発刊の序
1978年に関西地区歯科技工士学校連絡協議会で『歯科技工学実習帳 歯牙解剖・歯科理工学』を発刊して以来,「実習帳」は長きにわたり多くの養成機関・学生に活用されてきた.その間,幾度か見直しと改訂を行ってきたが,このたび歯科理工学を単独とし,書名も新たに『歯科理工 実習と研究の基礎』(歯科技工学実習トレーニング)として発刊することとなった.
現在,歯科技工の技術は,患者さんのニーズの高まりや情報処理技術の発達により徐々にではあるが確実に変わってきている.すなわち,CAD/CAMによる補綴装置の製作(オールセラミックス),PMMA射出成形による義歯床の製作,顎顔面補綴における人工皮膚用高分子材料の応用などが行われるようになってきている.しかし,石膏,ワックス,レジン,埋没材,鋳造用材料など従来から使用されているものも相変わらず欠かすことはできない.したがって,これらの物性を理解,習得することは,技工技術が変化するなかにあってもよりよい補綴装置を製作するうえで重要で,そのための実習の視点とプロセスを学ぶことは歯科技工を行うにあたって大切なことである.
また,歯科技工士の養成機関が2年制から3年制,あるいは4年制へと変化する動きがあるなかで,歯科技工士国家試験合格という目標以外に学校独自の味付けを試みているところも増えてきており,その一環として卒業研究や課題研究を行っているところではその指針となるものが必要とも考えられる.
本書では,JIS規格の大きな変更による実習内容の見直しを中心に,ポイントを別枠にして実習の注意点を分かりやすくするなどの整理を行った.また,卒業研究や課題研究において研究結果を説得あるものにするためには,実験結果のデータ処理すなわち統計学の知識が欠かせないだろうと考え,第1章として統計処理の「はじめの一歩」を追加した.初心者用の参考図書も紹介しているので,今後の礎にしてほしい.
今後とも,時代に即した,使いやすくてわかりやすい実習書とするためにも,ご意見・ご批判などがあれば賜りたい.
2011年3月
関西北陸地区歯科技工士学校連絡協議会
科目担当編集委員 内山耕二郎(主担)
北原 一慶,中川 正史
宮本 大樹,村西美智浩
森川 良一,八尾 孝一
1978年に関西地区歯科技工士学校連絡協議会で『歯科技工学実習帳 歯牙解剖・歯科理工学』を発刊して以来,「実習帳」は長きにわたり多くの養成機関・学生に活用されてきた.その間,幾度か見直しと改訂を行ってきたが,このたび歯科理工学を単独とし,書名も新たに『歯科理工 実習と研究の基礎』(歯科技工学実習トレーニング)として発刊することとなった.
現在,歯科技工の技術は,患者さんのニーズの高まりや情報処理技術の発達により徐々にではあるが確実に変わってきている.すなわち,CAD/CAMによる補綴装置の製作(オールセラミックス),PMMA射出成形による義歯床の製作,顎顔面補綴における人工皮膚用高分子材料の応用などが行われるようになってきている.しかし,石膏,ワックス,レジン,埋没材,鋳造用材料など従来から使用されているものも相変わらず欠かすことはできない.したがって,これらの物性を理解,習得することは,技工技術が変化するなかにあってもよりよい補綴装置を製作するうえで重要で,そのための実習の視点とプロセスを学ぶことは歯科技工を行うにあたって大切なことである.
また,歯科技工士の養成機関が2年制から3年制,あるいは4年制へと変化する動きがあるなかで,歯科技工士国家試験合格という目標以外に学校独自の味付けを試みているところも増えてきており,その一環として卒業研究や課題研究を行っているところではその指針となるものが必要とも考えられる.
本書では,JIS規格の大きな変更による実習内容の見直しを中心に,ポイントを別枠にして実習の注意点を分かりやすくするなどの整理を行った.また,卒業研究や課題研究において研究結果を説得あるものにするためには,実験結果のデータ処理すなわち統計学の知識が欠かせないだろうと考え,第1章として統計処理の「はじめの一歩」を追加した.初心者用の参考図書も紹介しているので,今後の礎にしてほしい.
今後とも,時代に即した,使いやすくてわかりやすい実習書とするためにも,ご意見・ご批判などがあれば賜りたい.
2011年3月
関西北陸地区歯科技工士学校連絡協議会
科目担当編集委員 内山耕二郎(主担)
北原 一慶,中川 正史
宮本 大樹,村西美智浩
森川 良一,八尾 孝一
I データ処理法概説
1 サンプルとサイズ
2 測定,観察
3 数学関数と統計関数
4 データ入力と検証
5 グラフや表の作成
6 統計処理
7 検定モデルの選択
8 レポートのまとめ方
II 印象材
a 弾性の比較
1 各試料の調製
2 測 定
b 寸法精度を高める操作方法
1 原型製作
2 個人トレーの製作
3 印象採得
4 固定操作
5 石膏注入
6 観測および計測
c アンダーカット部の寸法精度
1 印象採得
2 固定操作
3 石膏模型の製作
4 観察および計測
III 模型材(石膏)
a 練和方法
1 手練和
2 機械練和(真空練和)
3 石膏表面の観察
b 硬化時間
1 硬化時間の測定
c 硬化時の温度上昇
1 円筒の製作
2 温度計の挿入
3 石膏の練和と注入
4 温度の測定
d 硬化膨張
1 硬化膨張の測定
e 圧縮強さ
1 試料の製作
2 圧縮強さの測定
IV ワックス
a 加圧短縮率(フロー)
1 試料の製作
2 試料の測定
3 加圧短縮率(フロー)の測定
b ワックスの熱膨張
1 試料の製作
2 寸法変化の測定
V レジン
a レジン粉液の膨潤時間
1 レジンの混和
2 条件温度の設定
3 膨潤状態の観察
b 重合時の温度上昇と気泡
1 熱電対の調整
2 原型の埋没
3 脱 型
4 予備重合
5 レジンの填入
6 重 合
7 レジン成形物の割り出し
8 仕上げ
9 観 察
c 重合と寸法精度
1 作業用模型の製作
2 ワックスパターンの製作
3 埋 没
4 ワックスの除去
5 レジン分離材の塗布
6 レジンの填入
7 重 合
8 研 磨
9 寸法精度の測定
d 強度試験
1 試料の製作
2 引張試験
3 曲げ強さ試験
VI 陶 材
内部気泡の観察と機械的強さ
1 試料の製作
2 内部気泡の観察
3 陶材の曲げ試験
VII 金 属
a 組織の観察
1 試料の準備
2 試料表面の研磨
3 試料表面の腐食
4 金属顕微鏡による観察
b 加工硬化と再結晶軟化
1 圧延加工
2 焼なまし
c 合金の硬化熱処理
1 試料の製作
2 硬さの測定
3 溶体化処理
4 硬化熱処理
VIII 埋没材
a 硬化膨張
1 測定装置の製作
2 硬化膨張率の測定
b 熱膨張
1 試料の製作
2 熱膨張率の測定
c 圧縮強さ
1 試料の製作
2 圧縮強さの測定
IX 精密鋳造
a 鋳造冠の寸法精度
1 ワックスパターンの製作
2 埋 没
3 鋳造リングの焼却
4 鋳 造
5 適 合
6 測 定
7 研 磨
b MODインレーの寸法精度
1 ワックスパターンの製作
2 埋 没
3 鋳造リングの焼却
4 鋳 造
5 適 合
6 測 定
7 研 磨
X 鑞付け
a 鑞付け法
1 自在鑞付け
2 埋没鑞付け
b 鑞付け部の強さ
1 試料の製作
2 引張強さの測定
X 歯科材料の機械的性質と試験法
1 試料の準備
2 引張試験
1 サンプルとサイズ
2 測定,観察
3 数学関数と統計関数
4 データ入力と検証
5 グラフや表の作成
6 統計処理
7 検定モデルの選択
8 レポートのまとめ方
II 印象材
a 弾性の比較
1 各試料の調製
2 測 定
b 寸法精度を高める操作方法
1 原型製作
2 個人トレーの製作
3 印象採得
4 固定操作
5 石膏注入
6 観測および計測
c アンダーカット部の寸法精度
1 印象採得
2 固定操作
3 石膏模型の製作
4 観察および計測
III 模型材(石膏)
a 練和方法
1 手練和
2 機械練和(真空練和)
3 石膏表面の観察
b 硬化時間
1 硬化時間の測定
c 硬化時の温度上昇
1 円筒の製作
2 温度計の挿入
3 石膏の練和と注入
4 温度の測定
d 硬化膨張
1 硬化膨張の測定
e 圧縮強さ
1 試料の製作
2 圧縮強さの測定
IV ワックス
a 加圧短縮率(フロー)
1 試料の製作
2 試料の測定
3 加圧短縮率(フロー)の測定
b ワックスの熱膨張
1 試料の製作
2 寸法変化の測定
V レジン
a レジン粉液の膨潤時間
1 レジンの混和
2 条件温度の設定
3 膨潤状態の観察
b 重合時の温度上昇と気泡
1 熱電対の調整
2 原型の埋没
3 脱 型
4 予備重合
5 レジンの填入
6 重 合
7 レジン成形物の割り出し
8 仕上げ
9 観 察
c 重合と寸法精度
1 作業用模型の製作
2 ワックスパターンの製作
3 埋 没
4 ワックスの除去
5 レジン分離材の塗布
6 レジンの填入
7 重 合
8 研 磨
9 寸法精度の測定
d 強度試験
1 試料の製作
2 引張試験
3 曲げ強さ試験
VI 陶 材
内部気泡の観察と機械的強さ
1 試料の製作
2 内部気泡の観察
3 陶材の曲げ試験
VII 金 属
a 組織の観察
1 試料の準備
2 試料表面の研磨
3 試料表面の腐食
4 金属顕微鏡による観察
b 加工硬化と再結晶軟化
1 圧延加工
2 焼なまし
c 合金の硬化熱処理
1 試料の製作
2 硬さの測定
3 溶体化処理
4 硬化熱処理
VIII 埋没材
a 硬化膨張
1 測定装置の製作
2 硬化膨張率の測定
b 熱膨張
1 試料の製作
2 熱膨張率の測定
c 圧縮強さ
1 試料の製作
2 圧縮強さの測定
IX 精密鋳造
a 鋳造冠の寸法精度
1 ワックスパターンの製作
2 埋 没
3 鋳造リングの焼却
4 鋳 造
5 適 合
6 測 定
7 研 磨
b MODインレーの寸法精度
1 ワックスパターンの製作
2 埋 没
3 鋳造リングの焼却
4 鋳 造
5 適 合
6 測 定
7 研 磨
X 鑞付け
a 鑞付け法
1 自在鑞付け
2 埋没鑞付け
b 鑞付け部の強さ
1 試料の製作
2 引張強さの測定
X 歯科材料の機械的性質と試験法
1 試料の準備
2 引張試験