やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

発刊の序
 1978年に関西地区歯科技工士学校連絡協議会で『歯科技工学実習帳 歯牙解剖・歯科理工学』を発刊して以来,「実習帳」は長きにわたり多くの養成機関・学生に活用されてきた.その間,二度の改訂を試みたが,二度目の1994年の改訂(第3版)では特に歯の形態について注力した.当時の歯科技工士教本に記載されていた各歯の特徴を表現できるよう,また,国家試験の対策として強調すべき特徴を考慮しながら,咬合面の溝1本においても編集委員,発行元の医歯薬出版株式会社の担当者,そしてトレーサーとの間で何度も検討を繰り返し,ようやく完成させていった.こうして描き上げた歯の形態は,デッサンや鑑別において国家試験をも視野に入れたスタンダードモデルになるものと考えている.
 今回,各養成機関や学生,読者の声にお応えして歯科理工学との分離をはかり,書名を『歯の解剖 歯のデッサンと歯型彫刻』(歯科技工学実習トレーニング)と一新して発刊することとなった.本書では,「温故知新」の言葉のとおり「歯のデッサンと鑑別」については従来のものを継承し,その他の部分については現在の教育内容との整合性やみやすさ,使いやすさを考慮して編集作業を進めた.
 歯科技工士教育の現場において,歯型彫刻は最も基礎的な教授内容であり,国家試験の実技対策も加えるとカリキュラムにおいて多くの時間が費やされている.各養成機関では独自の形態や方法により教授が行われていると思うが,学生が天然歯の形態をマスターする前段階として,また,国家試験を見据えても,基本的形態であるスタンダードモデルをトレーニングして身につけることは不可欠であると考えられる.各歯種における形態の特徴や鑑別を習得するために,本書が大いに活用されることを望む.
 平成23年3月
 関西北陸地区歯科技工士学校連絡協議会
 科目担当編集委員 杉田 順弘(主担)
  小長光 均,下郡 俊映
  秦野 博司,渡邉 飛鳥
I 歯の計測
  歯軸(長軸)の設定
  長径(歯の全長)の計測
  歯冠長(歯冠の長さ)の計測
  歯根長(歯根の長さ)の計測
  歯冠近遠心径(歯冠の幅)の計測
  歯冠唇舌径,頬舌径(歯冠の厚さ)の計測
  歯頸部の計測
  歯頸線彎曲高さの計測
II 歯の解剖学名
  上顎前歯における名称
  上顎臼歯咬合面観における名称
  下顎臼歯咬合面観における名称
III 歯のデッサンと鑑別
  歯のデッサン
   上顎中切歯(1)
   上顎側切歯(2)
   上顎犬歯(3)
   上顎第一小臼歯(4)
   上顎第二小臼歯(5)
   上顎第一大臼歯(6)
   上顎第二大臼歯(7)
   下顎中切歯(1)
   下顎側切歯(2)
   下顎犬歯(3)
   下顎第一小臼歯(4)
   下顎第二小臼歯(5)
   下顎第一大臼歯(6)
   下顎第二大臼歯(7)
IV 歯型彫刻
 a 石膏の歯型彫刻
  1 石膏ブロックの製作
  2 歯型彫刻
   上顎中切歯(1)
   上顎側切歯(2)
   上顎犬歯(3)
   上顎第一小臼歯(4)
   上顎第二小臼歯(5)
   上顎第一大臼歯(6)
   上顎第二大臼歯(7)
   下顎中切歯(1)
   下顎側切歯(2)
   下顎犬歯(3)
   下顎第一小臼歯(4)
   下顎第二小臼歯(5)
   下顎第一大臼歯(6)
   下顎第二大臼歯(7)
 b ワックスの歯型彫刻