やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

第2版序文
 1955年に「歯科技工法」(現 歯科技工士法)が制定されて以来,54年が経過し,歯科技工の学問体系は着実に発展を遂げてきた.しかしその一方で,少子高齢化などの影響を受けて歯科技工士学校・養成所の志願者数は減少し,廃校・廃科が相次いでいる.このような現状において,できるだけ優秀な歯科技工士を育成して世に輩出することが,歯科・歯科技工界にとって大変重要な課題となっている.
 全国歯科技工士教育協議会(以下,全技協)においても,歯科医療における環境の変化や社会的要請に対応した歯科技工士教育の在り方を検討するために「教育内容検討委員会」が設置され,時代に対応したカリキュラムの構築とそれに基づいた効果的な教育を展開する方策が協議されてきた.その一環として,歯科技工士教育の共通認識となり,歯科技工士試験(国家試験)受験にあたっての必携の書ともいえる「歯科技工士教本」についても,教養課程の充実と専門教育の強化,さらには最新の材料・機器や新しい技工技術を習得させることを目指して再編集を行い,2006年より「新歯科技工士教本」が発刊されている.
 本問題集は,上記のような流れをうけ,新たな教育内容と歯科技工士試験(国家試験)との間で学生諸氏が混乱しないように,「新編注解歯科技工士国家試験問題集 第1版」を改訂したものである.記載内容の整合性や用語の統一をはかり,図や表についても見直しを行った.また,歯科技工士試験(国家試験)の全国統一化を見据え,問題については四肢択一形式の割合を増やしている.ただし,現行の各都道府県ごとに異なる試験形式についても配慮し,幅広い多くの受験生が歯科技工士試験(国家試験)対策に使用できるように留意したつもりである.
 本問題集が学生諸氏のお役に立つことを期待するとともに,歯科技工士試験(国家試験)受験生のご健闘を祈念する.
 2009年4月20日
 関西地区歯科技工士学校連絡協議会
 会長 垣田治彦

第1版序文
 歯科技工士の資格を定めるとともに,歯科技工の業務が適正に行われることを目的に1955年「歯科技工法」(現歯科技工士法)が制定されたが,その後歯科技工士教育制度の改革が行われ,1982年には歯科技工士試験は厚生省が実施する(当面都道府県に事務委託)国家試験に改められた.さらに,1992年には,本格的な高齢社会を迎えて多様化する歯科医療に対応できるよう,歯科技工士養成所指定規則が改正され,それに基づいて歯科技工士学校・養成所の教授要綱の見直しも行われた.
 その主な内容は,以下のとおりである.歯科技工学概論を充実し,歯科技工業務における作業環境や運営方法についても教育する.歯科理工学と歯科鋳造学を包括し,歯科技工材料,歯科技工機器に対する教育を充実させる.顎口腔機能学を独立した学科とする.歯科技工実習などの時間数を見直し,効率的な教育の実施を促す.また,新たに選択必修科目を設け,教育内容を弾力的なものとする.このような内容を把握したうえで,全国歯科技工士教育協議会(以下,全技協)編集により1994年から1995年にかけて新教授要綱に基づく新しい「歯科技工士教本」が発刊された.
 また,1996年には8年ぶりに「歯科技工士試験出題基準」が改正され,この「新出題基準」に基づく新試験が1997年から実施された.「新出題基準」では,「試験が妥当な範囲と適正な水準で行われることを期待」して,大・小項目が示され,「問題作成にあたっては,歯科技工士の業務に関連のある範囲にとどめる」ことが示唆されている.これを受けて厚生省健康政策局歯科衛生課(現歯科保健課)監修,全技協編集の『顎口腔機能学の解説並びに歯科技工士試験出題基準』が出版されたことは,国家試験を受ける受験生はもとより教育関係者にとっても誠に有意義なことである.全技協会長渡辺嘉一先生にはこれまでのご尽力に対し,深甚なる謝意を表すものである.
 さて,本問題集は,1986年の第1版から第4版まで刊行した『注解歯科技工士国家試験問題集』の良さを継承しながら,「新出題基準」との関係を工夫するなど新たに改善を加え,内容を一新した『新編注解歯科技工士国家試験問題集』第1版として刊行したものである.本問題集においては,最近出題された国家試験問題の中から充実した問題を収載し,できるだけ明快な注解および解答を付記した.さらに出題基準の分野で,適切な既出問題のないものについては,必要な範囲で新たにオリジナル問題を作成し対応した.各章のはじめには「知識の整理と重要事項」を設け,教本などの内容をできるだけコンパクトに理解できるように配慮するとともに,自らの理解力の程度を診断できるようにした.
 各項目の執筆にあたっては,全技協編集の歯科技工士教本を主に参考にさせていただき,引用・転載については該当箇所に明記したが,全技協および歯科技工士教本の著者には改めて謝意を表したい.本問題集が,学生諸君をはじめ歯科技工士試験に関わる関係者にとってきわめて有意義な出版物となることを念願するとともに,国家試験受験生の健闘を祈念する.
 1999年2月20日
 関西地区歯科技工士学校連絡協議会
 会長 末瀬一彦
第1章 顎口腔系器官の機能の概説
 知識の整理と重要事項
 問題―注解・解答
第2章 下顎位
 知識の整理と重要事項
 問題―注解・解答
第3章 下顎運動とその基準
 知識の整理と重要事項
 問題―注解・解答
第4章 咬合器
 知識の整理と重要事項
 問題―注解・解答
第5章 義歯および修復物の咬合
 知識の整理と重要事項
 問題―注解・解答
付章 咬合検査と顎機能障害
 知識の整理と重要事項
 問題―注解・解答

 ☆チェック項目リスト(索引)
 ★ミニ・アドバイス★
  理解して解いていますか?
  語呂合わせ記憶法
  下顎運動を決定する要素をまとめてみよう!
  昔のものさし(長さの基準)は手や足だった!?