やさしさと健康の新世紀を開く 医歯薬出版株式会社

はじめに
 歯科衛生士国家試験受験者にとって,歯科臨床大要は避けて通れない科目です.問題数も多いので,この科目の攻略は合格への近道となります.
 この本は,歯科臨床大要に含まれる臨床系科目の大切なところを中心にまとめ,効率的に学習できるようになっています.
 また,持ち歩けるように小さな判でつくりました.国家試験まで時間のあるときはいつでも復習できるように,そばにおいて下さい.そして,ぜひ,国家試験に合格して,臨床に精通したすばらしい歯科衛生士になってください.皆さんの健闘を祈ります.
 歯科衛生士国試問題研究会
1章 歯科臨床の基礎
 1.医療面接とインフォームドコンセント
  医療面接の基本的事項
  インフォームドコンセント
  医の倫理規定
 2.検査方法の種類
  生体検査
  検体検査
  感染症の検査
  肝機能の検査
  出血性素因の検査
  貧血の検査
  尿検査
 3.エックス線物理の基本的事項
  エックス線の性質
  エックス線の作用
  エックス線の減弱
  エックス線透過性および不透過性の分類
  エックス線のエネルギーと波長
 4.放射線防護の基本
  放射線被曝の分類
  放射線防護の概念
  医療従事者の防護(放射線防護の三原則)
  小児の防護の必要性(小児被曝の特徴)
  患者の防護(被曝軽減のための方法)
 5.歯科におけるエックス線撮影
  口内法エックス線撮影
  パノラマエックス線撮影
  頭部エックス線規格撮影
  コンピュータ断層撮影法(CT)
  その他のエックス線撮影法
  磁気共鳴撮像法(MRI)
 6.平行法,二等分法,咬翼法,咬合法
  平行法
  二等分法
  咬翼法
  咬合法
 7.口内法エックス線(二等分法)撮影法
  頭部固定
  フィルムの位置づけ
  フィルムの保持方法
  エックス線の照射角度
  現像処理の流れ
 8.パノラマエックス線撮影法
  パノラマエックス線撮影装置
  パノラマエックス線撮影の実際
  パノラマエックス線撮影の位置づけミスによる画像変化
2章 保存修復学・歯内療法学
 1.齲蝕の特徴(臨床的・疫学的)
  齲蝕の発生
  齲蝕の分類
  齲蝕の経過による分類
  齲蝕(実質欠損)の診査法
  齲蝕の三大好発部位
 2.使用器具の種類と用途
  手用切削器具
  回転切削器具
  修復物の研磨
  窩縁斜面の形成
 3.修復法の種類と適応
  成形修復
  インレー修復
  ラミネートベニア修復
  ブラックの窩洞の分類
 4.コンポジットレジンの主成分と特徴
  歯科用コンポジットレジンの主成分
  コンポジットレジンの硬化(重合)様式による分類
  フィラー配合の目的
  エナメルボンディング(接着)システム
  光重合型コンポジットレジン修復の特徴
  光重合型コンポジットレジン修復の基本的充填術式
  光重合型コンポジットレジン修復の適応症
  光重合型コンポジットレジン修復の注意点
 5.グラスアイオノマーセメントの主成分と特徴
  グラスアイオノマーセメントの主成分
  グラスアイオノマーセメントの硬化機構
  光硬化型グラスアイオノマーセメントの硬化機構
  グラスアイオノマーセメントの臨床的特徴
  グラスアイオノマーセメント修復の適応と禁忌
  グラスアイオノマーセメント修復の臨床上の注意点
 6.各種セメントの主成分と特徴
  各種セメント
 7.歯肉排除・歯間分離の使用器具と操作法
  歯肉排除
  歯肉排除の目的
  歯肉排除の方法
  歯間分離器(セパレーター)
 8.歯髄疾患の臨床的特徴
  歯髄疾患の分類
  象牙質知覚過敏症
 9.歯髄鎮静法と抜髄法の適応と術式
  歯髄鎮静法(歯髄鎮痛消炎療法)と抜髄法
  麻酔(直接)抜髄の術式
  覆髄法の分類
 10.根管拡大・形成と根管充填
  根管治療器具
  根管充填可能となる時期の判断
  側方加圧根管充填法に用いる器材
  側方加圧根管充填法の手順
  根管清掃薬
  根管消毒薬
  根管充填材
  ガッタパーチャポイントの特徴
 11.根尖性歯周炎の臨床的特徴
  根尖性歯周炎の分類
  抜髄処置と感染根管治療の違い
 12.外科的歯内療法の適応と術式
  代表的な外科的歯内療法
3章 歯周治療学
 1.歯周疾患の分類
  歯周疾患
  歯周疾患の分類
  歯肉炎の分類
  歯周膿瘍
  歯周炎の分類
  咬合性外傷
  外傷性咬合の種類
 2.歯周治療の進め方
  歯周治療の基本
  歯周治療の基本的な順序
  歯周基本治療の目標
  歯周基本治療の内容
 3.歯周組織の診査
  歯肉の診査
  歯周ポケットの診査
  根分岐部の診査
  プロービング時の出血
  歯の動揺度
  エックス線写真診査項目(エックス線写真でわかること)
 4.歯周外科治療の種類と適応
  歯周外科治療の種類と特徴
  組織再生誘導法(GTR法)の術式
  エナメルマトリックスタンパク質(エムドゲインR)による再生療法
 5.歯周外科治療に用いる器材と使用目的
  歯周外科治療に用いる器材
  切開の種類
  縫合法の種類
  骨吸収
4章 歯科補綴学
 1.歯の喪失に伴う口腔内の変化と無歯顎患者の特徴
  歯の喪失によって生じる症状
  高齢者の無歯顎患者にみられる特徴
  加齢変化
  補綴処置によって改善できるもの(補綴処置の目的)
 2.基準平面と彎曲
  カンペル平面
  咬合平面
  スピーの彎曲(前後的咬合彎曲)
  ウィルソンの彎曲(側方的咬合彎曲)
  モンソンカーブ(モンソン球面)
  調節彎曲
  フランクフルト平面(眼耳平面)
 3.下顎運動と下顎位
  下顎運動
  咬合様式
  中心咬合位(咬頭嵌合位)
  下顎限界運動路
  下顎安静位
 4.歯冠補綴装置の種類と特徴
  クラウンの分類と特徴
  ブリッジの構造
  ブリッジの分類と特徴
  ポンティックの形態
 5.床義歯の種類と特徴
  全部床義歯(総義歯,コンプリートデンチャー)
  部分床義歯(パーシャルデンチャー)
 6.全部床義歯の製作過程
  印象採得
  顎間関係の記録(咬合採得)
  仮想咬合平面
  垂直的顎間関係(咬合高径の決定)
  フェイスボウによる記録
  リベース(改床法)とリライニング(裏装法)
  ろう義歯試適
  水平的顎間関係
 7.部分床義歯の構成要素と特徴
  支台装置
  連結子(連結装置)
5章 口腔外科学
 1.口腔粘膜疾患の種類と特徴
  ウイルスによる口腔粘膜疾患
  原因不明の口腔粘膜疾患
  真菌による感染症
  潰瘍性病変
 2.唾液腺疾患の種類と特徴
  唾液腺疾患
  シェーグレン症候群
 3.口腔領域の先天異常の種類と治療法
  口腔領域の先天異常
  口唇裂・口蓋裂
 4.顎骨とその周囲の炎症性疾患の種類と治療法
  顎骨骨髄炎
  瘻孔
  ドライソケット
  智歯周囲炎
 5.腫瘍
  腫瘍の分類
  顎骨内に発生する腫瘍
  粘膜に発生する腫瘍(非歯原性腫瘍)
  エプーリス
  前癌病変の種類
 6.嚢胞
  嚢胞の分類
  嚢胞摘出手術
 7.顎関節の病変と顎骨の骨折
  顎関節症
  顎関節脱臼
  顎骨の骨折
  顎骨の骨折の種類
 8.三叉神経痛の特徴
  三叉神経痛
  顔面神経麻痺
 9.抜歯
  抜歯の術式
  普通抜歯の準備
  難抜歯の準備
  抜歯鉗子の種類
  抜歯後の注意と患者への説明
 10.全身疾患の口腔病変と救急処置
  血液疾患
  後天性免疫不全症候群(AIDS)
  ショックの救急処置
6章 歯科矯正学
 1.正常咬合と不正咬合
  正常咬合
  正常咬合の種類
  歯の位置異常
  不正咬合
  不正咬合の種類
  歯の移動と組織反応
  歯の移動様式
 2.不正咬合の分類
  Angleの不正咬合の分類
  Angleの不正咬合の分類の特徴
  不正咬合の原因
  不正咬合の局所的原因
  口腔習癖
 3.矯正装置
  矯正装置の分類
  矯正装置の種類
  顎間固定法
  顎外固定装置の種類と特徴
 4.矯正治療に使用する器具
  プライヤー
  プライヤー以外の器具
 5.症例分析
  模型分析
  頭部エックス線規格写真(セファログラム)分析
  セファログラム上での計測点の特徴
  平行模型と顎態模型
7章 小児歯科学
 1.小児の発育と生理的特徴
  スキャモンの発育曲線
  脳頭蓋の発育
  脳頭蓋と顔面頭蓋の発育(比率)変化
  言語の発達
  情動の発達(分化)
  小児の生理的特徴
 2.ヘルマンの咬合発育段階(歯齢)
  ヘルマンの咬合発育段階
  生理的年齢
  骨年齢
  ターミナルプレーン
  ヒトの歯の年齢的発育
  歯の萌出
  みにくいあひるの子の時代
 3.小児の口腔疾患
  小児の口腔疾患
  目でみる小児の口腔疾患
 4.乳歯の形態的特徴
  歯冠
  歯根
  歯髄
  構造的特徴(組織学的特徴)
  物理化学的特徴
  幼若永久歯
  歯列の発育変化
  乳歯の形態的特徴
 5.小児の口腔習癖と咬合異常
  口腔習癖
  咬合異常
  習癖除去装置
  口腔習癖の特徴と対処法
  歯列・咬合の発育異常
 6.乳歯齲蝕
  齲蝕有病状況
  乳歯齲蝕の特徴
  乳歯齲蝕の為害作用(心身に及ぼす影響)
  乳歯齲蝕の好発部位─年齢による変化(乳歯列)─
 7.小児の歯の外傷
  歯の外傷の分類
  小児の歯の外傷の特徴
 8.保隙装置の種類と適応
  保隙の意義
  保隙装置の種類
  乳歯冠(乳歯既製冠の特徴)
 9.小児患者への歯科的対応法
  小児歯科治療における対応法の基本
  行動変容技法を用いた対応法
  鎮静減痛下での対応法
  非協力児への対応法
 10.障害者の歯科治療
  障害者の歯科治療が困難な理由
  障害の特徴
  障害者歯科における患者対応法
 11.離乳期における咀嚼の発達段階
  離乳期における咀嚼の発達段階
  離乳
  離乳の完了
8章 高齢者歯科学
 1.高齢社会
  高齢化率の変動
  高齢者の死亡原因
  ノーマライゼーション
  高齢者のQOL(Quality of Life)
 2.高齢者の特性
  加齢と老化
  身体的特性
  精神的特性
  能力的特性
  社会的特性
  主な老化現象(加齢変化)
 3.高齢者に多い疾患,特有の疾患
  高血圧症
  糖尿病
  虚血性心疾患
  不整脈
  脳血管障害
  老人性認知症
  うつ病
  関節リウマチ
  骨粗鬆症
 4.高齢者に多い口腔領域の疾患
  複数歯の根面齲蝕,残根状態
  歯周疾患
  粘膜疾患
  口腔乾燥
  口臭症
  摂食・嚥下障害
 5.高齢者の歯科治療
  口腔領域の加齢変化の問題点
  全身状態の把握(バイタルサインとモニタリング)
  疾病状況を考慮した歯科診療補助
  スタンダードプレコーション
  ヒヤリ・ハット(インシデント)
  アクシデント(医療事故)
  医療危機管理(リスクマネジメント)
 6.高齢者の摂食・嚥下障害とリハビリテーション
  摂食・嚥下
  摂食・嚥下の5期
  摂食・嚥下障害
  摂食・嚥下機能のスクリーニング検査
  摂食・嚥下機能の精密検査
  摂食機能療法
  誤嚥性肺炎
9章 障害者歯科学
 1.障害の概念
  ノーマライゼーション
  バリアフリー
  QOL(Quality of Life)
  国際生活機能分類(ICF)
 2.障害の種類と歯科的特徴
  精神遅滞(精神発達遅滞)
  ダウン症候群
  広汎性発達障害
  脳性麻痺
  筋ジストロフィー
  てんかん
  感覚障害
  精神障害の分類
 3.障害者の歯科治療
  行動調整
  行動変容法
  薬物的行動療法
  体動の調整法
  健康支援と口腔ケア
 4.障害者の摂食・嚥下障害とリハビリテーション
  摂食・嚥下障害
  摂食・嚥下障害と口腔管理
  摂食・嚥下障害と栄養管理
  摂食・嚥下機能のスクリーニング検査
  摂食・嚥下機能の精密検査
  摂食機能療法
  よくみられる摂食時の症状と指導
  小児の摂食・嚥下障害を引き起こす
  主要な疾患
  成人,高齢者の摂食・嚥下障害を引き起こす主要な疾患
  摂食・嚥下リハビリテーションに関わる職種の特徴と役割