やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

『歯科衛生学シリーズ』の誕生―監修にあたって
 全国歯科衛生士教育協議会が監修を行ってきた歯科衛生士養成のための教科書のタイトルを,2022年度より,従来の『最新歯科衛生士教本』から『歯科衛生学シリーズ』に変更させていただくことになりました.2022年度は新たに改訂された教科書のみですが,2023年度からはすべての教科書のタイトルを『歯科衛生学シリーズ』とさせていただきます.
 その背景には,全国歯科衛生士教育協議会の2021年5月の総会で承認された「歯科衛生学の体系化」という歯科衛生士の教育および業務に関する大きな改革案の公開があります.この報告では,「口腔の健康を通して全身の健康の維持・増進をはかり,生活の質の向上に資するためのもの」を「歯科衛生」と定義し,この「歯科衛生」を理論と実践の両面から探求する学問が【歯科衛生学】であるとしました.【歯科衛生学】は基礎歯科衛生学・臨床歯科衛生学・社会歯科衛生学の3つの分野から構成されるとしています.
 また,これまでの教科書は『歯科衛生士教本』というような職種名がついたものであり,これではその職業の「業務マニュアル」を彷彿させると,看護分野など医療他職種からたびたび指摘されてきた経緯があります.さらに,現行の臨床系の教科書には「○○学」といった「学」の表記がないことから,歯科衛生士の教育には学問は必要ないのではと教育機関の講師の方から提言いただいたこともありました.
 「日本歯科衛生教育学会」など歯科衛生関連学会も設立され,教育年限も3年以上に引き上げられて,【歯科衛生学】の体系化も提案された今,自分自身の知識や経験が整理され,視野の広がりは臨床上の疑問を解くための指針ともなり,自分が実践してきた歯科保健・医療・福祉の正当性を検証することも可能となります.日常の身近な問題を見つけ,科学的思考によって自ら問題を解決する能力を養い,歯科衛生業務を展開していくことが,少子高齢化が続く令和の時代に求められています.
 科学的な根拠に裏付けられた歯科衛生業務のあり方を新しい『歯科衛生学シリーズ』で養い,生活者の健康に寄与できる歯科衛生士として社会に羽ばたいていただきたいと願っております.
 2022年2月
 一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会理事長
 眞木吉信


発刊の辞
 歯科衛生士の教育が始まり70年余の経過を経た歯科衛生士の役割は,急激な高齢化や歯科医療の需要の変化とともに医科歯科連携が求められ,医科疾患の重症化予防,例えば糖尿病や誤嚥性肺炎の予防など,う蝕や歯周病といった歯科疾患予防の範囲にとどまらず,全身の健康を見据えた口腔健康管理へとその範囲が拡大しています.
 日本政府は,経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」で,口腔の健康は全身の健康にもつながることから,生涯を通じた歯科健診の充実,入院患者や要介護者をはじめとする国民に対する口腔機能管理の推進,歯科口腔保健の充実や地域における医科歯科連携の構築,歯科保健医療の充実に取り組むなど,歯科関連事項を打ち出しており,2022年の現在においても継承されています.特に口腔衛生管理や口腔機能管理については,歯科口腔保健の充実,歯科医療専門職種間,医科歯科,介護・福祉関係機関との連携を推進し,歯科保健医療提供の構築と強化に取り組むことなどが明記され,徹底した予防投資や積極的な未病への介入が全身の健康につながることとして歯科衛生士の活躍が期待されています.
 歯科衛生士は,多くの医療系職種のなかでも予防を専門とする唯一の職種で,口腔疾患発症後はもちろんのこと,未病である健口のうちから介入することができ,予防から治療に至るまで,継続して人の生涯に寄り添うことができます.
 このような社会のニーズに対応するため歯科衛生学教育は,歯・口腔の歯科学に留まらず,保健・医療・福祉の広範囲にわたる知識を学ぶことが必要となってきました.
 歯科衛生学は「口腔の健康を通して全身の健康の維持・増進をはかり,生活の質の向上に資するためのものを『歯科衛生』と定義し,この『歯科衛生』を理論と実践の両面から探求する学問が歯科衛生学である」と定義されます.そこで歯科衛生士の学問は「歯科衛生学」であると明確にするために,これまでの『歯科衛生士教本』,『新歯科衛生士教本』,『最新歯科衛生士教本』としてきた教本のタイトルを一新し,『歯科衛生学シリーズ』とすることになりました.
 歯科衛生士として求められる基本的な資質・能力を備えるため『歯科衛生学シリーズ』は,プロフェッショナルとしての歯科衛生学の知識と技能を身につけ,保健・医療・福祉の協働,歯科衛生の質と安全管理,社会において貢献できる歯科衛生士,科学的研究や生涯にわたり学ぶ姿勢を修得する教科書として発刊されました.これからの新たな歯科衛生学教育のために,本書が広く活用され,歯科衛生学の発展・推進に寄与することを願っています.
 本書の発刊にご執筆の労を賜った先生方はじめ,ご尽力いただいた医歯薬出版株式会社の皆様に厚く御礼申し上げ,発刊の辞といたします.
 2022年2月
 歯科衛生学シリーズ編集委員会
 高阪利美** 眞木吉信* 合場千佳子 石川裕子 犬飼順子
 遠藤圭子 佐藤 聡 白鳥たかみ 末瀬一彦 戸原 玄
 畠中能子 前田健康 升井一朗 水上美樹 森崎市治郎
 山田小枝子 山根 瞳 吉田直美
 (**編集委員長,*副編集委員長,五十音順)


第2版 執筆の序
 最新歯科衛生士教本シリーズの第2版歯科診療補助論が出版されたのは,7年前の2017年3月でした.その後,歯科疾病構造の変化や歯科保健医療を取り巻く状況は大きく変化しており,全身の健康を支援する口腔健康管理の考え方も示されています.歯科衛生士の教育では,2022年に「歯科衛生学教育モデル・コア・カリキュラム」が策定されました.本教本のタイトルにもあるように,歯科衛生士が行う医療に関して知識と技能を深く体系的に修得することを目的に,「歯科衛生学シリーズ」への改訂はスタートしました.
 歯科衛生士業務には,3つの大きな領域が法的位置づけとして周知されており,歯科診療補助では,患者の安全を第一に質の高い診療に沿った歯科衛生士の効率的な対応が求められています.そのなかで歯科への患者のニーズも少しずつ変化し,歯の健康に対する意識の高さや最新機器を用いた診療への要望など7年前に比べ多岐にわたっているといえるでしょう.たとえば,近年のデジタル技術の急速な進歩に伴って,デジタル歯科診療システムを導入している歯科診療所や病院も増加傾向であると推察します.具体的には,口腔内をスキャナーで撮影,PC画面上で設計し3Dプリンタで補綴物を作成するといった診療です.これらの診療は,口腔機能を回復させる手段として,歯科衛生士も理解しておく必要があります.
 第2版では,I編で歯科衛生士が安心かつ安全に業務を行ううえで必要となる医療安全を基盤とする感染対策・感染予防,それぞれの治療時(歯科訪問診療も含む)における診療補助のポイントと取り扱う歯科材料について述べ,II編で近年の高齢者の増加に伴う全身疾患を有する患者に対応すべく12の疾患に対するポイントや周術期,口腔機能管理について記し,巻末付章として臨床検査値データ,口腔機能低下症の検査などを掲載し構成されています.
 医科歯科連携が求められ,かかりつけ歯科医の機能も強調される状況から,歯科医師とともに全身管理のできる歯科衛生士が求められると思います.さらに,多職種との情報共有,歯科衛生士の専門性をアピールするためにもしっかり理解してほしい内容ばかりです.
 本書では,前版より多く動画を取り入れ,デジタル技術の実際も把握できると思います.最後に,2022年末現在の就業歯科衛生士数の推移では,50歳以上の歯科衛生士数が過去最高となりました.本書は学生だけでなく,臨床の第一線であるいは復職で活躍する歯科衛生士の方々にも熟読して頂き,歯科衛生士の専門性を高めるテキストとなることを願っています.
 2025年1月
 編集委員 合場千佳子
I編 歯科医療における歯科診療補助
 1章 歯科診療補助の概要
  (1)-歯科衛生士法における歯科診療補助の位置づけ
   1.歯科衛生士の業務と歯科診療補助
   2.歯科衛生実践の考え方
    1)歯科治療の需要のなかでの口腔機能管理
    2)歯科衛生士の行う歯科診療の補助
   3.診療の補助の範囲に関する法的な変化
  (2)-診療補助業務と他の医療職種
   1.看護師の行う診療の補助
   2.その他の医療関係職種が行う診療の補助
 2章 医療安全と感染予防
  (1)-医療安全
   1.医療安全
   2.歯科診療における医療安全と対策
    1)偶発事故
    2)インシデント(偶発事象)とアクシデント(医療事故)
    3)KYT
   3.医療法と医療安全対策
  (2)-感染予防
   1.歯科医療における感染症の概念
    1)感染症と感染予防対策
    2)標準予防策(スタンダードプリコーション)
    3)リスクアセスメント
   2.歯科医療における感染予防対策
    1)医療従事者としての対応
    2)環境感染予防対策(診療室,診療機器の感染予防)
    3)感染事故時の対応
   3.手指衛生(手指消毒)
    1)手指衛生の分類
    2)感染を予防するための基本的手法
    3)擦式手指消毒の手順
   4.グローブ・プラスチックエプロン・ガウン・マスク・ゴーグル着脱の手順
    1)グローブの着脱手順
    Clinical Point ラテックスアレルギー
    2)プラスチックエプロンの着脱手順
    3)ガウンの着脱手順
    4)マスクの着脱手順
    5)ゴーグルの着脱手順
   5.滅菌・消毒
    1)滅菌・消毒の定義
    2)滅菌
    3)消毒
    4)洗浄
    5)歯科用器材の滅菌・消毒と管理
  (3)-医療廃棄物の取り扱い
   1.廃棄物の概要
    1)分類と分別
    2)保管
    3)処理
   2.歯科診療室で発生する廃棄物
    Clinical Point 新型コロナウイルスの流行と感染対策
 3章 歯科診療における基礎知識
  (1)-歯科診療室の基礎知識
   1.歯科診療室の環境
    1)照明・空調
    2)粉塵・エアロゾル
    3)給排水
   2.歯科診療室の構造と設備
    1)受付
    2)待合室
    3)診療録(カルテ)保管・在庫室
    4)歯科用ユニット
    5)歯科用キャビネット
    6)洗口コーナー
    7)カウンセリングルーム
    8)エックス線撮影室
    9)滅菌・消毒コーナー
    10)歯科技工室
    11)機械室
    12)口腔外バキューム
    13)AED(自動体外式除細動器)
   3.歯科用ユニット
   4.その他の設備
    1)酸素吸入器
    2)レーザー治療器
    3)歯科用マイクロスコープ
    4)生体情報モニタ
   5.特殊な設備がある歯科診療室
  (2)-歯科診療所における受診の流れ
   1.歯科診療所における患者対応の基本
   2.特別な配慮が必要な患者対応
    1)小児患者
    2)高齢患者
    3)障害を有する患者
    Clinical Point 急患への対応
    4)感染症患者
  (3)-歯科領域に必要な臨床検査
   1.臨床検査の補助の目的,役割
   2.検査の準備と患者への説明
   3.検査の種類
    1)生体検査
    2)検体検査
    3)口腔領域の検査
  (4)-画像検査
   1.エックス線撮影
    1)口内法エックス線撮影
    2)パノラマエックス線撮影
    3)頭部エックス線規格撮影
    4)歯科用コーンビームCT(CBCT)撮影
   2.口腔内写真撮影
   3.画像の管理
  (5)-薬品(薬物)・歯科材料の管理
   1.基礎知識
    1)薬品(薬物)の管理
    2)処方せんで取り扱う薬品(処方せん医薬品)
    3)歯科材料の管理
   2.取り扱いの実際
    1)歯科用医薬品・歯科材料の取り扱い
 4章 歯科診療補助における基礎知識
  (1)-共同動作
   1.共同動作の概念
    1)安全性の確保
    2)歯科診療の効率化
    3)共同動作における行動パターンの確立
   2.術者・補助者・患者のポジショニング
    1)術者の位置と姿勢
    2)補助者の位置と姿勢
    3)患者の姿勢
   3.診療時のライティング
   4.フォーハンド
    1)基本
    2)応用
   5.器具の受け渡し
    1)受け渡しの位置
    2)ペングリップとパームグリップによる受け渡し
    3)小器具などの取り扱い
   6.バキュームテクニック
    1)バキュームの基本技法
   7.スリーウェイシリンジテクニック
    1)スリーウェイシリンジの使用目的
    2)操作方法
  (2)-ラバーダム防湿
   1.基礎知識
    1)ラバーダム防湿の目的
    2)ラバーダム防湿の利点
    3)ラバーダム防湿の欠点
    4)ラバーダム防湿用の器具の名称と用途
    5)ラバーダム防湿の手順
    6)臨床におけるケース
  (3)-歯肉圧排
   1.基礎知識
    1)クランプによる歯肉圧排法
    2)歯肉圧排用綿糸(歯肉圧排糸)による歯肉圧排法
    3)外科的切除法
   2.歯肉圧排(排除)用薬剤の種類
   3.歯肉圧排用綿糸(歯肉圧排糸)を用いた歯肉圧排の手順
    1)準備
    2)歯肉圧排用綿糸による歯肉圧排法
   4.その他の歯肉圧排用材料
 5章 歯科臨床と診療補助
  (1)-保存修復時の診療補助
   1.保存修復治療と診療補助の特徴
   2.保存修復治療の例と診療補助の流れ
    1)直接修復
    2)間接修復
    3)漂白法(ホワイトニング)
  (2)-歯内療法時の診療補助
   1.歯内療法と診療補助の特徴
   2.歯内療法の例と診療補助の流れ
    1)抜髄法(麻酔抜髄法)
    Clinical Point マイクロスコープ(歯科用実体顕微鏡)を使用した診療
    2)根管充填
    3)外科的歯内療法
  (3)-歯周外科治療時の診療補助
   1.歯周外科治療と診療補助の特徴
   2.歯周外科治療の例と診療補助の流れ
    1)歯周外科治療時の歯科衛生士の業務
    2)フラップ手術
    Clinical Point 歯周組織再生療法
  (4)-補綴治療時の診療補助
   1.補綴治療の例と診療補助の特徴
   2.補綴治療の例と診療補助の流れ
    1)クラウン・ブリッジ
    2)遊離端部分床義歯
    3)インプラント
    4)歯科用CAD/CAMシステムによる治療
  (5)-口腔外科治療時の診療補助
   1.口腔外科治療と診療補助の特徴
   2.口腔外科治療の例と診療補助の流れ
    1)抜歯時の業務
    2)普通抜歯
    3)難抜歯
    Clinical Point 下歯槽神経麻痺
  (6)-歯科麻酔時の診療補助
   1.歯科麻酔時の診療補助の特徴
   2.局所麻酔の基礎的知識
    1)疼痛・反射の抑制法
    2)局所麻酔薬と血管収縮薬
    3)局所麻酔薬の種類
    4)局所麻酔の適応と使用法
    5)使用時の注意事項
    Clinical Point 歯科衛生士に期待されている新たな業務
   3.局所麻酔の診療補助の流れ
   4.吸入鎮静・静脈内鎮静と診療補助の流れ
    1)精神鎮静法の概要
    2)吸入鎮静
    3)静脈内鎮静
   5.全身麻酔での診療補助の流れ
    1)全身麻酔法の概要
    2)全身麻酔の流れ
  (7)-救急救命処置
   1.救命処置
    1)救命処置のアルゴリズム
   2.窒息
    1)成人・小児における窒息(異物による気道閉塞)の解除方法
   3.誤飲
    1)異物を誤飲させた場合
  (8)-矯正歯科治療時の診療補助
   1.矯正歯科治療と診療補助の特徴
    1)矯正歯科治療に関する患者指導
   2.矯正治療の例と診療補助の流れ
    1)固定式矯正装置の装着
    2)矯正装置の撤去
  (9)-小児歯科治療時の診療補助
   1.小児の診療と診療補助の特徴
    1)診療時のチェアポジションとフォーハンドシステム
    2)診療時の配慮
    3)小児への対応法
    4)局所麻酔
    5)エックス線検査
   2.小児の治療の例と診療補助の流れ
    1)歯冠修復
    2)生活断髄法(生活歯髄切断法)
    3)歯の外傷
    Clinical Point 小児虐待における歯科衛生士の役割
  (10)-妊産婦の診療補助
   1.妊産婦の診療補助の特徴
   2.妊産婦の歯科治療の例と診療補助の流れ
    1)治療時の注意点
  (11)-高齢者の診療補助
   1.高齢者の歯科治療の特徴
   2.根面う蝕の治療─グラスアイオノマーセメントの活用
   3.根面う蝕の非侵襲的治療
  (12)-障害児・者の診療補助
   1.障害児・者の診療補助の特徴
   2.障害児・者の歯科治療の例
    Clinical Point 患者を褒めるタイミング
    Clinical Point 拒否行動が出現したら
 6章 歯科訪問診療における対応
  (1)-歯科訪問診療の補助
   1.歯科訪問診療補助の概要
    1)歯科訪問診療の概要
    2)歯科訪問診療の対象者
    3)歯科訪問診療の内容
   2.歯科訪問診療の流れ
    1)歯科訪問診療の基本的な流れ
    Clinical Point K-point刺激法
    2)ポータブルの診療セット
    3)診療に必要な器材
    4)歯科訪問診療における感染予防対策
    5)訪問先とのコミュニケーション
    Clinical Point ターミナルケア(終末期ケア)へのかかわり
 7章 歯科診療で使用する歯科材料
  (1)-印象採得
   1.基礎知識
    1)印象採得の補助
    2)嘔吐反射に対する対応
   2.アルジネート印象材による概形印象採得
    1)種類
    2)使用する器材の準備
    3)印象材の計量
    4)練和法
    5)印象採得
    6)印象面の処理(唾液・血液など)
    7)模型材の注入と印象体の保管
    8)模型材の撤去
    9)トレーの後始末
   3.寒天印象採得の補助
    1)寒天印象材の準備
    2)寒天-アルジネート連合印象(部位上顎右側第一大臼歯)
   4.合成ゴム質印象の補助
    1)シリコーンゴム印象材(パテ+インジェクションタイプ)による精密印象採得の補助
    Coffee break 連合印象用ペースト型 アルジネート-アルジネート連合印象
    2)各個トレー(個人トレー・個歯トレー)を使用した精密印象(対象歯-上顎右側側切歯)
   5.その他の印象材の取り扱い
    1)コンパウンド印象材
    2)酸化亜鉛ユージノール印象材
    Coffee break 光学印象
  (2)-模型の製作
   1.歯科用石膏の基礎知識
   2.歯科用石膏の練和
    1)石膏の練和法
    2)研究用模型(スタディモデル)の製作
    3)不要になった石膏模型の処理
   3.歯科用石膏の管理方法
    1)石膏の保存方法
  (3)-合着・接着の補助
   1.合着材・接着材の基礎知識
    Clinical Point 合着材・接着材の接合原理の区別
   2.練和法
    1)練和操作の基本
    2)一括練和(粉末・液タイプ)
    3)一括練和(ペースト・ペーストタイプ)
    4)筆積法・混和法
    5)分割練和
    6)余剰セメントの除去
    7)合着・接着の際の患者説明
  (4)-成形修復の補助
   1.基礎知識
   2.成形修復材の種類
    1)コンポジットレジン
    Clinical Point ベースレジンとフィラーを接着するシランカップリング剤
    2)グラスアイオノマーセメント
   3.取り扱い
    1)コンポジットレジン(セルフエッチングシステム(2ステップ法))
    2)グラスアイオノマーセメント(レジン添加型)
  (5)-仮封・仮着の補助
   1.基礎知識
    1)仮封
    2)仮着
    3)仮封材・仮着材の性質
   2.仮封材・仮着材の種類
   3.セメント系仮封材・仮着材の取り扱い
    1)酸化亜鉛ユージノールセメント
    2)酸化亜鉛非ユージノールセメント
    3)ポリカルボキシレートセメント
    4)グラスアイオノマーセメント
    5)セメント系仮封材・仮着材の取り扱い
   4.水硬性仮封材の取り扱い
   5.レジン系仮封材の取り扱い
    1)化学重合型(粉液タイプ)の取り扱い
    2)光重合型(1ペーストタイプ)の取り扱い
   6.テンポラリーストッピングの取り扱い
    1)練成充填器を用いる場合の取り扱い
    2)ストッピングキャリアを用いる場合の取り扱い
  (6)-ワックス
   1.基礎知識
   2.ワックスの種類と用途
    1)インレーワックス
    2)レディキャスティングワックス
    3)シートワックス
    4)パラフィンワックス
    5)スティッキーワックス
    6)ボクシングワックス
    7)ユーティリティワックス
    8)バイトワックス
II編 主な全身疾患の基礎知識
 1章 主な全身疾患とその対応
  (1)-全身疾患の概況と歯科医療への影響
  (2)-主な全身疾患の基礎知識と歯科診療上の注意点
   1.代謝・内分泌疾患
    1)糖尿病
    Clinical Point 低血糖発作
    Clinical Point 簡易血糖検査
    2)骨粗鬆症
    3)甲状腺疾患
   2.消化器疾患
    1)胃腸疾患(胃食道逆流症・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がん・大腸がん)
    2)肝炎・肝硬変
   3.循環器疾患
    1)心疾患・不整脈
    2)高血圧
   4.血液疾患
    1)貧血
    2)白血病
    3)(先天性)血友病
   5.呼吸器疾患
    1)呼吸器感染症・肺炎・誤嚥性肺炎
    2)気管支喘息
    3)慢性閉塞性肺疾患(COPD)
    4)肺結核
    5)睡眠時無呼吸症候群(SAS)
   6.腎・泌尿器疾患
    1)腎疾患
    Clinical Point 人工(腎)透析とは
    2)前立腺疾患・尿路感染症
   7.アレルギー・自己免疫疾患
    1)アレルギー(I型・IV型)
    2)類天疱瘡・天疱瘡(II型)
    3)膠原病(III型)
    4)シェーグレン症候群
   8.感染症
    1)ウイルス性肝炎
    2)HIV・AIDS
    3)カンジダ症
    4)新型コロナウイルス感染症,COVID-19
    Clinical Point エアロゾル感染と空気感染
    5)インフルエンザ
   9.神経系疾患
    1)脳血管疾患
    Clinical Point 高次脳機能障害
    Clinical Point 脳梗塞のFAST
    2)てんかん
    Clinical Point 発作の種類
    3)認知症
    4)パーキンソン病
    5)神経難病
   10.精神疾患
    1)不安障害
    2)抑うつ性障害・双極性障害
    Clinical Point 歯科心身症(口腔心身症)
    3)統合失調症スペクトラム
    Clinical Point ロジャーズの3原則
    4)発達障害とは(ID,ASD,ADHD,SLD)
   11.がん
    1)がん
    2)口腔がん
   12.婦人科疾患
    1)妊娠による変化
    2)更年期障害
 2章 周術期における歯科診療補助
  (1)-周術期における口腔機能管理
   1.周術期における口腔機能管理の概要
    1)対象となる患者
    2)周術期等の口腔機能管理の流れ
    3)周術期における医療連携
    4)周術期等口腔機能管理における歯科衛生士の役割
   2.病態の把握
    1)化学療法(抗悪性腫瘍薬治療)
    Clinical Point 周術期等専門的口腔衛生処置,回復期等専門的口腔衛生処置
    2)放射線治療
    3)全身麻酔下で行う悪性腫瘍患者における外科療法
   3.口腔がん手術前後の歯科衛生士の役割
    1)がん手術と周術期等口腔機能管理の流れについて
    2)初診から治療法が決定するまで〜チームで支える治療決定までのプロセス〜
    3)初診から手術決定までの歯科衛生士の役割
    4)入院前から手術までの周術期健康管理について
    5)手術後の口腔健康管理について(呼吸管理と誤嚥性肺炎のリスク管理の必要性)
    6)摂食嚥下リハビリテーションへの支援と口腔健康管理について(退院後までサポート)
    7)地域歯科医療機関との連携について
   4.周術期等口腔機能管理の症例
   5.周術期等口腔機能管理と周術期等専門的口腔衛生処置の対象患者について
    1)手術・化学放射線療法・緩和
 3章 口腔機能管理
  (1)-口腔機能の種類
   1.摂食嚥下機能
    1)5期モデル
    2)プロセスモデル
   2.発音・構音機能
   3.運動機能
   4.感覚機能
   5.唾液分泌機能
  (2)-成長発育
   1.顎・顔面
   2.歯・歯列
  (3)-口腔機能の検査と評価
   1.口腔機能精密検査
    1)口腔細菌数
    2)口腔乾燥
    3)咬合力
    4)舌口唇運動機能
    5)舌圧
    6)咀嚼機能
    7)嚥下機能
   2.摂食嚥下機能の検査
    1)スクリーニング検査
    2)精密検査
  (5)-摂食嚥下障害と対応
   1.摂食嚥下障害の原因
   2.間接訓練と直接訓練
   3.摂食介助
    1)食事環境,食物形態
    2)摂食介助法
   4.ミールラウンド(食事の観察)
    1)経過観察
    2)ドレナージ
    3)窒息
  (6)-ライフステージに対応した指導
    Clinical Point 栄養サポートチーム(NST)
   1.乳幼児期
    1)哺乳期
    2)離乳期
    3)幼児前期(12か月〜3歳:「歯食べ期」)
    4)幼児後期(3〜5歳)
   2.学齢期
    1)低学年(小学校1・2年)
    2)中学年(小学校3・4年)
    3)高学年(小学校5・6年)
   3.思春期
   4.成人期
    1)若年層
    2)中高年層
   5.高齢期
  (7)-配慮を要する者への指導
   1.発達期の問題を有する者
   2.全身疾患を有する者
   3.緩和ケア,ターミナルケア
    1)WHO(世界保健機関)の緩和ケアの考え方
    2)緩和ケアの介入範囲
    3)口腔健康管理の介入内容の変化
    4)死亡までに残存する機能
    5)緩和ケアにおける口腔のトラブル
 付章1 臨床検査値データシート
  (1)-血液学検査
   1.血球検査
   2.糖
  (2)-生化学検査
   1.タンパク
   2.含窒素成分
   3.脂質代謝関連
   4.生体色素
   5.酵素
  (3)-免疫血清学検査
   1.炎症マーカー
   2.感染マーカー
  (4)-病態と代表的な検査との関連
  (5)-腫瘍マーカー
 付章2 口腔機能低下症の検査
   1.口腔衛生状態不良(口腔不潔)
   2.口腔乾燥
   3.咬合力低下
   4.舌口唇運動機能低下
   5.低舌圧
   6.咀嚼機能低下
   7.嚥下機能低下
 付章3 静脈路確保・点滴の準備
   1.注射の知識
    1)静脈路確保
    2)静脈路確保における歯科衛生士の診療補助
 付章4 診療室環境設備チェックリスト(例)