第3版の序
医療や福祉という領域は,その国の歴史と文化,そして経済状態に左右されます.日本の社会福祉の歴史は,明治になって近代国家が形成されたときに遡りますが,第二次世界大戦の終戦とともに,国としての新たな社会福祉に取り組まれました.いわゆる戦後の時代の国づくりの中で必要となった社会福祉政策でした.しかし,その考え方はいまでは時代にそぐわない政策や制度となり,国は新しい考えの下に法を整備しました.そして,バブルが崩壊し,21世紀となって少子高齢社会という国の経済を根本から見直さなければならない時代となったいま,さらなる変容が必要となり,2006年の障害者自立支援法が施行されました.
大切なことは法律の整備でなく人々の心です.小児や障害者,高齢者という何らかの支えを必要とする人たちに,国民はどのようなコンセンサスを持つのかが法の整備以前に必要です.わが国の障害者福祉に対する共通認識は何かと考えると,人それぞれがばらばらな答えをもってしまいます.あるいは,答えを見出せないことも多いようです.
この教科書は,歯科衛生士養成機関で教科書として使われるために,歯科衛生士の視線で書かれました.しかし,その内容の豊富さから卒後の臨床で改めて参考にしても十分であると思います.そして,この教科書は,歯科衛生士として必要な障害者歯科学の知識だけでなく,医療人としての歯科衛生士が,障害者として生きる人たちの命を考えるきっかけになってほしいという願いも秘められています.
教科書としては,従来の文語体から平易な口語体の文章を用いました.これも時代の要請で,読者が読みやすく感じ身近においていただきたいという思いからでした.そのことで教科書,専門書としての体裁が崩れたとは思っていません.読んでいただくことが本の意味ですから,読みやすいのであればそのように編集することは必要なことと思います.文章は平易でも内容は質も量も濃厚です.
歯科衛生士として地域の歯科医療や専門性の高い歯科医療の現場で働くとき,この本は必ず役に立つと思います.著者は障害者歯科の第一線に携わる3人の歯科医師と7人の歯科衛生士,1人の言語聴覚士で構成されています.いずれの著者も,障害者歯科ではベテランであり,いくつもの困難や疑問に遭遇しながらそれを乗り越えながら臨床で活躍している人たちです.総論の1,2,3章を緒方,3章の一部は高原,4章を森崎,4章の一部を西崎,5章と7章の一部を小笠原,6章を高原,河野,7章を石井,溝口,足立,8章は河野,溝口,山内,9章は栗原,そして10章を緒方と小笠原が担当しました.
監修者としてこの本が歯科衛生士を通して,多くの障害者の豊かな生活に役に立つことを願ってやみません.
2006年10月 緒方克也
2006年に試行された障害者自立支援法を契機に,「障害者」を「障がい者」と表記する機
運にあります.しかし,固有名詞は法律を含めて従来のまま「障害者」であり,人としての障害者をいうときのみ「障がい者」と表記する自治体やマスコミが増えました.障害者問題が標記を変えることで解決するとは思われません.表記よりも社会の認識が変わることが大切と思います.本書では混乱を避けるため従来どおりの「障害者」を用いました.
第2版の序
「処置や治療から管理へ」.歯科医療に対する考え方が変わりつつある.そして20世紀が生産と消費というモノの時代であったとするならば,21世紀は優しさや心という人間が中心となる時代といわれている.この二つは大きな共通点をもつことに気づいていただきたい.つまり,歯科医療の中で義歯や歯冠修復といった,モノを製作することが重要視された時代は遠のき,予防や管理によって健康という人間そのものを大切にすることが求められている.
実は,障害者歯科の領域ではこのことは20世紀の時代から一部ではすでに実践されていたことであった.障害者は齲蝕が多いとか未処置歯が多いと言われていたが,幼児期から管理すれば障害のない人以上に齲蝕の発生を抑制することが可能で,そのことが障害者の歯科管理の上ではきわめて大切であるという研究報告もなされている.つまり,管理を中心とした歯科医療は障害者歯科の領域では当然の考え方として始まっていたのである.
今日の障害者歯科サービスは,障害者たちの寿命の延長とともに歯周病への対応が求められている.障害者の持つ歯周病の予防や管理は齲蝕の管理よりも困難であり,これから当分障害者歯科の大きなテーマとなるだろう.しかし,齲蝕も歯周病もその管理は歯科衛生士に担うことところが大きく,かかりつけ歯科医と一緒に地域で歯科医療に従事する歯科衛生士から,病院歯科や障害者施設といった専門性の高い医療機関の歯科衛生士までそれぞれが障害者の歯科的な健康をサポートすることになる.本書は時代の要請から歯科衛生士養成所で障害者歯科を学ぶための教科書として編集したが,その内容は歯科衛生士養成所での教育に余りあるほど,多くの情報で満たされるものとなった.歯科衛生士となった後にひもとくとしても十分通用する内容である.障害者歯科は保健指導,診療補助という歯科衛生士の業務のために,歯科医学だけでなく障害についての医学的知識が多く求められる.歯科衛生士教育が3年制になろうとする今日,歯科衛生士に求められるのは医療人としての姿勢や教養である.障害者歯科に携わる歯科衛生士は,診療補助のためにチェア-サイドに立つだけでなく,障害や障害者について,社会福祉についてを十分に考えていただきたい.本書がその一助になることを願うとともに,歯科衛生士として障害者を理解するきっかけになることも期待したい.改版にあたり著者を増やし,高齢障害者の介護や訪問診療の項を新たに設けた.また,監修者の酒井信明先生は現役を退かれたため,責任監修者は一人とした.時代のニーズに合った改版であり,多くの歯科衛生士の手元に置いていただきたい.
なお第2版の執筆にあたっては,総論1,2章を酒井,3章I,4章を緒方,3章IIを足立,各論1章を森崎,2章を小笠原,3章を石黒(旧姓 伊藤),栗原,吉田,4章を河野,吉田,5章を増田(旧姓 木村),乾,6章を栗原,7章を緒方,小笠原が担当した.なお,文責はすべて監修者にあることを明記しておく.
2001年2月14日
緒方克也
第1版の序
さまざまな障害があるために歯科医療を受けることができないか困難な人々に,一般の患者さんと同じように歯科サービスを提供しようという努力が営々と積み重ねられてきた.また,診療を受ける障害をもつ患者さんの側からも,障害による受診の困難性をどのように克服したらよいのかの探索と要求が繰り返されていて,今になっても問題が解決してしまったわけではない.ノーマリゼーションの緒に就いたばかりというべきである.
歯科大学や歯学部では,学生教育にこのような特別な配慮を必要とする歯科医療についての教育の必要性を認め,講座や付属病院診療科を開設するところが過去おおよそ20年来,徐々にではあるが増えてきている.また多くの地域歯科医師会が,行政との協力のもとに,障害者歯科医療を行える施設の開設・運営に当たっている.総合病院の歯科のなかには,少数ではあるが地域の高次障害者歯科医療を引き受ける中心的役割を担っているところもある.
このような障害者歯科医療の流れのなかで,歯科衛生士の役割が,診療補助だけでなく,本来の疾患予防,口腔衛生指導を含めて,きわめて重要なものとして意識されるようになり,障害者歯科医療には不可欠であると認められるようになってきた.これを受けて,歯科衛生士養成所でも障害者歯科についての教育がなんらかの形で行われることとなり,ことに教授要綱にも歯科診療補助,保健指導のなかに心身障害(児)者に関する項目が加えられ,さらに巡回臨床実習教育事業についての要綱が示されて,社会福祉施設などに出向いての実習が考えられるようになって10年以上が過ぎている.
しかし,全国の歯科衛生士養成機関で障害者歯科の教育が,それぞれの事情によってまちまちであったり,所によってはほとんど行われていないに近いのが実情である.その理由の一つは指標となるにふさわしい教科書が得られないことがあり,障害および障害者とその歯科医療についての理解と知識を提供する歯科衛生士学生向きで時代に合った標準的な教科書が望まれてきた.
そこで,障害者歯科医療での歯科衛生士の役割についてぜひとも歯科衛生士学生によい指標をつくりたいものだと思い,この方向での造詣が深く,早くから実践の場で尽力されてきた歯科医師や歯科衛生士の方々のご協力により,また医歯薬出版から上梓の約束をいただき,本書の企画が進行することとなった.
本書の編集にあたっては,バラツキのある全国の障害者歯科医療の事情をできるだけふまえ,歯科衛生士の行う仕事という視点から最低限知っておきたい知識と実際の臨床をわかりやすくまとめたつもりである.したがってここに盛られた内容は,障害者歯科医療の全貌ではなく,その下にはさらに広く深い知識と理解が必要であり,隠されているものこそ本質的なのだということをわかっていただければと思う.
障害者歯科医療自身が目下,発展途上にある.本書が全国の歯科衛生士養成所で,この領域の教育の手掛かりとして,将来への橋渡しとなり,障害者の福祉に貢献するところがあることを熱望してやまない.また歯学部学生や歯科医師の方々にも一読していただければ役立つことが多いと思っている.
本書の執筆にあたっては,総論1,2章を酒井,3,4章を緒方,各論1章を森崎,2章を小笠原,3章を伊藤,栗原,吉田,4章を河野,吉田,5章を木村,乾,6章を栗原,7章を緒方,小笠原が担当した.なお,文責はすべて監修者にあることを明記しておく.
1996年9月
酒井信明
医療や福祉という領域は,その国の歴史と文化,そして経済状態に左右されます.日本の社会福祉の歴史は,明治になって近代国家が形成されたときに遡りますが,第二次世界大戦の終戦とともに,国としての新たな社会福祉に取り組まれました.いわゆる戦後の時代の国づくりの中で必要となった社会福祉政策でした.しかし,その考え方はいまでは時代にそぐわない政策や制度となり,国は新しい考えの下に法を整備しました.そして,バブルが崩壊し,21世紀となって少子高齢社会という国の経済を根本から見直さなければならない時代となったいま,さらなる変容が必要となり,2006年の障害者自立支援法が施行されました.
大切なことは法律の整備でなく人々の心です.小児や障害者,高齢者という何らかの支えを必要とする人たちに,国民はどのようなコンセンサスを持つのかが法の整備以前に必要です.わが国の障害者福祉に対する共通認識は何かと考えると,人それぞれがばらばらな答えをもってしまいます.あるいは,答えを見出せないことも多いようです.
この教科書は,歯科衛生士養成機関で教科書として使われるために,歯科衛生士の視線で書かれました.しかし,その内容の豊富さから卒後の臨床で改めて参考にしても十分であると思います.そして,この教科書は,歯科衛生士として必要な障害者歯科学の知識だけでなく,医療人としての歯科衛生士が,障害者として生きる人たちの命を考えるきっかけになってほしいという願いも秘められています.
教科書としては,従来の文語体から平易な口語体の文章を用いました.これも時代の要請で,読者が読みやすく感じ身近においていただきたいという思いからでした.そのことで教科書,専門書としての体裁が崩れたとは思っていません.読んでいただくことが本の意味ですから,読みやすいのであればそのように編集することは必要なことと思います.文章は平易でも内容は質も量も濃厚です.
歯科衛生士として地域の歯科医療や専門性の高い歯科医療の現場で働くとき,この本は必ず役に立つと思います.著者は障害者歯科の第一線に携わる3人の歯科医師と7人の歯科衛生士,1人の言語聴覚士で構成されています.いずれの著者も,障害者歯科ではベテランであり,いくつもの困難や疑問に遭遇しながらそれを乗り越えながら臨床で活躍している人たちです.総論の1,2,3章を緒方,3章の一部は高原,4章を森崎,4章の一部を西崎,5章と7章の一部を小笠原,6章を高原,河野,7章を石井,溝口,足立,8章は河野,溝口,山内,9章は栗原,そして10章を緒方と小笠原が担当しました.
監修者としてこの本が歯科衛生士を通して,多くの障害者の豊かな生活に役に立つことを願ってやみません.
2006年10月 緒方克也
2006年に試行された障害者自立支援法を契機に,「障害者」を「障がい者」と表記する機
運にあります.しかし,固有名詞は法律を含めて従来のまま「障害者」であり,人としての障害者をいうときのみ「障がい者」と表記する自治体やマスコミが増えました.障害者問題が標記を変えることで解決するとは思われません.表記よりも社会の認識が変わることが大切と思います.本書では混乱を避けるため従来どおりの「障害者」を用いました.
第2版の序
「処置や治療から管理へ」.歯科医療に対する考え方が変わりつつある.そして20世紀が生産と消費というモノの時代であったとするならば,21世紀は優しさや心という人間が中心となる時代といわれている.この二つは大きな共通点をもつことに気づいていただきたい.つまり,歯科医療の中で義歯や歯冠修復といった,モノを製作することが重要視された時代は遠のき,予防や管理によって健康という人間そのものを大切にすることが求められている.
実は,障害者歯科の領域ではこのことは20世紀の時代から一部ではすでに実践されていたことであった.障害者は齲蝕が多いとか未処置歯が多いと言われていたが,幼児期から管理すれば障害のない人以上に齲蝕の発生を抑制することが可能で,そのことが障害者の歯科管理の上ではきわめて大切であるという研究報告もなされている.つまり,管理を中心とした歯科医療は障害者歯科の領域では当然の考え方として始まっていたのである.
今日の障害者歯科サービスは,障害者たちの寿命の延長とともに歯周病への対応が求められている.障害者の持つ歯周病の予防や管理は齲蝕の管理よりも困難であり,これから当分障害者歯科の大きなテーマとなるだろう.しかし,齲蝕も歯周病もその管理は歯科衛生士に担うことところが大きく,かかりつけ歯科医と一緒に地域で歯科医療に従事する歯科衛生士から,病院歯科や障害者施設といった専門性の高い医療機関の歯科衛生士までそれぞれが障害者の歯科的な健康をサポートすることになる.本書は時代の要請から歯科衛生士養成所で障害者歯科を学ぶための教科書として編集したが,その内容は歯科衛生士養成所での教育に余りあるほど,多くの情報で満たされるものとなった.歯科衛生士となった後にひもとくとしても十分通用する内容である.障害者歯科は保健指導,診療補助という歯科衛生士の業務のために,歯科医学だけでなく障害についての医学的知識が多く求められる.歯科衛生士教育が3年制になろうとする今日,歯科衛生士に求められるのは医療人としての姿勢や教養である.障害者歯科に携わる歯科衛生士は,診療補助のためにチェア-サイドに立つだけでなく,障害や障害者について,社会福祉についてを十分に考えていただきたい.本書がその一助になることを願うとともに,歯科衛生士として障害者を理解するきっかけになることも期待したい.改版にあたり著者を増やし,高齢障害者の介護や訪問診療の項を新たに設けた.また,監修者の酒井信明先生は現役を退かれたため,責任監修者は一人とした.時代のニーズに合った改版であり,多くの歯科衛生士の手元に置いていただきたい.
なお第2版の執筆にあたっては,総論1,2章を酒井,3章I,4章を緒方,3章IIを足立,各論1章を森崎,2章を小笠原,3章を石黒(旧姓 伊藤),栗原,吉田,4章を河野,吉田,5章を増田(旧姓 木村),乾,6章を栗原,7章を緒方,小笠原が担当した.なお,文責はすべて監修者にあることを明記しておく.
2001年2月14日
緒方克也
第1版の序
さまざまな障害があるために歯科医療を受けることができないか困難な人々に,一般の患者さんと同じように歯科サービスを提供しようという努力が営々と積み重ねられてきた.また,診療を受ける障害をもつ患者さんの側からも,障害による受診の困難性をどのように克服したらよいのかの探索と要求が繰り返されていて,今になっても問題が解決してしまったわけではない.ノーマリゼーションの緒に就いたばかりというべきである.
歯科大学や歯学部では,学生教育にこのような特別な配慮を必要とする歯科医療についての教育の必要性を認め,講座や付属病院診療科を開設するところが過去おおよそ20年来,徐々にではあるが増えてきている.また多くの地域歯科医師会が,行政との協力のもとに,障害者歯科医療を行える施設の開設・運営に当たっている.総合病院の歯科のなかには,少数ではあるが地域の高次障害者歯科医療を引き受ける中心的役割を担っているところもある.
このような障害者歯科医療の流れのなかで,歯科衛生士の役割が,診療補助だけでなく,本来の疾患予防,口腔衛生指導を含めて,きわめて重要なものとして意識されるようになり,障害者歯科医療には不可欠であると認められるようになってきた.これを受けて,歯科衛生士養成所でも障害者歯科についての教育がなんらかの形で行われることとなり,ことに教授要綱にも歯科診療補助,保健指導のなかに心身障害(児)者に関する項目が加えられ,さらに巡回臨床実習教育事業についての要綱が示されて,社会福祉施設などに出向いての実習が考えられるようになって10年以上が過ぎている.
しかし,全国の歯科衛生士養成機関で障害者歯科の教育が,それぞれの事情によってまちまちであったり,所によってはほとんど行われていないに近いのが実情である.その理由の一つは指標となるにふさわしい教科書が得られないことがあり,障害および障害者とその歯科医療についての理解と知識を提供する歯科衛生士学生向きで時代に合った標準的な教科書が望まれてきた.
そこで,障害者歯科医療での歯科衛生士の役割についてぜひとも歯科衛生士学生によい指標をつくりたいものだと思い,この方向での造詣が深く,早くから実践の場で尽力されてきた歯科医師や歯科衛生士の方々のご協力により,また医歯薬出版から上梓の約束をいただき,本書の企画が進行することとなった.
本書の編集にあたっては,バラツキのある全国の障害者歯科医療の事情をできるだけふまえ,歯科衛生士の行う仕事という視点から最低限知っておきたい知識と実際の臨床をわかりやすくまとめたつもりである.したがってここに盛られた内容は,障害者歯科医療の全貌ではなく,その下にはさらに広く深い知識と理解が必要であり,隠されているものこそ本質的なのだということをわかっていただければと思う.
障害者歯科医療自身が目下,発展途上にある.本書が全国の歯科衛生士養成所で,この領域の教育の手掛かりとして,将来への橋渡しとなり,障害者の福祉に貢献するところがあることを熱望してやまない.また歯学部学生や歯科医師の方々にも一読していただければ役立つことが多いと思っている.
本書の執筆にあたっては,総論1,2章を酒井,3,4章を緒方,各論1章を森崎,2章を小笠原,3章を伊藤,栗原,吉田,4章を河野,吉田,5章を木村,乾,6章を栗原,7章を緒方,小笠原が担当した.なお,文責はすべて監修者にあることを明記しておく.
1996年9月
酒井信明
1章 わが国の障害者歯科は歯科医師会のセンターから広まった
I 障害者歯科のこれまでといま
1.形のなかった障害者歯科
2.注目され始めた時代
3.多様化の時代
4.リハビリテーションと高齢障害者の時代
5.外国の障害者歯科の歴史も知ろう
II 障害者とよばれる人たち
1.障害者の概念を整理しましょう
2.障害者とはどんな人たちのことでしょうか
III 障害者が利用する施設
2章 障害者歯科は障害者の生活を歯科医療の立場から支援すること
I 歯科医療と障害者の関わり
1.障害者歯科の定義
2.障害者歯科の難しさと期待
3.障害者歯科の困難性
II 障害者の歯科医療に関わる専門家たち
1.さまざまな歯科領域との関わり
2.障害者の療育や生活に関わる専門家たち
III 障害者歯科医療の成り立ち
3章 障害者と歯科衛生士の関わりはチェアサイドだけではない
I 歯科衛生士は障害者にどんな支援ができるか
1.わが子の障害を親はどのように受容するか
2.障害児から障害者へ
II 障害者歯科のために必要な知識
1.障害者福祉の理念と現実
2.ノーマライゼーションの考え方
3.バリアフリーの考え方
III 他職種との連携を大切に
IV 業務の記録と整理・紹介状の書き方
1.業務記録
2.サブカルテの詳細
3.紹介状の書き方
4章 障害者歯科は障害の種類や特徴を知ることから始まる
I 障害を分類すると
1.障害者歯科の対象
2.障害者歯科の特質
II 知的障害をもつ人の身体と口腔の特徴
1.精神発達遅滞(精神遅滞,知的障害)
2.精神発達遅滞者の一般的特徴
3.精神発達遅滞の発生原因と特徴
4.広汎性発達障害
5.軽度発達障害
III 身体障害の種類と歯科的特徴
1.感覚器の障害
2.姿勢と運動の障害
3.てんかん
4.内部障害
5.言語障害
6.重複障害
IV 精神障害をもつ人の特徴
1.精神障害の分類
2.精神障害者と口腔の特徴
V 障害者と歯科領域での機能訓練は「食べること」と「話すこと」
1.食べることの機能障害
2.ことばと聞こえに障害をもつ障害児(者)は
3.子どもがことばを覚える道すじ
4.いろいろな言語障害
5.言語障害の診断と検査は
6.言語障害に対する訓練とは
5章 障害者の心と行動の特徴を理解して接する
I 障害によって違う歯科治療時の行動
1.精神発達遅滞
2.ダウン症候群
3.自閉症(自閉性障害)
4.軽度発達障害
5.脳性麻痺
6.重症心身障害児(者)
7.超重症児
II さまざまな行動調整法
1.基本的行動調整
2.特殊な行動調整
III 初診時に把握すること
1.なぜ把握する必要があるか
2.患者本人について
IV 感染への対応
1.感染対策のために
6章 障害者の歯科診療では細やかな診療補助が必要
I 障害別に対応するために
1.精神発達遅滞(知的障害)
2.自閉性障害(広汎性発達障害)
3.肢体不自由
4.高齢者
5.診療補助の基本はコミュニケーションの確立から
II 治療の内容によって対応は異なる
1.CUREの場合
2.CAREの場合
III 歯科衛生士に必要な全身管理の見方
1.障害別の留意点
2.全身状態の変化への対応
IV 全身麻酔や鎮静法における診療補助
1.全身麻酔
2.静脈内鎮静法
3.笑気吸入鎮静法
V 高齢障害者の歯科診療補助
1.事前の情報収集が大切
2.高齢を理解し,サポートする
3.疾患別にみた歯科診療補助での配慮
7章 歯科保健指導とケアは障害者歯科のハイライト
I ブラッシングの自立に向けた支援
1.障害者の口腔健康管理の現状
2.本人のブラッシングを育てる意義
3.できるところ,できないところを見分ける(発達段階の把握)
II 自立の支援は誰に行えば効果があるか
1.共同療育者の育成
III ブラッシングの自立の限界とケアの大切さ
1.できない部分の対応方法
IV 指導やケアが困難な障害者では
1.医療側の定期的な管理の必要性(→かかりつけ歯科医の重要性)
V 歯科保健指導やケアを障害別に考えると
1.精神遅滞児(者)への歯科保健指導とケアの基本的な考え方
2.自閉症児(者)への歯科保健指導とケアの基本的な考え方
3.肢体不自由児(者)への歯科保健指導とケアの基本的な考え方
4.重症心身障害児(者)への歯科保健指導とケアの基本的な考え方
VI 訪問診療でのケアを考える
1.訪問診療と訪問歯科保健指導
2.訪問による歯科保健指導の取り組み
3.訪問による歯科保健指導の目標
4.訪問指導の特徴
5.訪問による歯科保健指導の進め方
6.訪問歯科保健指導の実際
8章 歯磨き苦手の障害者たち
I 障害者はなぜブラッシングが苦手?
1.ブラッシングは繰り返しの経験をとおして学習される
2.ブラッシングの自立には限界があることを理解する
3.障害者のブラッシングと日常生活
II 知的障害者のブラッシングは一人ひとり違う
1.障害者のブラッシングの特徴
2.知的障害者のブラッシング行動上の問題点
3.知的障害者へのブラッシング指導の要領
III できそうでできない身体障害者のブラッシング
1.身体障害者のブラッシングの特徴
2.身体障害者のブラッシング指導の実際
3.できそうでできない身体障害者のブラッシング
IV 歯ブラシや補助具の選択を考えよう
1.電動歯ブラシ
2.デンタルフロス
3.歯間ブラシ
4.インタースペースブラシ
5.吸引機能を備えた歯ブラシ
6.その他の口腔清掃補助用具
9章 障害者の齲蝕予防は歯科衛生士のやりがいのひとつ
I 障害者は齲蝕が多いという誤解
1.齲蝕罹患率を障害別に調べると
2.障害者に齲蝕が多い理由と少ない理由
3.「障害」と齲蝕罹患の関係からみると
II 齲蝕予防のプログラム
1.年齢別に考えた予防プログラム
2.生活環境を考えた予防プログラム
3.障害者へのフッ化物の応用
4.障害者へのフィッシャーシーラントは効果的?
III 保護者からよく聞く質問とその答え
1.歯質についての質問
2.プラークについての質問
3.歯磨きについての質問
4.フッ化物についての質問
5.シーラントについての質問
IV 予防と管理の組み合わせで歯を守る
V 齲蝕予防が困難なケースへの対応はどうするか
1.予防が困難な症例と対応は
2.強度行動障害
10章 障害者の歯周病は予防とケアの両輪で行う
I 障害によってさまざまな症状がある
II 要介助高齢者(寝たきり老人など)と歯周疾患
III 障害者における特殊な歯周疾患
1.薬物性歯肉増殖
2.重症歯周疾患
3.歯肉退縮
IV 予防と管理はいつから始めるか
V 障害者に対する歯周治療の限界
索引
I 障害者歯科のこれまでといま
1.形のなかった障害者歯科
2.注目され始めた時代
3.多様化の時代
4.リハビリテーションと高齢障害者の時代
5.外国の障害者歯科の歴史も知ろう
II 障害者とよばれる人たち
1.障害者の概念を整理しましょう
2.障害者とはどんな人たちのことでしょうか
III 障害者が利用する施設
2章 障害者歯科は障害者の生活を歯科医療の立場から支援すること
I 歯科医療と障害者の関わり
1.障害者歯科の定義
2.障害者歯科の難しさと期待
3.障害者歯科の困難性
II 障害者の歯科医療に関わる専門家たち
1.さまざまな歯科領域との関わり
2.障害者の療育や生活に関わる専門家たち
III 障害者歯科医療の成り立ち
3章 障害者と歯科衛生士の関わりはチェアサイドだけではない
I 歯科衛生士は障害者にどんな支援ができるか
1.わが子の障害を親はどのように受容するか
2.障害児から障害者へ
II 障害者歯科のために必要な知識
1.障害者福祉の理念と現実
2.ノーマライゼーションの考え方
3.バリアフリーの考え方
III 他職種との連携を大切に
IV 業務の記録と整理・紹介状の書き方
1.業務記録
2.サブカルテの詳細
3.紹介状の書き方
4章 障害者歯科は障害の種類や特徴を知ることから始まる
I 障害を分類すると
1.障害者歯科の対象
2.障害者歯科の特質
II 知的障害をもつ人の身体と口腔の特徴
1.精神発達遅滞(精神遅滞,知的障害)
2.精神発達遅滞者の一般的特徴
3.精神発達遅滞の発生原因と特徴
4.広汎性発達障害
5.軽度発達障害
III 身体障害の種類と歯科的特徴
1.感覚器の障害
2.姿勢と運動の障害
3.てんかん
4.内部障害
5.言語障害
6.重複障害
IV 精神障害をもつ人の特徴
1.精神障害の分類
2.精神障害者と口腔の特徴
V 障害者と歯科領域での機能訓練は「食べること」と「話すこと」
1.食べることの機能障害
2.ことばと聞こえに障害をもつ障害児(者)は
3.子どもがことばを覚える道すじ
4.いろいろな言語障害
5.言語障害の診断と検査は
6.言語障害に対する訓練とは
5章 障害者の心と行動の特徴を理解して接する
I 障害によって違う歯科治療時の行動
1.精神発達遅滞
2.ダウン症候群
3.自閉症(自閉性障害)
4.軽度発達障害
5.脳性麻痺
6.重症心身障害児(者)
7.超重症児
II さまざまな行動調整法
1.基本的行動調整
2.特殊な行動調整
III 初診時に把握すること
1.なぜ把握する必要があるか
2.患者本人について
IV 感染への対応
1.感染対策のために
6章 障害者の歯科診療では細やかな診療補助が必要
I 障害別に対応するために
1.精神発達遅滞(知的障害)
2.自閉性障害(広汎性発達障害)
3.肢体不自由
4.高齢者
5.診療補助の基本はコミュニケーションの確立から
II 治療の内容によって対応は異なる
1.CUREの場合
2.CAREの場合
III 歯科衛生士に必要な全身管理の見方
1.障害別の留意点
2.全身状態の変化への対応
IV 全身麻酔や鎮静法における診療補助
1.全身麻酔
2.静脈内鎮静法
3.笑気吸入鎮静法
V 高齢障害者の歯科診療補助
1.事前の情報収集が大切
2.高齢を理解し,サポートする
3.疾患別にみた歯科診療補助での配慮
7章 歯科保健指導とケアは障害者歯科のハイライト
I ブラッシングの自立に向けた支援
1.障害者の口腔健康管理の現状
2.本人のブラッシングを育てる意義
3.できるところ,できないところを見分ける(発達段階の把握)
II 自立の支援は誰に行えば効果があるか
1.共同療育者の育成
III ブラッシングの自立の限界とケアの大切さ
1.できない部分の対応方法
IV 指導やケアが困難な障害者では
1.医療側の定期的な管理の必要性(→かかりつけ歯科医の重要性)
V 歯科保健指導やケアを障害別に考えると
1.精神遅滞児(者)への歯科保健指導とケアの基本的な考え方
2.自閉症児(者)への歯科保健指導とケアの基本的な考え方
3.肢体不自由児(者)への歯科保健指導とケアの基本的な考え方
4.重症心身障害児(者)への歯科保健指導とケアの基本的な考え方
VI 訪問診療でのケアを考える
1.訪問診療と訪問歯科保健指導
2.訪問による歯科保健指導の取り組み
3.訪問による歯科保健指導の目標
4.訪問指導の特徴
5.訪問による歯科保健指導の進め方
6.訪問歯科保健指導の実際
8章 歯磨き苦手の障害者たち
I 障害者はなぜブラッシングが苦手?
1.ブラッシングは繰り返しの経験をとおして学習される
2.ブラッシングの自立には限界があることを理解する
3.障害者のブラッシングと日常生活
II 知的障害者のブラッシングは一人ひとり違う
1.障害者のブラッシングの特徴
2.知的障害者のブラッシング行動上の問題点
3.知的障害者へのブラッシング指導の要領
III できそうでできない身体障害者のブラッシング
1.身体障害者のブラッシングの特徴
2.身体障害者のブラッシング指導の実際
3.できそうでできない身体障害者のブラッシング
IV 歯ブラシや補助具の選択を考えよう
1.電動歯ブラシ
2.デンタルフロス
3.歯間ブラシ
4.インタースペースブラシ
5.吸引機能を備えた歯ブラシ
6.その他の口腔清掃補助用具
9章 障害者の齲蝕予防は歯科衛生士のやりがいのひとつ
I 障害者は齲蝕が多いという誤解
1.齲蝕罹患率を障害別に調べると
2.障害者に齲蝕が多い理由と少ない理由
3.「障害」と齲蝕罹患の関係からみると
II 齲蝕予防のプログラム
1.年齢別に考えた予防プログラム
2.生活環境を考えた予防プログラム
3.障害者へのフッ化物の応用
4.障害者へのフィッシャーシーラントは効果的?
III 保護者からよく聞く質問とその答え
1.歯質についての質問
2.プラークについての質問
3.歯磨きについての質問
4.フッ化物についての質問
5.シーラントについての質問
IV 予防と管理の組み合わせで歯を守る
V 齲蝕予防が困難なケースへの対応はどうするか
1.予防が困難な症例と対応は
2.強度行動障害
10章 障害者の歯周病は予防とケアの両輪で行う
I 障害によってさまざまな症状がある
II 要介助高齢者(寝たきり老人など)と歯周疾患
III 障害者における特殊な歯周疾患
1.薬物性歯肉増殖
2.重症歯周疾患
3.歯肉退縮
IV 予防と管理はいつから始めるか
V 障害者に対する歯周治療の限界
索引