はじめに―これからの歯科に求められる口腔内科的視点―
医学・医療の幅広い分野を基盤で支え,横の連携の織り糸になっているのは内科学である.歯科医学・歯科医療にはこの内科学的な領域がないため,それぞれに発達した分野が都心のビル群のようにそびえているが,相互の交流に乏しいのが現状である.このような中で,口腔内科学(オーラルメディシン)は,歯科の内科学分野を担当する.
すなわち口腔内科(オーラルメディシン)は,現在そして将来の歯科臨床において中核となる分野である.
世界的にはオーラルメディシンの歴史は70年を超えたが,わが国では歯科大学に最初に講座が開設されたのは1985年と日が浅い.しかし,全国の歯科大学には続々と口腔内科(オーラルメディシン)を担当する講座や外来診療科が開設され,歯科医師,歯科衛生士の国家試験にも口腔内科関連の問題の出題が増えている.これらのことは,歯科界のみならず国民,社会においても,従来の治療主体の歯科だけでなく,全身の健康の維持・向上に寄与する歯科への期待が高まっていることを示すものであろう.
超高齢社会のわが国では,全身的に多くの問題を抱えた高齢者も多数の歯を有している.すなわち全身疾患を有する患者が,口腔の諸問題のため歯科外来を受診する事実も忘れてはならない.
歯科衛生士は,う蝕と歯周病の予防と初期対応を主たる業務として活動してきた.最近では周術期管理の口腔領域を担当し,口腔健康管理を中心に,歯科衛生士と医科との連携も進んでいる.これからの歯科衛生士は,口腔内だけに眼を向けず広く全身の状態を視野に入れ,口腔と全身の健康および口腔疾患と全身疾患の関係を常に考える必要がある.
口腔内科は,すべての歯科診療のベースであるとともに,歯科と医科の窓口ともなる.本書は歯科衛生士のために書かれた口腔内科の成書である.歯科衛生士が歯科各分野の臨床で遭遇する問題に対して,また全身の中の口腔を考えるときに役立つものと確信する.座右に置いて日々の臨床に役立てていただきたい.
2019年9月
編集委員(順不同)
山根源之(代表) 酒巻裕之
里村一人 野村武史
医学・医療の幅広い分野を基盤で支え,横の連携の織り糸になっているのは内科学である.歯科医学・歯科医療にはこの内科学的な領域がないため,それぞれに発達した分野が都心のビル群のようにそびえているが,相互の交流に乏しいのが現状である.このような中で,口腔内科学(オーラルメディシン)は,歯科の内科学分野を担当する.
すなわち口腔内科(オーラルメディシン)は,現在そして将来の歯科臨床において中核となる分野である.
世界的にはオーラルメディシンの歴史は70年を超えたが,わが国では歯科大学に最初に講座が開設されたのは1985年と日が浅い.しかし,全国の歯科大学には続々と口腔内科(オーラルメディシン)を担当する講座や外来診療科が開設され,歯科医師,歯科衛生士の国家試験にも口腔内科関連の問題の出題が増えている.これらのことは,歯科界のみならず国民,社会においても,従来の治療主体の歯科だけでなく,全身の健康の維持・向上に寄与する歯科への期待が高まっていることを示すものであろう.
超高齢社会のわが国では,全身的に多くの問題を抱えた高齢者も多数の歯を有している.すなわち全身疾患を有する患者が,口腔の諸問題のため歯科外来を受診する事実も忘れてはならない.
歯科衛生士は,う蝕と歯周病の予防と初期対応を主たる業務として活動してきた.最近では周術期管理の口腔領域を担当し,口腔健康管理を中心に,歯科衛生士と医科との連携も進んでいる.これからの歯科衛生士は,口腔内だけに眼を向けず広く全身の状態を視野に入れ,口腔と全身の健康および口腔疾患と全身疾患の関係を常に考える必要がある.
口腔内科は,すべての歯科診療のベースであるとともに,歯科と医科の窓口ともなる.本書は歯科衛生士のために書かれた口腔内科の成書である.歯科衛生士が歯科各分野の臨床で遭遇する問題に対して,また全身の中の口腔を考えるときに役立つものと確信する.座右に置いて日々の臨床に役立てていただきたい.
2019年9月
編集委員(順不同)
山根源之(代表) 酒巻裕之
里村一人 野村武史
はじめに―これからの歯科に求められる口腔内科的視点
序論 口腔内科(オーラルメディシン)総論(山根源之)
1.口腔内科(オーラルメディシン)とは
2.歯科衛生士業務に必要な口腔内科
1章 患者情報の把握―診断と治療において歯科衛生士に必要な情報
1 歯科衛生士としての患者へのアプローチおよび対応(山根源之)
1.患者へのアプローチ
2.歯科衛生士が行う全身状態の把握と全身疾患の推察
1)患者の姿勢と歩行状態/ 2)体格/ 3)栄養状態/ 4)顔貌と健康状態/ 5)顔色と健康状態/ 6)バイタルサイン
2 病歴の取り方,照会状や返書などの読み方(片倉 朗)
1.患者の病歴を正しく記録することの重要性
2.初診患者の対応
1)患者の様子と問診票の確認/ 2)初診における医療面接の基本的流れ
3.再診患者への対応
4.照会状や診療情報提供書の読み方
1)「照会状」「診療情報提供書」とは/ 2)「照会状」「診療情報提供書」の読み方
3 「歯科衛生士業務記録簿」の記載と「診療録(カルテ)」の読み方(片倉 朗)
1.歯科衛生士業務記録簿の記載
2.診療録(カルテ)の読み方
1)診療録を読むときにまず確認すること/ 2)診療経過を読むにあたって
4 全身の診かたと口腔顎顔面の診かた(片倉 朗)
1.患者観察と全身的症候
2.各臓器に関連した主要症候
3.口腔顎顔面の診察方法
1)口腔顎顔面の診察のポイント/ 2)口腔粘膜に認められる主要な症候/ 3)触診の方法
5 検査の意義と種類
I 臨床検査(吉岡 泉)
1.検体検査
1)血液学的検査/ 2)尿検査/ 3)肝機能検査/ 4)腎機能検査/ 5)免疫学的検査/ 6)病理組織学的検査
2.生体検査(生理機能検査)
1)心電図検査/ 2)血圧検査/ 3)呼吸機能検査
3.画像検査
1)エックス線検査/ 2)磁気共鳴画像(MRI)検査/ 3)超音波検査/ 4)核医学検査
II 口腔・顎機能の検査(伊賀弘起)
1.口腔・顎機能検査
1)唾液・唾液腺検査/ 2)咀嚼機能検査/ 3)摂食嚥下機能検査/ 4)味覚検査
2.口腔機能低下症の検査
1)オーラルフレイルと口腔機能低下症/ 2)口腔機能低下症の症状と検査
2章 全身疾患に関連する口腔顎顔面疾患
1 全身疾患と口腔顎顔面疾患(里村一人)
I 口腔顎顔面にみられる症状
1.眼にみられる症状
2.鼻にみられる症状
3.口腔粘膜・顔面皮膚にみられる症状
1)色調の変化/ 2)表面性状の変化/ 3)腫脹・腫瘤形成
II 口腔顎顔面病変
1.口腔粘膜の構造
2.代表的口腔粘膜病変
1)びらん・潰瘍形成を主徴とするもの/ 2)水疱を主徴とするもの/ 3)白色病変を主徴とするもの/ 4)腫瘍性病変/ 5)舌の病変
Column リンパ節腫脹
3.顎関節疾患
4.神経性疾患
5.唾液腺疾患
2 口腔粘膜疾患
I 色調変化を伴う疾患(山根源之)
1.白色を主症状とする疾患
1)口腔白板症/ 2)口腔扁平苔癬および口腔苔癬様病変/ 3)ニコチン性口内炎/ 4)口腔カンジダ症/ 5)エイズによる口腔カンジダ症,毛状白板症
2.紅色を主症状とする疾患
1)紅板症
3.色素沈着を主症状とする疾患
1)メラニン色素沈着/ 2)アジソン病/ 3)ポイッツ・イェーガース症候群/ 4)マッキューン・アルブライト症候群/ 5)フォン レックリングハウゼン病/ 6)外来性色素沈着/ 7)黒毛舌
II びらん・潰瘍を伴う疾患
1)カタル性口内炎/ 2)多形滲出性紅斑,スティーブンス・ジョンソン症候群,中毒性表皮壊死症/ 3)全身性エリテマトーデス(全身性紅斑性狼瘡)/ 4)再発性アフタ/ 5)ベーチェット病/ 6)梅毒/ 7)結核
III 水疱・膿疱を伴う疾患
1)ヘルペス性歯肉口内炎,口唇ヘルペス/ 2)帯状疱疹/ 3)ヘルパンギーナ/ 4)手足口病/ 5)麻疹/ 6)天疱瘡(尋常性天疱瘡),類天疱瘡(粘膜類天疱瘡)/ 7)掌蹠膿疱症
IV 口腔乾燥を伴う疾患(中村誠司)
1.口腔乾燥症の原因
2.口腔乾燥症の症状
1)シェーグレン症候群/ 2)放射線性口腔乾燥症/ 3)神経性あるいは薬物性の口腔乾燥症/ 4)貧血による全身代謝性口腔乾燥症/ 5)心因性のもの(歯科心身症)
3.口腔乾燥症の診断
4.口腔乾燥症の治療
1)日常生活における注意点および口腔健康管理/ 2)口腔乾燥症に対する治療
V その他
1.性感染症
2.移植治療に伴う疾患
3.抗がん治療に伴う疾患
3 顎関節疾患(山田耕治・森田章介)
I 顎関節症
1.顎関節症の原因
2.初期治療
1)スプリント療法/ 2)スプリントの装着
II 顎関節脱臼
1.顎関節脱臼の原因
2.顎関節脱臼患者の観察のポイント
1)自覚症状/ 2)顔貌所見/ 3)画像所見
3.顎関節脱臼への対応
1)脱臼整復法/ 2)再脱臼の防止/ 3)外科的治療
4 歯科(口腔)心身症(安彦善裕)
1.歯科(口腔)心身症とは
2.歯科心身症の症状
1)痛みを主症状とする歯科心身症/ 2)痛み以外を主症状とする歯科心身症
3.歯科衛生士としての歯科心身症患者への対応
Column 認知行動療法
5 睡眠時無呼吸症(外木守雄・佐藤貴子)
1.睡眠とは
1)睡眠のリズム/ 2)睡眠障害
2.閉塞性睡眠時無呼吸症と歯科
1)閉塞性睡眠時無呼吸症の検査法/ 2)閉塞性睡眠時無呼吸症の診断/ 3)閉塞性睡眠時無呼吸症の治療法
3章 歯科診療に関連する全身的疾患
1 循環器疾患患者の歯科診療(山根源之)
I 循環器疾患とは
II 高血圧症患者の歯科診療
III 心疾患患者の歯科診療
1.各種心疾患と歯科診療
1)狭心症/ 2)心筋梗塞/ 3)不整脈/ 4)心不全
2.抗血栓療法と歯科診療
1)抗血栓療法とは/ 2)出血を伴う歯科治療に際しての休薬期間
2 脳血管疾患(脳卒中後遺症)患者の歯科診療(松野智宣)
I 脳血管疾患とは
II 脳血管疾患の特徴
1.脳梗塞(脳血栓,脳塞栓)
1)脳血栓と脳塞栓/ 2)脳梗塞/ 3)脳血管障害の治療
2.脳内出血
3.くも膜下出血
4.一過性脳虚血発作(TIA)
3 代謝・内分泌疾患患者の歯科診療(酒巻裕之)
I 代謝・内分泌疾患とは
II 代謝性疾患の特徴と歯科診療における留意点
1.ビタミン欠乏症
2.骨粗鬆症
1)骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)について
3.糖尿病
1)糖尿病の治療(薬物療法について)/ 2)糖尿病の合併症
III 内分泌疾患の特徴と歯科診療における留意点
1.甲状腺機能亢進症・機能低下症
1)甲状腺機能亢進症/ 2)甲状腺機能低下症
2.副腎皮質機能亢進症・機能低下症
1)副腎皮質機能亢進症/ 2)副腎皮質機能低下症
4 消化器疾患患者の歯科診療(田 訓)
1.胃腸・食道疾患
1)胃潰瘍および十二指腸潰瘍/ 2)胃食道逆流症/ 3)潰瘍および食道炎の治療薬
2.肝疾患
1)肝炎/ 2)肝硬変/ 3)肝炎や肝硬変の合併症
5 泌尿器疾患患者の歯科診療(岩渕博史)
I 泌尿器疾患とは
II 腎臓病とは
III 腎臓病患者の歯科診療
1.慢性腎臓病(CKD)
2.腎不全と人工(腎臓)透析
1)腎不全保存期/ 2)末期腎不全(透析期)
6 周産期患者の歯科診療(重石英生・杉山 勝)
I 妊婦の歯科診療・口腔管理の留意点
1.妊娠による口腔の変化
1)妊娠性歯肉炎/ 2)妊娠性エプーリス
2.妊娠経過と歯科診療
1)エックス線撮影/ 2)局所麻酔/ 3)投薬について/ 4)仰臥位性低血圧症候群
3.妊婦の口腔管理
1)妊娠中の口腔衛生管理/ 2)う蝕や智歯周囲炎に対する対応/ 3)抜歯などの口腔外科処置
II 新生児の口腔管理
1)新生児期の口腔清掃/ 2)妊婦母親教室
7 アレルギー性疾患患者の歯科診療(野村武史)
I アレルギー性疾患とは
1.免疫応答について
II アレルギー性疾患の特徴と歯科診療における留意点
1.薬物アレルギー
1)固定薬疹/ 2)苔癬型薬疹(扁平苔癬様病変)/ 3)多形滲出性紅斑/ 4)スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚・粘膜・眼症候群)/ 5)中毒性表皮壊死症
2.接触性アレルギー
1)接触性口唇炎/ 2)食物アレルギー/ 3)ラテックスアレルギー/ 4)歯科金属アレルギー
3.掌蹠膿疱症
4.血管性浮腫
1)クインケ浮腫/ 2)遺伝性血管性浮腫
III アレルギー検査
1)血清免疫学的検査/ 2)パッチテスト/ 3)LST(リンパ球刺激試験)/ 4)皮内テスト,スクラッチテスト,プリックテスト
8 自己免疫疾患患者の歯科診療(野村武史)
I 自己免疫疾患とは
1.自己免疫疾患の発症
2.自己免疫疾患の種類
3.自己免疫疾患の治療
1)副腎皮質ステロイド薬/ 2)免疫抑制薬
II 自己免疫疾患の特徴と歯科診療における留意点
1.口腔に症状を表す臓器特異的自己免疫疾患
1)天疱瘡/ 2)類天疱瘡/ 3)その他
2.全身に症状を表す自己免疫疾患
1)関節リウマチ/ 2)全身性エリテマトーデス(全身性紅斑性狼瘡)/ 3)シェーグレン症候群
3.その他の免疫系の異常
1)クローン病
9 呼吸器疾患患者の歯科診療(池邉哲郎)
I 呼吸器疾患とは
1.呼吸器機能検査
1)パルスオキシメーター/ 2)スパイロメトリ
II 呼吸器疾患の特徴と歯科診療における留意点
1.気管支喘息
2.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
1)COPDの治療
10 血液疾患患者の歯科診療(山根源之)
I 血液疾患とは
II 血液疾患患者の歯科診療
1.赤血球の疾患と歯科診療
1)再生不良性貧血/ 2)巨赤芽球性貧血(悪性貧血)/ 3)鉄欠乏性貧血/ 4)溶血性貧血
2.白血球の疾患と歯科診療
1)白血病/ 2)顆粒球減少症(好中球減少症)
3.出血性素因と歯科診療
1)血管壁の異常による出血性素因/ 2)血小板の異常による出血性素因/ 3)血液凝固の異常による出血性素因/ 4)血液凝固と血小板機能の異常/ 5)線溶系の異常
III 造血幹細胞移植患者の口腔管理
11 精神・神経疾患患者の歯科診療
1.うつ病(安彦善裕)
2.統合失調症
3.認知症(枝広あや子)
1)認知症とは/ 2)認知症の人への支援の視点/ 3)認知症の治療
4.セネストパチー(安彦善裕)
12 感染症患者の歯科診療と院内感染対策(北川善政)
I 感染症患者の歯科診療
1.感染症の種類
1)感染症とは/ 2)感染が成立するための条件/ 3)感染症の種類/ 4)なぜ歯科診療で院内感染に気をつけなければならないのか
2.ウイルス性肝炎
1)B型肝炎/ 2)C型肝炎
3.HIV感染症と後天性免疫不全症候群(エイズ)
4.梅毒
5.結核
II 院内感染対策とスタンダードプリコーション
1.院内感染対策
1)ZONEの概念について/ 2)スタンダードプリコーションの2つの要素と具体的な対応/ 3)スタンダードプリコーションに必要な個人的準備/ 4)器具・器材の対応/ 5)持ち込まない,持ち出さないを実行するためのWHOの提案(患者に接するときに行う,5つの手洗いの機会)
2.針刺し事故対策
1)日頃の準備/ 2)針刺し事故を起こした場合(ステップごとの対応)/ 3)受診先の医療機関
4章 老年(高齢)者および要介護者への対応
1 老年(高齢)者への対応(渡邊 裕)
I 老年(高齢)者を理解する
1)わが国の高齢化の状況/ 2)老化による身体機能の変化
II 老年歯科診療の注意点
1.全身的な加齢変化
1)循環器系/ 2)呼吸器系/ 3)消化器系/ 4)精神神経系/ 5)代謝・内分泌系/ 6)血液・免疫系/ 7)筋・骨格系/ 8)感覚器系
Column 75歳以上を“高齢者”とする老年医学会の提案
2.口腔・咽頭領域の加齢変化
1)歯・歯周組織の変化/ 2)顎骨の変化/ 3)顎関節の変化/ 4)口腔,咽頭,喉頭の変化/ 5)摂食嚥下機能の変化/ 6)口腔がん発症の増加
2 要介護者への対応(渡邊 裕)
I 要介護者とは
1.要介護とは
1)“要介護”の諸定義/ 2)要介護認定の手順/ 3)ADLとIADL
2.要介護者と口腔健康管理
1)介護が必要となる原因/ 2)要介護高齢者への口腔健康管理の重要性
II 要介護高齢者の歯科診療上の注意点
1)問診内容の把握/ 2)認知機能低下者に対する対応/ 3)口腔清掃自立度の把握/ 4)口腔周囲の感覚異常の確認/ 5)非経口摂取患者の口腔健康管理の留意点
3 フレイル,オーラルフレイルおよび口腔機能低下症(渡邊 裕)
I フレイル,オーラルフレイル,口腔機能低下症とは
1.フレイル
2.オーラルフレイルおよび口腔機能低下症
II フレイル,オーラルフレイル,口腔機能低下症の予防にかかわる歯科の役割
4 在宅歯科医療・訪問歯科診療における歯科衛生士の役割と注意点(飯田良平)
1.在宅歯科医療・訪問歯科診療とは
1)在宅医療とは/ 2)訪問歯科診療(歯科訪問診療)とは/ 3)要介護高齢者の歯科的対応の必要性と社会的背景
2.訪問歯科診療と歯科の役割
1)一般治療/ 2)居宅療養管理指導/ 3)周術期口腔機能管理/ 4)摂食嚥下機能評価と摂食機能療法/ 5)退院時カンファレンス
3.訪問歯科診療の流れと歯科衛生士の役割
1)訪問診療の依頼/ 2)準備/ 3)訪問診療/ 4)訪問診療後の作業
5章 チーム医療・連携医療および周術期口腔機能管理
1 チーム医療・連携医療における歯科衛生士の役割(山内智博)
1.歯科衛生士制度
2.チーム医療の推進
1)チーム医療における歯科衛生士/ 2)歯科疾病構造の変化と歯科衛生士
3.歯科衛生士がチーム医療を進めるためには
2 周術期における(ICUを含む)口腔機能管理(吉岡昌美)
1.周術期口腔機能管理とは
2.周術期口腔機能管理の留意点
1)アセスメント時の留意点/ 2)専門的口腔清掃時の留意点
3.周術期口腔機能管理に関連する合併症
1)誤嚥/ 2)白血球減少症,血小板減少症,貧血
4.ICUにおける気管挿管のトラブルと誤嚥性肺炎予防のためのケア
3 化学療法・放射線療法中の口腔機能管理(池上由美子)
1.口腔粘膜炎の発生と機序
2.化学療法のリスク管理・感染予防
1)骨髄抑制と口腔衛生管理/ 2)出血/ 3)肺毒性・循環器障害/ 4)末梢神経障害/ 5)血管外漏出時/ 6)皮膚障害/ 7)ボディダメージに対する配慮と精神的サポート
3.頭頸部への放射線療法のリスク管理と口腔衛生管理
1)放射線療法時の口腔のケアの実際
4 緩和ケア(佐藤美由紀)
1.終末期がん患者の全身状態
2.終末期がん患者の口腔状態
1)口腔乾燥/ 2)口腔カンジダ症/ 3)口臭
3.終末期がん患者とのコミュニケーション
1)言語的コミュニケーション/ 2)非言語的コミュニケーション
4.最期まで食べるということ
6章 口腔疾患の早期発見と予防および生活指導
1 口腔粘膜健診(口腔がん検診)(山根源之)
1.口腔がん発生の現状と口腔がん検診の意義
1)口腔がんは全部のがんの中では発生頻度は低いが,死亡率が高い/ 2)口腔がん検診で早期発見し,初期がんの状態で治療を行えば死亡率は下がる
2.口腔粘膜観察のポイント
1)診療のつど,歯肉だけでなく,舌,口唇,頬粘膜,口底,口蓋など口腔全体の観察を行うことを習慣とする/ 2)口腔粘膜疾患をすべてアフタに代表される口内炎とまとめない/ 3)その他の留意点
3.口腔粘膜の診かたの実際
1)何を診て,何を触るのか/ 2)歯肉の診かた・触り方/ 3)舌の診かた・触り方/ 4)頬粘膜および口唇の診かた・触り方/ 5)口蓋の診かた・触り方
2 全身の健康を考えた口腔疾患の予防と指導(小原由紀)
1.口腔疾患予防と歯科保健指導
1)歯科衛生士が行う予防的対応/ 2)歯科保健指導の重要性
2.歯科保健指導の実際
1)長期的視点に立った保健指導計画の立案/ 2)口腔機能の維持向上を目指した歯科保健指導
3.地域における健康増進のかかわり
1)ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチ/ 2)ポピュレーションアプローチのあり方
3 栄養の重要性と歯科衛生士の役割―栄養指導に必要な栄養学(栄養素)の基本(中屋 豊)
1.栄養管理に必要な栄養素の知識
1)糖質/ 2)タンパク質/ 3)脂質/ 4)ビタミン/ 5)無機質(ミネラル)
2.栄養状態の評価
3.栄養補給
1)経腸栄養/ 2)静脈栄養
索引
付録 全身疾患の治療薬一覧
序論 口腔内科(オーラルメディシン)総論(山根源之)
1.口腔内科(オーラルメディシン)とは
2.歯科衛生士業務に必要な口腔内科
1章 患者情報の把握―診断と治療において歯科衛生士に必要な情報
1 歯科衛生士としての患者へのアプローチおよび対応(山根源之)
1.患者へのアプローチ
2.歯科衛生士が行う全身状態の把握と全身疾患の推察
1)患者の姿勢と歩行状態/ 2)体格/ 3)栄養状態/ 4)顔貌と健康状態/ 5)顔色と健康状態/ 6)バイタルサイン
2 病歴の取り方,照会状や返書などの読み方(片倉 朗)
1.患者の病歴を正しく記録することの重要性
2.初診患者の対応
1)患者の様子と問診票の確認/ 2)初診における医療面接の基本的流れ
3.再診患者への対応
4.照会状や診療情報提供書の読み方
1)「照会状」「診療情報提供書」とは/ 2)「照会状」「診療情報提供書」の読み方
3 「歯科衛生士業務記録簿」の記載と「診療録(カルテ)」の読み方(片倉 朗)
1.歯科衛生士業務記録簿の記載
2.診療録(カルテ)の読み方
1)診療録を読むときにまず確認すること/ 2)診療経過を読むにあたって
4 全身の診かたと口腔顎顔面の診かた(片倉 朗)
1.患者観察と全身的症候
2.各臓器に関連した主要症候
3.口腔顎顔面の診察方法
1)口腔顎顔面の診察のポイント/ 2)口腔粘膜に認められる主要な症候/ 3)触診の方法
5 検査の意義と種類
I 臨床検査(吉岡 泉)
1.検体検査
1)血液学的検査/ 2)尿検査/ 3)肝機能検査/ 4)腎機能検査/ 5)免疫学的検査/ 6)病理組織学的検査
2.生体検査(生理機能検査)
1)心電図検査/ 2)血圧検査/ 3)呼吸機能検査
3.画像検査
1)エックス線検査/ 2)磁気共鳴画像(MRI)検査/ 3)超音波検査/ 4)核医学検査
II 口腔・顎機能の検査(伊賀弘起)
1.口腔・顎機能検査
1)唾液・唾液腺検査/ 2)咀嚼機能検査/ 3)摂食嚥下機能検査/ 4)味覚検査
2.口腔機能低下症の検査
1)オーラルフレイルと口腔機能低下症/ 2)口腔機能低下症の症状と検査
2章 全身疾患に関連する口腔顎顔面疾患
1 全身疾患と口腔顎顔面疾患(里村一人)
I 口腔顎顔面にみられる症状
1.眼にみられる症状
2.鼻にみられる症状
3.口腔粘膜・顔面皮膚にみられる症状
1)色調の変化/ 2)表面性状の変化/ 3)腫脹・腫瘤形成
II 口腔顎顔面病変
1.口腔粘膜の構造
2.代表的口腔粘膜病変
1)びらん・潰瘍形成を主徴とするもの/ 2)水疱を主徴とするもの/ 3)白色病変を主徴とするもの/ 4)腫瘍性病変/ 5)舌の病変
Column リンパ節腫脹
3.顎関節疾患
4.神経性疾患
5.唾液腺疾患
2 口腔粘膜疾患
I 色調変化を伴う疾患(山根源之)
1.白色を主症状とする疾患
1)口腔白板症/ 2)口腔扁平苔癬および口腔苔癬様病変/ 3)ニコチン性口内炎/ 4)口腔カンジダ症/ 5)エイズによる口腔カンジダ症,毛状白板症
2.紅色を主症状とする疾患
1)紅板症
3.色素沈着を主症状とする疾患
1)メラニン色素沈着/ 2)アジソン病/ 3)ポイッツ・イェーガース症候群/ 4)マッキューン・アルブライト症候群/ 5)フォン レックリングハウゼン病/ 6)外来性色素沈着/ 7)黒毛舌
II びらん・潰瘍を伴う疾患
1)カタル性口内炎/ 2)多形滲出性紅斑,スティーブンス・ジョンソン症候群,中毒性表皮壊死症/ 3)全身性エリテマトーデス(全身性紅斑性狼瘡)/ 4)再発性アフタ/ 5)ベーチェット病/ 6)梅毒/ 7)結核
III 水疱・膿疱を伴う疾患
1)ヘルペス性歯肉口内炎,口唇ヘルペス/ 2)帯状疱疹/ 3)ヘルパンギーナ/ 4)手足口病/ 5)麻疹/ 6)天疱瘡(尋常性天疱瘡),類天疱瘡(粘膜類天疱瘡)/ 7)掌蹠膿疱症
IV 口腔乾燥を伴う疾患(中村誠司)
1.口腔乾燥症の原因
2.口腔乾燥症の症状
1)シェーグレン症候群/ 2)放射線性口腔乾燥症/ 3)神経性あるいは薬物性の口腔乾燥症/ 4)貧血による全身代謝性口腔乾燥症/ 5)心因性のもの(歯科心身症)
3.口腔乾燥症の診断
4.口腔乾燥症の治療
1)日常生活における注意点および口腔健康管理/ 2)口腔乾燥症に対する治療
V その他
1.性感染症
2.移植治療に伴う疾患
3.抗がん治療に伴う疾患
3 顎関節疾患(山田耕治・森田章介)
I 顎関節症
1.顎関節症の原因
2.初期治療
1)スプリント療法/ 2)スプリントの装着
II 顎関節脱臼
1.顎関節脱臼の原因
2.顎関節脱臼患者の観察のポイント
1)自覚症状/ 2)顔貌所見/ 3)画像所見
3.顎関節脱臼への対応
1)脱臼整復法/ 2)再脱臼の防止/ 3)外科的治療
4 歯科(口腔)心身症(安彦善裕)
1.歯科(口腔)心身症とは
2.歯科心身症の症状
1)痛みを主症状とする歯科心身症/ 2)痛み以外を主症状とする歯科心身症
3.歯科衛生士としての歯科心身症患者への対応
Column 認知行動療法
5 睡眠時無呼吸症(外木守雄・佐藤貴子)
1.睡眠とは
1)睡眠のリズム/ 2)睡眠障害
2.閉塞性睡眠時無呼吸症と歯科
1)閉塞性睡眠時無呼吸症の検査法/ 2)閉塞性睡眠時無呼吸症の診断/ 3)閉塞性睡眠時無呼吸症の治療法
3章 歯科診療に関連する全身的疾患
1 循環器疾患患者の歯科診療(山根源之)
I 循環器疾患とは
II 高血圧症患者の歯科診療
III 心疾患患者の歯科診療
1.各種心疾患と歯科診療
1)狭心症/ 2)心筋梗塞/ 3)不整脈/ 4)心不全
2.抗血栓療法と歯科診療
1)抗血栓療法とは/ 2)出血を伴う歯科治療に際しての休薬期間
2 脳血管疾患(脳卒中後遺症)患者の歯科診療(松野智宣)
I 脳血管疾患とは
II 脳血管疾患の特徴
1.脳梗塞(脳血栓,脳塞栓)
1)脳血栓と脳塞栓/ 2)脳梗塞/ 3)脳血管障害の治療
2.脳内出血
3.くも膜下出血
4.一過性脳虚血発作(TIA)
3 代謝・内分泌疾患患者の歯科診療(酒巻裕之)
I 代謝・内分泌疾患とは
II 代謝性疾患の特徴と歯科診療における留意点
1.ビタミン欠乏症
2.骨粗鬆症
1)骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)について
3.糖尿病
1)糖尿病の治療(薬物療法について)/ 2)糖尿病の合併症
III 内分泌疾患の特徴と歯科診療における留意点
1.甲状腺機能亢進症・機能低下症
1)甲状腺機能亢進症/ 2)甲状腺機能低下症
2.副腎皮質機能亢進症・機能低下症
1)副腎皮質機能亢進症/ 2)副腎皮質機能低下症
4 消化器疾患患者の歯科診療(田 訓)
1.胃腸・食道疾患
1)胃潰瘍および十二指腸潰瘍/ 2)胃食道逆流症/ 3)潰瘍および食道炎の治療薬
2.肝疾患
1)肝炎/ 2)肝硬変/ 3)肝炎や肝硬変の合併症
5 泌尿器疾患患者の歯科診療(岩渕博史)
I 泌尿器疾患とは
II 腎臓病とは
III 腎臓病患者の歯科診療
1.慢性腎臓病(CKD)
2.腎不全と人工(腎臓)透析
1)腎不全保存期/ 2)末期腎不全(透析期)
6 周産期患者の歯科診療(重石英生・杉山 勝)
I 妊婦の歯科診療・口腔管理の留意点
1.妊娠による口腔の変化
1)妊娠性歯肉炎/ 2)妊娠性エプーリス
2.妊娠経過と歯科診療
1)エックス線撮影/ 2)局所麻酔/ 3)投薬について/ 4)仰臥位性低血圧症候群
3.妊婦の口腔管理
1)妊娠中の口腔衛生管理/ 2)う蝕や智歯周囲炎に対する対応/ 3)抜歯などの口腔外科処置
II 新生児の口腔管理
1)新生児期の口腔清掃/ 2)妊婦母親教室
7 アレルギー性疾患患者の歯科診療(野村武史)
I アレルギー性疾患とは
1.免疫応答について
II アレルギー性疾患の特徴と歯科診療における留意点
1.薬物アレルギー
1)固定薬疹/ 2)苔癬型薬疹(扁平苔癬様病変)/ 3)多形滲出性紅斑/ 4)スティーブンス・ジョンソン症候群(皮膚・粘膜・眼症候群)/ 5)中毒性表皮壊死症
2.接触性アレルギー
1)接触性口唇炎/ 2)食物アレルギー/ 3)ラテックスアレルギー/ 4)歯科金属アレルギー
3.掌蹠膿疱症
4.血管性浮腫
1)クインケ浮腫/ 2)遺伝性血管性浮腫
III アレルギー検査
1)血清免疫学的検査/ 2)パッチテスト/ 3)LST(リンパ球刺激試験)/ 4)皮内テスト,スクラッチテスト,プリックテスト
8 自己免疫疾患患者の歯科診療(野村武史)
I 自己免疫疾患とは
1.自己免疫疾患の発症
2.自己免疫疾患の種類
3.自己免疫疾患の治療
1)副腎皮質ステロイド薬/ 2)免疫抑制薬
II 自己免疫疾患の特徴と歯科診療における留意点
1.口腔に症状を表す臓器特異的自己免疫疾患
1)天疱瘡/ 2)類天疱瘡/ 3)その他
2.全身に症状を表す自己免疫疾患
1)関節リウマチ/ 2)全身性エリテマトーデス(全身性紅斑性狼瘡)/ 3)シェーグレン症候群
3.その他の免疫系の異常
1)クローン病
9 呼吸器疾患患者の歯科診療(池邉哲郎)
I 呼吸器疾患とは
1.呼吸器機能検査
1)パルスオキシメーター/ 2)スパイロメトリ
II 呼吸器疾患の特徴と歯科診療における留意点
1.気管支喘息
2.慢性閉塞性肺疾患(COPD)
1)COPDの治療
10 血液疾患患者の歯科診療(山根源之)
I 血液疾患とは
II 血液疾患患者の歯科診療
1.赤血球の疾患と歯科診療
1)再生不良性貧血/ 2)巨赤芽球性貧血(悪性貧血)/ 3)鉄欠乏性貧血/ 4)溶血性貧血
2.白血球の疾患と歯科診療
1)白血病/ 2)顆粒球減少症(好中球減少症)
3.出血性素因と歯科診療
1)血管壁の異常による出血性素因/ 2)血小板の異常による出血性素因/ 3)血液凝固の異常による出血性素因/ 4)血液凝固と血小板機能の異常/ 5)線溶系の異常
III 造血幹細胞移植患者の口腔管理
11 精神・神経疾患患者の歯科診療
1.うつ病(安彦善裕)
2.統合失調症
3.認知症(枝広あや子)
1)認知症とは/ 2)認知症の人への支援の視点/ 3)認知症の治療
4.セネストパチー(安彦善裕)
12 感染症患者の歯科診療と院内感染対策(北川善政)
I 感染症患者の歯科診療
1.感染症の種類
1)感染症とは/ 2)感染が成立するための条件/ 3)感染症の種類/ 4)なぜ歯科診療で院内感染に気をつけなければならないのか
2.ウイルス性肝炎
1)B型肝炎/ 2)C型肝炎
3.HIV感染症と後天性免疫不全症候群(エイズ)
4.梅毒
5.結核
II 院内感染対策とスタンダードプリコーション
1.院内感染対策
1)ZONEの概念について/ 2)スタンダードプリコーションの2つの要素と具体的な対応/ 3)スタンダードプリコーションに必要な個人的準備/ 4)器具・器材の対応/ 5)持ち込まない,持ち出さないを実行するためのWHOの提案(患者に接するときに行う,5つの手洗いの機会)
2.針刺し事故対策
1)日頃の準備/ 2)針刺し事故を起こした場合(ステップごとの対応)/ 3)受診先の医療機関
4章 老年(高齢)者および要介護者への対応
1 老年(高齢)者への対応(渡邊 裕)
I 老年(高齢)者を理解する
1)わが国の高齢化の状況/ 2)老化による身体機能の変化
II 老年歯科診療の注意点
1.全身的な加齢変化
1)循環器系/ 2)呼吸器系/ 3)消化器系/ 4)精神神経系/ 5)代謝・内分泌系/ 6)血液・免疫系/ 7)筋・骨格系/ 8)感覚器系
Column 75歳以上を“高齢者”とする老年医学会の提案
2.口腔・咽頭領域の加齢変化
1)歯・歯周組織の変化/ 2)顎骨の変化/ 3)顎関節の変化/ 4)口腔,咽頭,喉頭の変化/ 5)摂食嚥下機能の変化/ 6)口腔がん発症の増加
2 要介護者への対応(渡邊 裕)
I 要介護者とは
1.要介護とは
1)“要介護”の諸定義/ 2)要介護認定の手順/ 3)ADLとIADL
2.要介護者と口腔健康管理
1)介護が必要となる原因/ 2)要介護高齢者への口腔健康管理の重要性
II 要介護高齢者の歯科診療上の注意点
1)問診内容の把握/ 2)認知機能低下者に対する対応/ 3)口腔清掃自立度の把握/ 4)口腔周囲の感覚異常の確認/ 5)非経口摂取患者の口腔健康管理の留意点
3 フレイル,オーラルフレイルおよび口腔機能低下症(渡邊 裕)
I フレイル,オーラルフレイル,口腔機能低下症とは
1.フレイル
2.オーラルフレイルおよび口腔機能低下症
II フレイル,オーラルフレイル,口腔機能低下症の予防にかかわる歯科の役割
4 在宅歯科医療・訪問歯科診療における歯科衛生士の役割と注意点(飯田良平)
1.在宅歯科医療・訪問歯科診療とは
1)在宅医療とは/ 2)訪問歯科診療(歯科訪問診療)とは/ 3)要介護高齢者の歯科的対応の必要性と社会的背景
2.訪問歯科診療と歯科の役割
1)一般治療/ 2)居宅療養管理指導/ 3)周術期口腔機能管理/ 4)摂食嚥下機能評価と摂食機能療法/ 5)退院時カンファレンス
3.訪問歯科診療の流れと歯科衛生士の役割
1)訪問診療の依頼/ 2)準備/ 3)訪問診療/ 4)訪問診療後の作業
5章 チーム医療・連携医療および周術期口腔機能管理
1 チーム医療・連携医療における歯科衛生士の役割(山内智博)
1.歯科衛生士制度
2.チーム医療の推進
1)チーム医療における歯科衛生士/ 2)歯科疾病構造の変化と歯科衛生士
3.歯科衛生士がチーム医療を進めるためには
2 周術期における(ICUを含む)口腔機能管理(吉岡昌美)
1.周術期口腔機能管理とは
2.周術期口腔機能管理の留意点
1)アセスメント時の留意点/ 2)専門的口腔清掃時の留意点
3.周術期口腔機能管理に関連する合併症
1)誤嚥/ 2)白血球減少症,血小板減少症,貧血
4.ICUにおける気管挿管のトラブルと誤嚥性肺炎予防のためのケア
3 化学療法・放射線療法中の口腔機能管理(池上由美子)
1.口腔粘膜炎の発生と機序
2.化学療法のリスク管理・感染予防
1)骨髄抑制と口腔衛生管理/ 2)出血/ 3)肺毒性・循環器障害/ 4)末梢神経障害/ 5)血管外漏出時/ 6)皮膚障害/ 7)ボディダメージに対する配慮と精神的サポート
3.頭頸部への放射線療法のリスク管理と口腔衛生管理
1)放射線療法時の口腔のケアの実際
4 緩和ケア(佐藤美由紀)
1.終末期がん患者の全身状態
2.終末期がん患者の口腔状態
1)口腔乾燥/ 2)口腔カンジダ症/ 3)口臭
3.終末期がん患者とのコミュニケーション
1)言語的コミュニケーション/ 2)非言語的コミュニケーション
4.最期まで食べるということ
6章 口腔疾患の早期発見と予防および生活指導
1 口腔粘膜健診(口腔がん検診)(山根源之)
1.口腔がん発生の現状と口腔がん検診の意義
1)口腔がんは全部のがんの中では発生頻度は低いが,死亡率が高い/ 2)口腔がん検診で早期発見し,初期がんの状態で治療を行えば死亡率は下がる
2.口腔粘膜観察のポイント
1)診療のつど,歯肉だけでなく,舌,口唇,頬粘膜,口底,口蓋など口腔全体の観察を行うことを習慣とする/ 2)口腔粘膜疾患をすべてアフタに代表される口内炎とまとめない/ 3)その他の留意点
3.口腔粘膜の診かたの実際
1)何を診て,何を触るのか/ 2)歯肉の診かた・触り方/ 3)舌の診かた・触り方/ 4)頬粘膜および口唇の診かた・触り方/ 5)口蓋の診かた・触り方
2 全身の健康を考えた口腔疾患の予防と指導(小原由紀)
1.口腔疾患予防と歯科保健指導
1)歯科衛生士が行う予防的対応/ 2)歯科保健指導の重要性
2.歯科保健指導の実際
1)長期的視点に立った保健指導計画の立案/ 2)口腔機能の維持向上を目指した歯科保健指導
3.地域における健康増進のかかわり
1)ポピュレーションアプローチとハイリスクアプローチ/ 2)ポピュレーションアプローチのあり方
3 栄養の重要性と歯科衛生士の役割―栄養指導に必要な栄養学(栄養素)の基本(中屋 豊)
1.栄養管理に必要な栄養素の知識
1)糖質/ 2)タンパク質/ 3)脂質/ 4)ビタミン/ 5)無機質(ミネラル)
2.栄養状態の評価
3.栄養補給
1)経腸栄養/ 2)静脈栄養
索引
付録 全身疾患の治療薬一覧














