序文
本書『新歯科保健指導ハンドブック―ライフコースに沿った歯・口腔の健康づくりの展開にむけて―』を手に取っていただき,誠にありがとうございます.
2011年8月に「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第一次)」(基本的事項)が策定され,大臣告示されたことを受け,本書の前書となる「歯科口腔保健の推進に向けて―ライフステージに応じた歯科保健指導ハンドブック」が企画され,2014年に発行されています.この基本的事項(第一次)により,2013年度から2023年度までの間にさまざまな歯科口腔保健施策が実施されました.それらの評価を踏まえ,2023年度に「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」(第二次)が策定され,2024年度から新たに展開が始まっています.基本的事項(第二次)は,国民にわかりやすいように「歯・口腔の健康づくりプラン」と呼ばれるようになりました.これにより,歯・口腔の健康づくりに対する社会的な関心が一層高まっていくと考えられます.私たち歯科衛生士による歯科保健指導も,より効果的で包括的なアプローチが求められています.
本書は,この新たな展開に向けて,前書の内容を踏まえて企画されました.その最大の特徴は,ライフコースに沿った歯・口腔の健康づくりをテーマにしている点です.歯科保健指導に関する最新の知見と実践的な指導方法を取り入れ,各ライフステージにおける健康維持のための具体的な指導方法や予防策についても詳述しています.
すべての歯科衛生士にとって,国の歯科口腔保健の目標や計画を踏まえ,胎生期から終末期までの個人のライフコースに沿った適切で効果的な歯科保健指導を実施することはとても重要なことです.必要な知識や技能を習得するための身近なハンドブックとして使えるように構成された本書が,歯科保健指導に携わる皆様の日々の業務において,少しでもお役に立てることを心より願っております.そして,歯・口腔の健康づくりが一層推進され,国民全体の健康増進に寄与することを期待しています.
最後に,本書の執筆にご尽力いただいた先生方をはじめ,医歯薬出版株式会社の皆様に厚く御礼を申し上げます.
2024年9月
公益社団法人日本歯科衛生士会
会長 吉田直美
本書『新歯科保健指導ハンドブック―ライフコースに沿った歯・口腔の健康づくりの展開にむけて―』を手に取っていただき,誠にありがとうございます.
2011年8月に「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第一次)」(基本的事項)が策定され,大臣告示されたことを受け,本書の前書となる「歯科口腔保健の推進に向けて―ライフステージに応じた歯科保健指導ハンドブック」が企画され,2014年に発行されています.この基本的事項(第一次)により,2013年度から2023年度までの間にさまざまな歯科口腔保健施策が実施されました.それらの評価を踏まえ,2023年度に「歯科口腔保健の推進に関する基本的事項」(第二次)が策定され,2024年度から新たに展開が始まっています.基本的事項(第二次)は,国民にわかりやすいように「歯・口腔の健康づくりプラン」と呼ばれるようになりました.これにより,歯・口腔の健康づくりに対する社会的な関心が一層高まっていくと考えられます.私たち歯科衛生士による歯科保健指導も,より効果的で包括的なアプローチが求められています.
本書は,この新たな展開に向けて,前書の内容を踏まえて企画されました.その最大の特徴は,ライフコースに沿った歯・口腔の健康づくりをテーマにしている点です.歯科保健指導に関する最新の知見と実践的な指導方法を取り入れ,各ライフステージにおける健康維持のための具体的な指導方法や予防策についても詳述しています.
すべての歯科衛生士にとって,国の歯科口腔保健の目標や計画を踏まえ,胎生期から終末期までの個人のライフコースに沿った適切で効果的な歯科保健指導を実施することはとても重要なことです.必要な知識や技能を習得するための身近なハンドブックとして使えるように構成された本書が,歯科保健指導に携わる皆様の日々の業務において,少しでもお役に立てることを心より願っております.そして,歯・口腔の健康づくりが一層推進され,国民全体の健康増進に寄与することを期待しています.
最後に,本書の執筆にご尽力いただいた先生方をはじめ,医歯薬出版株式会社の皆様に厚く御礼を申し上げます.
2024年9月
公益社団法人日本歯科衛生士会
会長 吉田直美
序章 歯科口腔保健の推進に向けて(三浦宏子)
1 はじめに
2 歯科口腔保健法の制定とその背景
1.背景
2.構成と特色
3 歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第一次)の最終評価と今後の課題
4 歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第二次)の枠組みと方針
1.枠組み
2.基本的な方針
column ライフコースアプローチ
column ロジックモデル
5 関連施策との有機的連携―とくに健康日本21(第三次)との連動
6 歯科衛生士が行うライフコースに沿った歯科保健指導と歯科口腔保健法
I編 歯科疾患の予防における歯科保健指導
1章 乳幼児期(森川和政)
1 乳幼児期の歯・口腔の特徴とよくみられる歯科疾患
1.乳幼児期の歯・口腔の特徴
2.乳幼児期によくみられる歯科疾患
2 健全な歯・顎骨の成長・育成を図る
1.歯の発育と栄養摂取(食事)
2.歯口清掃の指導
3.う蝕予防法
2章 少年期
1 少年期の歯・口腔の特徴とよくみられる歯科疾患(川戸貴行)
1.少年期の歯・口腔の特徴
2.少年期によくみられる歯科疾患
3.歯・口腔の外傷
2 生きる力をはぐくむ歯・口腔の健康づくり(犬飼順子)
1.歯・口腔の発達と食生活
2.歯・口腔の機能に関わる疾患の予防・対策
3章 妊産婦期(久野彰子)
1 妊産婦期の歯・口腔の特徴とよくみられる歯科疾患
1.妊娠期と歯周病
2.妊娠性エプーリス
3.妊娠期とう蝕の増加
2 母体栄養および胎児発育のための食生活
1.歯の形成に必要な栄養素
2.カフェイン,飲酒,喫煙のリスク
3 口腔の特徴と状況に応じた口腔清掃法
1.つわり時の洗口液やガムの活用
2.歯ブラシの選択
3.補助清掃用具の活用
4.プロフェッショナルケア
4章 青年期・壮年期
1 青年期・壮年期の歯・口腔の特徴とよくみられる歯科疾患(小方ョ昌)
1.青年期・壮年期のう蝕と歯周病
2.生活習慣病による影響
3.歯周病のリスクファクター
4.歯周炎の新分類
5.ライフステージにおける歯科健診制度
2 青年期・壮年期のセルフケア支援(吉田直美)
1.口腔健康状態とブラッシングの状況
2.セルフケアのための口腔清掃用具の種類と適応
3.歯磨剤の種類と適応
4.洗口液
5.デンタルガムの成分と利用方法
6.口腔清掃用具の使い方
3 歯科での禁煙支援(田野ルミ)
1.コモンリスクファクターアプローチに基づくたばこ対策
2.喫煙と歯周病
3.日本人の喫煙習慣
4.歯科における禁煙支援の実践
5章 中年期・高齢期(渡邊 裕・末永智美)
1 中年期・高齢期の歯・口腔の特徴とよくみられる歯科疾患
1.中年期・高齢期の歯・口腔の特徴
2.中年期・高齢期によくみられる歯科疾患の病態や発生機序
3.中年期・高齢期に特徴的な全身状態
2 中年期・高齢期の歯科保健指導
1.歯の喪失を予防する歯科保健指導
2.食事指導
II編 生活の質の向上に向けた口腔機能の獲得・維持・向上における歯科保健指導
1章 乳幼児期および少年期(田村文誉・水上美樹・山田裕之)
1 口腔機能の獲得に影響を及ぼす習癖
1.吸指癖
2.咬唇癖(吸唇癖)
3.咬爪癖
4.異常嚥下癖
5.舌突出癖
6.口呼吸
7.歯ぎしり(ブラキシズム)
2 口腔機能に関わる疾患や症状とその対応・指導
1.摂食機能障害(摂食嚥下障害)
2.口腔機能の発達を促す歯科保健指導と食育支援
3.口腔機能発達不全症
2章 中年期および高齢期(植田耕一郎・阿部仁子・中山渕利・酒井真悠)
1 咀嚼機能の維持・向上の重要性
1.咀嚼機能と栄養摂取状態
2.咀嚼機能と全身の運動機能
3.全身疾患と歯科保健指導
2 誤嚥性肺炎の予防
1.我が国における誤嚥性肺炎
2.誤嚥性肺炎の原因
3.誤嚥性肺炎の症状
4.誤嚥性肺炎の予防
3 食事支援
1.中年期―社会生活における食習慣や生活習慣の課題に応じた継続的な食事指導・支援
2.高齢期―口腔機能の維持と誤嚥・窒息の防止をはじめとする安全性に配慮した食べ方・栄養の指導
III編 定期的な歯科検診または歯科医療を受けることが困難な者に対する歯科保健指導
1章 障害児・障害者(弘中祥司・森崎市治郎)
1 障害のある人のライフコースと歯科口腔保健
2 障害児・者の口腔の特徴
1.障害児・者によくみられる口腔疾患と特徴
2.障害児・者にみられる口腔機能の障害
column 障害者差別解消法と障害者権利条約
3 家族・介護者への口腔ケア指導
1.歯科保健指導の前に必要な情報の収集と共有
2.障害の受容とラポールの形成
4 多職種や地域との取り組み
1.定期的な歯科検診
2.プロフェッショナルケア
3.摂食嚥下リハビリテーション
5 集団と個人,スペシャルニーズと個別化対応
1.集団が対象の歯科保健指導と個人が対象の歯科保健指導
2.歯科保健指導から歯科診療への連携
column 医療的ケア児
2章 要介護高齢者(戸原 玄・村田志乃・中根綾子・松原ちあき)
1 口腔感染の予防と口腔健康管理
1.口腔清掃
2.義歯の清掃
3.認知機能の低下と口腔清掃
2 口腔状態とQOLとの関わり
3 家族・介護者への口腔ケア指導
4 多職種や地域での取り組み
1.定期的な歯科検診
2.プロフェッショナルケア
3.摂食嚥下リハビリテーション
4.周術期口腔機能管理
5.終末期への対応
column EAT-10
column Trans-disciplinary team approachとは
終章 歯科口腔保健を推進するための社会的環境の整備と歯科衛生士との関わり(福田英輝)
1 個人の歯科口腔保健を支える組織的な予防活動
2 歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第二次)における社会環境の整備
1.誰一人取り残さないユニバーサルな歯科口腔保健を実現するための基盤の整備
2.歯科口腔保健を通じた医療への橋渡し
3.様々なサービス等との有機的な連携
3 地域歯科保健活動における歯科衛生士の役割
索引
1 はじめに
2 歯科口腔保健法の制定とその背景
1.背景
2.構成と特色
3 歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第一次)の最終評価と今後の課題
4 歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第二次)の枠組みと方針
1.枠組み
2.基本的な方針
column ライフコースアプローチ
column ロジックモデル
5 関連施策との有機的連携―とくに健康日本21(第三次)との連動
6 歯科衛生士が行うライフコースに沿った歯科保健指導と歯科口腔保健法
I編 歯科疾患の予防における歯科保健指導
1章 乳幼児期(森川和政)
1 乳幼児期の歯・口腔の特徴とよくみられる歯科疾患
1.乳幼児期の歯・口腔の特徴
2.乳幼児期によくみられる歯科疾患
2 健全な歯・顎骨の成長・育成を図る
1.歯の発育と栄養摂取(食事)
2.歯口清掃の指導
3.う蝕予防法
2章 少年期
1 少年期の歯・口腔の特徴とよくみられる歯科疾患(川戸貴行)
1.少年期の歯・口腔の特徴
2.少年期によくみられる歯科疾患
3.歯・口腔の外傷
2 生きる力をはぐくむ歯・口腔の健康づくり(犬飼順子)
1.歯・口腔の発達と食生活
2.歯・口腔の機能に関わる疾患の予防・対策
3章 妊産婦期(久野彰子)
1 妊産婦期の歯・口腔の特徴とよくみられる歯科疾患
1.妊娠期と歯周病
2.妊娠性エプーリス
3.妊娠期とう蝕の増加
2 母体栄養および胎児発育のための食生活
1.歯の形成に必要な栄養素
2.カフェイン,飲酒,喫煙のリスク
3 口腔の特徴と状況に応じた口腔清掃法
1.つわり時の洗口液やガムの活用
2.歯ブラシの選択
3.補助清掃用具の活用
4.プロフェッショナルケア
4章 青年期・壮年期
1 青年期・壮年期の歯・口腔の特徴とよくみられる歯科疾患(小方ョ昌)
1.青年期・壮年期のう蝕と歯周病
2.生活習慣病による影響
3.歯周病のリスクファクター
4.歯周炎の新分類
5.ライフステージにおける歯科健診制度
2 青年期・壮年期のセルフケア支援(吉田直美)
1.口腔健康状態とブラッシングの状況
2.セルフケアのための口腔清掃用具の種類と適応
3.歯磨剤の種類と適応
4.洗口液
5.デンタルガムの成分と利用方法
6.口腔清掃用具の使い方
3 歯科での禁煙支援(田野ルミ)
1.コモンリスクファクターアプローチに基づくたばこ対策
2.喫煙と歯周病
3.日本人の喫煙習慣
4.歯科における禁煙支援の実践
5章 中年期・高齢期(渡邊 裕・末永智美)
1 中年期・高齢期の歯・口腔の特徴とよくみられる歯科疾患
1.中年期・高齢期の歯・口腔の特徴
2.中年期・高齢期によくみられる歯科疾患の病態や発生機序
3.中年期・高齢期に特徴的な全身状態
2 中年期・高齢期の歯科保健指導
1.歯の喪失を予防する歯科保健指導
2.食事指導
II編 生活の質の向上に向けた口腔機能の獲得・維持・向上における歯科保健指導
1章 乳幼児期および少年期(田村文誉・水上美樹・山田裕之)
1 口腔機能の獲得に影響を及ぼす習癖
1.吸指癖
2.咬唇癖(吸唇癖)
3.咬爪癖
4.異常嚥下癖
5.舌突出癖
6.口呼吸
7.歯ぎしり(ブラキシズム)
2 口腔機能に関わる疾患や症状とその対応・指導
1.摂食機能障害(摂食嚥下障害)
2.口腔機能の発達を促す歯科保健指導と食育支援
3.口腔機能発達不全症
2章 中年期および高齢期(植田耕一郎・阿部仁子・中山渕利・酒井真悠)
1 咀嚼機能の維持・向上の重要性
1.咀嚼機能と栄養摂取状態
2.咀嚼機能と全身の運動機能
3.全身疾患と歯科保健指導
2 誤嚥性肺炎の予防
1.我が国における誤嚥性肺炎
2.誤嚥性肺炎の原因
3.誤嚥性肺炎の症状
4.誤嚥性肺炎の予防
3 食事支援
1.中年期―社会生活における食習慣や生活習慣の課題に応じた継続的な食事指導・支援
2.高齢期―口腔機能の維持と誤嚥・窒息の防止をはじめとする安全性に配慮した食べ方・栄養の指導
III編 定期的な歯科検診または歯科医療を受けることが困難な者に対する歯科保健指導
1章 障害児・障害者(弘中祥司・森崎市治郎)
1 障害のある人のライフコースと歯科口腔保健
2 障害児・者の口腔の特徴
1.障害児・者によくみられる口腔疾患と特徴
2.障害児・者にみられる口腔機能の障害
column 障害者差別解消法と障害者権利条約
3 家族・介護者への口腔ケア指導
1.歯科保健指導の前に必要な情報の収集と共有
2.障害の受容とラポールの形成
4 多職種や地域との取り組み
1.定期的な歯科検診
2.プロフェッショナルケア
3.摂食嚥下リハビリテーション
5 集団と個人,スペシャルニーズと個別化対応
1.集団が対象の歯科保健指導と個人が対象の歯科保健指導
2.歯科保健指導から歯科診療への連携
column 医療的ケア児
2章 要介護高齢者(戸原 玄・村田志乃・中根綾子・松原ちあき)
1 口腔感染の予防と口腔健康管理
1.口腔清掃
2.義歯の清掃
3.認知機能の低下と口腔清掃
2 口腔状態とQOLとの関わり
3 家族・介護者への口腔ケア指導
4 多職種や地域での取り組み
1.定期的な歯科検診
2.プロフェッショナルケア
3.摂食嚥下リハビリテーション
4.周術期口腔機能管理
5.終末期への対応
column EAT-10
column Trans-disciplinary team approachとは
終章 歯科口腔保健を推進するための社会的環境の整備と歯科衛生士との関わり(福田英輝)
1 個人の歯科口腔保健を支える組織的な予防活動
2 歯科口腔保健の推進に関する基本的事項(第二次)における社会環境の整備
1.誰一人取り残さないユニバーサルな歯科口腔保健を実現するための基盤の整備
2.歯科口腔保健を通じた医療への橋渡し
3.様々なサービス等との有機的な連携
3 地域歯科保健活動における歯科衛生士の役割
索引














