執筆の序
近年,災害と歯科保健医療は,歯科医師国家試験出題基準やモデルコアカリキュラム,歯科衛生士国家試験出題基準にも含まれ歯科医学教育機関において教育すべき項目になりましたが,災害と歯科保健医療についての教科書はこれまで存在しませんでした.本書は,国内だけでなく,海外を含めても災害と歯科を教育するための初めての教科書といえます.書名については,執筆者の集まる編集会議でさまざまな意見が出ましたが,「災害歯科医学」に決定されました.これは,医学部で用いられている災害医学を意識したものです.また,前半には総論として災害について一般的な事象を取り上げました.後半は各論と事例を収載しており,教科書としての体裁を整えました.
教科書には,その背景となる学問体系が必要ですが,災害歯科医学はまだまだ誕生したばかりで,十分な体系に基づき編集されたものではありません.その点では,災害歯科医学の発展に伴いその名称も変遷するかもしれません.
また,災害歯科医学は必要なのか.いつ来るともわからない災害を対象として学問として成り立つのか.さらに,専門家の養成ができるのか.この分野に対するさまざまな意見があります.しかし,いつ来るかわからないからこそ,次来た時に落とさなくてもよい命を落とさせない努力が必要だろうと考えます.それには,経験した知識を蓄積し語り継いでいく必要があります.これこそ災害歯科医学の重要な役割であり,本書の目的でもあります.
本書は,歯学部の学生を主な対象としていますが,歯科衛生士の養成課程でも十分利用していただけるよう歯科衛生士として災害時に活躍された方にも執筆していただきました.また,「付」として災害経験を多数掲載しています.これは,学問を超えた現場の意見をぜひ伝えたいと考えたからで,本書の特徴となっています.さらに,学生だけでなく歯科医師会・歯科衛生士会などの講習会でも十分に役立つと確信しています.
本書が,多くの学生や歯科関係者に活用され,次の災害の備えとして用いられることを祈念しています.
2018 年1 月
編集委員
近年,災害と歯科保健医療は,歯科医師国家試験出題基準やモデルコアカリキュラム,歯科衛生士国家試験出題基準にも含まれ歯科医学教育機関において教育すべき項目になりましたが,災害と歯科保健医療についての教科書はこれまで存在しませんでした.本書は,国内だけでなく,海外を含めても災害と歯科を教育するための初めての教科書といえます.書名については,執筆者の集まる編集会議でさまざまな意見が出ましたが,「災害歯科医学」に決定されました.これは,医学部で用いられている災害医学を意識したものです.また,前半には総論として災害について一般的な事象を取り上げました.後半は各論と事例を収載しており,教科書としての体裁を整えました.
教科書には,その背景となる学問体系が必要ですが,災害歯科医学はまだまだ誕生したばかりで,十分な体系に基づき編集されたものではありません.その点では,災害歯科医学の発展に伴いその名称も変遷するかもしれません.
また,災害歯科医学は必要なのか.いつ来るともわからない災害を対象として学問として成り立つのか.さらに,専門家の養成ができるのか.この分野に対するさまざまな意見があります.しかし,いつ来るかわからないからこそ,次来た時に落とさなくてもよい命を落とさせない努力が必要だろうと考えます.それには,経験した知識を蓄積し語り継いでいく必要があります.これこそ災害歯科医学の重要な役割であり,本書の目的でもあります.
本書は,歯学部の学生を主な対象としていますが,歯科衛生士の養成課程でも十分利用していただけるよう歯科衛生士として災害時に活躍された方にも執筆していただきました.また,「付」として災害経験を多数掲載しています.これは,学問を超えた現場の意見をぜひ伝えたいと考えたからで,本書の特徴となっています.さらに,学生だけでなく歯科医師会・歯科衛生士会などの講習会でも十分に役立つと確信しています.
本書が,多くの学生や歯科関係者に活用され,次の災害の備えとして用いられることを祈念しています.
2018 年1 月
編集委員
CHAPTER 1 災害時の保健医療
1 災害時の医療活動
2 災害時の保健所機能と公衆衛生
3 災害時の対応に関する法律・制度
4 災害時の計画における歯科
5 災害時の栄養と歯科保健
6 被災者への精神保健・心理社会的サポート
7 支援者への精神保健・心理社会的サポート
CHAPTER 2 災害の種類と歴史
1 災害の種類と特徴
2 自然災害の種類と特徴
3 日本における災害の歴史を学ぶ意義
CHAPTER 3 災害対策概論
1 災害対策のゴールとは
2 ゴールに向かって何をするのか
3 防災対策の必要性
CHAPTER 4 災害時の医療体制と歯科のかかわり
1 災害時の時間経過と医療体制
2 災害医療の基本コンセプト「CSCATTT」
3 災害拠点病院の機能と役割
4 超急性期における災害医療とトリアージ
5 医療救護チームに参加する歯科の役割
CHAPTER 5 災害時の歯科保健医療体制
1 災害時の歯科保健医療活動と連携の必要性
2 自治体の保健医療体制における歯科
3 ラピッドアセスメント(災害時迅速評価)と避難所等歯科口腔保健標準アセスメント
4 アクションカード(AC)
5 J-SPEEDと歯科保健医療活動記録
6 災害対策にかかわる各種の保健医療活動チームと多職種連携
7 連携に向けてのコーディネート
CHAPTER 6 災害時の歯科治療
1 被災地における歯科医療の目的
2 被災地における歯科医療の回復に向けて
3 平常時の歯科治療との違い
4 災害時の歯科治療に必要なもの
CHAPTER 7 災害時の歯科保健
1 災害時の口腔ケアの必要性
2 災害時の口腔ケアの特徴と方法・健康教育の実際
3 災害時の口腔ケアのフェーズと優先すべき対象者
4 災害時要配慮者への対応─対象ごとの特徴─
1.高齢者に対する災害時の歯科保健活動
2.障害児者に対する災害時の歯科保健活動
3.乳幼児・小児に対する災害時の歯科保健活動
5 長期的な保健活動の必要性─慢性期(回復期)保健医療─
6 東日本大震災における災害関連死軽減に向けた歯科からのアプローチ
CHAPTER 8 災害時の身元確認
1 大規模災害犠牲者の歯科所見の採取
2 DNA情報の活用
CHAPTER 9 事例から学ぶチーム医療
1 大規模災害発災:歯科大学・歯学部はどのように行動するか─東日本大震災での対応から学んだこと─
2 災害時の歯科技工士の役割─東日本大震災の事例から─
3 災害時の歯科衛生士の役割─新潟県中越地震・新潟県中越沖地震の事例から─
4 多職種との協働─熊本地震の事例から─
5 災害時のリハビリテーションと歯科との連携─熊本地震の事例から─
付 災害を経験して─それぞれの立場から─
1 すべてを失ったときに教えられること
2 東日本大震災─病院における被災から救出,そして地域歯科医療活動へ
3 東日本大震災での受援と支援
4 やれることから少しずつ─気仙沼市で東日本大震災を被災して─
5 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故に被災したいわき市の現実
6 熊本地震における現地コーディネーターの視点での報告
7 被災した行政における歯科医療従事者として今後に向けての提案─熊本地震を体験して─
8 熊本地震における災害歯科保健活動で感じたこと
9 非被災地から被災地を陰からサポートする支援
10 使命─九州北部豪雨─
11 被災中学生から歯科衛生士へ
1 災害時の医療活動
2 災害時の保健所機能と公衆衛生
3 災害時の対応に関する法律・制度
4 災害時の計画における歯科
5 災害時の栄養と歯科保健
6 被災者への精神保健・心理社会的サポート
7 支援者への精神保健・心理社会的サポート
CHAPTER 2 災害の種類と歴史
1 災害の種類と特徴
2 自然災害の種類と特徴
3 日本における災害の歴史を学ぶ意義
CHAPTER 3 災害対策概論
1 災害対策のゴールとは
2 ゴールに向かって何をするのか
3 防災対策の必要性
CHAPTER 4 災害時の医療体制と歯科のかかわり
1 災害時の時間経過と医療体制
2 災害医療の基本コンセプト「CSCATTT」
3 災害拠点病院の機能と役割
4 超急性期における災害医療とトリアージ
5 医療救護チームに参加する歯科の役割
CHAPTER 5 災害時の歯科保健医療体制
1 災害時の歯科保健医療活動と連携の必要性
2 自治体の保健医療体制における歯科
3 ラピッドアセスメント(災害時迅速評価)と避難所等歯科口腔保健標準アセスメント
4 アクションカード(AC)
5 J-SPEEDと歯科保健医療活動記録
6 災害対策にかかわる各種の保健医療活動チームと多職種連携
7 連携に向けてのコーディネート
CHAPTER 6 災害時の歯科治療
1 被災地における歯科医療の目的
2 被災地における歯科医療の回復に向けて
3 平常時の歯科治療との違い
4 災害時の歯科治療に必要なもの
CHAPTER 7 災害時の歯科保健
1 災害時の口腔ケアの必要性
2 災害時の口腔ケアの特徴と方法・健康教育の実際
3 災害時の口腔ケアのフェーズと優先すべき対象者
4 災害時要配慮者への対応─対象ごとの特徴─
1.高齢者に対する災害時の歯科保健活動
2.障害児者に対する災害時の歯科保健活動
3.乳幼児・小児に対する災害時の歯科保健活動
5 長期的な保健活動の必要性─慢性期(回復期)保健医療─
6 東日本大震災における災害関連死軽減に向けた歯科からのアプローチ
CHAPTER 8 災害時の身元確認
1 大規模災害犠牲者の歯科所見の採取
2 DNA情報の活用
CHAPTER 9 事例から学ぶチーム医療
1 大規模災害発災:歯科大学・歯学部はどのように行動するか─東日本大震災での対応から学んだこと─
2 災害時の歯科技工士の役割─東日本大震災の事例から─
3 災害時の歯科衛生士の役割─新潟県中越地震・新潟県中越沖地震の事例から─
4 多職種との協働─熊本地震の事例から─
5 災害時のリハビリテーションと歯科との連携─熊本地震の事例から─
付 災害を経験して─それぞれの立場から─
1 すべてを失ったときに教えられること
2 東日本大震災─病院における被災から救出,そして地域歯科医療活動へ
3 東日本大震災での受援と支援
4 やれることから少しずつ─気仙沼市で東日本大震災を被災して─
5 東日本大震災と東京電力福島第一原子力発電所事故に被災したいわき市の現実
6 熊本地震における現地コーディネーターの視点での報告
7 被災した行政における歯科医療従事者として今後に向けての提案─熊本地震を体験して─
8 熊本地震における災害歯科保健活動で感じたこと
9 非被災地から被災地を陰からサポートする支援
10 使命─九州北部豪雨─
11 被災中学生から歯科衛生士へ

















