『歯科衛生学シリーズ』の誕生
全国歯科衛生士教育協議会が監修を行ってきた歯科衛生士養成のための教科書のタイトルを,従来の『最新歯科衛生士教本』から『歯科衛生学シリーズ』に変更させていただくことになりました.2022年度は新たに改訂された教科書2点を,2023年度からはすべての教科書のタイトルを『歯科衛生学シリーズ』とさせていただきます.
全衛協が監修及び編集を行ってきた教科書としては,『歯科衛生士教本』,『新歯科衛生士教本』,『最新歯科衛生士教本』があり,その時代にあわせて改訂・発刊をしてきました.しかし,これまでの『歯科衛生士教本』には「歯科衛生士」という職種名がついていたため,医療他職種からは職業としての「業務マニュアル」を彷彿させると,たびたび指摘されてきました.さらに,一部の歯科医師からは歯科衛生士の教育に学問は必要ないという誤解を生む素地にもなっていたようです.『歯科衛生学シリーズ』というタイトルには,このような指摘・誤解に応えるとともに学問としての【歯科衛生学】を示す目的もあるのです.
『歯科衛生学シリーズ』誕生の背景には,全国歯科衛生士教育協議会の2021年5月の総会で承認された「歯科衛生学の体系化」という歯科衛生士の教育および業務に関する大きな改革案の公開があります.この報告では,「口腔の健康を通して全身の健康の維持・増進をはかり,生活の質の向上に資するためのもの」を「歯科衛生」と定義し,この「歯科衛生」を理論と実践の両面から探求する学問が【歯科衛生学】であるとしました.【歯科衛生学】は基礎歯科衛生学・臨床歯科衛生学・社会歯科衛生学の3つの分野から構成されるとしています.また,令和4年には歯科衛生士国家試験出題基準も改定されたことから,各分野の新しい『歯科衛生学シリーズ』の教科書の編集を順次進めております.
教育年限が3年以上に引き上げられて,短期大学や4年制大学も2桁の数に増加し,「日本歯科衛生教育学会」など【歯科衛生学】の教育に関連する学会も設立され,【歯科衛生学】の体系化も提案された今,自分自身の知識や経験が整理され,視野の広がりは臨床上の疑問を解くための指針ともなり,自分が実践してきた歯科保健・医療・福祉の正当性を検証することも可能となります.日常の身近な問題を見つけ,科学的思考によって自ら問題を解決する能力を養い,歯科衛生業務を展開していくことが令和の時代に求められています.
2023年1月
一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会理事長
眞木吉信
最新歯科衛生士教本の監修にあたって
歯科衛生士教育は,昭和24(1949)年に始まって以来,62年を迎えました.この間,平均寿命と人口構成,疾病構造などの変化,さらには歯科医学・医療技術の発展などを背景に,歯科医療・保健に対する社会的ニーズが高まり,歯科衛生士教育にも質的・量的な充実が要求され,度重なる法制上の整備や改正が行われてきました.平成17(2005)年4月には,今日の少子高齢化の進展,医療の高度化・多様化など教育を取り巻く環境の変化に伴い,さらなる歯科衛生士の資質向上をはかることを目的にして,歯科衛生士学校養成所指定規則の改正が行われ,平成22(2010)年にすべての養成機関で修業年限が3年制以上となりました.
21世紀を担っていく歯科衛生士には,さまざまな課題が課せられております.今日では,健康志向の高まりや食育の重要性が叫ばれるなか,生活習慣病としての歯周病,全身疾患,摂食嚥下障害を有した患者や介護を要する高齢者の増加に対し,これまで以上に予防や食べる機能を重視し,口腔と全身の関係を考慮しながら対応していくこと,あるいは他職種との連携が求められています.また,歯周治療の進展や,インプラントなどの技術が広く普及するに伴って患者のニーズが多様化しつつあり,それらの技術に関わるメインテナンスなどの新たな知識の習得も必須です.歯科衛生士には,このような,患者のさまざまなニーズに則したよりよい支援ができる視点と能力がますます必要になってきており,そのためには業務の基盤となる知識と技術の習得が基本となります.
全国歯科衛生士教育協議会では,こうした社会的要請に対応すべくこれまで活動の一環として,昭和47(1972)年本協議会最初の編集となる「歯科衛生士教本」,昭和57(1982)年修業年限が2年制化された時期の「改訂歯科衛生士教本」,平成3(1991)年歯科衛生士試験の統一化に対応した「新歯科衛生士教本」を編集しました.そして今回,厚生労働省「歯科衛生士の資質向上に関する検討会」で提示された内容および上記指定規則改正を踏まえ,本協議会監修の全面改訂版「最新歯科衛生士教本」を発刊するに至りました.
本シリーズは,歯科衛生士教育の実践に永年携わってこられ,また歯科医療における歯科衛生士の役割などに対し造詣の深い,全国の歯科大学,歯学部,医学部,歯科衛生士養成機関,その他関係機関の第一線で活躍されている先生方に執筆していただき,同時に内容・記述についての吟味を経て,歯科衛生士を目指す学生に理解しやすいような配慮がなされています.本協議会としては,今後の歯科衛生士教育の伸展に向けて本シリーズが教育の現場で十分に活用され,ひいては国民の健康およびわが国の歯科医療・保健の向上に大いに寄与することを期待しております.
最後に本シリーズの監修にあたり,多くのご助言とご支援・ご協力をいただいた先生方,ならびに全国の歯科衛生士養成機関の関係者に心より厚く御礼申し上げます.
2012年7月
全国歯科衛生士教育協議会会長
松井恭平
発刊の辞
今日,歯科衛生士は,高齢社会に伴う医療問題の変化と歯科衛生士の働く領域の拡大などの流れのなか,大きな転換期に立たされています.基礎となる教育に求められる内容も変化してきており,社会のニーズに対応できる教育を行う必要性から2005(平成17)年4月に歯科衛生士学校養成所指定規則が改正され,歯科衛生士の修業年限は2年以上から3年以上に引き上げられ,2010年4月からは全校が3年以上となりました.
また,「日本歯科衛生学会」が2006年11月に設立され,歯科衛生士にも学術研究や医療・保健の現場における活躍の成果を発表する場と機会が,飛躍的に拡大しました.さらに,今後ますます変化していく歯科衛生士を取り巻く環境に十分対応しうる歯科衛生士自身のスキルアップが求められています.
「最新歯科衛生士教本」は上記を鑑み,前シリーズである「新歯科衛生士教本」の内容を見直し,現在の歯科衛生士に必要な最新の内容を盛り込むため,2003年に編集委員会が組織されて検討を進めてまいりましたが,発足以来,社会の変化を背景に,多くの読者からの要望が編集委員会に寄せられるようになりました.そこで,この編集委員会の発展継承をはかり,各分野で歯科衛生士教育に関わる委員を迎えて2008年から編集委員の構成を新たにし,改めて編集方針や既刊の教本も含めた内容の再点検を行うことで,発行体制を強化しました.
本シリーズでは「考える歯科衛生士」を育てる一助となるよう,読みやすく理解しやすい教本とすることを心がけました.また,到達目標を明示し,用語解説や歯科衛生士にとって重要な内容を別項として記載するなど,新しい体裁を採用しています.
なお,重要と思われる事項については,他分野の教本と重複して記載してありますが,科目間での整合性をはかるよう努めています.
この「最新歯科衛生士教本」が教育で有効に活用され,歯科衛生士を目指す学生の知識修得,および日頃の臨床・臨地実習のお役に立つことを願ってやみません.
2012年7月
最新歯科衛生士教本編集委員会
松井恭平* 合場千佳子 遠藤圭子 栗原英見 高阪利美
白鳥たかみ 末瀬一彦 田村清美 戸原 玄 畠中能子
福島正義 藤原愛子 前田健康 眞木吉信 升井一朗
松田裕子 水上美樹 森崎市治郎 山田小枝子 山根 瞳
(*編集委員長,五十音順)
執筆の序
病理学は,病気の原因,発症の機序,進展,および転帰を明らかにし,病気の予防や治療の基礎となる知見を統合する学問分野です.病理学では,各疾病の共通性を「病理学総論」として,臓器などにおける各疾病の特徴を「病理学各論」として扱い,口腔領域の各論は「口腔病理学」といいます.本書も病理学総論(I編)と口腔病理学(II編)の構成になっています.ほかの科目の教本と異なり,この総論が病理学の特徴ともいえます.
総論で述べられている病理学的な考え方は医学の基礎であり,歴史的に用いられてきた医学用語を含めて,歯科医学を含む医学や医療に携わる者が共通に身につけなければならない基本です.この共通理解があってはじめて,医療現場で医療者間のコミュニケーションがとれ,また,患者さんへの十分な説明が可能になります.
病理学は,そのような医学や医療の基本的な考え方を提供するとともに,解剖学,生理学,微生物学,薬理学などの基礎医学の知識を医療へ結びつけるために統合し,また,主に病理組織診断として,臨床各科へ医療に直結する情報を提供し,さらに疾病の予防に有用な知見を提供しています.
本書では,このような統合的科目としての病理学を理解しやすくするため,他科目と共通する項目には,最新歯科衛生士教本シリーズの関連する項目やページを各所に記載しています.一方,ほかの教本と重複する記載はできるだけ避けてありますので,この参照ページの記載がある項目は他教本を必ず参照して,理解を確実なものにしてください.
平成23年には「歯科口腔保健の推進に関する法律」が施行され,わが国でははじめて口腔保健という言葉が入った法律が整備されました.この法律の理念には,生涯にわたる口腔保健とほかの関連分野との連携があります.これは口腔保健が全身的な疾病や健康と密接に関係し,また,ほかの健康施策との連携が重要であるためですが,口腔保健の最前線に立つ歯科衛生士には,今後,ますます全身的な疾病と健康の理解や,ほかの健康・医療分野と連携するための基本知識が求められているともいえます.病理学から得られる医学の基本的な,そして統合的な考え方と知識は,この法律が求めている理念を実践するためにも不可欠なものです.
本書は,新しい歯科衛生士の教育制度や国家試験出題基準などに対応して企画された最新歯科衛生士教本シリーズの教本として,全国の口腔病理学の各分野で活躍されている多数の執筆者による分担執筆です.各章の内容に即して,歯科衛生士を目指す初学者にとって,できるだけわかりやすく平易な記載を心がけ,また,多くの図表を用いて,各章ごとに工夫をしています.新しい時代が求めている歯科衛生士教本として,関係諸氏のご指摘をお願いし,今後,改訂されていくことを期します.
2012年7月
執筆者代表
仙波伊知郎
田 隆
全国歯科衛生士教育協議会が監修を行ってきた歯科衛生士養成のための教科書のタイトルを,従来の『最新歯科衛生士教本』から『歯科衛生学シリーズ』に変更させていただくことになりました.2022年度は新たに改訂された教科書2点を,2023年度からはすべての教科書のタイトルを『歯科衛生学シリーズ』とさせていただきます.
全衛協が監修及び編集を行ってきた教科書としては,『歯科衛生士教本』,『新歯科衛生士教本』,『最新歯科衛生士教本』があり,その時代にあわせて改訂・発刊をしてきました.しかし,これまでの『歯科衛生士教本』には「歯科衛生士」という職種名がついていたため,医療他職種からは職業としての「業務マニュアル」を彷彿させると,たびたび指摘されてきました.さらに,一部の歯科医師からは歯科衛生士の教育に学問は必要ないという誤解を生む素地にもなっていたようです.『歯科衛生学シリーズ』というタイトルには,このような指摘・誤解に応えるとともに学問としての【歯科衛生学】を示す目的もあるのです.
『歯科衛生学シリーズ』誕生の背景には,全国歯科衛生士教育協議会の2021年5月の総会で承認された「歯科衛生学の体系化」という歯科衛生士の教育および業務に関する大きな改革案の公開があります.この報告では,「口腔の健康を通して全身の健康の維持・増進をはかり,生活の質の向上に資するためのもの」を「歯科衛生」と定義し,この「歯科衛生」を理論と実践の両面から探求する学問が【歯科衛生学】であるとしました.【歯科衛生学】は基礎歯科衛生学・臨床歯科衛生学・社会歯科衛生学の3つの分野から構成されるとしています.また,令和4年には歯科衛生士国家試験出題基準も改定されたことから,各分野の新しい『歯科衛生学シリーズ』の教科書の編集を順次進めております.
教育年限が3年以上に引き上げられて,短期大学や4年制大学も2桁の数に増加し,「日本歯科衛生教育学会」など【歯科衛生学】の教育に関連する学会も設立され,【歯科衛生学】の体系化も提案された今,自分自身の知識や経験が整理され,視野の広がりは臨床上の疑問を解くための指針ともなり,自分が実践してきた歯科保健・医療・福祉の正当性を検証することも可能となります.日常の身近な問題を見つけ,科学的思考によって自ら問題を解決する能力を養い,歯科衛生業務を展開していくことが令和の時代に求められています.
2023年1月
一般社団法人 全国歯科衛生士教育協議会理事長
眞木吉信
最新歯科衛生士教本の監修にあたって
歯科衛生士教育は,昭和24(1949)年に始まって以来,62年を迎えました.この間,平均寿命と人口構成,疾病構造などの変化,さらには歯科医学・医療技術の発展などを背景に,歯科医療・保健に対する社会的ニーズが高まり,歯科衛生士教育にも質的・量的な充実が要求され,度重なる法制上の整備や改正が行われてきました.平成17(2005)年4月には,今日の少子高齢化の進展,医療の高度化・多様化など教育を取り巻く環境の変化に伴い,さらなる歯科衛生士の資質向上をはかることを目的にして,歯科衛生士学校養成所指定規則の改正が行われ,平成22(2010)年にすべての養成機関で修業年限が3年制以上となりました.
21世紀を担っていく歯科衛生士には,さまざまな課題が課せられております.今日では,健康志向の高まりや食育の重要性が叫ばれるなか,生活習慣病としての歯周病,全身疾患,摂食嚥下障害を有した患者や介護を要する高齢者の増加に対し,これまで以上に予防や食べる機能を重視し,口腔と全身の関係を考慮しながら対応していくこと,あるいは他職種との連携が求められています.また,歯周治療の進展や,インプラントなどの技術が広く普及するに伴って患者のニーズが多様化しつつあり,それらの技術に関わるメインテナンスなどの新たな知識の習得も必須です.歯科衛生士には,このような,患者のさまざまなニーズに則したよりよい支援ができる視点と能力がますます必要になってきており,そのためには業務の基盤となる知識と技術の習得が基本となります.
全国歯科衛生士教育協議会では,こうした社会的要請に対応すべくこれまで活動の一環として,昭和47(1972)年本協議会最初の編集となる「歯科衛生士教本」,昭和57(1982)年修業年限が2年制化された時期の「改訂歯科衛生士教本」,平成3(1991)年歯科衛生士試験の統一化に対応した「新歯科衛生士教本」を編集しました.そして今回,厚生労働省「歯科衛生士の資質向上に関する検討会」で提示された内容および上記指定規則改正を踏まえ,本協議会監修の全面改訂版「最新歯科衛生士教本」を発刊するに至りました.
本シリーズは,歯科衛生士教育の実践に永年携わってこられ,また歯科医療における歯科衛生士の役割などに対し造詣の深い,全国の歯科大学,歯学部,医学部,歯科衛生士養成機関,その他関係機関の第一線で活躍されている先生方に執筆していただき,同時に内容・記述についての吟味を経て,歯科衛生士を目指す学生に理解しやすいような配慮がなされています.本協議会としては,今後の歯科衛生士教育の伸展に向けて本シリーズが教育の現場で十分に活用され,ひいては国民の健康およびわが国の歯科医療・保健の向上に大いに寄与することを期待しております.
最後に本シリーズの監修にあたり,多くのご助言とご支援・ご協力をいただいた先生方,ならびに全国の歯科衛生士養成機関の関係者に心より厚く御礼申し上げます.
2012年7月
全国歯科衛生士教育協議会会長
松井恭平
発刊の辞
今日,歯科衛生士は,高齢社会に伴う医療問題の変化と歯科衛生士の働く領域の拡大などの流れのなか,大きな転換期に立たされています.基礎となる教育に求められる内容も変化してきており,社会のニーズに対応できる教育を行う必要性から2005(平成17)年4月に歯科衛生士学校養成所指定規則が改正され,歯科衛生士の修業年限は2年以上から3年以上に引き上げられ,2010年4月からは全校が3年以上となりました.
また,「日本歯科衛生学会」が2006年11月に設立され,歯科衛生士にも学術研究や医療・保健の現場における活躍の成果を発表する場と機会が,飛躍的に拡大しました.さらに,今後ますます変化していく歯科衛生士を取り巻く環境に十分対応しうる歯科衛生士自身のスキルアップが求められています.
「最新歯科衛生士教本」は上記を鑑み,前シリーズである「新歯科衛生士教本」の内容を見直し,現在の歯科衛生士に必要な最新の内容を盛り込むため,2003年に編集委員会が組織されて検討を進めてまいりましたが,発足以来,社会の変化を背景に,多くの読者からの要望が編集委員会に寄せられるようになりました.そこで,この編集委員会の発展継承をはかり,各分野で歯科衛生士教育に関わる委員を迎えて2008年から編集委員の構成を新たにし,改めて編集方針や既刊の教本も含めた内容の再点検を行うことで,発行体制を強化しました.
本シリーズでは「考える歯科衛生士」を育てる一助となるよう,読みやすく理解しやすい教本とすることを心がけました.また,到達目標を明示し,用語解説や歯科衛生士にとって重要な内容を別項として記載するなど,新しい体裁を採用しています.
なお,重要と思われる事項については,他分野の教本と重複して記載してありますが,科目間での整合性をはかるよう努めています.
この「最新歯科衛生士教本」が教育で有効に活用され,歯科衛生士を目指す学生の知識修得,および日頃の臨床・臨地実習のお役に立つことを願ってやみません.
2012年7月
最新歯科衛生士教本編集委員会
松井恭平* 合場千佳子 遠藤圭子 栗原英見 高阪利美
白鳥たかみ 末瀬一彦 田村清美 戸原 玄 畠中能子
福島正義 藤原愛子 前田健康 眞木吉信 升井一朗
松田裕子 水上美樹 森崎市治郎 山田小枝子 山根 瞳
(*編集委員長,五十音順)
執筆の序
病理学は,病気の原因,発症の機序,進展,および転帰を明らかにし,病気の予防や治療の基礎となる知見を統合する学問分野です.病理学では,各疾病の共通性を「病理学総論」として,臓器などにおける各疾病の特徴を「病理学各論」として扱い,口腔領域の各論は「口腔病理学」といいます.本書も病理学総論(I編)と口腔病理学(II編)の構成になっています.ほかの科目の教本と異なり,この総論が病理学の特徴ともいえます.
総論で述べられている病理学的な考え方は医学の基礎であり,歴史的に用いられてきた医学用語を含めて,歯科医学を含む医学や医療に携わる者が共通に身につけなければならない基本です.この共通理解があってはじめて,医療現場で医療者間のコミュニケーションがとれ,また,患者さんへの十分な説明が可能になります.
病理学は,そのような医学や医療の基本的な考え方を提供するとともに,解剖学,生理学,微生物学,薬理学などの基礎医学の知識を医療へ結びつけるために統合し,また,主に病理組織診断として,臨床各科へ医療に直結する情報を提供し,さらに疾病の予防に有用な知見を提供しています.
本書では,このような統合的科目としての病理学を理解しやすくするため,他科目と共通する項目には,最新歯科衛生士教本シリーズの関連する項目やページを各所に記載しています.一方,ほかの教本と重複する記載はできるだけ避けてありますので,この参照ページの記載がある項目は他教本を必ず参照して,理解を確実なものにしてください.
平成23年には「歯科口腔保健の推進に関する法律」が施行され,わが国でははじめて口腔保健という言葉が入った法律が整備されました.この法律の理念には,生涯にわたる口腔保健とほかの関連分野との連携があります.これは口腔保健が全身的な疾病や健康と密接に関係し,また,ほかの健康施策との連携が重要であるためですが,口腔保健の最前線に立つ歯科衛生士には,今後,ますます全身的な疾病と健康の理解や,ほかの健康・医療分野と連携するための基本知識が求められているともいえます.病理学から得られる医学の基本的な,そして統合的な考え方と知識は,この法律が求めている理念を実践するためにも不可欠なものです.
本書は,新しい歯科衛生士の教育制度や国家試験出題基準などに対応して企画された最新歯科衛生士教本シリーズの教本として,全国の口腔病理学の各分野で活躍されている多数の執筆者による分担執筆です.各章の内容に即して,歯科衛生士を目指す初学者にとって,できるだけわかりやすく平易な記載を心がけ,また,多くの図表を用いて,各章ごとに工夫をしています.新しい時代が求めている歯科衛生士教本として,関係諸氏のご指摘をお願いし,今後,改訂されていくことを期します.
2012年7月
執筆者代表
仙波伊知郎
田 隆
I編 病理学総論
1章 病理学序論と病因論
(1)─病理学とは
1.疾患の多様性と共通性
2.疾病と病態
3.疾病の経過と転帰
(2)─病因論
1.内因
1)素因と体質
2)内分泌異常
3)免疫応答異常
2.外因
1)物理的因子
2)化学的因子
3)生物的因子
4)栄養障害
Clinical Point 医原病
2章 遺伝性疾患と先天異常
(1)─遺伝
1.遺伝子の働き
2.染色体
(2)─遺伝性疾患
1.遺伝子病
2.遺伝病
3.染色体異常
(3)─先天異常
1.先天性代謝異常
2.奇形(形成異常)
1)奇形(形成異常)の発生
2)奇形(形成異常)の分類
3章 循環障害
(1)─循環障害とは
1.体液と血液の循環
(2)─循環障害の種類
1.循環血液量の異常
1)虚血
2)充血とうっ血
3)出血
4)浮腫(水腫)
5)ショック
2.閉塞性の循環障害
1)血栓症
2)塞栓症と梗塞
3)動脈硬化症
3.側副循環(傍側循環)
Coffee Break ロングフライト症候群(エコノミークラス症候群)
4章 代謝障害と退行性病変
(1)─細胞傷害
1.細胞傷害因子
2.細胞傷害の程度
(2)─変性と物質代謝障害
1.細胞内小器官の異常
2.タンパク質の変性と代謝障害
1)タンパク質変性
2)タンパク質代謝障害
3.脂肪の変性と代謝障害
4.糖質の変性と代謝障害
5.石灰変性とカルシウム代謝障害
6.結晶体変性と核酸代謝障害
Coffee Break メタボリックシンドローム─脂肪が肝臓を破壊する─
7.色素変性と色素代謝障害
1)内因性色素
2)外来性色素
8.内分泌異常
(3)─萎縮
(4)─細胞死
1.壊死
1)凝固壊死
2)融解壊死
3)壊死組織の転帰
2.アポトーシス
5章 増殖と修復
(1)─肥大と増生(過形成)
1.生理的肥大
2.病的肥大
3.特発性肥大
(2)─化生
1.上皮の化生
1)扁平上皮化生
2)腸上皮化生
2.間葉組織の化生
(3)─再生と修復
1.細胞の増殖と分化
1)不安定細胞(動的細胞)
2)安定細胞(静止細胞)
3)永久細胞(非分裂細胞)
(4)─創傷治癒
Coffee Break 幹細胞と再生
1.肉芽組織
2.創傷の治癒形式
1)一次治癒
2)二次治癒
(5)─異物処理
1.吸収と排除
2.器質化
3.被包
Clinical Point 抜歯創の治癒
6章 炎症と免疫応答異常
(1)─炎症
1.炎症とは
2.炎症の原因
3.炎症に関与する細胞とケミカルメディエーター
1)炎症に関与する細胞
2)ケミカルメディエーター
4.炎症の経過
1)変性・壊死(退行性変化)
2)循環障害と滲出
3)増殖性変化(進行性変化)
5.炎症の転帰
6.炎症の分類
1)部位による分類
2)経過時間(時期)による分類
3)組織変化による分類
7.炎症の臨床症状
8.感染症
1)病原微生物と生体反応
Coffee Break 腸の細菌のはなし
2)日和見感染症
(2)─免疫応答異常
1.免疫応答
1)免疫とは
2)免疫応答のメカニズム
2.アレルギー
1)I型(即時型,アナフィラキシー型)アレルギー
2)II型(細胞傷害型)アレルギー
3)III型(免疫複合体型)アレルギー
4)IV型(遅延型,ツベルクリン型)アレルギー
3.自己免疫疾患
4.免疫不全症
5.移植免疫
1)移植(片)拒絶反応
2)移植片対宿主反応
Coffee Break 天然痘と予防接種
7章 腫瘍
(1)─腫瘍の発生
1.腫瘍の定義
2.腫瘍の発生機序と原因
1)腫瘍の発生機序
Coffee Break 悪性新生物(がん)の主な部位別死亡率の年次推移
2)腫瘍の原因
3)腫瘍の組織と形態
(2)─腫瘍の種類と性質
1.発生母組織と腫瘍の各型
2.悪性度による分類
3.前がん病変
(3)─腫瘍の診断
1.画像・内視鏡検査
2.細胞診と生検による病理組織診断
Coffee Break がんの微小環境
3.腫瘍マーカー
II編 口腔病理学
1章 歯の発育異常
(1)─歯の大きさの異常
(2)─歯数の異常
(3)─歯の形の異常
(4)─歯の構造の異常(形成不全)
1.局所的な原因によるもの
1)外傷によるもの
2)炎症によるもの
3)放射線障害によるもの
2.全身的な原因によるもの
1)栄養障害と全身的疾患
2)先天性梅毒
3)歯のフッ素症
4)遺伝性疾患
(5)─歯の萌出時期の異常
1)乳歯
2)永久歯
3)埋伏歯
(6)─歯の位置の異常
(7)─咬合の異常
Clinical Point 歯科臨床に関連する歯の異常
2章 歯の損傷と着色・付着物
(1)─物理的損傷
1.咬耗症
2.摩耗症
3.咬耗症や摩耗症の影響
4.外傷歯
(2)─化学的損傷
(3)─歯の着色
(4)─プラークと歯石
3章 う蝕
(1)─う蝕の疫学と病因
1.う蝕の疫学
2.う蝕の発生機序
3.う蝕の原因菌とプラーク
4.歯の形態と構造
5.食物
6.唾液
(2)─う蝕の分類
1.組織学的分類
2.部位による分類
3.広がりによる分類
4.経過による分類
5.進行度による分類
6.二次う蝕(再発性う蝕)
(3)─う蝕の組織学的変化
1.エナメル質う蝕
1)初期エナメル質う蝕
2)実質欠損を来たしたエナメル質う蝕
2.象牙質う蝕
3.セメント質う蝕
4章 象牙質・歯髄複合体の病態
(1)─歯髄炎
1.臨床病態
2.病因と発生機序
1)細菌学的原因
2)物理的原因
3)化学的原因
3.急性歯髄炎
1)急性単純性(漿液性)歯髄炎(一部性,全部性)
2)急性化膿性歯髄炎
3)急性壊疽性歯髄炎
4.慢性歯髄炎
1)慢性潰瘍性歯髄炎
2)慢性増殖性歯髄炎
3)慢性閉鎖性歯髄炎
(2)─歯髄の退行性変化
1.歯髄の萎縮
2.歯髄の変性
3.歯髄壊死と歯髄壊疽
(3)─象牙質の増生
1.第二象牙質および第三象牙質
2.象牙(質)粒
(4)─象牙質知覚過敏症
5章 歯周組織の病態
(1)─根尖部歯周組織の病変
1.病因と発生機序
1)根尖性歯周炎の病因(原因)
2)根尖性歯周炎の発生機序
3)根尖性歯周炎の分類
2.急性根尖性歯周炎
1)急性単純性(漿液性)根尖性歯周炎
2)急性化膿性根尖性歯周炎(急性歯槽膿瘍)
3.慢性根尖性歯周炎
1)慢性単純性(漿液性)根尖性歯周炎
2)慢性化膿性根尖性歯周炎(慢性歯槽膿瘍)
3)歯根肉芽腫
4)歯根嚢胞
4.歯性上顎洞炎
(2)─辺縁部歯周組織の病変
1.歯周組織の構造
2.病因と発生機序
1)歯周病の病因(原因)
2)歯周病の発生病態
3.プラーク性歯肉炎
4.慢性歯周炎
5.その他の辺縁部歯周組織の病変
1)非プラーク性歯肉病変
2)歯肉増殖症
3)侵襲性歯周炎
4)遺伝性疾患に伴う歯周炎
5)壊死性歯周疾患
6)歯肉の退縮
7)咬合性外傷
(3)─エプーリス
Coffee Break 歯周病と全身の健康との関係
(4)─セメント質増生,セメント(質)粒
1.セメント質増生
2.セメント(質)粒
Clinical Point インプラント周囲炎
6章 口腔粘膜の病変
(1)─口腔粘膜の特徴
(2)─メラニン色素沈着症
(3)─ヘルペスウイルス感染
1.単純ヘルペスウイルス感染
1)ヘルペス性口唇炎
2)急性疱疹性歯肉口内炎
2.水痘・帯状疱疹ウイルス感染
(4)─手足口病
(5)─口腔カンジダ症
(6)─再発性アフタ
(7)─口腔扁平苔癬
(8)─天疱瘡
(9)─類天疱瘡
Clinical Point 義歯性口内炎への対応
(10)─毛舌
(11)─地図状舌,溝状舌
(12)─萎縮性舌炎
(13)─その他の口腔粘膜疾患
1.コプリック〈Koplik〉斑
2.フォーダイス〈Fordyce〉顆粒(斑)
7章 口腔領域の嚢胞と腫瘍
(1)─口腔領域の嚢胞
1.歯原性嚢胞
1)含歯性嚢胞
2)歯根嚢胞
3)萌出嚢胞
4)幼児の歯肉嚢胞
2.顎骨の非歯原性嚢胞
1)鼻口蓋管(切歯管)嚢胞
2)術後性上顎嚢胞
3.軟組織の非歯原性嚢胞
(2)─口腔領域の腫瘍──歯原性腫瘍
1.歯原性腫瘍
1)良性腫瘍
2)悪性腫瘍
(3)─口腔領域の腫瘍──非歯原性腫瘍
1.良性上皮性腫瘍
1)扁平上皮乳頭腫
2.良性非上皮性腫瘍
1)線維腫
2)血管腫とリンパ管腫
3.悪性上皮性腫瘍(癌腫)
4.悪性非上皮性腫瘍(肉腫)
1)口腔領域の肉腫
2)その他の悪性腫瘍
8章 口腔癌
(1)─口腔潜在的悪性疾患
1.白板症
2.紅板症
(2)─口腔上皮性異形成と上皮内癌
(3)─扁平上皮癌
Clinical Point 口腔癌の早期発見
9章 顎骨の病変
(1)─顎骨骨髄炎
1.急性化膿性骨髄炎
2.慢性化膿性骨髄炎
3.慢性硬化性骨髄炎
4.増殖性骨膜炎を伴う慢性骨髄炎
5.顎放線菌症
6.放射線骨壊死
7.ビスフォスフォネート関連顎骨壊死
(2)─腫瘍様病変
1.線維性異形成症
Coffee Break 骨の増生法・骨充填材料
2.骨性異形成症
3.骨腫(下顎隆起,口蓋隆起,外骨症)
4.その他の顎骨病変
1)ケルビズム
2)巨細胞肉芽腫
5.骨折とその治癒
(3)─顎関節の病変
1.顎関節炎
Coffee Break 骨粗鬆症
2.顎関節症
10章 唾液腺の病変
(1)─流行性耳下腺炎
(2)─シェーグレン〈Sjogren〉症候群
(3)─唾石症
(4)─粘液嚢胞
(5)─唾液腺腫瘍
1.良性腫瘍
1)多形腺腫
2)ワルチン〈Warthin〉腫瘍
2.悪性腫瘍
1)粘表皮癌
2)腺様嚢胞癌
Coffee Break 口腔乾燥症(ドライマウス)
11章 口腔領域の奇形(形成異常)
(1)─顔面と口腔の披裂
1.口腔顎顔面の発生
2.口唇裂
3.口蓋裂
4.唇顎口蓋裂
5.その他の顔面披裂
(2)─口腔の発育異常
1.小帯異常
2.その他の口腔の発育異常
(3)─口腔顎顔面に異常を来たす奇形症候群
1.トリーチャー・コリンズ〈Treacher-Collins〉症候群(下顎顔面異骨症)
2.ピエール・ロバン〈Pierre Robin〉症候群
3.鰓弓症候群
4.尖頭合指趾症(アペール〈Apert〉症候群)
5.ダウン〈Down〉症候群
12章 口腔組織の加齢変化
(1)─歯の硬組織の変化
1.エナメル質の変化
2.象牙質の変化
3.セメント質の変化
(2)─歯髄の変化
1.萎縮
2.変性
(3)─歯周組織の変化
1.歯肉の変化
2.歯根膜の変化
(4)─顎骨の変化
1.歯槽骨の変化
2.上下顎骨の変化
(5)─舌・口腔粘膜の変化
1.舌粘膜,舌筋,口腔粘膜の変化
2.味覚の変化
(6)─唾液腺の変化
1章 病理学序論と病因論
(1)─病理学とは
1.疾患の多様性と共通性
2.疾病と病態
3.疾病の経過と転帰
(2)─病因論
1.内因
1)素因と体質
2)内分泌異常
3)免疫応答異常
2.外因
1)物理的因子
2)化学的因子
3)生物的因子
4)栄養障害
Clinical Point 医原病
2章 遺伝性疾患と先天異常
(1)─遺伝
1.遺伝子の働き
2.染色体
(2)─遺伝性疾患
1.遺伝子病
2.遺伝病
3.染色体異常
(3)─先天異常
1.先天性代謝異常
2.奇形(形成異常)
1)奇形(形成異常)の発生
2)奇形(形成異常)の分類
3章 循環障害
(1)─循環障害とは
1.体液と血液の循環
(2)─循環障害の種類
1.循環血液量の異常
1)虚血
2)充血とうっ血
3)出血
4)浮腫(水腫)
5)ショック
2.閉塞性の循環障害
1)血栓症
2)塞栓症と梗塞
3)動脈硬化症
3.側副循環(傍側循環)
Coffee Break ロングフライト症候群(エコノミークラス症候群)
4章 代謝障害と退行性病変
(1)─細胞傷害
1.細胞傷害因子
2.細胞傷害の程度
(2)─変性と物質代謝障害
1.細胞内小器官の異常
2.タンパク質の変性と代謝障害
1)タンパク質変性
2)タンパク質代謝障害
3.脂肪の変性と代謝障害
4.糖質の変性と代謝障害
5.石灰変性とカルシウム代謝障害
6.結晶体変性と核酸代謝障害
Coffee Break メタボリックシンドローム─脂肪が肝臓を破壊する─
7.色素変性と色素代謝障害
1)内因性色素
2)外来性色素
8.内分泌異常
(3)─萎縮
(4)─細胞死
1.壊死
1)凝固壊死
2)融解壊死
3)壊死組織の転帰
2.アポトーシス
5章 増殖と修復
(1)─肥大と増生(過形成)
1.生理的肥大
2.病的肥大
3.特発性肥大
(2)─化生
1.上皮の化生
1)扁平上皮化生
2)腸上皮化生
2.間葉組織の化生
(3)─再生と修復
1.細胞の増殖と分化
1)不安定細胞(動的細胞)
2)安定細胞(静止細胞)
3)永久細胞(非分裂細胞)
(4)─創傷治癒
Coffee Break 幹細胞と再生
1.肉芽組織
2.創傷の治癒形式
1)一次治癒
2)二次治癒
(5)─異物処理
1.吸収と排除
2.器質化
3.被包
Clinical Point 抜歯創の治癒
6章 炎症と免疫応答異常
(1)─炎症
1.炎症とは
2.炎症の原因
3.炎症に関与する細胞とケミカルメディエーター
1)炎症に関与する細胞
2)ケミカルメディエーター
4.炎症の経過
1)変性・壊死(退行性変化)
2)循環障害と滲出
3)増殖性変化(進行性変化)
5.炎症の転帰
6.炎症の分類
1)部位による分類
2)経過時間(時期)による分類
3)組織変化による分類
7.炎症の臨床症状
8.感染症
1)病原微生物と生体反応
Coffee Break 腸の細菌のはなし
2)日和見感染症
(2)─免疫応答異常
1.免疫応答
1)免疫とは
2)免疫応答のメカニズム
2.アレルギー
1)I型(即時型,アナフィラキシー型)アレルギー
2)II型(細胞傷害型)アレルギー
3)III型(免疫複合体型)アレルギー
4)IV型(遅延型,ツベルクリン型)アレルギー
3.自己免疫疾患
4.免疫不全症
5.移植免疫
1)移植(片)拒絶反応
2)移植片対宿主反応
Coffee Break 天然痘と予防接種
7章 腫瘍
(1)─腫瘍の発生
1.腫瘍の定義
2.腫瘍の発生機序と原因
1)腫瘍の発生機序
Coffee Break 悪性新生物(がん)の主な部位別死亡率の年次推移
2)腫瘍の原因
3)腫瘍の組織と形態
(2)─腫瘍の種類と性質
1.発生母組織と腫瘍の各型
2.悪性度による分類
3.前がん病変
(3)─腫瘍の診断
1.画像・内視鏡検査
2.細胞診と生検による病理組織診断
Coffee Break がんの微小環境
3.腫瘍マーカー
II編 口腔病理学
1章 歯の発育異常
(1)─歯の大きさの異常
(2)─歯数の異常
(3)─歯の形の異常
(4)─歯の構造の異常(形成不全)
1.局所的な原因によるもの
1)外傷によるもの
2)炎症によるもの
3)放射線障害によるもの
2.全身的な原因によるもの
1)栄養障害と全身的疾患
2)先天性梅毒
3)歯のフッ素症
4)遺伝性疾患
(5)─歯の萌出時期の異常
1)乳歯
2)永久歯
3)埋伏歯
(6)─歯の位置の異常
(7)─咬合の異常
Clinical Point 歯科臨床に関連する歯の異常
2章 歯の損傷と着色・付着物
(1)─物理的損傷
1.咬耗症
2.摩耗症
3.咬耗症や摩耗症の影響
4.外傷歯
(2)─化学的損傷
(3)─歯の着色
(4)─プラークと歯石
3章 う蝕
(1)─う蝕の疫学と病因
1.う蝕の疫学
2.う蝕の発生機序
3.う蝕の原因菌とプラーク
4.歯の形態と構造
5.食物
6.唾液
(2)─う蝕の分類
1.組織学的分類
2.部位による分類
3.広がりによる分類
4.経過による分類
5.進行度による分類
6.二次う蝕(再発性う蝕)
(3)─う蝕の組織学的変化
1.エナメル質う蝕
1)初期エナメル質う蝕
2)実質欠損を来たしたエナメル質う蝕
2.象牙質う蝕
3.セメント質う蝕
4章 象牙質・歯髄複合体の病態
(1)─歯髄炎
1.臨床病態
2.病因と発生機序
1)細菌学的原因
2)物理的原因
3)化学的原因
3.急性歯髄炎
1)急性単純性(漿液性)歯髄炎(一部性,全部性)
2)急性化膿性歯髄炎
3)急性壊疽性歯髄炎
4.慢性歯髄炎
1)慢性潰瘍性歯髄炎
2)慢性増殖性歯髄炎
3)慢性閉鎖性歯髄炎
(2)─歯髄の退行性変化
1.歯髄の萎縮
2.歯髄の変性
3.歯髄壊死と歯髄壊疽
(3)─象牙質の増生
1.第二象牙質および第三象牙質
2.象牙(質)粒
(4)─象牙質知覚過敏症
5章 歯周組織の病態
(1)─根尖部歯周組織の病変
1.病因と発生機序
1)根尖性歯周炎の病因(原因)
2)根尖性歯周炎の発生機序
3)根尖性歯周炎の分類
2.急性根尖性歯周炎
1)急性単純性(漿液性)根尖性歯周炎
2)急性化膿性根尖性歯周炎(急性歯槽膿瘍)
3.慢性根尖性歯周炎
1)慢性単純性(漿液性)根尖性歯周炎
2)慢性化膿性根尖性歯周炎(慢性歯槽膿瘍)
3)歯根肉芽腫
4)歯根嚢胞
4.歯性上顎洞炎
(2)─辺縁部歯周組織の病変
1.歯周組織の構造
2.病因と発生機序
1)歯周病の病因(原因)
2)歯周病の発生病態
3.プラーク性歯肉炎
4.慢性歯周炎
5.その他の辺縁部歯周組織の病変
1)非プラーク性歯肉病変
2)歯肉増殖症
3)侵襲性歯周炎
4)遺伝性疾患に伴う歯周炎
5)壊死性歯周疾患
6)歯肉の退縮
7)咬合性外傷
(3)─エプーリス
Coffee Break 歯周病と全身の健康との関係
(4)─セメント質増生,セメント(質)粒
1.セメント質増生
2.セメント(質)粒
Clinical Point インプラント周囲炎
6章 口腔粘膜の病変
(1)─口腔粘膜の特徴
(2)─メラニン色素沈着症
(3)─ヘルペスウイルス感染
1.単純ヘルペスウイルス感染
1)ヘルペス性口唇炎
2)急性疱疹性歯肉口内炎
2.水痘・帯状疱疹ウイルス感染
(4)─手足口病
(5)─口腔カンジダ症
(6)─再発性アフタ
(7)─口腔扁平苔癬
(8)─天疱瘡
(9)─類天疱瘡
Clinical Point 義歯性口内炎への対応
(10)─毛舌
(11)─地図状舌,溝状舌
(12)─萎縮性舌炎
(13)─その他の口腔粘膜疾患
1.コプリック〈Koplik〉斑
2.フォーダイス〈Fordyce〉顆粒(斑)
7章 口腔領域の嚢胞と腫瘍
(1)─口腔領域の嚢胞
1.歯原性嚢胞
1)含歯性嚢胞
2)歯根嚢胞
3)萌出嚢胞
4)幼児の歯肉嚢胞
2.顎骨の非歯原性嚢胞
1)鼻口蓋管(切歯管)嚢胞
2)術後性上顎嚢胞
3.軟組織の非歯原性嚢胞
(2)─口腔領域の腫瘍──歯原性腫瘍
1.歯原性腫瘍
1)良性腫瘍
2)悪性腫瘍
(3)─口腔領域の腫瘍──非歯原性腫瘍
1.良性上皮性腫瘍
1)扁平上皮乳頭腫
2.良性非上皮性腫瘍
1)線維腫
2)血管腫とリンパ管腫
3.悪性上皮性腫瘍(癌腫)
4.悪性非上皮性腫瘍(肉腫)
1)口腔領域の肉腫
2)その他の悪性腫瘍
8章 口腔癌
(1)─口腔潜在的悪性疾患
1.白板症
2.紅板症
(2)─口腔上皮性異形成と上皮内癌
(3)─扁平上皮癌
Clinical Point 口腔癌の早期発見
9章 顎骨の病変
(1)─顎骨骨髄炎
1.急性化膿性骨髄炎
2.慢性化膿性骨髄炎
3.慢性硬化性骨髄炎
4.増殖性骨膜炎を伴う慢性骨髄炎
5.顎放線菌症
6.放射線骨壊死
7.ビスフォスフォネート関連顎骨壊死
(2)─腫瘍様病変
1.線維性異形成症
Coffee Break 骨の増生法・骨充填材料
2.骨性異形成症
3.骨腫(下顎隆起,口蓋隆起,外骨症)
4.その他の顎骨病変
1)ケルビズム
2)巨細胞肉芽腫
5.骨折とその治癒
(3)─顎関節の病変
1.顎関節炎
Coffee Break 骨粗鬆症
2.顎関節症
10章 唾液腺の病変
(1)─流行性耳下腺炎
(2)─シェーグレン〈Sjogren〉症候群
(3)─唾石症
(4)─粘液嚢胞
(5)─唾液腺腫瘍
1.良性腫瘍
1)多形腺腫
2)ワルチン〈Warthin〉腫瘍
2.悪性腫瘍
1)粘表皮癌
2)腺様嚢胞癌
Coffee Break 口腔乾燥症(ドライマウス)
11章 口腔領域の奇形(形成異常)
(1)─顔面と口腔の披裂
1.口腔顎顔面の発生
2.口唇裂
3.口蓋裂
4.唇顎口蓋裂
5.その他の顔面披裂
(2)─口腔の発育異常
1.小帯異常
2.その他の口腔の発育異常
(3)─口腔顎顔面に異常を来たす奇形症候群
1.トリーチャー・コリンズ〈Treacher-Collins〉症候群(下顎顔面異骨症)
2.ピエール・ロバン〈Pierre Robin〉症候群
3.鰓弓症候群
4.尖頭合指趾症(アペール〈Apert〉症候群)
5.ダウン〈Down〉症候群
12章 口腔組織の加齢変化
(1)─歯の硬組織の変化
1.エナメル質の変化
2.象牙質の変化
3.セメント質の変化
(2)─歯髄の変化
1.萎縮
2.変性
(3)─歯周組織の変化
1.歯肉の変化
2.歯根膜の変化
(4)─顎骨の変化
1.歯槽骨の変化
2.上下顎骨の変化
(5)─舌・口腔粘膜の変化
1.舌粘膜,舌筋,口腔粘膜の変化
2.味覚の変化
(6)─唾液腺の変化














