やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

序文
 本シリーズは1996年7月に『ポイントチェック歯科衛生士国家試験対策』として第1版を発刊してから版を重ね,2018年1月に第5版を発刊しました.そして新たに『歯科衛生士国家試験ポイントチェック 令和4年版出題基準準拠』と改称して皆様のお手元にお届けすることになりました.
 本書は,これまで,国家試験を解くための思考過程が自然と備わるように配慮されており,単に覚えているかいないかを判断する単純想起型の問題だけでなく,いわゆる状況設定問題として写真や図などによって,問題の内容からその解釈などを求めてくるような問題への対応までをカバーしています.歯科衛生士国家試験出題基準については,歯科医療チームとしての歯科医師国家試験の出題基準の方向性も加味して,原則として4年に一度の改定が実施されています.「令和4年版 歯科衛生士国家試験出題基準」は,第32回歯科衛生士国家試験(令和5年)から適用します.令和4年版出題基準は,「時代の要請に応える歯科衛生士を確保する観点から,下記の出題について更なる充実を図り,資質向上を促進していく必要がある」として6項目についての記載がなされています.

 (1)高齢化等による疾病構造の変化に伴う歯科診療の変化に関連した,歯科衛生士として必要な高齢者や在宅・施設介護や病棟での対応に関する出題
 (2)地域包括ケアシステムの推進や多職種連携等に関する出題
 (3)口腔機能の維持・向上や摂食機能障害への対応に関する出題
 (4)医療安全や職業倫理等に関する出題
 (5)周術期等口腔機能管理に関する出題
 (6)医療のグローバル化に伴い歯科衛生士としての国際貢献を踏まえた国際保健に関する出題

 なお,近年は災害時の対応も重要となっているが,出題に際しては,学校・養成所における教授内容を考慮する等の一定の配慮が必要である.その他,保健医療・介護の領域で歯科衛生士として必要不可欠な内容について出題する,と記載されています.
 歯科医療現場で中心的な役割が求められてくる歯科衛生士は国家試験の出題の分野も多岐にわたってきているのが現状です.
 本書を活用して効率よく国家試験対策を行い,所期の目的を達成してくれることを願っています.
 2023年1月
 歯科衛生士国家試験対策検討会
I編 歯科衛生士概論
  SECTION 1 概要
   I.健康と歯科衛生
   II.歯科衛生士の歴史
   III.歯科衛生士の現状
   IV.歯科衛生士法
  SECTION 2 歯科衛生業務
   I.歯科予防処置
   II.歯科保健指導
   III.歯科診療補助
  SECTION 3 歯科衛生業務の進め方
   I.歯科衛生業務を進めるための理論
   II.歯科衛生業務展開の過程
  SECTION 4 医療倫理
   I.医の倫理
   II.患者・家族との関係
   III.歯科衛生士の倫理綱領
  SECTION 5 医療安全管理
   I.医療事故の防止
   II.感染予防対策
   III.歯科衛生士の役割
  SECTION 6 チーム医療
   I.歯科衛生士の専門性<プロフェッショナリズム>
   II.歯科衛生活動の場
   III.多職種連携
II編 臨床歯科総論
 臨床歯科医学
  SECTION 1 全身疾患と歯科治療
   I.医療情報の収集
   II.全身疾患の把握
  SECTION 2 口腔内検査・口腔機能検査
   I.歯の硬組織検査
   II.歯髄検査
   III.歯周組織検査
   IV.歯列・咬合検査
   V.唾液検査
   VI.下顎運動・筋機能検査
   VII.咀嚼機能検査
   VIII.舌運動・舌圧検査
   IX.摂食嚥下機能検査
   X.口腔機能精密検査(口腔機能低下症の検査)
   XI.構音機能検査
   XII.味覚検査
   XIII.口臭検査
   XIV.微生物学的検査
   XV.病理学的検査
  SECTION 3 画像検査
   I.放射線の基礎知識
   II.エックス線画像の形成
   III.エックス線撮影
   IV.MRI
   V.超音波検査
  SECTION 4 一般臨床検査
   I.検査の目的
   II.検査の倫理と安全
   III.検査の種類と検査値の評価
III編 保存修復治療
 臨床歯科医学/歯・歯髄・歯周組織の疾患と治療
  SECTION 1 歯の硬組織疾患の種類と検査法
   I.う蝕とリスクファクター
   II.う蝕以外の歯の硬組織疾患
   III.高齢者の歯の硬組織疾患
   IV.歯の硬組織検査
  SECTION 2 う蝕治療の流れ
   I.診療のステップ
  SECTION 3 前準備
   I.前準備とは
   II.前準備の種類
  SECTION 4 修復法の種類と特徴
   I.窩洞形成
   II.直接法修復
   III.間接法修復
   IV.象牙質知覚過敏症の処置
   V.歯の漂白法
  SECTION 5 窩洞
   I.窩洞の構成と各部名称
   II.窩洞の分類
   III.窩洞の条件
  SECTION 6 修復処置後の不快事項とメインテナンス
   I.修復処置後の不快事項
   II.メインテナンス
IV編 歯内療法
 臨床歯科医学/歯・歯髄・歯周組織の疾患と治療
  SECTION 1 歯内療法
  SECTION 2 歯髄疾患の種類と病態
  SECTION 3 根尖性歯周組織疾患の種類と病態
   I.根尖性歯周炎の痛みの特徴と臨床的解釈
   II.臨床的な進行
   III.病理学的な進行
   IV.根尖性歯周炎の症状・腫脹の特徴
  SECTION 4 歯内-歯周疾患
  SECTION 5 歯髄検査
   I.臨床症状
   II.インピーダンス測定
   III.歯髄電気診
   IV.エックス線検査
   V.歯髄疾患の種類
  SECTION 6 歯髄保存療法
   I.歯髄鎮静療法
   II.覆髄法
  SECTION 7 歯髄除去療法
   I.生活断髄法(生活歯髄切断法)
   II.抜髄法
  SECTION 8 根尖性歯周組織疾患の治療
   I.感染根管治療
  SECTION 9 根管治療と治療に用いる器具・器材
   I.根管の機械的拡大・形成
   II.根管の化学的拡大・清掃
   III.根管長測定
   IV.根管の消毒
   V.仮封
  SECTION 10 根管充填
   I.目的
   II.根管充填材の種類
   III.根管充填材の所要性質
   IV.スプレッダー
   V.プラガー
   VI.ヒートキャリア
   VII.スパイラル・ルートフィラー(レンツロ,らせん型根管充填器)
   VIII.ガッタパーチャポイント
  SECTION 11 根未完成歯の処置
   I.アペキソゲネーシス
   II.アペキシフィケーション
  SECTION 12 外科的歯内療法
   I.根尖掻爬
   II.根尖切除
   III.歯根切断
   IV.歯根分離
   V.ヘミセクション
   VI.歯の再植・移植
  SECTION 13 外傷歯の治療
   I.歯の破折
   II.歯の脱臼
  SECTION 14 歯内療法における安全対策
   I.歯内療法用器具の根管内破折
   II.根管壁穿孔
   III.皮下気腫
   IV.誤飲・誤嚥
   V.化学物質過敏症
V編 歯周治療
 臨床歯科医学/歯・歯髄・歯周組織の疾患と治療
  SECTION 1 歯周病の種類と病態
   I.歯周病の種類
   II.歯周病の病態
  SECTION 2 歯周病の発現とリスクファクター
   I.細菌因子(初発因子,病因因子)
   II.宿主因子
   III.環境因子(後天的リスクファクター)
  SECTION 3 歯周病と全身との関連
   I.糖尿病
   II.誤嚥性肺炎
   III.血管障害
   IV.早産・低体重児出産
   V.骨粗鬆症
   VI.肥満
   VII.関節リウマチ
  SECTION 4 歯周病の疫学に用いる指数とその解釈
   I.プラークや歯石等の病原因子の付着状況を評価するための指数
   II.歯周組織に生じた炎症の程度や広がり等を評価するための指数
   III.歯周病の罹患程度を表すための総合指数
  SECTION 5 歯周基本治療
   I.歯周基本治療とは
   II.歯周基本治療の内容
  SECTION 6 歯周病の抗菌療法
   I.抗菌療法の基本原則
   II.抗菌療法の目的
   III.抗菌薬の副作用
   IV.細菌検査
   V.歯周膿瘍および歯周治療後の感染予防
   VI.適応症例
   VII.適応治療時期
  SECTION 7 歯周外科治療
   I.歯周外科治療の基本概念
   II.歯周外科治療の目的
   III.歯周外科治療における歯科衛生士の役割
   IV.各種歯周外科治療
  SECTION 8 根分岐部病変の治療
   I.根分岐部病変の検査と分類
   II.根分岐部病変の誘因
   III.根分岐部病変の治療
  SECTION 9 口腔機能回復治療
   I.咬合治療
   II.修復・補綴治療
   III.矯正治療
   IV.インプラント治療
  SECTION 10 歯周治療後の再評価
   I.歯周基本治療終了後
   II.歯周外科治療後
   III.口腔機能回復治療後
   IV.メインテナンスあるいはSPT中
  SECTION 11 メインテナンス,SPT
   I.メインテナンス,SPTとは
   II.メインテナンス,SPTの目的
   III.メインテナンス,SPTの流れ
   IV.メインテナンス,SPT間隔の決定
  付記 歯周病の新国際分類と日本歯周病学会での対応
VI編 歯の欠損と治療
 臨床歯科医学
  SECTION 1 補綴歯科治療の基礎知識
   I.補綴歯科治療の基礎
   II.補綴治療の種類と材料
   III.補綴装置の維持・支持・把持・安定
   IV.治療の流れ
   V.CAD/CAMシステムによる治療
  SECTION 2 有床義歯(可撤性補綴装置)
   I.義歯床
   II.人工歯
   III.支台装置
   IV.連結子
   V.全部床義歯の製作過程
   VI.部分床義歯の製作過程
   VII.メインテナンスと修理
  SECTION 3 支台築造
   I.支台築造
   II.直接法
   III.間接法
  SECTION 4 クラウン(固定性補綴装置)
   I.クラウンの特徴と分類
   II.部分被覆冠
   III.全部被覆冠
   IV.ポストクラウン(継続歯)
   V.プロビジョナルレストレーション
   VI.リコールとメインテナンス
   VII.クラウンブリッジの製作過程
   VIII.CAD/CAMシステムによるクラウンブリッジの製作
  SECTION 5 ブリッジ(固定性補綴装置)
   I.ブリッジの特徴
   II.ブリッジの構成
   III.支台歯形成の要点
   IV.プロビジョナルレストレーション
   V.メインテナンス
  SECTION 6 インプラント義歯
   I.特徴
   II.構成
   III.メインテナンス
   IV.デジタルソリューションによるインプラント治療