序
平成28 年2 月28 日,歴史的な「歯科技工士全国統一国家試験」が実施された.これまで,厚生労働大臣の委託事業として各都道府県で実施されてきた歯科技工士国家試験が,全国4 会場において同時に,同じ出題によって実技試験および学説試験が行われた.長年にわたり重要な懸案事項であった「全国統一試験」が,大きなトラブルもなく実施されたことに関係各位のご尽力に対して改めて敬意と感謝を申し上げる.
国家試験の全国統一化は,単に他の医療関係職種と同等になるだけでなく,教育内容のスタンダード化が図れ,教育レベルの向上につながる.これからの歯科技工士教育にとって大きなステップアップとなる.
初めての全国統一国家試験を迎えるにあたって,歯科技工士養成機関の教員におかれては,未知への遭遇であり,「客観的多肢選択問題」の作問にはかなり苦労されたことと拝察する.全国歯科技工士教育協議会においても,再三にわたり講習会を実施し,教員の意識改革と作問に対する基本的な理解を深めることを目的とした.学説試験においては,教育評価として「知識」を問うものであり,単なる記憶力を評価するだけでなく,思考性や問題解決能力を問わなければならない.また,作問にあたっては一定のルールがあり,受験生を単に戸惑わせるものであってはいけない.初年度の試験が終わり,教員も少しは感触をつかめられたと思う.しかし,良問作成には奥が深く,常に研鑽し,挑戦し,ブラッシュアップを図らなければならない.昨年度は,全国統一国家試験の初回実施にあたって,まさに手探り状態で問題集を編集,発刊したが,全国の教員が作問した4000 題に及ぶ中から,小口春久先生らのご高閲によって,良問と思われる1800 題を抽出し,本書にまとめた.歯科技工士国家試験問題集としては唯一,本書のみであったために教員および受験生には大きな心の支えになったことと拝察する.国家試験問題集は,出題基準や教育モデルコアカリキュラムなどを参考に常にブラッシュアップを行い,質,量ともに高めなければならない.今回2017 年版を編集するにあたっては,初回の国家試験問題を挿入するとともに,全国の教員に新たに作問を依頼したが,今回は特に視覚素材を応用した作問依頼を行った.さらに,単なる試験問題集にとどまらず,重要と思われる問題には解説を加え,より理解力を深めるよう配慮した.したがって,初版に比べ問題数も大幅に増加し,少しは国家試験対策用問題集の体をなしてきた.
全国の歯科技工士養成機関の教員ならびに学生は,本書を大いに活用することによって第2 回目の全国統一歯科技工士国家試験に臨んでいただきたい.本書の使い方はいろいろ考えられるが,本問題集ありきではなく,基本的な知識は歯科技工士教本でしっかりと学び,自らの実力を試すため,知識の整理として本書を活用されることが望ましいと考える.
皆さん方の健闘を祈念し,自信をもって次年度の国家試験に臨んでいただきたい.
平成28 年9 月
編集委員長 末瀬一彦
全国歯科技工士教育協議会会長 尾ア順男
平成28 年2 月28 日,歴史的な「歯科技工士全国統一国家試験」が実施された.これまで,厚生労働大臣の委託事業として各都道府県で実施されてきた歯科技工士国家試験が,全国4 会場において同時に,同じ出題によって実技試験および学説試験が行われた.長年にわたり重要な懸案事項であった「全国統一試験」が,大きなトラブルもなく実施されたことに関係各位のご尽力に対して改めて敬意と感謝を申し上げる.
国家試験の全国統一化は,単に他の医療関係職種と同等になるだけでなく,教育内容のスタンダード化が図れ,教育レベルの向上につながる.これからの歯科技工士教育にとって大きなステップアップとなる.
初めての全国統一国家試験を迎えるにあたって,歯科技工士養成機関の教員におかれては,未知への遭遇であり,「客観的多肢選択問題」の作問にはかなり苦労されたことと拝察する.全国歯科技工士教育協議会においても,再三にわたり講習会を実施し,教員の意識改革と作問に対する基本的な理解を深めることを目的とした.学説試験においては,教育評価として「知識」を問うものであり,単なる記憶力を評価するだけでなく,思考性や問題解決能力を問わなければならない.また,作問にあたっては一定のルールがあり,受験生を単に戸惑わせるものであってはいけない.初年度の試験が終わり,教員も少しは感触をつかめられたと思う.しかし,良問作成には奥が深く,常に研鑽し,挑戦し,ブラッシュアップを図らなければならない.昨年度は,全国統一国家試験の初回実施にあたって,まさに手探り状態で問題集を編集,発刊したが,全国の教員が作問した4000 題に及ぶ中から,小口春久先生らのご高閲によって,良問と思われる1800 題を抽出し,本書にまとめた.歯科技工士国家試験問題集としては唯一,本書のみであったために教員および受験生には大きな心の支えになったことと拝察する.国家試験問題集は,出題基準や教育モデルコアカリキュラムなどを参考に常にブラッシュアップを行い,質,量ともに高めなければならない.今回2017 年版を編集するにあたっては,初回の国家試験問題を挿入するとともに,全国の教員に新たに作問を依頼したが,今回は特に視覚素材を応用した作問依頼を行った.さらに,単なる試験問題集にとどまらず,重要と思われる問題には解説を加え,より理解力を深めるよう配慮した.したがって,初版に比べ問題数も大幅に増加し,少しは国家試験対策用問題集の体をなしてきた.
全国の歯科技工士養成機関の教員ならびに学生は,本書を大いに活用することによって第2 回目の全国統一歯科技工士国家試験に臨んでいただきたい.本書の使い方はいろいろ考えられるが,本問題集ありきではなく,基本的な知識は歯科技工士教本でしっかりと学び,自らの実力を試すため,知識の整理として本書を活用されることが望ましいと考える.
皆さん方の健闘を祈念し,自信をもって次年度の国家試験に臨んでいただきたい.
平成28 年9 月
編集委員長 末瀬一彦
全国歯科技工士教育協議会会長 尾ア順男
国家試験実施要項と出題基準
1.実施要項
2.出題基準
国家試験問題
平成27 年度
1.学 説
2.実 地
オリジナル問題
歯科理工学
1.歯科材料の性質
2.印象材
3.石 膏
4.ワックス
5.レジン成形
6.セラミック成形
7.金属成形
8.切削・研削・研磨
歯の解剖学
1.歯の概説
2.永久歯の形態
3.歯の発生
4.歯と歯周組織
5.歯の異常
6.歯列と咬合
7.頭蓋の骨
8.口腔周囲の筋
9.口 腔
顎口腔機能学
1.顎口腔系の概説
2.顎口腔系の形態
3.下顎運動
4.下顎位
5.歯の接触様式
6.咬合器
有床義歯技工学
1.有床義歯技工に関する生体の基礎知識
2.全部床義歯の特性
3.全部床義歯の印象採得に伴う技工操作
4.全部床義歯の咬合採得に伴う技工操作
5.全部床義歯の人工歯排列と歯肉形成
6.全部床義歯の蝋義歯埋没とレジン重合
7.全部床義歯の咬合器再装着および削合,研磨
8.部分床義歯の特性
9.部分床義歯の構成要素
10.部分床義歯の印象採得に伴う技工操作
11.部分床義歯の咬合採得に伴う技工操作
12.クラスプ
13.アタッチメント
14.テレスコープ義歯
15.バー
16.部分床義歯の人工歯排列と歯肉形成
17.部分床義歯の蝋義歯の埋没とレジン重合
18.修 理
19.リベースとリライン
20.オーバーデンチャー
21.金属床義歯
歯冠修復技工学
1.歯冠修復技工学概要
2.クラウンの概要と種類
3.ブリッジの概要と種類
4.クラウン・ブリッジの具備条件
5.クラウン・ブリッジの技工操作
6.ブリッジ
7.インプラント(人工歯根)
矯正歯科技工学
1.矯正歯科治療の概説
2.矯正歯科技工用器械・材料
3.矯正歯科技工の基本的実技
4.矯正用模型の製作
5.矯正装置の必要条件と分類
6.矯正装置の種類と製作
7.保定装置
小児歯科技工学
1.歯・顎・顔面の成長発育
2.小児の歯冠修復
3.保隙装置
4.スペースリゲーナー
5.口腔習癖除去装置
6.咬合誘導装置に用いる維持装置
関係法規
1.衛生行政
2.歯科技工士法
3.歯科医療関係法規
1.実施要項
2.出題基準
国家試験問題
平成27 年度
1.学 説
2.実 地
オリジナル問題
歯科理工学
1.歯科材料の性質
2.印象材
3.石 膏
4.ワックス
5.レジン成形
6.セラミック成形
7.金属成形
8.切削・研削・研磨
歯の解剖学
1.歯の概説
2.永久歯の形態
3.歯の発生
4.歯と歯周組織
5.歯の異常
6.歯列と咬合
7.頭蓋の骨
8.口腔周囲の筋
9.口 腔
顎口腔機能学
1.顎口腔系の概説
2.顎口腔系の形態
3.下顎運動
4.下顎位
5.歯の接触様式
6.咬合器
有床義歯技工学
1.有床義歯技工に関する生体の基礎知識
2.全部床義歯の特性
3.全部床義歯の印象採得に伴う技工操作
4.全部床義歯の咬合採得に伴う技工操作
5.全部床義歯の人工歯排列と歯肉形成
6.全部床義歯の蝋義歯埋没とレジン重合
7.全部床義歯の咬合器再装着および削合,研磨
8.部分床義歯の特性
9.部分床義歯の構成要素
10.部分床義歯の印象採得に伴う技工操作
11.部分床義歯の咬合採得に伴う技工操作
12.クラスプ
13.アタッチメント
14.テレスコープ義歯
15.バー
16.部分床義歯の人工歯排列と歯肉形成
17.部分床義歯の蝋義歯の埋没とレジン重合
18.修 理
19.リベースとリライン
20.オーバーデンチャー
21.金属床義歯
歯冠修復技工学
1.歯冠修復技工学概要
2.クラウンの概要と種類
3.ブリッジの概要と種類
4.クラウン・ブリッジの具備条件
5.クラウン・ブリッジの技工操作
6.ブリッジ
7.インプラント(人工歯根)
矯正歯科技工学
1.矯正歯科治療の概説
2.矯正歯科技工用器械・材料
3.矯正歯科技工の基本的実技
4.矯正用模型の製作
5.矯正装置の必要条件と分類
6.矯正装置の種類と製作
7.保定装置
小児歯科技工学
1.歯・顎・顔面の成長発育
2.小児の歯冠修復
3.保隙装置
4.スペースリゲーナー
5.口腔習癖除去装置
6.咬合誘導装置に用いる維持装置
関係法規
1.衛生行政
2.歯科技工士法
3.歯科医療関係法規