序文
今般,「POSによる歯科診療録の書き方」と題した,米国のL.Weed博士が開発した診療録の新記録法を歯科診療に適用するノウハウを開示したテキストが医歯薬出版株式会社から出版されることとなった.
私はWeedの Problem Oriented Medical Record(POMR)を日本に初めて導入し,そのテキストをPOS(Problem Oriented System)と略称して,これを医学書院より1973年に「医療と医学教育の革新のための新しいシステム」と副題して出版し,それから32年も経過した.
日本の医学界でのこの普及には年数を要したが,看護界には早く取り入れられた.しかし,日本医師会が近年の医療内容の一般への開示が社会的に要請されるようになったことから,病院内だけでなく,開業医にもPOSによる診療録作成を医師会として推薦することになって,日本全体への普及が促進したのである.歯科学は広い意味での医学の重要な一部であるのに,歯科医がこのシステムで記録するのに有用なテキストの出版は遅れたのである.しかし,今般歯科医によって作成されるPOS方式の診療録は,歯科学の進歩に大いに役立ち,また記録の開示にも,その書式の論理的なために有用なものになるのだと思う.
今般,私の監修の下に9名の歯科専門医が編集に協力され,22名の医学,歯学の専門医により,歯科学の各種疾患や診療上の対患者への対応法がPOSにより詳しく記載されたテキストが出版されるに到った次第である.
今や,電子記録の時代であるが,このPOSはこれを電子化して記載することには非常に便利であり,近い将来,病院でも診療所でも電子化により高能率の診療が可能となり,カルテ開示も非常に都合のよいものとなると思う.
このテキストが日本の歯科医の間に広く普及することを期待する次第である.編集協力者,執筆者の諸先生のご協力に対し,この紙上で感謝の意を示したいと思う.
聖路加国際病院名誉院長 日野原重明
今般,「POSによる歯科診療録の書き方」と題した,米国のL.Weed博士が開発した診療録の新記録法を歯科診療に適用するノウハウを開示したテキストが医歯薬出版株式会社から出版されることとなった.
私はWeedの Problem Oriented Medical Record(POMR)を日本に初めて導入し,そのテキストをPOS(Problem Oriented System)と略称して,これを医学書院より1973年に「医療と医学教育の革新のための新しいシステム」と副題して出版し,それから32年も経過した.
日本の医学界でのこの普及には年数を要したが,看護界には早く取り入れられた.しかし,日本医師会が近年の医療内容の一般への開示が社会的に要請されるようになったことから,病院内だけでなく,開業医にもPOSによる診療録作成を医師会として推薦することになって,日本全体への普及が促進したのである.歯科学は広い意味での医学の重要な一部であるのに,歯科医がこのシステムで記録するのに有用なテキストの出版は遅れたのである.しかし,今般歯科医によって作成されるPOS方式の診療録は,歯科学の進歩に大いに役立ち,また記録の開示にも,その書式の論理的なために有用なものになるのだと思う.
今般,私の監修の下に9名の歯科専門医が編集に協力され,22名の医学,歯学の専門医により,歯科学の各種疾患や診療上の対患者への対応法がPOSにより詳しく記載されたテキストが出版されるに到った次第である.
今や,電子記録の時代であるが,このPOSはこれを電子化して記載することには非常に便利であり,近い将来,病院でも診療所でも電子化により高能率の診療が可能となり,カルテ開示も非常に都合のよいものとなると思う.
このテキストが日本の歯科医の間に広く普及することを期待する次第である.編集協力者,執筆者の諸先生のご協力に対し,この紙上で感謝の意を示したいと思う.
聖路加国際病院名誉院長 日野原重明
序論 診療録とは何か(日野原重明)
第I部 POSの基本
I よりよい診療と相互理解(EBMと診療録)
1.医療面接とインフォームドコンセント(梅村長生)
2.教育改革の流れと大学における診療録書き方指導(石井拓男)
II POSとPOMRとは何か(橋本賢二)
1.POSとPOMR
2.POSの構成
III 診療録の開示とは
1.診療情報の提供の必要性とその考え方(兵頭英昭)
2.医事紛争と診療録 増田聖子
3.カルテ開示にまつわる法律(小室歳信)
第II部 歯科におけるPOSの導入
I 問診票からみた問題点のリストアップ
1.診療に影響を及ぼす問題点(全身)(長尾毅彦)
II 基礎データの記録(川合道夫 小川冬樹 沼部幸博)
1.病歴の書き方
III 問題リストに沿った経過記録の書き方(橋本賢二 小川冬樹)
第III部 実例で学ぶPOS(POMR)記載例ほか(小川冬樹 小木信美 川合道夫 高橋雄三 河合俊彦)
I POS記載例
歯牙欠損(クラウンブリッジ)〔高齢者治療 認知症〕
歯髄炎(麻酔抜髄)〔アレルギーあり 歯科治療上注意すべき全身疾患なし〕
根尖性歯周炎(感染根管治療)〔小児治療 行動変容技法 幼児虐待〕
智歯周囲炎
顎関節症
外科手術(唾石摘出術)
口腔癌(手術記録,退院時療養計画書)
II 歯科におけるPOS導入上の留意点と今後の課題(梅村長生)
1.POS導入の留意点
2.今後の課題
III 電子カルテの現状と今後の課題(笹井啓史)
1.電子カルテの経緯
2.電子カルテシステム
3.電子カルテシステムの実用化に向けて
第IV部 知っておきたい診療録記載の基礎知識
I 口腔解剖の名称と記載要領(井出吉信)
1.診療録記載に必要な解剖学的名称
II 臨床検査情報(小谷順一郎)
1.臨床検査データの読み方・書き方
III 処方ならびに処方せんの書き方(松井隆 橋雄三 小林隆太郎)
1.処方せんの書き方
IV 紹介状・計画書の書き方と読み方(梅村幸生 橋雄三 瀧川智義)
V ハイリスク患者への対応(山田富夫)
1.高血圧症患者の診療の進め方
2.虚血性心疾患をもつ患者の診療の進め方
3.脳血管障害をもつ患者の診療の進め方
4.糖尿病患者の診療の進め方
5.歯科治療と経口抗血栓療法
・付
1.保険診療と診療録 瀧川智義・小林隆太郎
2.診療録(カルテ)記載にあたっての留意事項など
第I部 POSの基本
I よりよい診療と相互理解(EBMと診療録)
1.医療面接とインフォームドコンセント(梅村長生)
2.教育改革の流れと大学における診療録書き方指導(石井拓男)
II POSとPOMRとは何か(橋本賢二)
1.POSとPOMR
2.POSの構成
III 診療録の開示とは
1.診療情報の提供の必要性とその考え方(兵頭英昭)
2.医事紛争と診療録 増田聖子
3.カルテ開示にまつわる法律(小室歳信)
第II部 歯科におけるPOSの導入
I 問診票からみた問題点のリストアップ
1.診療に影響を及ぼす問題点(全身)(長尾毅彦)
II 基礎データの記録(川合道夫 小川冬樹 沼部幸博)
1.病歴の書き方
III 問題リストに沿った経過記録の書き方(橋本賢二 小川冬樹)
第III部 実例で学ぶPOS(POMR)記載例ほか(小川冬樹 小木信美 川合道夫 高橋雄三 河合俊彦)
I POS記載例
歯牙欠損(クラウンブリッジ)〔高齢者治療 認知症〕
歯髄炎(麻酔抜髄)〔アレルギーあり 歯科治療上注意すべき全身疾患なし〕
根尖性歯周炎(感染根管治療)〔小児治療 行動変容技法 幼児虐待〕
智歯周囲炎
顎関節症
外科手術(唾石摘出術)
口腔癌(手術記録,退院時療養計画書)
II 歯科におけるPOS導入上の留意点と今後の課題(梅村長生)
1.POS導入の留意点
2.今後の課題
III 電子カルテの現状と今後の課題(笹井啓史)
1.電子カルテの経緯
2.電子カルテシステム
3.電子カルテシステムの実用化に向けて
第IV部 知っておきたい診療録記載の基礎知識
I 口腔解剖の名称と記載要領(井出吉信)
1.診療録記載に必要な解剖学的名称
II 臨床検査情報(小谷順一郎)
1.臨床検査データの読み方・書き方
III 処方ならびに処方せんの書き方(松井隆 橋雄三 小林隆太郎)
1.処方せんの書き方
IV 紹介状・計画書の書き方と読み方(梅村幸生 橋雄三 瀧川智義)
V ハイリスク患者への対応(山田富夫)
1.高血圧症患者の診療の進め方
2.虚血性心疾患をもつ患者の診療の進め方
3.脳血管障害をもつ患者の診療の進め方
4.糖尿病患者の診療の進め方
5.歯科治療と経口抗血栓療法
・付
1.保険診療と診療録 瀧川智義・小林隆太郎
2.診療録(カルテ)記載にあたっての留意事項など











