やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

『歯科衛生学シリーズ』の誕生―監修にあたって
 全国歯科衛生士教育協議会が監修を行ってきた歯科衛生士養成のための教科書のタイトルを,2022年度より,従来の『最新歯科衛生士教本』から『歯科衛生学シリーズ』に変更させていただくことになりました.2022年度は新たに改訂された教科書のみですが,2023年度からはすべての教科書のタイトルを『歯科衛生学シリーズ』とさせていただきます.
 その背景には,全国歯科衛生士教育協議会の2021年5月の総会で承認された「歯科衛生学の体系化」という歯科衛生士の教育および業務に関する大きな改革案の公開があります.この報告では,「口腔の健康を通して全身の健康の維持・増進をはかり,生活の質の向上に資するためのもの」を「歯科衛生」と定義し,この「歯科衛生」を理論と実践の両面から探求する学問が【歯科衛生学】であるとしました.【歯科衛生学】は基礎歯科衛生学・臨床歯科衛生学・社会歯科衛生学の3つの分野から構成されるとしています.
 また,これまでの教科書は『歯科衛生士教本』というような職種名がついたものであり,これではその職業の「業務マニュアル」を彷彿させると,看護分野など医療他職種からたびたび指摘されてきた経緯があります.さらに,現行の臨床系の教科書には「○○学」といった「学」の表記がないことから,歯科衛生士の教育には学問は必要ないのではと教育機関の講師の方から提言いただいたこともありました.
 「日本歯科衛生教育学会」など歯科衛生関連学会も設立され,教育年限も3年以上に引き上げられて,【歯科衛生学】の体系化も提案された今,自分自身の知識や経験が整理され,視野の広がりは臨床上の疑問を解くための指針ともなり,自分が実践してきた歯科保健・医療・福祉の正当性を検証することも可能となります.日常の身近な問題を見つけ,科学的思考によって自ら問題を解決する能力を養い,歯科衛生業務を展開していくことが,少子高齢化が続く令和の時代に求められています.
 科学的な根拠に裏付けられた歯科衛生業務のあり方を新しい『歯科衛生学シリーズ』で養い,生活者の健康に寄与できる歯科衛生士として社会に羽ばたいていただきたいと願っております.
 2022年2月
 一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会理事長
 眞木吉信


発刊の辞
 歯科衛生士の教育が始まり70年余の経過を経た歯科衛生士の役割は,急激な高齢化や歯科医療の需要の変化とともに医科歯科連携が求められ,医科疾患の重症化予防,例えば糖尿病や誤嚥性肺炎の予防など,う蝕や歯周病といった歯科疾患予防の範囲にとどまらず,全身の健康を見据えた口腔健康管理へとその範囲が拡大しています.
 日本政府は,経済財政運営と改革の基本方針「骨太の方針」で,口腔の健康は全身の健康にもつながることから,生涯を通じた歯科健診の充実,入院患者や要介護者をはじめとする国民に対する口腔機能管理の推進,歯科口腔保健の充実や地域における医科歯科連携の構築,歯科保健医療の充実に取り組むなど,歯科関連事項を打ち出しており,2022年の現在においても継承されています.特に口腔衛生管理や口腔機能管理については,歯科口腔保健の充実,歯科医療専門職種間,医科歯科,介護・福祉関係機関との連携を推進し,歯科保健医療提供の構築と強化に取り組むことなどが明記され,徹底した予防投資や積極的な未病への介入が全身の健康につながることとして歯科衛生士の活躍が期待されています.
 歯科衛生士は,多くの医療系職種のなかでも予防を専門とする唯一の職種で,口腔疾患発症後はもちろんのこと,未病である健口のうちから介入することができ,予防から治療に至るまで,継続して人の生涯に寄り添うことができます.
 このような社会のニーズに対応するため歯科衛生学教育は,歯・口腔の歯科学に留まらず,保健・医療・福祉の広範囲にわたる知識を学ぶことが必要となってきました.
 歯科衛生学は「口腔の健康を通して全身の健康の維持・増進をはかり,生活の質の向上に資するためのものを『歯科衛生』と定義し,この『歯科衛生』を理論と実践の両面から探求する学問が歯科衛生学である」と定義されます.そこで歯科衛生士の学問は「歯科衛生学」であると明確にするために,これまでの『歯科衛生士教本』,『新歯科衛生士教本』,『最新歯科衛生士教本』としてきた教本のタイトルを一新し,『歯科衛生学シリーズ』とすることになりました.
 歯科衛生士として求められる基本的な資質・能力を備えるため『歯科衛生学シリーズ』は,プロフェッショナルとしての歯科衛生学の知識と技能を身につけ,保健・医療・福祉の協働,歯科衛生の質と安全管理,社会において貢献できる歯科衛生士,科学的研究や生涯にわたり学ぶ姿勢を修得する教科書として発刊されました.これからの新たな歯科衛生学教育のために,本書が広く活用され,歯科衛生学の発展・推進に寄与することを願っています.
 本書の発刊にご執筆の労を賜った先生方はじめ,ご尽力いただいた医歯薬出版株式会社の皆様に厚く御礼申し上げ,発刊の辞といたします.
 2022年2月
 歯科衛生学シリーズ編集委員会
 高阪利美** 眞木吉信* 合場千佳子 石川裕子 犬飼順子
 遠藤圭子 佐藤 聡 白鳥たかみ 末瀬一彦 戸原 玄
 畠中能子 前田健康 升井一朗 水上美樹 森崎市治郎
 山田小枝子 山根 瞳 吉田直美
 (**編集委員長,*副編集委員長,五十音順)


執筆の序
 全国歯科衛生士教育協議会の2021年5月の総会において,『歯科衛生学の体系化』という歯科衛生士の教育および業務に関する大きな改革案を提案しました.この報告では,「口腔の健康を通して前進の健康の維持・増進をはかり,生活の質の向上に資するためのもの」を「歯科衛生」と定義し,この「歯科衛生」を理論と実践の両面から探求する学問が『歯科衛生学』であるとしました.『歯科衛生学』は基礎歯科衛生学・臨床歯科衛生学・社会歯科衛生学の3つの分野から構成されるとしています.
 この報告を受けて,全国歯科衛生士教育協議会が監修を行ってきた歯科衛生士の養成をめざした教科書すべてのタイトルを,2023年度より,従来の「最新歯科衛生士教本」から『歯科衛生学シリーズ』に変更しました.
 また,2022年3月には歯科衛生士国家試験の出題基準が改定されたこともあり,『保健生態学』の内容にもハイリスクアプローチ,ポピュレーションアプローチ,ソーシャルキャピタルなどの社会学的な用語とその概念を詳述するとともに,高齢者および小児期の口腔機能障害についても追加した部分があります.さらに,感染症を含む環境衛生,口腔衛生および公衆衛生の3つの分野に分けた構成はそのまま維持しましたが,その中の各章の執筆者の半数は,現在歯科医学または歯科衛生学教育の第一線で活躍している新しい先生がたにお願いしました.
 「歯科衛生教育学会」など歯科衛生関連学会も設立され,教育年限も3年以上に引き上げられて,『歯科衛生学』の体系化も提案された今,科学的な根拠に裏付けられた環境衛生学,口腔衛生学および公衆衛生学を,新しい『歯科衛生学シリーズ 保健生態学』で学んでいただき,生活者の健康に寄与できる歯科衛生士として社会に羽ばたいていただきたいと願っております.
 2023年2月
 編集委員 眞木吉信
I編 健康を左右する環境
 1章 総論
  (1)保健生態学とは
  (2)健康の概念
   1.健康とは
   2.生活習慣と健康
   3.プライマリヘルスケアとヘルスプロモーション
   4.健康日本21(第2次)
   5.ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチ
  (3)予防医学の概念
   1.疾患の要因と自然的経過
   2.予防医学の意義
   3.予防法の適用
    1)第一次予防
    2)第二次予防
    3)第三次予防
 2章 疫学
  (1)疫学の定義および概要
   1.疫学とは
   2.疾病や異常(健康障害)の発生要因
   3.健康・疾病・異常の指標
    1)罹患率
    2)有病率
  (2)疫学の研究方法
   1.記述疫学
   2.分析疫学
    1)生態学的研究
    COFFEE BREAK 記述疫学情報の注意点
    2)横断研究
    3)縦断研究
   3.介入研究
  (3)臨床疫学
   1.根拠に基づいた医療(EBM)
   2.スクリーニング検査
    COFFEE BREAK 新型コロナウイルス感染症と疫学
 3章 人口
  (1)人口の動向
   1.世界の人口
   2.わが国の人口
    1)人口の推移
    2)人口統計
    3)人口構造
    4)人口の高齢化
  (2)人口動態統計
   1.出生に関する統計
    1)(粗)出生率
    2)再生産率
    3)出生の動向
   2.死亡に関する統計
    1)(粗)死亡率
    2)年齢調整死亡率
    3)50歳以上死亡割合
    4)死因別死亡率
    5)母子保健に関する死亡率
   3.婚姻と離婚
  (3)生命表
   1.生命表の概念
   2.平均余命と平均寿命
 4章 健康と環境
  (1)環境の概念
   1.外部環境と内部環境
   2.主体-環境系
   3.量-影響関係と量-反応関係
  (2)空気・水と健康
   1.空気
    1)空気の正常成分
    2)空気の異常成分
   2.温熱環境
    1)温熱の4要素
    2)温熱環境の測定器具
    3)温熱環境の総合指標
    4)熱中症
   3.水
    1)上水道
    2)下水道
    COFFEE BREAK フッ素の水質基準・排水基準
  (3)放射線と健康
   1.非電離放射線
    1)紫外線
    2)可視光線
    3)赤外線
    4)マイクロ波
    5)レーザー光線
   2.電離放射線(放射線)
  (4)住居・衣服と健康
   1.住居
    1)採光と照明
    2)換気
    3)冷暖房
    4)空気調和
   2.衣服
  (5)地球環境と健康
   1.地球温暖化
   2.海洋プラスチックごみ問題
   3.酸性雨
   4.オゾン層破壊
   5.砂漠化
   6.森林の減少
  (6)公害と健康への影響
   1.大気の汚染
   2.水の汚染
   3.土壌の汚染
   4.騒音
    1)音の単位
    2)騒音の発生源
    3)騒音による健康障害
    4)振動による健康障害
   5.悪臭
  (7)廃棄物処理
   1.一般廃棄物
   2.産業廃棄物
   3.感染性廃棄物
 5章 感染症
  (1)感染症の成り立ち
   1.感染と発病
   2.感染成立の三要因
    1)病原体(感染源)
    2)感染経路
    3)宿主の感受性
   3.感染症の流行
    COFFEE BREAK 感染症流行に関する用語
  (2)感染症の予防
   1.感染症予防の基本概念
   2.感染症対策上の問題点
    1)耐性菌の出現と日和見感染
    2)輸入感染症
    3)新興感染症と再興感染症
    COFFEE BREAK 院内感染の防止
   3.わが国における感染症対策
    1)感染症法
    2)予防接種法
    3)検疫法
    4)その他
  (3)主な感染症の動向
   1.1類感染症
    1)エボラ出血熱
    2)クリミア・コンゴ出血熱
    3)マールブルグ病
    4)ラッサ熱
   2.2類感染症
    1)ポリオ(急性灰白髄炎)
    2)結核
    3)ジフテリア
    4)鳥インフルエンザ(H5N1・H7N9)
   3.3類感染症
    1)コレラ
    2)細菌性赤痢
    3)腸管出血性大腸菌感染症
    4)腸チフス,パラチフス
   4.4類感染症
    1)マラリア
    2)日本脳炎
    3)A型肝炎
   5.5類感染症
    1)インフルエンザ
    2)B型・C型肝炎
    3)HIV感染症・AIDS(後天性免疫不全症候群)
 6章 食品と健康
  (1)食品保健
   1.食中毒の疫学
   2.食中毒の分類
    1)細菌性食中毒
    2)ウイルス性食中毒
    3)寄生虫による食中毒
    4)化学物質による食中毒
    5)自然毒食中毒
   3.食品の安全性確保
    1)食品の安全性対策
    2)食品の適正な表示
    3)健康食品の安全確保
    4)食品添加物の安全管理
  (2)栄養と健康
   1.日本人の食事摂取基準
   2.国民栄養の現状と問題点
    1)栄養素などの摂取状況
    2)肥満,朝食欠食,運動習慣など生活習慣の状況
   3.健康づくりのための食生活指針と「食育」の推進
II編 歯・口腔の健康と予防
 1章 総論
  (1)歯・口腔の健康
   1.口腔の健康と口腔衛生学の定義
   2.歯・口腔の健康と予防の意義
   3.歯・口腔の健康保持増進のための手段
    1)セルフケア
    2)プロフェッショナルケア
    3)コミュニティケア(パブリックヘルスケア)
  (2)歯・口腔の構造と機能
   1.歯・口腔の構造
    1)歯
    2)歯周組織
    3)口腔粘膜
    4)舌
    5)顎関節
    6)唾液腺
   2.歯・口腔の発生と成長・発育
    1)歯・口腔の発生
    2)歯の石灰化
    3)歯の萌出
    4)エナメル質の萌出後の成熟
    5)顎骨の成長発育
    6)歯列の形成と咬合の成立
    7)歯・口腔の形成と栄養
    COFFEE BREAK 成育医療と口腔成育
    8)歯・口腔の形成異常
   3.歯・口腔の機能
    1)咀嚼
    2)嚥下
    3)味覚
    4)発音・発声
    5)表情と審美性
   4.口腔の健康と全身の健康
    1)歯科疾患と全身の健康
    2)全身疾患と口腔の健康
  (3)歯・口腔の付着物・沈着物
   1.ペリクル
   2.プラーク
    1)プラークの構成
    2)プラークの形成機序
    3)プラークの病原性
   3.マテリアアルバ
   4.歯石
    1)歯石の構成
    2)歯石の組成
    3)歯石の形成機序
   5.舌苔
   6.外来性色素沈着物
    COFFEE BREAK 細菌の分類
 2章 歯科疾患の疫学
  (1)う蝕の疫学
   1.う蝕の疫学的特性
   2.わが国におけるう蝕の有病状況
  (2)歯周病の疫学
   1.歯周病の疫学的特性
   2.わが国における歯周病の状況
  (3)歯の喪失の疫学
  (4)その他の疫学
   1.不正咬合の疫学
   2.顎関節症の疫学
   3.口腔癌の疫学
   4.口腔粘膜疾患の疫学
 3章 口腔清掃
  (1)口腔清掃の意義
  (2)口腔清掃法
   1.自然的清掃法
   2.機械的清掃法
   3.手術的清掃法
   4.化学的清掃法
  (3)機械的清掃法と用具
   1.歯ブラシ
    1)手用歯ブラシ
    2)その他の歯ブラシ
    3)歯ブラシの交換時期
    4)ブラッシング方法
   2.歯間部清掃用具
    1)デンタルフロス
    2)歯間ブラシ
   3.その他の清掃用具
    1)タフトブラシ
    2)トゥースピーク(つま楊枝)
    3)ラバーチップ(歯間刺激子)
    4)スポンジブラシ
    5)舌ブラシ
    6)義歯用ブラシ
    7)口腔洗浄器
   4.プラークの染め出し
    1)プラークの染め出しの意義
    2)歯垢染色剤
  (4)不適切な口腔清掃による為害作用
   1.歯ブラシによるもの
    1)硬組織への影響
    2)軟組織への影響
   2.歯間部補助清掃用具によるもの
    1)デンタルフロス
    2)歯間ブラシ
   3.舌ブラシによるもの
   4.歯ブラシと歯磨剤の併用によるもの
  (5)歯磨剤と洗口液・洗口剤
   1.歯磨剤と洗口液・洗口剤の種類
   2.歯磨剤の組成
    1)基本成分
    2)薬用成分
   3.洗口液の組成
   4.医薬品としての洗口剤
 4章 う蝕の予防
  (1)う蝕発生と進行のメカニズム
   1.う蝕の定義
   2.う蝕発生の病因論の歴史
   3.う蝕の発生・進行のメカニズム
  (2)う蝕の分類と症状
    CLINICAL POINT CO(要観察歯)について
  (3)う蝕の発生要因
   1.う蝕発生の概念図
   2.宿主と歯の要因(宿主要因)
    1)唾液の性質
    2)歯の形態や部位
    3)エナメル質の萌出後の成熟
   3.口腔細菌の要因(病原要因)
    1)ミュータンスレンサ球菌
    2)その他のレンサ球菌
    3)その他の細菌
   4.飲食物(食餌性基質)の要因(環境要因)
    1)糖質の種類とう蝕
    2)糖質の量とう蝕
    3)糖質の摂取方法とう蝕
   5.う蝕の社会経済的要因
  (4)う蝕活動性試験
   1.う蝕活動性試験の目的
   2.う蝕活動性試験の種類と方法
  (5)う蝕の予防方法
   1.予防医学の概念とう蝕予防
    1)第一次予防
    2)第二次予防
    3)第三次予防
   2.発生要因に応じたう蝕予防
    1)宿主要因とう蝕予防
    2)口腔細菌要因とう蝕予防
    3)飲食物要因とう蝕予防
   3.手段とう蝕予防
    1)セルフケア
    2)プロフェッショナルケア
    3)コミュニティケア(パブリックヘルスケア)
   4.う蝕予防のエビデンス
 5章 フッ化物によるう蝕予防
  (1)わが国のフッ化物応用
  (2)フッ化物の一般性状と用語
   1.フッ化物の一般性状
   2.フッ化物の用語
  (3)人間生態系におけるフッ化物
  (4)フッ化物摂取量とその基準
   1.日本人のフッ化物摂取量
   2.フッ化物摂取量の基準
  (5)フッ化物の代謝
   1.吸収
    1)空気中のフッ化物の吸収
    2)飲料水中のフッ化物の吸収
    3)お茶に含まれるフッ化物の吸収
    4)食品からのフッ化物の吸収
   2.血液中のフッ化物
   3.沈着
   4.排泄
  (6)フッ化物の毒性
   1.急性毒性
    1)急性中毒発現量
    2)致死量
    3)症状
    4)急性中毒発現時の救急処置
   2.慢性毒性
    1)歯のフッ素症
    2)骨硬化症
    3)その他の臓器に対する影響
  (7)フッ化物応用によるう蝕予防方法
   1.フッ化物歯面塗布
    1)効果的な塗布時期
    2)フッ化物歯面塗布溶液とゲルの種類
    3)フッ化物歯面塗布の術式
    4)その他の局所応用フッ化物製剤
    5)保健指導時の注意点
   2.フッ化物洗口
    1)フッ化物洗口の考え方
    2)集団フッ化物洗口の実施について
    3)集団フッ化物洗口の実施上の留意事項
    4)地方公共団体による集団フッ化物洗口事業の実施について
    5)フッ化物洗口の安全性について
    6)その他
    7)洗口に用いる薬剤と溶液
   3.フッ化物配合歯磨剤
    1)配合されているフッ化物
    2)対象と特徴
    3)効果的な使い方
   4.水道水フロリデーション
    1)米国における水道水フロリデーションとわが国の状況
    2)水道水に添加する至適フッ化物イオン濃度
    3)水道水フロリデーションによるう蝕予防効果
   5.食品へのフッ化物添加
   6.フッ化物サプリメント(錠剤・液剤)
  (8)フッ化物のう蝕予防メカニズム
 6章 歯周疾患の予防
  (1)歯周疾患の症状と分類
   1.歯周組織の構造と炎症の広がり
    1)歯周組織の構造
    2)歯肉炎
    3)歯周炎
    4)歯周組織の診査
   2.歯周疾患の分類
  (2)歯周疾患の発症機序
   1.細菌側の因子
   2.歯肉炎から歯周炎への移行
   3.歯周疾患のリスクファクター
  (3)歯周疾患の全身に与える影響
  (4)歯周疾患の予防手段と処置
   1.歯周疾患の予防段階
   2.付着細菌の除去
    COFFEE BREAK 全身疾患の口腔内症状
    COFFEE BREAK 歯周疾患予防を成功させるために
   3.プラーク蓄積因子の除去
   4.口腔の環境因子の改善
   5.定期的歯科健診と歯科保健
 7章 その他の疾患・異常の予防
  (1)不正咬合の予防
   1.不正咬合の原因と種類
   2.不正咬合の影響
   3.不正咬合の予防方法
  (2)口臭の予防
   1.口臭の原因
    1)口臭の原因物質
    2)口腔由来の口臭
    3)全身疾患と口臭
    4)口臭と唾液
   2.口臭の分類
   3.口臭の検査
    1)官能検査
    2)ガスクロマトグラフィー検査
   4.口臭の予防方法
    1)舌苔の制御
    2)その他口腔環境の改善
  (3)その他の歯科疾患・異常の予防
   1.歯の損耗(tooth wear)
   2.歯の破折
   3.歯・口腔の外傷
   4.顎関節症
    1)分類
    2)実態
    3)要因
    4)予防
   5.口腔癌
   6.着色歯・変色歯
   7.口腔機能低下症
    1)口腔機能低下症の診断基準と検査方法
    2)口腔機能低下症の予防と管理
   8.その他
    1)歯の形成不全
    2)口内炎
    3)口腔乾燥症(ドライマウス)
    4)味覚異常など
III編 健康に関わる地域の役割
 1章 地域保健・公衆衛生
  (1)地域社会と地域保健の概念
   1.地域社会と健康
    1)地域社会とは
    2)地域包括ケアシステム
    3)地域特性の把握
    4)人々の生活様式と健康
   2.地域保健の概念
    1)地域保健とは
    2)公衆衛生から地域保健へ
    3)地域保健の関連施策の体系
    4)地域保健の対象と配慮
    5)地域保健対策推進の基本的方向性
   3.ハイリスクアプローチからポピュレーションアプローチへ
    1)ハイリスクアプローチとポピュレーションアプローチ
  (2)地域保健の組織
   1.市町村
   2.都道府県
   3.国
   4.保健所
    1)設置状況
    2)職員
    3)業務
   5.市町村保健センター
   6.地域歯科保健に関する組織
    1)地域歯科保健の実施体制
    2)歯科専門職の配置
   7.地域保健の推進に関わる多様な組織
    1)民間組織・団体
    2)学校・企業
    3)住民組織
    4)ボランティア団体・NPOなど
  (3)地域保健の新たな概念
   1.ヘルスプロモーション
    1)ヘルスプロモーションとは
    2)ヘルスプロモーションと歯科保健
   2.ソーシャルキャピタル
   3.ノーマライゼーションと生活機能
   4.健康危機管理
   5.保健指導から行動経済学へ
  (4)地域保健活動の進め方
   1.現状の把握
    1)地域住民の声
    2)既存資料・データ
    3)健康診査・健康調査
   2.問題の分析,活動項目の決定
    1)緊急性,重要性
    2)住民の必要性
    3)科学的な妥当性
    4)実効性
   3.活動計画と実施
    1)目的と目標設定
    2)対象
    3)実施時期・期間,実施場所
    4)実施主体
    5)実施内容・方法
   4.活動の評価
    1)アウトカム(結果・成果)評価
    2)アウトプット(事業実施量)評価
    3)プロセス(過程)評価
    4)ストラクチャー(構造)評価
   5.具体的アプローチ方法
    1)健康教育
    2)健康相談
    3)健康診査
    4)健康調査
    5)予防処置
    6)訪問指導
    7)住民参加
    8)多職種の理解と協働
    9)ネットワークづくり
  (5)健康づくり対策と地域歯科保健
   1.健康づくり対策の変遷
   2.地域歯科保健の変遷と8020運動
   3.健康日本21と健康増進法
   4.歯科口腔保健の推進に関する法律(歯科口腔保健法)
   5.その他の主な地域保健福祉関連施策
    1)健やか親子21の推進
    2)少子化対策(次世代育成支援)の推進
    3)児童虐待の防止
    4)健康増進事業の実施
    5)介護保険制度と歯科
    6)障害者(児)支援対策
 2章 母子保健
  (1)母子保健の目的および概要
   1.母子保健の目的・意義
   2.母子保健の概要
    1)市町村が実施する母子保健事業
    2)都道府県(保健所)が行う母子保健施策
    3)その他の母子保健事業
  (2)母子保健
   1.母性保健
   2.妊産婦の職業と環境
  (3)小児保健
   1.乳幼児健康診査
    1)乳児健診(出生後4〜5カ月)
    2)1歳6か月児健康診査(母子保健法第12条)
    3)3歳児健康診査(母子保健法第12条)
   2.幼児期の保健指導
  (4)歯・口腔について
   1.妊産婦期
   2.乳児健診時(生後4〜5カ月)
   3.1歳6か月児健診時
   4.3歳児健診時
   5.4歳から就学前児の歯科保健
  (5)母子保健の現状と今後
 3章 学校保健
  (1)学校保健の意義および概要
   1.学校保健の意義と特徴
   2.新しい健康問題への対応
  (2)学校保健の活動と組織
   1.学校保健の行政組織と関係法規
    1)学校保健安全法
    2)学校教育法
    3)その他
   2.学校保健職員と役割
    1)常勤職員
    2)非常勤職員
   3.学校保健の3領域
    1)保健教育
    2)保健管理
    3)組織活動
  (3)学校歯科保健
   1.学校における歯科保健問題
    1)う蝕
    2)歯肉炎
    3)歯列不正
    4)スポーツ外傷
   2.学校歯科保健教育
    COFFEE BREAK 健康増進法と学校保健
   3.学校歯科健康診断
    1)健康診断の種類
    2)定期の歯科健康診断
    3)CO,GOの事後措置
    4)健康相談
   4.歯科衛生士と学校歯科保健活動
 4章 成人保健
  (1)成人保健の意義
  (2)生活習慣病
   1.生活習慣病の定義
   2.生活習慣病の動向
    1)悪性新生物(がん)
    2)脳血管疾患
    3)心疾患
    4)糖尿病
    5)高血圧性疾患(高血圧症)
    6)脂質異常症
    7)メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)
  (3)成人保健(生活習慣病)対策
   1.特定健康診査・特定保健指導
    1)実施者と対象
    2)高齢者の医療の確保に関する法律における用語の定義
    3)特定健康診査
    4)特定保健指導
    5)特定健康診査・特定保健指導の特徴
   2.市町村の健康増進事業
   3.スマート・ライフ・プロジェクト
   4.がん対策
  (4)成人歯科保健
   1.成人期の歯科保健の現状と目標
    1)現状
    2)目標
   2.成人期の歯科保健事業
    1)歯周疾患検診
    2)特定保健指導
 5章 産業保健
  (1)産業保健の概念
   1.産業保健のあゆみ
   2.産業保健の目的
   3.産業保健の特徴
   4.労働基準行政の組織
   5.産業衛生に関する法規
    1)労働安全衛生法
    2)労働基準法
    3)作業環境測定法
    4)労働者災害補償保険法(労災保険法)
    5)じん肺法
  (2)職業性疾病
   1.職業性疾病
    1)作業環境要因
    2)作業要因
    3)社会的要因
   2.職業性疾病の発生状況
   3.職業性歯科疾患
    1)歯の酸蝕症
    2)黄色環(カドミウムリング)
    3)摩耗症
    4)菓子屋う蝕症
  (3)産業保健管理
   1.安全衛生管理体制
   2.衛生委員会
   3.産業医,産業歯科医
   4.総括安全衛生管理者,衛生管理者
  (4)産業保健活動
   1.産業保健対策
    1)作業環境管理
    2)作業管理
    3)健康管理
   2.健康診断および歯科健康診断
    1)一般健康診断
    2)特殊健康診断
    3)臨時の健康診断
   3.健康診断の事後措置
   4.健康保持増進対策
   5.職域での口腔保健
 6章 高齢者保健
  (1)高齢者保健の現状と意義
   1.人口統計による高齢化の現状
   2.生理的老化と病的老化
   3.フレイルと関連概念
    1)フレイル
    2)老年症候群
    3)ロコモティブシンドローム,サルコペニア
   4.口腔機能低下とオーラルフレイル
   5.認知症と軽度認知障害(MCI)
  (2)高齢者保健に関する公的制度
   1.高齢者の医療の確保に関する法律(高齢者医療確保法)による健康づくり
   2.健康増進法に基づく健康増進事業による高齢期の健康づくり
   3.高齢者の保健事業と介護予防の一体的な実施
   4.認知症施策推進総合戦略(新オレンジプラン)に基づく対策
   5.地域包括ケアシステム
  (3)介護保険制度
   1.介護保険の仕組み
   2.介護保険の流れ
    1)申請から要介護認定
    2)要介護認定に基づく介護サービス給付
    3)介護サービス計画(ケアプラン)と介護予防サービス計画(介護予防ケアプラン)の作成
    4)介護保険によるサービス
   3.介護予防のための施策
   4.地域包括支援センターの役割
  (4)要支援・要介護高齢者に対する口腔健康管理の有用性
 7章 精神保健
  (1)精神保健とはなにか
  (2)精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(精神保健福祉法)
   1.制定の経緯
    1)精神病者監護法と精神病院法の制定
    2)精神衛生法から精神保健法へ
    3)精神保健法の制定
    4)精神保健福祉法の成立
  (3)ライフステージにおける精神保健
   1.胎児期
   2.乳幼児期(0〜6歳)
   3.学童期(6〜12歳)
   4.思春期(13〜18歳)
   5.成人期
   6.老年期
  (4)精神保健の動向
   1.精神保健の統計
    1)精神疾患の患者数
    2)精神障害者の構成割合
    3)入院形態別患者数
   2.精神障害者の社会復帰施策
    1)精神科デイケア
    2)リワーク(復職)支援
  (5)精神保健福祉にかかわる行政機関および専門職
   1.行政機関
    1)厚生労働省
    2)都道府県・指定都市
    3)市町村
   2.精神保健福祉活動に関わる専門職種
   3.精神保健福祉活動における多職種連携
  (6)精神障害者の歯科保健
 8章 災害時の歯科保健
  (1)大規模災害時の保健医療対策
   1.日頃からの災害対策
   2.災害対策本部と災害時のフェーズ
   3.医療救護チームと災害拠点病院
   4.超急性期の災害医療
   5.急性期の歯科医療救護・口腔支援
   6.誤嚥性肺炎と災害関連死
  (2)被災地での歯科保健活動
   1.被災地での歯科保健活動に必要な心構え
   2.歯科衛生士が行う被災者支援と歯科保健活動
    1)保健活動フェーズ0〜1
    2)保健活動フェーズ2
    3)保健活動フェーズ3以降
  (3)災害時の個人識別における歯科衛生士の役割
   1.災害時医療としての歯科的個人識別
   2.歯科的個人識別の実際
    1)口腔内写真撮影
    2)エックス線写真撮影
    3)メモとしてのデンタルチャート作成
   3.災害時の歯科的個人識別における歯科衛生士の役割
 9章 国際保健
  (1)国際保健の概要(医療全体)
   1.国際保健の課題
   2.持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)
   3.国際機関の種類と活動
    1)世界保健機関(WHO)
    2)国際児童基金(UNICEF)
    3)国連合同エイズ計画(UNAIDS)
   4.国際協力と国際交流
    1)政府開発援助
    2)国際協力機構
  (2)国際歯科保健活動の現状
   1.開発途上国への歯科保健医療協力
   2.国際歯科保健の現状
    1)歯科疾患
    2)口腔保健従事者
   3.国際歯科保健の推進