はじめに
総義歯の製作では「名医になったり,藪になったり」で,あまりにも幅がありすぎる.全力投球でつくったものを「駄目です」と言われ,応急だからと簡単につくったものを「何でも快適に食べられます」と言われたりする.このような経験は誰にでもあるだろう.
どうもこうなると「当たった」「当たらなかった」みたいな話になってしまい,歯科医師としては身の置きどころがないという気持ちになってしまう.私は,このように「笑うに笑えない話」のなかに,総義歯づくりの真実がひそんでいるように思うのである.
顎位についても印象方法についても,いまだに諸説紛々であるが,一人ひとり型を採り,噛み合わせもその人に合わせることが原則である.また,器材の開発はまさに日進月歩であり,便利になってきている.こんな状況にもかかわらず,いちばん肝心な「痛くなくよく噛める義歯」のつくり方が遅れている.
うまく調整してもらえないために,あきらめている人が大勢いて嘆いている.患者さんはもう一息,よく噛める義歯がほしいのに,それを叶えてもらえずにいるのが現状で,なかばあきらめた様子でもある.
しかしそのなかには,しっかり噛める義歯をつくってもらえる条件が揃っている人もいるのに,噛めない義歯のまま我慢させられている場合があり,問題を残している.「(義歯だから)こんなものですよ」と簡単に終わりにされていたのではお気の毒だ.こんなことにならないようにするために,この本を役立てていただけることを願うばかりだ.
この本には,ほかの本には書かれていないことがたくさん書かれてあり,その内容は古くてすでに葬り去られているものもある.読まれた方は,「ずいぶん古いことをいまだに使っているものだ」と思われるに違いない.しかし,とんでもない錯覚を起こしているわけではなく,再び生かして使っているのであり,昔の技術に新しい存在意義をもたせて復活させているのだ.
昔のやり方がすべて応用価値のないやり方と決めつけないで,いまの意味づけで生き返らせて使っていることを理解してほしい.古くても新しい技術になることがある.ほかに変わる方法がないから,いま求められているもっとも新しい方法に変身させているのである.
そのなかに新しい発明・発見もあるのだから,柔らかい頭で理解していただくことを願っている.
2002年1月
丸森賢二
監修者として
何事も深く考え,一所懸命な人であった.私も歯科医師として30年間ともに診療に携わってきたが,あれこれと教わった記憶はない.すべてともに過ごすことで伝える人であった.診療室でも研究会活動でも同じスタンスをとっていたように思う.
発足が昭和14(1939)年に遡る横浜歯科臨床座談会は,父・丸森賢二の活動の拠点であった.雑誌『補綴臨床』の初代編集委員も務め,元来補綴に対する思いは深かったが,活動の中心は次第にむし歯予防やブラッシング,そして健康教育に移り,多くの出版や講演会が行われるようになった.しかし総義歯に対する思いはいつも持ち続けていたようである.横浜歯科臨床座談会では,加藤武彦氏がリーダーとなる「総義歯研究会」が1966年より行われており,丸森賢二が毎月総義歯の症例を持ち寄っては討論をしていた姿がいまでも記憶にある.今回の書籍に展開された基本的なアイデアは,早い時期にすでに頭にあったようである.
実践して考える.まずやってみることを大事にしていた.予防もしかり.まずは,むし歯のない子どもを育てよう,そんなよびかけで始まった予防中心の研究会は1970年代より盛んだった.よく尋ねられていた.「予防に熱心な先生がどうして総義歯なんですか」と.笑ってあまり真剣には答えていなかったようであるが,噛めないで困っている人がいれば何とかしなければ,という至極当然な臨床医としての思いがあるのである.
晩年,今回の編集協力者である舩坂俊夫,生田龍平両氏との出会いでまとめることに弾みがついた.思えば人との出会いには恵まれていた.舩坂俊夫氏は歯科大学卒業後,丸森歯科医院に勤務した,歯科技工にも長けた歯科医師である.生田龍平氏は多方面の歯科技工の経験を経たあげく,コアデンタルラボ横浜に義歯専門で勤務を始めた歯科技工士であった.
当時,横浜歯科臨床座談会の分科会活動が始まり,両氏とともに丸森賢二は,「義歯の謎を解く会」,「歯科技工士の患者体験を製作物に生かす会」を主宰し,精力的に活動を再開した.その過程で共同編集者の2人とアイデアを発展させ,具体化し,今回のまとめにつながったのである.討論を通じて横浜歯科臨床座談会の多くの会員のご支援もあった.分科会の活動には,コアデンタルラボ横浜社長(当時)であった斉藤隆司氏の協力をいただいたこともつけ加えておきたい.この書籍に添付したビデオは,研究会での発表のために撮影されたものである.出版を意図して製作されたものではないので,素人の撮影技術にはご容赦いただきたい.
丸森賢二は,原稿を8割ほど書き終えた時点で80歳の生涯を閉じた.残された者としては,何としても志を受け継ぎ,後世に残すべきであるとの思いから,丸森賢二の義歯に関するアイデアを中心にまとめた次第である.
もとより総義歯のすべてを語るものではない.臨床での試行錯誤,問題発見・問題解決を大事にした臨床家の思いを受け止めていただければ幸いである.
まだ丸森賢二が存命中に,原稿に目をとおしていただき,貴重なご意見をくださった石井直美氏には,深く感謝を申し上げたい.
多くの方々の思いで形になった書籍である.
2004年10月
丸森英史
編集協力者として
私たちは,丸森賢二先生の最後の弟子にあたります.先生は,「噛める義歯づくり」に長年こだわり,「なぜ噛めない義歯があるのか」,その謎解きに情熱を注いでこられました.「原因がどこにあるのか,問題さえ発見できれば必ず解決する.発見する力を身につけることができればいいんだよ.それには何事においても疑問をもつことだよ」という言葉は,いまでも私たちのなかに残っています.
丸森賢二先生は,とにかく妥協のない先生でした.そして,直接指導するということはほとんどなく,思い立ったことはまず自ら実践し,考え,そして工夫する,その姿から何かを伝える,そんな先生でした.
主宰された「義歯の謎を解く会」と「歯科技工士の患者体験を製作物に生かす会」は,ともに9年続いた勉強会です.同じようにつくった義歯が,なぜ噛めたり噛めなかったりするのか,落ちたり浮いたりする義歯は,どのような動きをしているのか,安定した義歯をつくるにはどうしたらよいのか,ともに試行錯誤させていただきました.付録のCD-ROMは,勉強のために撮影した動画です.撮影環境などを整えきれずに,見苦しいところもあるかと思いますが,咀嚼圧が維持力として働く義歯,落ちない浮かない義歯が一目瞭然かと思います.この動画をお見せしながら行った勉強会や講演会は,驚くほどの反響があり,丸森賢二先生も書籍化の必要性を感じられたようです.
8割ほど完成されたお原稿を残して,先生は急逝されましたが,是非とも書籍化し,そのアイデアを残したいとの思いから,まとめのお手伝いをさせていただきました.力不足により,意を尽くせなかった点も多いかと思います.巻末におもな文献を載せましたので,そちらをご一読いただければ幸いです.いまは亡き先生から学んだ臨床姿勢は,仕事にとどまらず,生きていくうえでも私たちの大きな力になっています.本書を通じて紹介した方法以外でも噛める義歯はできることと思います.けれども,患者さんは一人ひとり違うので,個々の患者さんの問題を発見し,解決する糸口をみつけるために,本書が少しでも役に立てば,と願っています.
2004年10月
舩坂俊夫・生田龍平
総義歯の製作では「名医になったり,藪になったり」で,あまりにも幅がありすぎる.全力投球でつくったものを「駄目です」と言われ,応急だからと簡単につくったものを「何でも快適に食べられます」と言われたりする.このような経験は誰にでもあるだろう.
どうもこうなると「当たった」「当たらなかった」みたいな話になってしまい,歯科医師としては身の置きどころがないという気持ちになってしまう.私は,このように「笑うに笑えない話」のなかに,総義歯づくりの真実がひそんでいるように思うのである.
顎位についても印象方法についても,いまだに諸説紛々であるが,一人ひとり型を採り,噛み合わせもその人に合わせることが原則である.また,器材の開発はまさに日進月歩であり,便利になってきている.こんな状況にもかかわらず,いちばん肝心な「痛くなくよく噛める義歯」のつくり方が遅れている.
うまく調整してもらえないために,あきらめている人が大勢いて嘆いている.患者さんはもう一息,よく噛める義歯がほしいのに,それを叶えてもらえずにいるのが現状で,なかばあきらめた様子でもある.
しかしそのなかには,しっかり噛める義歯をつくってもらえる条件が揃っている人もいるのに,噛めない義歯のまま我慢させられている場合があり,問題を残している.「(義歯だから)こんなものですよ」と簡単に終わりにされていたのではお気の毒だ.こんなことにならないようにするために,この本を役立てていただけることを願うばかりだ.
この本には,ほかの本には書かれていないことがたくさん書かれてあり,その内容は古くてすでに葬り去られているものもある.読まれた方は,「ずいぶん古いことをいまだに使っているものだ」と思われるに違いない.しかし,とんでもない錯覚を起こしているわけではなく,再び生かして使っているのであり,昔の技術に新しい存在意義をもたせて復活させているのだ.
昔のやり方がすべて応用価値のないやり方と決めつけないで,いまの意味づけで生き返らせて使っていることを理解してほしい.古くても新しい技術になることがある.ほかに変わる方法がないから,いま求められているもっとも新しい方法に変身させているのである.
そのなかに新しい発明・発見もあるのだから,柔らかい頭で理解していただくことを願っている.
2002年1月
丸森賢二
監修者として
何事も深く考え,一所懸命な人であった.私も歯科医師として30年間ともに診療に携わってきたが,あれこれと教わった記憶はない.すべてともに過ごすことで伝える人であった.診療室でも研究会活動でも同じスタンスをとっていたように思う.
発足が昭和14(1939)年に遡る横浜歯科臨床座談会は,父・丸森賢二の活動の拠点であった.雑誌『補綴臨床』の初代編集委員も務め,元来補綴に対する思いは深かったが,活動の中心は次第にむし歯予防やブラッシング,そして健康教育に移り,多くの出版や講演会が行われるようになった.しかし総義歯に対する思いはいつも持ち続けていたようである.横浜歯科臨床座談会では,加藤武彦氏がリーダーとなる「総義歯研究会」が1966年より行われており,丸森賢二が毎月総義歯の症例を持ち寄っては討論をしていた姿がいまでも記憶にある.今回の書籍に展開された基本的なアイデアは,早い時期にすでに頭にあったようである.
実践して考える.まずやってみることを大事にしていた.予防もしかり.まずは,むし歯のない子どもを育てよう,そんなよびかけで始まった予防中心の研究会は1970年代より盛んだった.よく尋ねられていた.「予防に熱心な先生がどうして総義歯なんですか」と.笑ってあまり真剣には答えていなかったようであるが,噛めないで困っている人がいれば何とかしなければ,という至極当然な臨床医としての思いがあるのである.
晩年,今回の編集協力者である舩坂俊夫,生田龍平両氏との出会いでまとめることに弾みがついた.思えば人との出会いには恵まれていた.舩坂俊夫氏は歯科大学卒業後,丸森歯科医院に勤務した,歯科技工にも長けた歯科医師である.生田龍平氏は多方面の歯科技工の経験を経たあげく,コアデンタルラボ横浜に義歯専門で勤務を始めた歯科技工士であった.
当時,横浜歯科臨床座談会の分科会活動が始まり,両氏とともに丸森賢二は,「義歯の謎を解く会」,「歯科技工士の患者体験を製作物に生かす会」を主宰し,精力的に活動を再開した.その過程で共同編集者の2人とアイデアを発展させ,具体化し,今回のまとめにつながったのである.討論を通じて横浜歯科臨床座談会の多くの会員のご支援もあった.分科会の活動には,コアデンタルラボ横浜社長(当時)であった斉藤隆司氏の協力をいただいたこともつけ加えておきたい.この書籍に添付したビデオは,研究会での発表のために撮影されたものである.出版を意図して製作されたものではないので,素人の撮影技術にはご容赦いただきたい.
丸森賢二は,原稿を8割ほど書き終えた時点で80歳の生涯を閉じた.残された者としては,何としても志を受け継ぎ,後世に残すべきであるとの思いから,丸森賢二の義歯に関するアイデアを中心にまとめた次第である.
もとより総義歯のすべてを語るものではない.臨床での試行錯誤,問題発見・問題解決を大事にした臨床家の思いを受け止めていただければ幸いである.
まだ丸森賢二が存命中に,原稿に目をとおしていただき,貴重なご意見をくださった石井直美氏には,深く感謝を申し上げたい.
多くの方々の思いで形になった書籍である.
2004年10月
丸森英史
編集協力者として
私たちは,丸森賢二先生の最後の弟子にあたります.先生は,「噛める義歯づくり」に長年こだわり,「なぜ噛めない義歯があるのか」,その謎解きに情熱を注いでこられました.「原因がどこにあるのか,問題さえ発見できれば必ず解決する.発見する力を身につけることができればいいんだよ.それには何事においても疑問をもつことだよ」という言葉は,いまでも私たちのなかに残っています.
丸森賢二先生は,とにかく妥協のない先生でした.そして,直接指導するということはほとんどなく,思い立ったことはまず自ら実践し,考え,そして工夫する,その姿から何かを伝える,そんな先生でした.
主宰された「義歯の謎を解く会」と「歯科技工士の患者体験を製作物に生かす会」は,ともに9年続いた勉強会です.同じようにつくった義歯が,なぜ噛めたり噛めなかったりするのか,落ちたり浮いたりする義歯は,どのような動きをしているのか,安定した義歯をつくるにはどうしたらよいのか,ともに試行錯誤させていただきました.付録のCD-ROMは,勉強のために撮影した動画です.撮影環境などを整えきれずに,見苦しいところもあるかと思いますが,咀嚼圧が維持力として働く義歯,落ちない浮かない義歯が一目瞭然かと思います.この動画をお見せしながら行った勉強会や講演会は,驚くほどの反響があり,丸森賢二先生も書籍化の必要性を感じられたようです.
8割ほど完成されたお原稿を残して,先生は急逝されましたが,是非とも書籍化し,そのアイデアを残したいとの思いから,まとめのお手伝いをさせていただきました.力不足により,意を尽くせなかった点も多いかと思います.巻末におもな文献を載せましたので,そちらをご一読いただければ幸いです.いまは亡き先生から学んだ臨床姿勢は,仕事にとどまらず,生きていくうえでも私たちの大きな力になっています.本書を通じて紹介した方法以外でも噛める義歯はできることと思います.けれども,患者さんは一人ひとり違うので,個々の患者さんの問題を発見し,解決する糸口をみつけるために,本書が少しでも役に立てば,と願っています.
2004年10月
舩坂俊夫・生田龍平
落ちない 浮かない総義歯の臨床 CONTENTS
はじめに
監修者として(丸森英史)
編集協力者として(舩坂俊夫・生田龍平)
1編 義歯転覆の謎を解く──なぜ噛めない義歯があるのか
1.噛めない義歯
●噛んだ途端に義歯が転覆する症例
●力を入れて噛むと義歯が転覆する症例
2.義歯が転覆するとどんなことが起こるか
●潰瘍ができた症例
●義歯が割れた症例
3.義歯を4態に分類する
4.「ウマ・ヘタ」の義歯
●他医院でセットして4カ月後に義歯の転覆が始まった症例
MEMO:“床を太らせる”
5.「義歯の維持法」
6.ゴム噛み転覆調べ
●ゴム噛み転覆調べで問題発見・問題解決
●ゴム噛み転覆調べで排列位置がわかる
●なぜ「ゴム」片なのか?
●ゴム噛み試験器のつくり方
7.咀嚼圧が維持力として働く義歯
●噛んだ力が維持力につながる義歯の例
●噛めば噛むほど上顎義歯が吸いつく例
●咀嚼圧が維持力になったとき,義歯が本来の性能を発揮する
●義歯の性能がわかるゴム噛み転覆調べ
8.意図的に排列を変化させる
●排列によって転覆の度合いが変化する──下顎全部床義歯の例
●排列によって転覆の度合いが変化する──上下全部床義歯の例
2編 咀嚼圧が維持力として働く義歯の製作
チャート:印象から完成まで
1章 印象採得から咬合床の完成まで
I.落ちない,浮かない咬合床をつくるための印象法
1.2度に分ける印象採得
2.義歯の維持力について──特に主維持法を理解する
1)接着良好な状態を求める意味
2)吸着力だけでは落ちたり浮いたりするわけ
II.上顎印象:落ちない咬合床を目指す
1.上顎印象の実際
●器材準備のアドバイス
2.アルジネート軟練り・無圧印象の目標
●印象手技のアドバイス
III.下顎印象:浮かない咬合床を目指す
1.石膏流し込み印象を推奨する
2.下顎印象の実際
●手技のポイント
3.どんなときに流し込み印象を失敗と判断するのか
1)失敗の要因が患者さん側にある場合
2)失敗の要因が術者側にある場合
4.下顎押し広げ印象と石膏流し込み印象を比較する──なぜ咬合床が浮いてくるのかを解く
IV.石膏模型・咬合床のつくり方
1.石膏模型のつくり方
1)上顎石膏模型
2)下顎石膏模型
2.上下顎咬合床のつくり方
●レジンを取り出す要領
2章 咬合採得
I.蝋堤による咬合採得
[COLUMN] 落ちてくる上顎咬合床の救済/浮いてくる下顎咬合床の救済
1.咬合平面の決め方
2.垂直的水平的顎位の決定
II.4つ球咬合採得──4つ球による顎位の確認
[COLUMN] なぜ球なのか?
1.4つ球の植立位置を決める
2.4つ球植え
3.4つ球咬合採得の実際
4.4つ球咬合採得のねらい
3章 人工歯排列
I.前歯の排列
1.自然な排列を目指す
2.歯頸線から上をみせないようにする
II.臼歯の排列
1.噛んだときに転覆しない排列にする
2.歯槽頂上に噛んだ力が加わるようにする
1)4つ球指押し調べ
[COLUMN] はじめは上顎に球を植えていた
2)4つ球ゴム噛み調べ
3)人工歯の排列角度
4)骨吸収の状態に合わせた人工歯の排列角度
5)転覆した場合の修正例
3.臼歯排列の実際
1)4つ球調べの結果
2)上顎臼歯の排列
3)下顎臼歯の排列
4)ゴム噛み転覆調べ
4章 咬合圧印象(吸着を求める印象)
I.辺縁形成
1.上顎辺縁形成
1)辺縁封鎖をする
2)ポストダムは行わない
2.下顎辺縁形成
1)顎舌骨筋線部分の床縁を追加完成させる
2)シリコーンパテ追加の要領
POINT 下顎舌側辺縁形態をつくる要領
II.粘膜面の咬合圧印象──2回目の印象
5章 義歯完成
I.重合
II.削合調整
1.中心咬合
2.側方運動
3.前方運動
4.前側方運動
5.後方運動,後側方運動
III.研磨
IV.完成義歯セット時の調整
1.調整の必要性
2.完成義歯調整の実際
1)上顎義歯を装着する
2)下顎義歯を装着する
3)上下顎で調べる
4)適合調べ
5)上下顎で調べるゴム噛み転覆調べ
6)辺縁形態の当たり
7)可動粘膜(特に小帯)の当たりをチェックする
[COLUMN] 噛んだときとストロー調べのフィットチェッカーの比較
6章 臨床応用
I.印象の応用──フラビーガムへの対応
1.フラビーガムでも落ちない咬合床がつくれる
POINT フラビーガム部分に直接,即時重合レジンを筆積みするコツ
POINT レジン筆積み後,仮床試適の際の要領
2.フラビーガムによって完成義歯が安定しない場合の救済
II.4つ球咬合採得を応用した咬合挙上
1.咬合を高くする
III.排列の応用
1.局部床義歯についての考え
1)局部床義歯でも転覆しない排列が重要
2)修整の根拠も明らかになるゴム噛み転覆調べ
3)局部床義歯への悪口
4)クラスプなしでも噛める義歯がつくれた症例
5)転覆しない義歯のクラスプは役目が変わる
6)茶筒型クラスプの臨床例
2.スキーゾーン
[COLUMN] スキーゾーン
1)スキーゾーンの排列は対合も重要な要素である
IV.臨床例
1.対合歯にもモンソンカーブを与えて転覆を防ぐ
2.咬耗によるアンチモンソンカーブが義歯を安定させている例
この本に寄せて(榊原悠紀田郎)
著者・監修者・編集協力者の義歯に関する年代別主要文献一覧
索引
付録CD-ROM収載の症例
はじめに
監修者として(丸森英史)
編集協力者として(舩坂俊夫・生田龍平)
1編 義歯転覆の謎を解く──なぜ噛めない義歯があるのか
1.噛めない義歯
●噛んだ途端に義歯が転覆する症例
●力を入れて噛むと義歯が転覆する症例
2.義歯が転覆するとどんなことが起こるか
●潰瘍ができた症例
●義歯が割れた症例
3.義歯を4態に分類する
4.「ウマ・ヘタ」の義歯
●他医院でセットして4カ月後に義歯の転覆が始まった症例
MEMO:“床を太らせる”
5.「義歯の維持法」
6.ゴム噛み転覆調べ
●ゴム噛み転覆調べで問題発見・問題解決
●ゴム噛み転覆調べで排列位置がわかる
●なぜ「ゴム」片なのか?
●ゴム噛み試験器のつくり方
7.咀嚼圧が維持力として働く義歯
●噛んだ力が維持力につながる義歯の例
●噛めば噛むほど上顎義歯が吸いつく例
●咀嚼圧が維持力になったとき,義歯が本来の性能を発揮する
●義歯の性能がわかるゴム噛み転覆調べ
8.意図的に排列を変化させる
●排列によって転覆の度合いが変化する──下顎全部床義歯の例
●排列によって転覆の度合いが変化する──上下全部床義歯の例
2編 咀嚼圧が維持力として働く義歯の製作
チャート:印象から完成まで
1章 印象採得から咬合床の完成まで
I.落ちない,浮かない咬合床をつくるための印象法
1.2度に分ける印象採得
2.義歯の維持力について──特に主維持法を理解する
1)接着良好な状態を求める意味
2)吸着力だけでは落ちたり浮いたりするわけ
II.上顎印象:落ちない咬合床を目指す
1.上顎印象の実際
●器材準備のアドバイス
2.アルジネート軟練り・無圧印象の目標
●印象手技のアドバイス
III.下顎印象:浮かない咬合床を目指す
1.石膏流し込み印象を推奨する
2.下顎印象の実際
●手技のポイント
3.どんなときに流し込み印象を失敗と判断するのか
1)失敗の要因が患者さん側にある場合
2)失敗の要因が術者側にある場合
4.下顎押し広げ印象と石膏流し込み印象を比較する──なぜ咬合床が浮いてくるのかを解く
IV.石膏模型・咬合床のつくり方
1.石膏模型のつくり方
1)上顎石膏模型
2)下顎石膏模型
2.上下顎咬合床のつくり方
●レジンを取り出す要領
2章 咬合採得
I.蝋堤による咬合採得
[COLUMN] 落ちてくる上顎咬合床の救済/浮いてくる下顎咬合床の救済
1.咬合平面の決め方
2.垂直的水平的顎位の決定
II.4つ球咬合採得──4つ球による顎位の確認
[COLUMN] なぜ球なのか?
1.4つ球の植立位置を決める
2.4つ球植え
3.4つ球咬合採得の実際
4.4つ球咬合採得のねらい
3章 人工歯排列
I.前歯の排列
1.自然な排列を目指す
2.歯頸線から上をみせないようにする
II.臼歯の排列
1.噛んだときに転覆しない排列にする
2.歯槽頂上に噛んだ力が加わるようにする
1)4つ球指押し調べ
[COLUMN] はじめは上顎に球を植えていた
2)4つ球ゴム噛み調べ
3)人工歯の排列角度
4)骨吸収の状態に合わせた人工歯の排列角度
5)転覆した場合の修正例
3.臼歯排列の実際
1)4つ球調べの結果
2)上顎臼歯の排列
3)下顎臼歯の排列
4)ゴム噛み転覆調べ
4章 咬合圧印象(吸着を求める印象)
I.辺縁形成
1.上顎辺縁形成
1)辺縁封鎖をする
2)ポストダムは行わない
2.下顎辺縁形成
1)顎舌骨筋線部分の床縁を追加完成させる
2)シリコーンパテ追加の要領
POINT 下顎舌側辺縁形態をつくる要領
II.粘膜面の咬合圧印象──2回目の印象
5章 義歯完成
I.重合
II.削合調整
1.中心咬合
2.側方運動
3.前方運動
4.前側方運動
5.後方運動,後側方運動
III.研磨
IV.完成義歯セット時の調整
1.調整の必要性
2.完成義歯調整の実際
1)上顎義歯を装着する
2)下顎義歯を装着する
3)上下顎で調べる
4)適合調べ
5)上下顎で調べるゴム噛み転覆調べ
6)辺縁形態の当たり
7)可動粘膜(特に小帯)の当たりをチェックする
[COLUMN] 噛んだときとストロー調べのフィットチェッカーの比較
6章 臨床応用
I.印象の応用──フラビーガムへの対応
1.フラビーガムでも落ちない咬合床がつくれる
POINT フラビーガム部分に直接,即時重合レジンを筆積みするコツ
POINT レジン筆積み後,仮床試適の際の要領
2.フラビーガムによって完成義歯が安定しない場合の救済
II.4つ球咬合採得を応用した咬合挙上
1.咬合を高くする
III.排列の応用
1.局部床義歯についての考え
1)局部床義歯でも転覆しない排列が重要
2)修整の根拠も明らかになるゴム噛み転覆調べ
3)局部床義歯への悪口
4)クラスプなしでも噛める義歯がつくれた症例
5)転覆しない義歯のクラスプは役目が変わる
6)茶筒型クラスプの臨床例
2.スキーゾーン
[COLUMN] スキーゾーン
1)スキーゾーンの排列は対合も重要な要素である
IV.臨床例
1.対合歯にもモンソンカーブを与えて転覆を防ぐ
2.咬耗によるアンチモンソンカーブが義歯を安定させている例
この本に寄せて(榊原悠紀田郎)
著者・監修者・編集協力者の義歯に関する年代別主要文献一覧
索引
付録CD-ROM収載の症例











