やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

『多職種で活用!ポケット版 歯科衛生士のための医療用語・福祉用語』の発刊にあたって
 わが国における歯科の役割が,社会の変化に伴い広がってきています.そのため,歯科衛生士が多職種と連携する場面が,ここ数年急増しています.NSTチームに代表されるように,病院などにおける医師や看護師,管理栄養士との協働,また,在宅や高齢者施設への訪問歯科診療における介護・福祉職種などとの協働が必須となってきました.しかし,その場では,各職種が使用している専門用語・略語などがわからず,コミュニケーションがうまくとれないケースがしばしばみられると,現場からの声を耳にします.また,臨床現場にとどまらず,病院や高齢者施設などで臨床・臨地実習を行う学生にとっても同様で,歯科衛生士養成校の教員からも他職種の専門用語が理解できるようなミニ用語辞典の要望が出ております.
 そこで,これらに対応できるようなポケット版用語辞典を制作することになりました.見出し用語の解説は,できる限り歯科衛生士の方にお願いしました.
 本書は完成版でないと考えています.使用していただき,掲載されていない用語が見つかり,掲載が必要となれば次の版で追加していく,また,一方では,陳腐になった用語は差し替えていくといった皆さまとともに作っていく辞典というコンセプトで今後も進めていく予定です.たくさんのご意見・ご要望をお待ちしております.
 2017年8月
 編集委員 尾ア哲則


推薦の序
 超高齢社会を迎え,歯科医療を取り巻く環境は大きく変化しています.今後ますます歯科診療所に通院できない高齢患者が増加するとともに,医科疾患の療養者や要介護者,在宅療養者等に対する歯科訪問診療・訪問歯科衛生指導の必要性が増大します.
 また,チーム医療における医科歯科連携が推進されており,がん患者等への「周術期口腔機能管理」が導入され,医科疾患での入院患者に対する口腔機能管理の重要性も理解されてきました.さらに,施設に入所している要介護高齢者等に対しては,居宅療養管理指導として歯科訪問診療・訪問歯科衛生指導を実施するなど,医療・介護との連携による歯科保健医療の提供体制が構築されてきています.
 このようななか,在宅・施設・病院などで使用される多職種の基本的な専門用語を歯科衛生士が理解しやすく簡便に記述された書籍が発行されました.本書は,いつでも持ち歩けるコンパクトなポケット版となっております.歯科衛生士が多職種連携の場で困ったときに本書を活用されることをお勧め致します.
 2017年8月
 公益社団法人日本歯科衛生士会 会長 武井典子