訂について
 歯科医学教授要綱は昭和22年(1947年)に歯科教育審議会において歯学教授要綱として作成されたのに始まり,その後,歯科大学学長会議(現在の歯科大学学長・歯学部長会議)に引き継がれて,昭和42年(1967年),昭和48年(1973年),昭和59年(1984年)に改訂や補訂が行われてきた.平成6年(1994年)には,健康科学(Health Science)の一分野という観点から歯学教授要綱を歯科医学教授要綱と題名を変更して大幅な改訂が行われた.その後,平成8年(1996年)には歯科医学教授要綱―臨床実習編―が刊行され,次いで平成11年(1999年)にテーマ別・疾患別にまとめあげた歯科医学教授要綱が刊行された.その後,平成13年(2001年)に「医学・歯学教育の在り方に関する調査研究協力者会議」が「歯学教育モデル・コア・カリキュラム―教育内容ガイドライン―」を作成し,すべての学生が履修すべき必須の教育内容を精選し,必要最小限度の内容を提示し,およそ従来の6割程度の時間数で履修させるというモデル・コア・カリキュラムを提示した.さらに,診療参加型臨床実習における歯科医師法17条の違法性阻却事由として「臨床実習開始前の共用試験」が実施されることとなり,実質的に,歯学教育モデル・コア・カリキュラムと歯科医師国家試験出題基準による歯科医学教育がなされるようになったと言える.
 一方,歯科保健医療福祉を囲む環境は大きな変化と進歩を示しており,歯科医師の行う先端的な歯科医療行為によって国民の健康増進・疾病治療,さらにはQOLの向上が図られていることは否めない.しかし,このような先端的医療行為の裏づけとなる教育的指針は,歯科医学の必要最小限度の内容を提示している歯学教育モデル・コア・カリキュラムや,歯科医師の資格試験である歯科医師国家試験の出題基準によって示すことは不可能であることも事実である.
 歯科医師の養成に教育的責任を有する歯科大学学長・歯学部長会議としては,歯科医学生として教育されている,あるいは教育すべき内容を再度整理し,今後の歯科医師養成のための参考に資するとともに,国民に対して歯科医学教育の内容を明確化し,歯科医師の有する幅広い保健医療福祉担当者としての教育背景を明示することを目的に,今般,歯科医学教授要綱を改訂※することとした.
 2008年6月
 歯科大学学長・歯学部長会議
 ※今回の改訂では,それぞれの科目における方針や歴史的経緯などを重視し,全体を通じた言い回しや用語の統一は行っていない.歯科医学教育における用語統一については,今後の課題としたい.

歯科医学教授要綱の改訂(平成6年)について
 わが国の歯科医学教育における教授要綱は,昭和22(1947)年に歯科教育審議会において作成された教授要綱に始まる.その後,教授要綱は歯科大学学長会議に引き継がれて,同42(1967)年に大改訂が行われ,今日に至る歯科医学教育の道筋がつけられた.ついで,同48(1973)年の補訂を経て,同59(1984)年に昭和59年版が作成された.
 それから10年の節目を迎えるに当たり,平成5年6月の定時歯科大学学長会議(中原泉議長)において,教授要綱の改訂が提案され,10月の臨時学長会議(同)において改訂案を承認した.そこで,ただちに改訂委員会を発足させ,全国29校の歯科大学・歯学部の96氏に関係委員を委嘱し,慎重にかつ建設的に改訂作業をすすめた.そして7カ月の改訂期間を経て平成6(1994)年4月,時代に対応した新しい歯科医学教授要綱が上梓される運びとなった.
 本教授要綱は,改訂要項に記すとおり,現時点における歯科医学教育に必要な最小限度の内容と範囲を体系的に明示し,教育上の規準を定めたものである.その意味から,この平成6年版は,21世紀にむかっての新しい歯科医学教育の指針となるであろう.
 各大学の教官教員各位におかれては,開講に際し本教授要綱を参考とされ,歯科医学教育の更なる充実を図られることを期待してやまない.
 なお,歯科大学学長会議では,今後,学問の進展に即応するため,本教授要綱に関する常置委員会を設置することが議されている.
 終わりに,今回の改訂にご尽力いただいた関係各位に対し,深甚なる敬意と感謝を捧げる.
 平成6(1994)年4月
 歯科大学学長会議

歯学教授要綱改訂(昭和59年)の序
 わが国における歯学教育は,おおむね“歯学教授要綱”に沿ってすすめられてきた.この歯学教授要綱は,歯学教育に必要な最小限度の内容と範囲を示すことを目的として,昭和22年歯科教育審議会教授法協議会によって作成された.その後,歯科大学学長会議がこれを引きついで同42年の改訂を経て,48年に補訂を行ったが,当初の趣旨は一貫して継承され,戦後の歯学教育の普遍的な基準となってきた.しかしながら,近年,歯科医学の進歩発展に伴って斯界関係者の問から,時代に対応した教授要綱を求める声が強まってきた.
 そこで本学長会議は,昭和56年11月会議(渡辺冨士夫議長)においてその必要性を認め,全面的な改訂を決議し,翌57年11月会議(加藤倉三議長)で,歯学教授要綱改訂委員会を設置した.同委員会は,日本歯科医学会の各専門分科会等の協力を得て改訂に着手,58年11月会議(中原泉議長)では,全国29校の歯科大学・歯学部の163氏に関係委員を委嘱した.
 かくして,改訂作業は長田保委員長を中心に鋭意,建設的かつ慎重にすすめられ,59年11月会議(竹田義朗議長)に,別掲の報告書を添えた改訂案が提出された.本学長会議はただちにこれを承認し,前回の補訂から10余年ぶりに,新しい教授要綱が上梓される運びとなった.
 このたびの教授要綱は,専門教育18科目について,従来の目的・方法・教授項目に,各科目の歯学教育における位置づけの項を加えるなど,その内容を一新し,今後の歯学教育実践の確たる基準を示している.本来,教授要綱とはあくまでその学問のスタンダードな要目であって,それはいわば,人体における骨格にあたる.これに各大学が,フレキシブルに肉付けして血を通わせることになる.すなわち,この共通の骨組みによって教育レベルの下限が一律に保たれ,さらに上限にむけて血肉づくりがなされて,歯学士という歯科医師たりうる生命体を生みだすのである.そうした意味から,この新教授要綱は,まさしく昭和60年代における歯学教育の指針となるであろう.
 各大学の教官教員各位におかれては,以上の趣意をご賢察のうえ,本教授要綱を十分に活用され,歯学教育のますますの充実を図られるよう期待してやまない.
 終わりに,今回の改訂にご尽力いただいた関係各位に対し,深甚の敬意と感謝を捧げる.
 昭和59(1984)年12月
 歯科大学学長会議

歯学教授要綱の補訂(昭和48年)について
 歯学教授要綱改訂委員会がその任務の拡張のために歯学教育問題調査会と改称されたのは,昭和44年度第二回歯科大学学長会議(11月21日,当番校・岩手医大歯学部,議長・沢木新部長)の時のことで,それ以後の翌45年5月末までの経過については,昭和45年度第一回歯科大学学長会議(当番校・日本大学歯学部,議長・新国俊彦部長)に,委員長松宮誠一から報告書が提出されている.
 この補訂は,昭和45年1月に上記委員会の中に設置された第一部会の担当任務,すなわち歯学における一般医学,理学ならびに工学関係学科目の教授要綱の補足に関して,各分科会で審議決定された内容を取りまとめたものである.
 大部分の委員会は,かなり迅速にこの任務を進められたが,ごく一部の委員会では残念ながらこれが渋滞し,完成までにかなり長期間が経過した.
 また,この間各分科会の委員間にも相当の異動があり,それらの委員名簿については,(I)昭和43年1月歯学教授要綱改訂完了時の分,および(II)本補訂完了時の分として区別されてあるので,御諒承いただきたい.
 今回新たに補訂された教授要綱の内容も,現下の歯学教育において必要な最小限度のものとして定められたことは,前回の歯学プロパーの各学科目の場合と全く同様である.
 終わりに,この補訂について,多大の御協力をいただいた各分科会の委員長,幹事ならびに委員各位に深い敬意と謝意とを表し,また,本書の刊行に当初から絶大な援助を寄せられた医歯薬出版株式会社今田見信会長ならびに今田喬士社長に衷心より感謝申し上げるしだいである.
 昭和48(1973)年8月
 歯科大学学長会議

歯学教授要綱の改訂(昭和42年)について
 昭和22年7月,わが国にはじめて「歯科教授要綱」が設定された.これは当時連合国軍総司令部の指示によって設置された歯科教育審議会の一部会,教授法協議会によって作成されたものである.
 しかし,その後歯学学術のめざましい進歩や新しい学科目の増設により,この「要綱」は,年とともにしだいに改訂の必要性を加えてきたが,上記の教授法協議会は,その目的の終了とともに解散されたために,この事業を継続することができなかった.
 最近,歯科大学が全国の各地に新設されたが,これらの大学は歯学教育の実施にあたり,現下の実情に即応した教授要綱の設定をふかく要望されたので,歯科大学学長会議は,昭和40年12月10日に開催された本会議において,この改訂に着手することを決議し,歯学教授要綱改訂委員会を設けてその審議を委嘱した.
 歯学教授要綱改訂委員会は,本会議に加盟する全歯科大学における多くの教授各位の熱心な協力のもとに,約2年間にわたって慎重に審議を続け,新教授要綱案を作成して,昭和42年12月8日これを本会議に提出した.ここで本会議はこれを検討のうえ,全面的に承認するとともに,全国の歯科大学がこの新しい歯学教授要綱に基づいて教育を実施されるよう,広く要望することを議決したしだいである.
 もちろん,この新教授要綱は,教育に必要な最小限度の内容と範囲とを示したもので,これら以外の教授については,当然各大学がそれぞれの特徴を生かす立場から随意に実施されるべきものである.
 本会議は,歯学教授要綱改訂委員会の全委員各位にその努力を感謝するとともに,全国の歯科大学がこの設定の趣旨をよく諒解され,十分に協力されるよう,深く切望するしだいである.
 昭和42(1967)年12月
 歯科大学学長会議
 歯科医学教授要綱の改訂(平成19年)について
 歯科医学教授要綱の改訂(平成6年)について
 歯学教授要綱改訂(昭和59年)の序
 歯学教授要綱の補訂(昭和48年)について
 歯学教授要綱の改訂(昭和42年)について
1.基礎系歯科医学領域
 解剖学分野・生理学分野
 微生物学分野
 病理学分野
 薬理学分野
 生化学分野
 歯科理工学分野
2.臨床系歯科医学領域
 歯科放射線学分野
 歯科麻酔学分野
 口腔外科学分野
 保存修復学分野
 歯内療法学分野
 歯周病学分野
 歯科補綴学分野
 歯科矯正学分野
 小児歯科学分野
3.社会系歯科医学領域
 社会歯科・口腔衛生学分野
 歯科法医学分野
 障害者歯科学分野
 スポーツ歯学分野
 高齢者歯科学分野
 歯科医療統計学分野
4.総合医学系領域
 内科系分野
 外科系分野
 耳鼻咽喉科分野

 専門家委員会世話人・委員